<憑依>続・ねぇねぇ女装してみない?(後編)

近所の怪しいお姉さんに、弟が目をつけられてしまったー。

憑依されて、女装させられた弟ー…
そのお姉さんの身体に憑依した状態で、一緒に
”お出かけ”することになってしまった兄の運命はー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

弟の恭太が、
ガラの悪い男に”可愛い”と話しかけられて
嬉しそうにニヤニヤしているー。

今ー、恭太は”女装”しているー。
それも、本人の意思ではなく、
近所の怪しいお姉さん・陽華に憑依された状態で、だー。

「くそっー…」
これ以上”弟の身体”で変なことをされては困るー。

そう思った”陽華に憑依している”状態の真治は
「ちょっと!」と、声を上げるとー、
柄の悪い男と、女装した恭太が振り返ったー。

「ーーなんだお前?」
柄の悪い男が、不満そうに言うー。

だがー、女装した恭太が
「あ~僕のお姉ちゃん!」と笑いながら、
手を振ったためー、
柄の悪い男も、それ以上文句は言わなかったー。

少し雑談して、その男とは何事もなく別れるー

「ーーは~~…可愛いだって…!
 女装した恭太くんのこと、可愛いだってー!」

恭太が嬉しそうに、興奮した様子でそう呟くー。

「ーーしかも、完全に女の子だと思われてたー。
 あぁ、恭太くんってばやっぱり可愛いんだぁ♡」

恭太が嬉しそうに自分を抱きしめるようなポーズをしながら言うー。

「お、おい…外でそんなことするなー」
陽華に憑依している兄・真治が戸惑いながら言うー。

女装した弟をー
いいや、自分の意思でしているならまだしも、
”女装させられた弟”を見るのは正直辛いー。

そんなことを思いながら歩いていると、
女装した恭太がニヤニヤしながら、
トイレを指差したー

「ねぇねぇ、今の恭太くんなら、女子トイレに入ってもー…」
恭太がゾクゾク興奮しているのが分かるような雰囲気で
顔を赤らめながら言うー。

それを見て、陽華は思わず少し声を荒げるー

「いい加減にしてくれ!
 そんなことしたら恭太が犯罪者になっちまうだろ!
 分かってるのか!」

陽華の声だろうと、自分の声だろうと関係ないー。
強い口調で”兄”としてそう言うと、
「ー冗談冗談ー 本気にしないでよ」と、女装した恭太は
少し戸惑った様子で言葉を口にしたー。

「ー約束した通り、一緒に出掛けるのは
 最初で最後ー。
 もう2度と、許さないからなー」

メイド服姿のまま、陽華に憑依している真治が
そう言うと、ふと”周囲からの視線”が気になったー

”見られているー”

ハロウィンでもないのに、街中でメイド服を着てれば
当然かー。
このあたりに、そういうお店もないしー。

途端に恥ずかしくなって顔を赤らめる陽華ー。

そんな様子を見て、”女装した”いやー、
”女装させられた”恭太はニヤニヤしながら、
「あれぇ~兄さん、恥ずかしがってるの~?」と、
言葉を口にするー。

「ー僕なんか、可愛いと思われて興奮してるのにぃ~」
ニヤニヤしながら言う恭太ー。

あまりにも女装が完璧すぎて、
一瞬、目の前にいるのは本当に女の子なのではないかと”錯覚”してしまいー、
頭がバグりそうになるー。

そんなことを思いながらも、
首をぶんぶん振ると、
「も、もういい加減にいいだろー!帰るぞ!」と、
陽華が叫ぶー。

がーー…

「って、おぉい!?」
女装した恭太が、近くのファミレスに勝手に入っていくのを見て、
陽華は思わず叫ぶー

”俺に、メイド服姿の女の身体で、ファミレスに入れってのか!?”
困惑しながら陽華に憑依した真治があたふたとしていると、
それを見透かしたかのように、女装した恭太は悪戯っぽく
微笑んで、そのままファミレスの中に入って行ったー。

”ーーあの女ー…
 俺が近くにいないと、恭太の身体で何をしでかすかも分からないー!
 くそっー…”

そう思いながら、陽華に憑依している真治は、
”くそっ!俺は恭太に女装なんかさせたくないし、見たくもないのに!”と、
不満そうに心の中で叫びながら、
憑依された恭太の後を追って、そのままファミレスの店内へと飛び込んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーあ、兄さんー」

弟の恭太が、2階から降りて来て、
いつものように、ジュースを取り出すと、そのジュースを口に運ぶー

「ーーあぁ、ただいまー」
大学から帰って来た真治はそう呟くと、
”恭太”を見るだけで、女装した可愛い弟を思い出してしまうことに
困惑しながらも、それを振り払おうとため息をついたー。

”お届け物です!”

