<憑依>夏空に散る君の笑顔①~夏の幸せ~

夏の花火大会を楽しみに来たカップルー。

しかし、二人は”憑依”の力を持つ男に狙われてしまうー。

夏空の元ー、
二人の絆は、引き裂かれようとしていたー。

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「ーーまさか、こんな日が来るなんて思わなかったな~…」
恥ずかしそうに、そう呟く彼女ー。

「ははは、僕もだよー」
男子高校生の藤崎 春雄(ふじさき はるお)は、
照れくさそうにそう呟くー。

隣にいるのは、同じ高校に通う彼女の
島内 友美(しまうち ともみ)ー。

二人は、お互いに奥手な性格で、
今までお互いに恋人がいたことはなかったー。

そのため、春雄と友美にとっては、
互いに相手が、初めての恋人、ということになるー。

そんな二人は、今日、花火大会へとやってきていたー。
二人にとって、初の花火デート。

「ー卓(すぐる)からは、”姉さんがデートとか、天変地異の前触れか~!?”
 みたいなこと言われちゃったー」

恥ずかしそうに笑いながら、友美がそんな言葉を口にすると、
「僕も親からびっくりされたよ」と、春雄は笑うー。

お互いに、恋人が出来て、しかも花火大会に二人で出かけるなんて、
家族からも思われていなかったのだろうー。

そんな話をしているうちに、花火大会の会場となる
大きな公園に、人がどんどん集まって来るー。

「もうすぐ始まるねー」

「ーうん」

少し照れくささと、花火がもうすぐ始めるドキドキを、
春雄は噛みしめながら
”この幸せがずっと続けばいいのにー”と、
そんな風に心の中で呟くー。

”へへへへ…でさ~、そいつ、泣きながら
 「お前が、そんな女だとは思わなかった~!」って
 叫んでたんだよ、へへー”

ふと、そんな男の声が聞こえて来るー。

”ーーははは!最低だなお前~!
 でも、あの女の彼氏からすれば
 彼女のひっでぇ裏切りだもんなー そりゃそうかー”

別の男の声が聞こえて来るー。

”ーへへへーまさか、自分のこといじめてた男と
 ヤリまくってるなんて思わなかっただろうし、
 それを知った時のアイツの顔、
 ”地球が真っ二つになる3秒前”みたいな顔でマジで
 最高だったぜ”

ゲラゲラと笑う男たちー。

少し離れた場所に、レジャーシートを敷いて、
ビールを飲んでいる男たちが視界に入るー。

何やら、あまり聞きたくないような話をしているようだー。

「ーー少し、移動しようか」
春雄がそう言うと、友美は「え?うんー」と、頷くー。

男たちの話が耳に入っていたかどうかは、
春雄からは分からなかったが、とにかく、あまりいい感じの
雰囲気の男たちではないー。

”お、あの娘、可愛くねー?”

”うぉっ!マジだー!しかも隣に彼氏みたいなやつもいる!”

”へへへー、ちょうどいいセットだぜ!”

”今年はあの娘で遊ぶか”

そんな4人組の男の会話が聞こえたー。
男たちのほうをチラッと見る春雄ー。

するとーー4人組の男の一人ー、
金髪の男が”こっち”を見ていたー。

「ーー!!」
その男と目が合ってしまい、
直感的に”嫌な予感”を覚えるー。

だがー、
もう手遅れだったー。
その金髪の男以外の三人が、ニヤニヤしながら近づいてくるー。

春雄は、友美の手を引いて逃げようとするも、
すぐに男たちに取り囲まれてしまったー。

「ーーは、春雄ー…」
友美が不安そうに春雄のほうを見つめるー。

「ーだ、大丈夫ー」
春雄は震えながらそう呟くー。

ここは、花火大会の会場ー。
周囲にいくらでも人はいるー。
いきなりこの場で、友美に何かすることはできないだろうし、
いきなりこの場で、春雄をボコボコにしたりすることもできないはずだー。

