一人暮らしをしている女子大生が
憑依されてしまった…!
憑依され、身体の自由を奪われる彼女。
彼女は、男の意のままに、髪型も何もかも、変えられてしまうー。
しかし、彼女を乗っ取った男は言ったー。
”これから、お前のお兄ちゃんに会いに行くー”とー。
そしてー、
”目の前にいるのが、変わり果てた妹”だと、気付くことができれば、
お前の身体を返してやるー、と…。
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今年から大学に通い始めた女子大生・
大沼 麻奈美(おおぬま まなみ)は、
大学生デビューを機に、一人暮らしを始めていたー。
実家の両親や、別の場所で一人暮らしをしている
2歳年上の兄・雅人(まさと)とも、
定期的に連絡を取り合ったり、家に遊び行ったりするなど、
家族との間柄も良好だー。
しかし、将来のためにと、麻奈美は
一人暮らしを始めて、この半年間、
色々な経験をしてきたー。
当然、大変だと思うこともあったし、
実家にいた時とは違う”自由”も満喫することができて、
良くも悪くも、この半年間は色々なことを学んできたー。
「ーーえ?そうなの?敦子(あつこ)がー?
へ~…なんか意外な感じ」
この日も、麻奈美はいつものように大学での1日を終えて、
親友の幸恵(ゆきえ)と共に、色々な話題を口にしながら、
最寄りの駅まで一緒に歩いていたー。
「ーーうんうん!わたしも最初は嘘かと思っちゃったけどー
でも、本当みたいー
敦子ちゃん、ああ見えて意外と私生活は派手みたいだしー」
友達の幸恵がそんな言葉を口にするー。
どうやら今は、同じ大学に通う子の話題で、
盛り上がっているようだー。
「ーそうなんだぁ~…
わたしは、まだ彼氏とかあんまり考える余裕もないなぁ~…」
苦笑いしながら、麻奈美がそんな言葉を口にするー。
大学に入学して半年ー。
一人暮らしデビューからもおよそ半年が経過して、
大分慣れて来たとは言え、
バイトもあるし、それでもまだまだ”慣れない”ことは
色々とあるー。
「ーーあははー、確かに、麻奈美ちゃんは色々大変だもんねー。
わたしは実家暮らしだから、そこのところの苦労はないしー」
幸恵が笑いながらそう言うと、
「でも」と、麻奈美のほうを見つめるー。
「麻奈美ちゃん、すっごく可愛いし、
その気になればすぐに彼氏なんてできるよー!」
幸恵がまるで自分のことのように誇らしげに、
麻奈美を見つめながらそう言うと、
麻奈美は照れくさそうに、
「男子って、わたしみたいな子より、もっと派手な子が好きなんじゃない?」と、
控えめに言葉を口にするー。
「え~そんなことないよ~!
麻奈美ちゃんみたいな、清楚な美少女的な子、需要あると思うよ!」
幸恵はそこまで言うと、
「わたしが男だったら、麻奈美ちゃんを彼女にしたいぐらいだし!」と、
笑いながら言葉を口にしたー。
「ーーーえぇぇ…!?」
麻奈美は恥ずかしそうに顔を赤らめると、
そうこうしているうちに、大学の最寄り駅まで
到着したことに気付くー。
麻奈美は電車ー、
幸恵はバスに乗って帰るため、
二人が一緒に移動するのはここまでだー。
大学の”すぐ側”に、アパートを借りても良かったのだが、
大学周辺の地域は家賃が高かったことや、
あまり良い条件の物件がなかったことー、
すぐ側だと、何となく住所もすぐにバレちゃったりする気がして、
一駅先のアパートを借りているのだー。
「ーじゃあまた明日~」
別れ際に手を振る幸恵ー。
麻奈美も「うん!また明日~!」と
手を振り返すと、そのまま改札を抜けて
駅の中へと入って行ったー。
麻奈美と別れた幸恵は、そのままバス停でバスが来るのを待ち、
バスに乗り込んだー。
がーーー
幸恵は気づいていなかったー。
「ーーーククククク」
バスの乗客の中に恐ろしい男がいることをー
”あいつー…JDだよなー?
