＜TSF＞奇妙なブログ ～被害者たちの未来編～（後編）

書いたことが、全て現実になるー。

そんな、謎のブログサービス”MIRAI”の被害者たちの記録ー。

ブログと出会い、暴走した彼によって
壊れた人々の行きつく先はー…。

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長岡　明美（ながおか　あけみ）ー

書いたことが現実になるブログ・MIRAIと出会った雄二によって
人生を滅茶苦茶にされて、翻弄された人間の一人ー。

”長岡さんから、突然告白されたー。
　僕の返事はもちろん”OK”ー。
　まさか、僕の彼女が、あの”長岡　明美”になるなんてー”

雄二がブログに書いたその文章によって、
明美は”突然”雄二のことが好きで好きでたまらなくなったー。

友達と連絡している最中だった明美は、
「ごめんー急に用事を思い出してー」と、電話を切ると、
雄二に告白するためにはどうすればいいか、そればかりを考えー、
そして、ついに雄二に告白して、彼女になってしまったー。

しかもー、

”僕と、長岡さんー…
　”長岡　明美”の身体が入れ替わっちゃったー…！
　びっくりー…！
　でも、これで今日から僕がー
　長岡　明美なんだー”

その数日後、雄二がそんな内容をブログに書いたため、
明美は雄二の身体に突然なってしまい、
雄二として生きていくことになってしまうー。

だがー…
入れ替わったあとから、雄二は”明美”のことを構わなくなったー。

何でも思いのままにでき、
憧れの明美の身体まで手に入れた雄二からすれば、
もう、”元の自分”である雄二の身体になった明美に用などなく、
放置していたのだー。

「ーーー」
そんなある日、雄二（明美）は雄二のスマホを操作していた際に
”見て”しまったー。

ブログ・MIRAIをー。

”入れ替わる前”に、雄二は自分のスマホでMIRAIをログインしたままに
していたため、雄二（明美）でも、その中に入ることが出来てしまったのだー。

「ーー…はぁ…」
深くため息をつく雄二（明美）ー

ブログの力により、雄二のことが大好きになった明美は、
雄二と入れ替わってもなお、雄二のことが大好きだったー。

でも、もう、明美になった雄二は、雄二になった明美のことを構ってくれないー。

落ち込んでいた雄二（明美）は、
そんなブログを見つめながら、ふと、こんな記事を書いてしまったー。

7月20日（木曜日）
学校に隕石が直撃したー。
一瞬にして、全てが無になったー。
僕も、クラスメイトたちも、先生も、
みんなみんな、楽になったー。

それは、破滅の未来ー。

この記事を書いたことで、後日、雄二（明美）は、明美（雄二）の
逆鱗に触れてしまうー。

「ーくそっ！バカだ！お前はバカだ！
　もうお前なんて彼女じゃない！
　なんてことしてくれたんだ！
　ふざけるな！！！」

怒り狂った明美（雄二）ー。

自分の”彼氏”であり、
自分の”元・身体”に怒鳴られるー。

そんな状況にショックを受けて、目に涙を浮かべる雄二（明美）ー

「わー、わたし…雄二に構ってもらえなくてー寂しくてー」

その”想い”すら、ブログ・MIRAIの力により
勝手に植え付けられたものであるとは知らずに、
雄二（明美）は悲しそうに言葉を口にするー。

しかし、明美（雄二）は、そんな雄二（明美）の言葉を聞くこともなく、
そのまま怒り狂って立ち去ってしまったー…。

家で落ち込む雄二（明美）ー。
部屋に閉じこもりがちになり、ため息ばかりを繰り返すー。

何も、やる気が起きないー。
そんな風に思いながら、雄二（明美）がトイレに行こうと
立ち上がったその時だったー。

「ーーーーー……っ」
雄二（明美）は、突然”得体の知れない痛み”を感じたー。

階段を降りている最中に感じたその得体の知れない痛みは
全身に広がりー、次の瞬間、何を考える間もなく、
”途切れた”ー。

雄二（明美）が階段で突然バラバラになって、
コロコロと音を立てて転がり落ちるー。

「何の音？」
”息子が入れ替わっていること”も、何も知らない
雄二の母親がそんな言葉を口にしながら、
階段の方に向かってくると
”バラバラになった雄二”を見て、悲鳴を上げたー。

7月14日（金曜日）
突然、身体がバラバラになって”僕の身体になった明美”が死んだー

明美（雄二）が、怒りに任せてそうブログ・MIRAIに書き込んだことによる
異常現象ー。
雄二のブログによって散々弄ばれた”明美”は、
自分の身体で死ぬことさえも許されなかったのだー。