そう思っていると、
近くにやってきた4人組のうち、三人の一人、
いかにも怪しい感じの茶髪の男が笑みを浮かべたー。

「ーーその子、お前の彼女?」
とー、そう呟きながらー。

春雄は「そ、そうですけどー」と、困惑の表情を浮かべながら
言葉を口にするー。
隣にいる友美が少しだけビクッと身体を震わせるー。

相当怯えているのだと思い、春雄は友美に手を出させないようにと、
男たちの前に立ちはだかるー。

「ーーーははははー、冗談きついぜ。
 お前みたいな大人しそうなやつがー、こんな可愛い子と付き合えるわけないだろ?」
茶髪の男が笑うー。

「ーそ、そんなの関係ないだろ!」
春雄は勇気を振り絞って叫ぶー。

「ークククー、モテないからって”妄想”はやめるんだなー。
 大体、その子、俺の彼女なんだけど」

茶髪の男のその言葉に、
赤い髪の男と、ピアスの男が笑うー。

「ーーー…え…?な、なにを言ってー…」
春雄は困惑するー。

突然、絡んで来たガラの悪い男が、
自分の彼女のことを”その子、俺の彼女なんだけど?”などと
言い放ったのだー。

春雄からすれば、もはや訳が分からないー。

「ーーーこ、この子は僕の彼女だ!
 と、とにかくこれ以上騒ぐならー警備員さんにー」

春雄がそう言いながら、友美を庇おうとすると、
背後にいた友美がクスッと笑ったー

「ーー妄想は、やめてくれるー?」
とー、
そう笑いをこらえるように、呟きながらー。

「ーーえ」
春雄が友美のほうを振り向くと、
友美は笑みを浮かべながら、春雄に言い放ったー

「ーーわたしが彼女ー?
 ふふ、あんたみたいなやつが、わたしみたいに可愛い子と
 付き合えるわけないでしょ?」

友美が、信じられない言葉を口にするー

「え………?」
春雄は、困惑しながら、友美のほうを見るー。

眼鏡越しに見える友美の目は心底、春雄のことを
笑っているようなー、
そんな目に見えたー。

「ーわたし、勝(まさる)の彼女なんだけど」
友美がそう言いながら、茶髪の男の方に歩いていくと、
勝のほうを見て微笑むー。

「え…???え…????え???」
春雄は言葉を失うー。
何が起きているのか分からないー

突然絡んで来た怪しい男の一人に、
友美が嬉しそうに微笑みながら寄りかかっているー。

「ーーーおいおいおい。やっぱ妄想じゃねぇか」
ピアスの男が茶化すように笑うー

「”こ、このこはぼくのかのじょだー!”」
さっきの春雄のセリフを茶化すように繰り返す赤髪の男ー。

「ーははははははは!」
ゲラゲラと笑う男たちー。
友美も一緒になって、春雄のことを笑っているー

「え…ね、ねぇ…ど、どういうことー?」
春雄は戸惑いながらそんな言葉を口にすると、
友美は「ーーどういうことって?こういうこと。」と、言うと
再びゲラゲラと笑いだすー。

「ーわたし、ず~っと前から、勝の彼女なのー。
 ふふー
 ーえ~っとーー あんた、名前なんだっけ?」

クスクス笑いながら友美がそんな言葉を口にするー

いつもの大人しくて穏やかな友美とは、まるで別人に見えるー。

「ーーーーーは…春雄だよ! って、何でそんなこと言うんだよ!」
春雄がそう叫ぶと、友美は
「あ~…春雄 そう、春雄ー
 ふふー、あんたはわたしのこと、彼女だと勘違いしてたみたいだけどー」
と、あざ笑うようにして言葉を口にするー。

春雄はふと、男たちが座っていたレジャーシートのほうを見つめるー。

すると、4人組の男のうちの最後の一人ー、
唯一、こっちに歩いてきてなかった金髪の男が、
レジャーシートの上で横たわっているのが見えた。

酔いつぶれているのだろうかー。

そう思いながら、春雄は再び友美の方に視線を向けるー。

するとー
友美が、茶髪の男ー、勝とキスをしているのが見えたー。

「なっー…」
呆然とする春雄ー

「ーーふふふふ わたしのキス、もっともっと見せてあげるー」
友美がニヤリと笑いながらそんな言葉を口にするー。

勝はニヤニヤしながら
「ーへへへーそんな怖い顔で見るなよー。
 俺はただ、”俺の彼女”とキスをしているだけだぜー」と、笑うー。

友美と勝のキスー。
彼女と見ず知らずの男がキスをしている光景に、
春雄は頭がおかしくなりそうになりながら
「な…何で…!お、お前たち、誰なんだ!」
と、叫ぶー。

それでも、春雄を無視して、友美と勝はキスを続けるー。

友美が、うっとりとした表情で、甘い息を吐きながら
勝を見つめるー。

”初めての彼女”が、知らない男にそんな表情を向けているー。
大人しい性格の春雄でも、そんな光景を前に、
言葉には言い表しがたい感情が爆発しそうになって、
声を上げるー。