クククー…次の俺のおもちゃにピッタリだぜー”
彼はー
数年前に憑依薬を手に入れ、それを飲んだことで、
自由に他人の身体に憑依する力を手に入れた男ー。
それからは仕事を辞めて、家を捨てて、
自由気ままに身体を渡り歩く生活を送っているー。
既に、身体を弄ばれた人間の数は、
数えきれないほどだー。
「ーーー……」
そんな彼は、ちょうど”そろそろ今の身体”を捨てて
身体を乗り換えようと、考え始めていたー。
そして、今ー
バスに乗り込んで来た麻奈美の友人・幸恵に目をつけて
邪悪な笑みを浮かべていたー。
「ーククク…なかなか可愛いじゃねぇかー」
そんな言葉を口にすると、
彼ー、淡嶋 陣(あわしま じん)は、笑みを浮かべながら
幸恵が降りるのをひたすら待ったー。
それから数分ー。
幸恵の家の側のバス停にバスが到着し、
幸恵はそのバスを降りるー。
「ーーーあ、そうだー。」
幸恵は、思い出したかのように、
”時間があったら、適当に明日の晩御飯になるもの買ってきて”と
親から頼まれていたことを思い出しながら、
スーパーのある方向に向かって歩き出すー。
がー、
その時だったー
「あの!」
背後から声を掛けられた幸恵が振り返ると、
そこには、見知らぬOL風の女性が立っていたー。
心なしか、少し顔色が悪いようにも見えるー。
「ーーーあ… わたしですか?」
幸恵が自分を指差しながら言うと、
「ーー急にすみませんー」と、OL風の女性が、
「この場所って、この道で合ってますか?」と、
スマホに地図らしきものを表示させながら近づいてくるー。
相手が”同性”だったからだろうかー。
幸恵は何の警戒心も抱かぬまま、
そのOL風の女性の方に近付いていき、スマホに表示されている地図を
確認するー。
だがーーー
「ーー!?!?!?」
OL風の女は、突然、幸恵の腕を掴むと、
幸恵が悲鳴を上げる間もなく、顔を近づけて笑みを浮かべたー。
「ー次の身体は、お前にするぜー」
OL風の女が邪悪な笑みを浮かべるー。
そして、有無を言わさずキスをしてくる女ー。
幸恵は”女同士のキス”を唐突にさせられて驚きの表情を浮かべるーー
そうー
憑依能力を持つ男・淡嶋 陣は、既に”自分の身体”でなど
行動することは無くなっていたー。
こうして、”今の身体”に飽きたら次の身体に移動するのだー。
1年近く、酷使し続けて妊娠までしてしまったOLの身体を捨てて、
幸恵の身体に移動した陣はニヤリと笑みを浮かべるー
「ククククク…やっぱ若い方が肌も綺麗だよなー」
幸恵はさっきまでとは別人のような表情を浮かべながら
自分の指をペロリと舐めると、そのままスーパーにも向かわず、
自宅に帰ることもせずに、”新しい身体”を楽しむため、
繁華街のある方に向かって歩き出したー。
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”チッー”
幸恵は、男と散々遊んだ後に、
ボサボサになった髪のまま、スマホを確認して舌打ちをしたー
「あぁ、コイツ実家暮らしかー」
胡坐をかいたまま、そう呟く幸恵ー。
スマホに親から”帰ってこないことを心配する連絡”が
大量に入っていたのだー。
実家暮らしでも
別に良いのだが、実家暮らしの身体を乗っ取ると、
一人暮らしの身体よりも色々と制限があるー。
もちろん、過去には実家暮らしの身体を乗っ取って、
勝手に一人暮らしをスタートさせてしまったことも
あったけれど、物件を探したりするのも、
色々と面倒臭いー。
「は~~…ハズレだな」
幸恵は自分の身体のことを”ハズレ”と口にすると、
スマホを見つめるー。
「んーーー…?」
LINEのやり取りを見て、笑みを浮かべる幸恵ー。
その相手のアイコンは相手の自撮りだろうかー。
”幸恵よりもさらに可愛らしい、清楚な感じの美人”が写っているー。
「ーあぁ、昨日、一緒に居た子かー」
同じ駅からたまたまバスに乗った彼は、
”幸恵”と”麻奈美”が分かれる場面を見ていたー。
あの時の子が、このLINEの相手だと悟るー。
そしてー
LINEのやり取りを見つめながら、麻奈美が一人暮らしであると知ると、
幸恵はニヤリと笑みを浮かべたー。
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大学での1日を終えた麻奈美ー。
”そういえば、昨日から幸恵と連絡がつかないー”
今日、大学にも顔を出していなかったし、と、
少し心配する麻奈美ー。
昨日、憑依されてしまった幸恵は、
家にも帰らず、
実家暮らしの幸恵は、両親たちも心配している状態だったが、
幸恵の両親とは、あまり面識がないことで、
そんな騒ぎになっていることは、麻奈美は知らなかったー。
また、憑依された幸恵自身が”面倒くせぇな”と思いつつも
実家に”友達の家に泊まる”と電話だけ入れたことで、
とりあえず警察沙汰にはなっていないー、
そんな状況だったー。
「ーーー(でも、幸恵、たまに体調崩すしー、多分いつものー…)」
そんな風に思いながら、大学の外に出ると、
その幸恵が姿を現したー
ニヤニヤしながら「麻奈美…」と、近付いてくる幸恵ー。
「ーーえ…幸恵? ど、どうしたのー?