そんなことを思っていると、家に宅急便が届きー、
恭太がそれを受け取るー。

そんな光景を見つめながら、
真治は、少しだけ”気になる”ことを頭の中で考え始めるー。

不思議なことにー…
あの日ー、
”女装した恭太”の身体で陽華が外出した日を最後に、
陽華からの連絡が途絶えたのだー。

そして、恭太が憑依されている様子もなければ、
恭太の前に姿を現しているような雰囲気もないー。

急に”音沙汰がなくなった”状態だー。

引っ越したのだろうかー。
別に、それならそれでいいし、関わるつもりもないー。

だがー。
何か企んでいるのではないか、と、
真治は疑心暗鬼になっていたー

「ーーー…兄さん?」
恭太が心配そうに真治のほうを見つめるー

「あぁ、いやー…なんでもないよー」
恭太には言えないー。
”近所の怪しいお姉さん”に何度も憑依されて
女装させられていたなどとはー。

それにー…
”もう”これ以上何もしてこない”のであれば
恭太にそのことを察知される心配もないー。

「ーーーーーー…」
真治は数日間考えた末に、意を決して、
”陽華”の家に直接足を運んだー

「ーーあぁ…どうもー」
陽華は、すぐに顔を出したー。

実は既に引っ越していたー、とか
そんな展開も考えていたが、そんなことはなく、
”普通に”まだ近所にいたー。

「ーーー恭太の身体で変なことしなくなったのは
 嬉しいんだけどさー…
 そのー、あんなに色々なことされたらからさ、
 正直”まだ”警戒してるんだー

 でも、いつまでもそのモヤモヤを抱えてても仕方ないしー
 どうして”急に”恭太に憑依しなくなったのかー
 教えてほしい」

真治が、単刀直入にそう言い放つー。

相手が憑依薬を持っている以上ー、
”ハッキリ”させておかないと
いつまでも怯えることになるー。

もちろん、”陽華”が本当のことを話すかどうかは
分からないが、それでも、モヤモヤし続けるよりかは、
ずっといいー。

「ーーーあ~~それはー」
陽華は少し考えてから、照れくそうに笑うー。

「ーなんか急に冷めちゃってー」
陽華の言葉に、真治は「は?」と、思わず首を傾げるー。

「ーその…恭太に女装させたりするの、急に飽きちゃってー
 今は恭太くんに女装させたくないし、女装した恭太くんも
 見たくないなってー」

陽華のそんな言葉に、真治は「はぁ!?」と、困惑するー。

「ーーや、やっぱ何か企んでるんだろ!?」
思わずそう声を上げる真治ー。

何か企んでいるとしか思えないー。
今まで、散々恭太で女装してきたこの怪しいお姉さんが
今になっていきなり”恭太くんの女装に飽きた”なんて
そんなの言い訳にすらなっていないー。

「ーーな、何も企んでないよー」
陽華が困惑するー。

その表情を見て、真治は表情を歪めるー。

嘘をついているようには、見えないー。

「ーーー……で、でもー
 疑う俺の気持ちも分かるだろー?
 そっちが俺の立場だったら、
 相手がいきなり”もう飽きたよー”なんて言ったってー、
 簡単には信じられないだろ?」

真治がそう言うと、陽華は「ま…まぁ…確かにー」と、
戸惑いながらも納得の意を示したー。

「ーーーでも、本当にもう”憑依”もするつもりがなくてー」
そんな言葉を口にする陽華を前にー、真治は戸惑うー

「じゃあ、何か悪だくみをしているわけじゃないんだな?」
真治がそう言うと、陽華は頷いたあとに少し表情を歪めながら
言葉を口にしたー

「あの…それでー…わ、わたしに憑依するのも、もうやめて欲しいんだけど…」
そう呟く陽華ー。

「ん?あぁー俺は元々、たまに憑依して、短い時間遊んでただけだしー
 そもそもあんたに興味もないしー」

真治のそんな言葉に、陽華は「興味がないは失礼じゃない?」と、
少し不満そうに呟くー。

「ーいやいや、だってマジで興味ないしー」
真治はそう言うと、改めて陽華に対して
”もう弟の恭太には憑依しないでほしい”と、告げると、
陽華は”約束する”と、そう答えるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”約束通り”
陽華は、恭太の前に姿を現すことも、
恭太に憑依して女装するようなことも無くなったー。

