<TSF>奇妙なブログ①~創造する未来~

”書いたことが現実になる”
そんなブログを始めた彼は、
そのブログの力を使って

「憑依」「入れ替わり」「女体化」「皮」…
あらゆることを引き起こしていくー

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6月29日(木曜日)

山中(やまなか)が交通事故に遭って死んだー。
いじめっ子にふさわしい無様な最期だったー。

同情しないー
彼は、今までそれだけの罪を犯したのだからー。

・・・・・

そんなことをスマホで打ち込んで”投稿”した、男子高校生ー。

彼、来宮 雄二(きのみや ゆうじ)は、
ニヤリと笑みを浮かべるー。

雄二は、学校でいじめを受けている大人しい性格の男子生徒ー。

たった今、ブログに投稿した記事の中で名前を上げた
”山中”という男は、
雄二のクラスメイトで、雄二のいじめに加担している男子の一人だー。

いやー、正式に言えば
”いじめに加担しているメンバーの最後の一人”と、でも言うべきだろうかー。

そんな、山中が死んだのであれば、
いじめを受けていた雄二が、内心で喜ぶことは、
ある意味、分かりやすい反応とも言えるー。

がー…
”山中”という男子生徒は、”今”この瞬間もまだ生きていてー、
自宅で音楽を聴いているー。

しかも、”今日”は、6月28日ー。
たった今、雄二がブログに投稿した記事の日付は”6月29日”ー。

1日先のことをブログに投稿しているー…
そんな奇妙な状況ー。

しかしー、雄二は頭がおかしくなったわけでもないし、
”妄想”や”願望”をブログに書いているわけではないー。

6月29日ー
つまり、”明日”ー
それは本当に起きるのだー。

”このブログに書いたことは、”現実で起きる”ーーーーー”

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1週間ほど前ー、
雄二は、いつものように学校に登校すると
いじめっ子三人組に、散々、嫌がらせを受けたー。

「ーー大丈夫ー…?」
幼馴染の香織(かおり)が、心配そうに声をかけて来るー。

「ーう、うんー…大丈夫ー」
雄二がそんな言葉を口にすると、
香織は「よかった」と、少し安心した様子で微笑むー。

香織は”優しい”ー。

けれどー、
本当は分かっているー

”優しいけれど”それ以上、雄二のことに踏み込むつもりはない、と。

心配はしてくれているけれど、それ以上のことをするつもりはないー、と。

いじめを注意してくれるわけでもないし、
何か解決させようとする動きを見せてくれるわけでもないー。

もちろん、そこまでする義理はないと言えばそれまでだー。

けれど、雄二からしてみれば
”心配してくれるなら、助けてくれてもいいのに”
と、そんな気持ちが強かったー。

「ーーーーー」
雄二は、大人しい性格で、友達も少なく、彼女もいないー。
そして、いじめも受けているー
そんな男子高校生だったー。

彼の日課は、家に帰ると、ちょっとHなイラストを見たりして
ニヤニヤすることー。
そして、クラスの女子のことを妄想しては、それをエサに、
一人、お楽しみをする日々ー。

実際に話しかける度胸もないし、
好きな子はいても、絶対に振り向いてもらえるとは思えないー。

けれど、今日も
クラスメイトの一人、雄二が好意を抱いている”長岡 明美(ながおか あけみ)”と
身体が入れ替わっちゃう妄想をしながら、
一人、欲望の時間を堪能したー。

”僕がこんな妄想してるって知ったら、長岡さんも気持ち悪いだろうなぁ”
雄二はそんなことを思いながらも、笑みを浮かべー、
ティッシュを手に、汚したところを拭きとるー。

最近ではー
クラスの女子と入れ替わったり、憑依したり、
自分が朝起きたら女の子になっていた妄想をしたりして
自分の身体を満足させているー。

ネットで色々なHなイラストを漁ったりしているうちに
そういったジャンルにはまってしまったのだー。

「ふ~~~」
少し、虚脱感を感じながら、ネットをなんとなく見つめていた雄二はー、
”あるもの”を見つけるー。

たまたま見ていたイラストサイトの”広告”に、
おかしなものが表示されていたのだー

”書いたことが現実になる!?新機軸のブログサービス”MIRAI”開始ー”