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雄二の幼馴染・香織（かおり）ー。

いじめを受けている雄二のことを心配しながらも
”それ以上は踏み込むことのない”
そんな、間柄だった女子生徒ー。

だが、そんな香織もブログ・MIRAIの餌食となったー。
雄二が書き込んだ内容により、雄二に憑依され、
部屋の中で痴態を晒しているところを母親に見られてしまったー。

その後、憑依からは解放されたものの、
香織は”身に覚えのない自分の行為”に困惑していたー。

”明美”とは違い、思想に影響を及ぼすような内容を書かれたわけではなく、
あくまでも”憑依されただけ”であるため、
憑依から解放されて正気に戻った香織からすれば
”自分の部屋でHなことをしていた”という事実は
不思議でしかなかったー。

そのことに、次第に悩んでいく香織ー。

がー、”学校に隕石が衝突する”というブログ・MIRAIの内容を回避するために
色々試し始めた雄二によって、
更なる悲劇が香織を襲ったー。

「ーーー！」
悩んでいた香織は、何を思ったのか突然ネットで
”バニーガールの服”を注文し始めるー。

そしてー
翌朝、登校前にそれを身に着け始めたのだー

「ふふ…ふふふふふ♡」
落ち込んだ表情なのに、不気味に笑っている香織ー。

ブログ・MIRAIに雄二が
”香織がバニーガール姿で登校した”と書き込んだことによって
香織はその通りに行動しているー。

やがてー、止めに入った母親も振り払い、香織は
自分のバニーガール姿を晒しながら学校へと向かい、
そして、登校してしまったー。

それが、7月12日の出来事ー。

その日以来、香織は自分の行動に恐怖を感じて、
塞ぎこんでしまいー、不登校になってしまったー

「どうしてわたし…あんな格好でー…？」
恥ずかしさのあまり、頭を抱える香織ー。

がー
7月18日には、雄二が”香織がメイド服で学校に登校した”と
ブログに書いたことで、
不登校になっていた香織は、メイド服を着て
嬉しそうに学校へ登校したー。

当然、教室内では再び騒ぎになるー。

香織は、涙目で笑うー。
もはや、自分が何をしているのかもよく分かっていなかったー。

雄二が、”隕石衝突”を回避するために、
香織のことをブログに書いて色々実験を続けていることによる”犠牲”ー

19日には、香織は制服とボンテージを身に着けて登校するという
おかしな行動に出たー。
それも、ブログの力によるものー。

帰宅した香織は「わたし……狂っちゃったー…」
と、呆然とした表情で座り込み、その場で泣き出してしまったー。

母親もさすがに心配して、翌日、病院に香織を連れて行こうとするー

がーーー
7月20日…
ブログに書かれた”隕石衝突”が現実のものとなったー。

”クラスメイトも、みんなみんな楽になったー”

そう書かれているブログの内容通りー、
香織は病院に向かっていた車から突然飛び出して、
操り人形のようによろよろと学校に向かうー。

本人の意思とあまりに違いすぎる行動に、
もはや整合性が取れておらず、
香織は、人形のようにぎこちない動きで学校に向かっていたー。

そしてーーー
学校に到着して、虚ろな目のまま教室の座席に座ると同時にー
学校に隕石が直撃したー。

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ブログ・MIRAIの力で散々暴走した
雄二はーー、
”隕石の衝突”を強引な方法で回避したー