理由は分からないがー、
急に恭太に”飽きて”くれたようだー。

もちろん、まだ何かを企んでいる可能性も十分にあるから
警戒はしないといけないー。

けれど、あれから1週間が経過した今でも、
陽華は特に何か行動を起こすつもりは無さそうだったー。

「ー女子って、急に冷めるところあるよなー」
真治がそんな風に呟きながら時計を見るー。

今日は、サークルの集まりがあって、帰宅が遅くなる予定だったが、
サークル仲間の一人が急に高熱を出してしまったため
急遽、その集まりは中止になり、
予定よりもかなり早く、家に向かって帰宅していたー。

コンビニで夜食を適当に買い、
そのまま家の中に入るー。

だがー
家の中に入った真治は、思わず自分の目を疑ったー

「え?」
真治が困惑するー

「あ…」
帰宅すると同時に、リビングにいた
”メイド服姿”の、弟・恭太の姿が目に入ったー

恭太が女装しているー

「お、お前ー!やっぱり、そうかー…
 俺のいないところで、恭太に!」

真治はカッとなったー。

陽華は改心したのではないー。
”真治や両親が留守のタイミングで恭太に憑依して、恭太に女装させているのだー”
と、そう思ったー。

「ーお前!恭太から出ていけ!」
真治がそう言いながら、女装した恭太に詰め寄るとー
「に、に、に、兄さんー、な、なんのことー!?」と、
恥ずかしそうに顔を赤らめたー

「ーな、なにー?」
真治が言うと、女装した恭太は「わ、訳が分からないよー」と、
言葉を口にしたー。

憑依のことを隠しながら聞くとー、
どうやら恭太は”自分の意思”で女装しているようだったー。

「ー最近、急に女装したくなってー…
 ほら、最近何度か僕宛の荷物、届いてただろ?」

メイド服姿の恭太が言うー。

最近、恭太宛ての荷物が何度か届いていたのは、
女装するための服の数々を買っていたからだったー。

「ーーー……え…自分の意思で女装してるのか?」
真治がそう言うと、
恭太は恥ずかしそうに「そ…そ、そうだけどー」と、
メイド服姿のまま言葉を口にしたー。

「ーーな、なんでー恭太、
 ついこの間まで女装なんてしたくないってー」

真治はそこまで言葉を口にすると、ハッとしたー

”まさかー”

陽華の様子も急に変わったことを思い出す真治ー。

”憑依されていたことで、本人の考えにも影響が出た”としたら
どうだろうかー。

恭太と、陽華ー、
二人の”異変”にも説明がつくー。

恭太に憑依していたのは、あの変態お姉さんの陽華ー。
その結果、恭太自身も女装が好きになってしまったー

そして、”陽華”に憑依していたのは真治ー。
真治は陽華の身体で
”くそっ!俺は恭太に女装なんかさせたくないし、見たくもないのに!”と
何度も内心で叫んでいたー。

その結果ー、陽華は”恭太”に興味を示さなくなってしまったのかもしれないー。

二人とも、”何度も何度も憑依されていた”ことによって
憑依した側の影響が、表に出て来るぐらいに強くなってしまったのかもしれないー。

メイド服姿のまま、恥ずかしそうに部屋に戻っていく恭太を見て、
真治は「ーーマジかー」と、呆然と呟きながら
その場に立ち尽くしたー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

”ねぇねぇ女装してみない”の後日談でした~★!

本編は1話完結のお話だったので、
後日談の方が長くなっちゃうという状態に…笑

お読み下さりありがとうございました~!!

コメント

  1. 匿名 より:

    二人共、憑依中に影響受けて、良くも悪くも、変わっちゃいましたね〜。

    ところで、陽華は恭太限定で、女装姿に興味なくなったのか、それとも、恭太以外にしても、女装に興味なくなったのか、どっちなんでしょう?

    もし前者なら、別の新しい被害者がその内、出てきそうな感じですが。

    • 無名 より:

      こちらにもコメントありがとうございます~!☆

      二人とも影響を受けてしまいました~~!☆

      陽華はどっちになってしまったのか…
      私の中では答えは一応決まっています~笑