と、そんな広告をー。

「ブログかぁ」
雄二は、そう呟くー。

高校に入学したばかりの頃、好きなゲームの感想を毎日ダラダラと書く
ゲームブログをやったことがあるー。
けれど、雄二は半月も経たないうちに飽きて、
そのまま放置していたー。

そんな思い出がある雄二は、苦笑いしながら、
その”MIRAI”の広告を見つめるー

「書いたことが現実になるー…
 あ~…ゲン担ぎみたいなやつかな」

そう思いながらも、特にやることのない雄二は
”久しぶりにブログでもやってみるか”と、
”MIRAI”の広告をタッチして、
そのままメールアドレスを登録、自分のブログを作成するー。

①日付を指定して、ブログを書こう!
②なんとびっくり、その日にあなたが書いたことが起きる!

そんな説明が、このブログ”MIRAI”のキャラクターだろうか。
”MIRAIるーぱー”とかいう、
ウーパールーパーみたいなキャラクターのイラストと共に紹介されているー。

「ーはははは、なんとびっくり! だってさー」
揶揄うような口調で、雄二はそう呟くと、
いじめっ子のリーダー格・後宇多(ごうだ)の姿を浮かべたー。

「ーーじゃあー」

雄二は笑いながらブログに刻むー。

6月22日(木曜日)
後宇多くんが、地球から消えたー。
僕以外、誰も後宇多くんのことを、覚えちゃいないー。

とーーー

「あ~あ、バカみたいだ」
自分のしたことに、自虐的な笑みを浮かべると、
そのままベッドに寝転ぶー。

そんなこと、起きるはずがないのにー。

そう思いつつ、雄二は目を閉じたー。

だがー、翌日ー。

”後宇多”の姿はなかったー。

「ーーえ」
”当たり前”のように登校してこない”後宇多”ー。

それだけじゃないー。
先生も出席を取る際に”欠席者なし”と言っていたー。

慌てて出席簿を見るとー、
そこに”後宇多”の名前はなかったー。

「ーーえ…」
戸惑う雄二ー。

そこに、何事もなかったかのように、
いじめっ子の一人、山中が声をかけて来るー

「おい、お前ー。
 何出席簿なんか見てるんだよー!」
とー。

困惑した雄二は、山中に向かって言い放ったー

「ーあの、後宇多くんはー?」
とー。

「後宇多?誰それ?」
山中の言葉に、雄二は表情を歪めたー。

そしてー
謎のブログ”MIRAI”は、本物であると確信したー。

・・・・

6月23日(金曜日)

長岡さんから、突然告白されたー。
僕の返事はもちろん”OK”ー。

まさか、僕の彼女が、あの”長岡 明美”になるなんてー

翌日ー。
ブログにそう書いたー。

”長岡さん”だけだと、
隣のクラスにいる小太りの男子生徒の”長岡 勝”に告白されてしまう
恐れもあったため、ちゃんとフルネームで書いて置いた。

そして、その翌日ー
本当に、雄二は明美から告白されたー

”ふふふーまるで洗脳してるみたいだー”
雄二はニヤニヤと笑みを浮かべるー。

”このブログなら、入れ替わりでも何でも
 現実にできるんじゃないかー?”

そんなことを思いつつー、
雄二は”書いたことが未来で実際に起きる”
ブログ”MIRAI”の魅力に取りつかれて行ったー。

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そしてー、
今日ー。

残るいじめっ子の一人、”山中”が事故死する記事を書いたのだー。

明日、山中は死ぬー。

これでーー

「僕はもう、いじめられっ子じゃないー」
そう思いながら、笑みを浮かべたー。

その翌日ー
山中は交通事故で、”無様な死”を晒したー。

「ーーははは…すごいやー」
雄二がそう呟くと、”彼女”になった明美が、
「これで、雄二ももう、”いじめ”られなくて済むね!」と、
嬉しそうに微笑んだー。

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6月30日(金曜日)

僕と、長岡さんー…
”長岡 明美”の身体が入れ替わっちゃったー…!