それはー
”死んだあとに生き返る”という方法だったー。

雄二になった明美によって書き込まれてしまった
”7月20日に学校に隕石が衝突して死ぬ”という内容ー。

これを回避しようと色々なことを試して来た雄二ー。
しかし、その全てに失敗した雄二は、
最終手段に出たー。

それが、”7月22日”に”自分が生き返る”という内容の記事を
ブログ・MIRAIに投稿することだったー。

7月20日の死の未来は回避できない。
だったら、その後に生き返ればいいー。

もちろん、”ブログ”MIRAIにそれができるかは分からないー。

”死んだ人間まで蘇らせることいができるのかどうか”もそうだし、
”書いた人間が死んだら、ブログが無効になる可能性もある”し、
それは大きな大きな賭けだったー。

だがーーー

「ーやった…！ふふ、僕は勝ったぞ！
　やったあああああああああああ！」

7月22日ー
明美（雄二）は”勝利”したー。

隕石の追突で確かに死んだ明美（雄二）は、
7月22日分として書き込まれた”自分が生き返る内容”によって
見事、復活を果たしたのだったー。

「ーーふふふふ…　これで、これで僕はー」
明美（雄二）は、鏡に映る明美の身体を見つめるー。

元々、いじめを受けていた雄二ー。
あんな学校に未練はない。
クラスメイトも、教師も全滅したけれど、それでいいー。

明美（雄二）は笑みを浮かべるー

「そうだーこれからは僕ー…
　ううんー”わたし”明美として生きていくんだー！
　ふふっ　はははははははっ！」

明美（雄二）は嬉しそうに笑いながら、
それからもブログ・MIRAIの力を使い、やりたい放題をしていくことを
決意したー。

がーーー

彼は知らなかったー。

雄二になった明美が自暴自棄になって書いた記事は”2つ”あったー。
一つは、7月20日の”隕石衝突”の記事ー、
そしてもう一つは、雄二（明美）が一度は投稿したものの、
すぐに何か思う所があったのか、”削除”されていた記事ー。

しかし、ブログ・MIRAIに一度投稿された記事は削除されたとしても、
”実際に書かれた通り”になるー。

明美（雄二）が確認した時には既にその記事は削除されていたため、
明美（雄二）は知らないまま、その日を迎えてしまったー

その、明美（雄二）も知らない、”消された記事”の内容はーー

7月31日
死

だったー

・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーー！」

不気味な歪んだ空間で目を覚ました雄二は
表情を歪めるー。

「こ…ここはー…？」
さっきまで明美の身体で、嬉しそうに今日も1日を過ごそうとしていた
雄二は、何が起きたのかも理解できていないー。

それもそのはず、”死”と書かれた記事通りに
”突然”一瞬にして死んだのだから、雄二本人からすれば
理解できるはずもないー。

不気味な、青い光や紫の光に包まれたー、
そう、言うならば電脳空間のような場所で雄二は「な、なんだこれはー」と、叫ぶー。

「だ、誰か…！？誰かいないのか！？」
雄二がそう叫ぶと、
”ブログ・MIRAIのご利用ありがとうございました”と、
空間の中に光り輝く文字が突然出現したー。

「あ、ありがとうございましたってー！？」
雄二がそう叫ぶー。

雄二はまだ、自分が死んだことを理解できていないー。

そしてまた、空間に文字が表示されたー。

”7月31日　死”
とー。

「ーー……こ、こ、こんな記事…こんな記事書いてない！」
雄二が必死に叫ぶー。

だがー、
雄二はハッとするー。

”もしかして、僕が気付く前に”僕の身体で記事を書いた明美”が、
　この記事を消していたらー？”

とー。

雄二は真っ青になりながら
「ーー…う、嘘だ！ぼ、僕は死んでない！」と、謎の空間の中で叫ぶー。

がー、謎の空間の光が蠢くだけで、何の返事もないー。

やがてー、
しばらくすると、再び文字が表示されたー

”ブログ・MIRAIの力は対価交換ー
　”普通に過ごしていたら起きないこと”を、
　死後のエネルギーを使って、実現する未来の技術ー”

そんな表示、雄二は「何を言ってるんだー…」と、涙目で
空間に浮かぶ文字を見つめるー。

”MIRAI”の力で、実際には起きないことを書けば書くほどー、
その”代償”は大きくなるー。
そして、その代償を払うのは死後ー。

”ーーーご利用ありがとうございましたー。
　使った分の”力”を回収するため、あなたには永遠の苦痛を
　味わっていただきますー。”

その表示と共に、青い光が交差していた空間が
突然暗くなるー。

真っ暗になって、何も見えない空間ー。

ブゥゥゥゥゥーン…という不気味な大きな音が聞こえて来てー、
雄二は悲鳴を上げるー。

鼓膜が破れそうなほどの不気味な音ー。
耳鳴りを何百倍にもした、地獄のような音ー。

そして、全身に激痛が走り始めるー。

”ブログ・MIRAI”ー。
それを使った人間は死後、
”MIRAI”の力で実現させた未来の分、対価を支払うー。

”現実ではあり得ないこと”を、
何度も何度もブログに書き込んで、それを実現させた雄二はー
”永遠に地獄のような痛みを、地獄のような空間で味わい続ける”ー。

「ーうっ…　う…　うああああああああああああ！！！」
発狂した雄二は、瞳を震わせながらこの世のものとは
思えないような悲鳴を上げ続けたー…。

おわり

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コメント

”奇妙なブログ”の、他の登場人物のその後を見て見たい、という
コメントを以前頂いていたので、
書いて見ました～！

せっかくなので、複数の登場人物、そして
主人公のその後をちょっとだけ描く形でお話にしました…！

ここまでお読み下さりありがとうございました～！