昨日から連絡もつかなくて、心配したんだよ?」
麻奈美がそう言葉を口にすると、
幸恵は”ちょっと、見せたいものがあるんだけどー”と、
まったく、麻奈美に心配されていることを気にも留めない様子で
そう呟いたー
「え…なに??どういうこと?」
戸惑う麻奈美ー。
しかも、よく見ると幸恵は”昨日と同じ服”を着ているように見えるー。
「ーーー…」
麻奈美は、戸惑いながらも
”相手が幸恵だから”そのままついていってしまうー。
そして、大学近くの路地に入ったところで、
幸恵は振り返って笑みを浮かべたー。
「ーーこの身体より、お前の方が可愛いからー」
幸恵のそんな言葉に、麻奈美は「な…何言ってるの?」と、
困惑した表情を浮かべるー。
「ーお前の身体、貰うねー」
幸恵はそう言いながら、突然麻奈美にキスをしたー
「ーえっ!?ちょっ!?」
振り払おうとする麻奈美ー。
だがー、どうすることもできずー、
やがて、目の前にいた幸恵が糸が切れた人形かのようにその場に
倒れ込んでー、麻奈美はニヤッと笑みを浮かべたー
「ーーへ…へへへへへ…麻奈美ちゃんの身体、げ~っと」
麻奈美はそう言いながら、ニヤニヤと笑みを浮かべー、
自分の両胸をその場で揉み始めるー。
「へへへ…やっぱ乗っ取るなら一人暮らしの身体に限るよなー」
麻奈美はそう呟くと、倒れたままの幸恵を無視して
そのまま歩き始めたー
がー…
その時だったー
”ーーーえ…?ど、どういうことー!?なにこれ!?”
麻奈美の声が、”脳”の中に響いたー。
「ー!?!?!?!?!?」
麻奈美に憑依した淡嶋 陣は、驚きの表情を浮かべるー。
「ーーな……」
”麻奈美”を乗っ取ったはずなのに、麻奈美の意識が途切れていないー。
身体の主導権は完全に奪ってはいるが、こんなことは初めてだー。
”あ、あなた誰ー!?何なの!?”
麻奈美の声がそう叫ぶー。
麻奈美になった陣は、戸惑いながらも
「ーーこんなことは初めてだー」と、ニヤッと笑みを浮かべるー。
今まで、乗っ取って来た身体は、意識も含めて完全に
支配できていたー。
だが、この女は珍しく”意識”が残っているようだー。
精神力か何かが強いのか、何らかの理由で憑依に耐性があるのか、
それとも憑依するときに何か失敗したのか、
それは分からないー。
がーー
それなら、それでー、と、
陣は、麻奈美の身体で
笑みを浮かべるー。
「ーーお前の身体は、俺が貰ったぜ」
麻奈美の口でそう呟くと、
麻奈美の意識が驚きの声を上げるー。
「ーへへへへ…たまにはこういうのも悪くねぇなー。
お前には”新しい麻奈美”を見せてやるからー
特等席でじっくり見てな」
麻奈美はそう言うと、嬉しそうに歩き出すー。
”ちょ、ちょっと!や、やめて!何なのこれ!?
わたしから出て行って!”
麻奈美の意識が頭の中でそう叫ぶー。
がー、叫ぶことしかできない麻奈美に、
”勝手に動く自分の身体”を止めることはできなかったー…
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
このあとは、このお話のメインの部分、
”憑依されて、ガラリとイメージが変わってしまった妹に
お兄ちゃんは気づけるかどうか”に突入していきます~!★
明日以降も、ぜひ楽しみにしていて下さいネ~!
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