びっくりー…!
でも、これで今日から僕がー
長岡 明美なんだー

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そんなことを、ブログに書き込む雄二ー。

雄二は、自分が嫌いだー。

だからこそー
入れ替わりや、憑依ー
そういうものに夢を見るのかもしれないー。

そんなことを思いながら、笑みを浮かべるー。

「ーえへへ…
 今まで通りならー…
 明日から、僕は長岡さんだー…!」

ニヤニヤと笑みを浮かべる雄二ー。

謎のブログサイト”MIRAI”ー。
誰でも気軽にブログを作ることのできるサービスは
世の中に山ほど存在するー。

だが、この”MIRAI”は、他のブログサービスとは違うー。

何せー、”先の日付けで書いたこと”が
本当に実現するのだからー。

「明日から僕が長岡さんー
 明日から僕が長岡さんー」

そう考えただけで、雄二の下半身が妙にドキドキして、
そのまま雄二は耐えられなくなって、一人でお楽しみを
初めてしまったー。

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翌朝ー

「ーーう…うわっ…!ほ、本当に僕が長岡さんにー」

朝、起きたらー
本当に、雄二は長岡明美になっていたー。

”ブログ”の力で明美を彼女にしてー、
”ブログ”の力で明美の身体を手に入れたー

「ふぁぁぁぁ……す、すごいー」
明美(雄二)は自分の胸や髪にドキドキしながら
手を触れると、笑みを浮かべるー。

そして、明美のスマホを手に取るとー、
暗証番号が分からないことに気付き、
そのまま学校に登校して、雄二になってしまった明美と
合流すると、”とりあえずこのまま過ごしていくしかない”と
適当なことを言いながら、暗証番号を聞き出したー。

雄二も、自分のスマホの暗証番号を教えるー。

”普段の長岡さん”だったら、入れ替わってしまったことに
もっと戸惑ったかもしれないー。
けれど、既に”ブログ”の力で明美は彼女になっているー。

”彼氏である雄二”との入れ替わりだったからか、
明美はそこまで動揺するような様子を
見せることはなかったー。

「ーーーえへへへへー」

”長岡さん”
”明美”
”明美ちゃんー”

そんな風に呼ばれるだけで興奮するー。

スカートを履いて校舎内を歩いているだけで興奮するー。

「ーえへへへ…わたしが長岡明美ー…
 えへへへ…うへへへへへ」

女子トイレに行くたびに、鏡を見つめながら
そんな言葉を口にする明美(雄二)ー。

そしてーーー

「ーーそうだー」
明美(雄二)はチラッと、一人の男子生徒を見つめるー。

いつも、女子に対してHな発言を繰り返して
嫌われて孤立している男子生徒・杉島(すぎしま)のほうを見つめるー。

そしてーー…
おしゃれが大好きで、自分が可愛いと思い込んでいる女子生徒、
愛野(あいの)のほうを見つめるー。

「ふふふふふー…僕ーいいや、わたしからのプレゼント♪」
ニヤッと笑みを浮かべながら
そう呟くと、明美(雄二)は、
昼休みの時間にスマホを手にするー。

そして、ブログ”MIRAI”に明美のスマホでログインすると、
ブログを書き始めたー。

当然、日付は”明日”の日付けだー。

7月1日(土曜日)ー。

”杉島くん”が、朝起きたら女の子になっていたらしいー
しかも、滅茶苦茶な美少女ー。
エロい杉島くんが美少女になっちったら大変だろうなぁー。

あと、”愛野さん”が、朝起きたら男の子になっていたらしいー
しかも、太っててイケメンとはかけ離れた顔の男子にー。
えへへー。いつも可愛い可愛いとか言ってて
自分に酔いしれてたから、天罰が下ったんだー。

そんな内容のブログを書き終えると、
明美(雄二)はニヤリと笑みを浮かべたー。

これが、あれば、何でもできるー

明美(雄二)は一瞬、
”今日、世界が終わる”と、ブログに書いたらどうなるのかー、などと
恐ろしいことを考えてしまうー。

しかし、すぐに首を横に振って、
”そんなこと書いて現実になっちゃったら大変だよ”と、
自分で自分にブレーキをかけるー。

「ーーー」
明美(雄二)は改めて、この”奇妙なブログ”と出会えたことを
嬉しく思いながら、不気味な笑みを浮かべたー

②へ続く

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コメント

TSF関係の色々な要素が登場するお話デス~!

ブログに書いたことが現実化する…!★
使い方によっては大変なことになってしまいそうですネ~!

雄二くんは
あまり、自分を制御できなさそうな感じが漂っていて、
作者の私も不安デス(笑)

続きはまた明日~!☆!

PR
TSF<奇妙なブログ>

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