「ふふふふーなに、そんな顔してるの?」
ニヤリと笑いながら、キスを終えた友美が
春雄のほうを見つめて来るー。

その顔は、声もー、
友美のはずなのに、”嫌な感じ”が漂っていて、
いつものように言いたいことを言うこともできないー。

春雄は身体を震わせながら、友美のほうを見つめていると、
勝は「へへー…現実を思い知らせてやれよー」と、笑みを浮かべるー。

「ーふふ」
友美は頷くと、春雄のほうを見て
「勘違いしているようだから、教えてあげるー」と、
笑みを浮かべながら言葉を発するー。

その”言い方”にも、何だか悪意を感じるー。
いつもの友美の喋り方とは、違うような、そんな気がするー。

ピアスの男と、赤髪の男もニヤニヤしながら、
春雄のほうを見つめているー。

「ーーあんたみたいな、大人しくてー
 男としての魅力もない、ウジウジしたやつと、
 わたしが本気で付き合うと思った?」

友美の言葉に、春雄は心を刃物で直接刺されたかのような
そんな衝撃を覚えるー。

「ーーバカじゃないのー
 これだから、恋愛経験のない童貞はー」

友美にそう言われて、春雄は何て言い返していいのかも分からず、
困惑するー。

気付けば、既に花火大会も始まっていて、
花火が空を舞い、大きな音を立てて、綺麗に咲き乱されているー。

けれどー、
今の春雄にはそんな花火の音は耳に入らないー。

友美も、全く話を楽しむ様子もなく、
悪意に満ちた笑みを浮かべるー。

「ーわたしはずっと前から、勝の彼女ー。
 春雄ー…ううん、あんたのことは揶揄って遊んでたのー。
 わたしみたいな可愛い子に告白されたら、
 その気になっちゃうのかどうか、確かめてみようってー

 くくっ… ふふふふふふ」

友美が笑うと、周りの男たちも笑うー。

「そ、そんなー…ーーーー…ぼ、僕はー」
春雄は、自分が騙されていたのかと思ってしまい、
絶望の表情を浮かべるー。

「ーーーあはははははは!
 学校でのわたしの大人しそうな雰囲気に、騙されちゃったぁ?」
友美はそう言いながら、邪悪な笑みを浮かべると、
いつもかけている眼鏡を乱暴に外して、それを地面に放り投げたー。

「ーおぉぉぉ~最高だぜ!」
「ーひひひひ!」
ピアスの男と、赤髪の男が笑うー。

捨てた眼鏡を足で踏みつぶすと、それを踏みにじりながら、
「ーこれが本当のわたしー」と、笑みを浮かべるー。

「ーーー……そ……そんな…… 僕ー」
一気に弱気になってしまう春雄ー。

「ーわたしを彼女だと思い込んだ日々はどうだった?
 楽しかった?
 ねぇ、聞かせてよー」

煽るような口調で、春雄の耳元で囁く友美ー

「ーーーー」
目から涙を溢れさせながら震える春雄ー。

「ーーはははははは!友美!やっぱお前は最高の女だぜ!」
勝は”今、知り合った”ばかりなのに、
まるであたかも前から彼女だったかのように、友美に対してそう言い放つー。

友美は彼女でもないし、面識もなかったー。
仲間が”憑依”しているだけにも関わらずー、
まるで元から彼女だったかのように言い放つー。

「ーーねぇねぇ、教えてよ
 ほらほら、どう?夢のような時間ー 楽しかったでしょ?」

友美のそんな言葉に、
「ーなんで!!なんでそんな酷いことするんだ!」と、
泣きながら叫ぶ春雄ー。

「ーあ~あ…泣いちゃったー あはははははっ!」
友美は笑いながら、春雄から離れると、勝が友美を抱き寄せながら
笑みを浮かべるー。

花火の音が連続で響き渡る中ー、
春雄は「こんなの…酷いよー」と、泣きながらやっとの思いで言葉を
振り絞ると、友美は「ーわたしは、こういう女なのー」と、
笑みを浮かべながら言い放ったー。

「ーーーーーー」
完全に力が抜けたかのようにガクッとその場で膝を折って
泣き始める春雄ー。

夏の夜空に花火が舞うー。

そして、散り行く花火ー。

その花火と同じように、
今、春雄と友美の絆はこの場で散ろうとしていたー

②へ続く

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コメント

”夏空に消える花”という私の初期作品の
”リブート”的な感じの新作デス~★!
(※元の作品を知らなくても全然問題はないので、安心してくださいネ~!)

同じような舞台とシチュエーションで
新しい物語をまた1から作り直してみました~★!

過去作品のリメイクはやったことがありますが、
リメイクとはまたちょっと違った感じで
私自身も新鮮な気持ちで書くことができました~!

お読み下さりありがとうございました~~~!☆

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