ある日の休日ー、
突然彼女からかかってきた電話でー
”入れ替わってしまった”と告げられた男子大学生ー。
彼女になった親友と、
親友になった彼女をひとまず家の中に
招き入れたものの…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・
彼女の結衣と親友の勇人が
戸惑う正太郎の前で、お互いにぶつかったー…
がー、そんなにあっさりと元に戻れるはずもなく、
”ぶつかってみた”二人は、結局そのまま
呆然とすることしかできなかったー
「ーーど、どうしようー?」
勇人(結衣)が困惑しながら言うー。
結衣(勇人)は、そんな勇人(結衣)の様子を見て
「と、とにかくできることはなんでも試してみよう!」と、
提案するー。
正太郎も「そ、そうだなー。二人ともいつまでもその状態じゃ
困っちゃうだろうしー」と、頷くー。
結衣(勇人)と勇人(結衣)が戸惑いながら色々と試していくー。
手を繋いでみたりー
指を合わせてみたりー、
正太郎の家にある赤い糸を使って入れ替われるように念じてみたりー、
元に戻れ~!と神頼みしてみたりー、
思いつくことはどんなに小さなことでも色々としたー。
だがーー
結局、二人は元に戻ることができないまま
時間ばかりが過ぎて行ったー。
「ーーーーーー」
正太郎が少しムスッとした表情を浮かべているのに気づき、
結衣(勇人)は「どうしたー?」と、正太郎のほうを見つめるー
「あぁ、いやー…」
正太郎が言うと、
勇人(結衣)も「なんだか正太郎ー…怒ってない?」と、
少し不安そうに尋ねて来るー。
「ーーえ…あぁ~えっと、怒ってはいないんだけどー
そのー…」
正太郎がそこまで言うと、申し訳なさそうに言葉を続けるー
「なんだか、目の前で彼女と親友がイチャイチャしているように見えて
複雑って言うかー」
苦笑いする正太郎ー。
そんな正太郎に勇人(雄太)は「ーも~そんなこと言って~」と、
少し呆れ顔で笑うー。
「ーも、もちろん頭では仕方のないことだって分かってるし
怒ってないんだけど、こうーなんて言うか、複雑でー」
正太郎がそんな思いを吐き出すー。
すると、それを聞いていた結衣(勇人)が、少しニヤニヤとしながら
「ーじゃあ、この身体でぎゅ~っとしてやろうか?」と、笑みを浮かべるー。
「ーは!?えっ!?」
途端に顔を真っ赤にする正太郎ー
「ヤキモチやいてるんだろ~?
だったら、俺がほら、キスしてやってもいいんだぜ?
中身は俺だけどー、身体は結衣ちゃんだし、セーフだろ?
俺は気にしないから、ほら!」
揶揄うようにして結衣(勇人)が、自分の唇を触りながら
「キスしちゃうかぁ~?」と、今一度言葉を口にするー。
正太郎はドキドキしながら
「えっ!?えっ!?」と、反応していると、
突然、正太郎と、結衣(勇人)の頭に衝撃が走ったー
「ーいってえ~~!」
正太郎と、結衣(勇人)が、
勇人(結衣)に正太郎の部屋にあったハリセンで叩かれたのだー
・・・・・・・・・・・・・
「ーいててててて…」
正太郎がしょんぼりしながらそう呟くと、
「何で俺がー…」と、不満そうに頬を膨らませるー。
勇人(結衣)が呆れ顔でそんな正太郎のほうを見つめると、
「わたしの身体で勝手に遊ばないでよねー」と、
叱るような口調で呟いたー
「ちぇっー。悪いのは勇人だろー」
不満そうにそう呟く正太郎ー。
結衣(勇人)は苦笑いしながらも
「でも、元に戻らないことには始まらないしー
やっぱ、正太郎に我慢してもらうしかないだろ」
と、言葉を続けるー
正太郎はなおも複雑そうな表情だー。
「ー正太郎だって、わたしが磯部くんの身体のままじゃイヤでしょ?」
勇人(結衣)が、勇人の身体を自分で指さしながら言うー
「ま、まぁー」
正太郎がそう言うと、
勇人(結衣)は「このまま付き合うって言うならいいけどー」と、
探るような口調で、言葉を続けるー
「そ、それはー」
戸惑う正太郎ー。
”大好きな彼女”が中身とは言え、身体が親友の「勇人(結衣)」
”大好きな彼女”の身体とは言え、中身が親友の「結衣(勇人)」
確かに、どっちと付き合い続けるのも、
少なくとも正太郎にとってはつらかったー
心のどこかで、どっちかを選ばないといけないなら
”彼女の身体の中身は親友”「結衣(勇人)」のほうを
選んでしまいそうになり、首を横にぶんぶんと振るー。
まぁ、もし元に戻れないということになった場合ー
正太郎としては、現実的には”恋人”同士でいるのは
難しい気がしたー。
「ーーーーー」
その反応に、勇人(結衣)はため息をつくと、
「だから、できる限りのことはやってみないと」と、呟くー。
渋々と、その言葉に頷いた正太郎ー。
結局、結衣(勇人)と勇人(結衣)の二人は
元の身体に戻るために、お互いにキスをすることを
試してみることになったー。
結衣(勇人)は躊躇いながら
「お、俺とキスすることになるなんてー」と、
イヤそうな顔を浮かべるー
「が、我慢してー…
キスすれば元に戻れるかもしれないしー」
勇人(結衣)もそんな言葉を口にするー。
”目の前に、自分の顔がやってくるー”
結衣(勇人)は
「ダ、ダメだぁ…なんか気持ちわりぃ」と、
自分の顔を否定しながら、
「ーいや、いや、俺はイケメンだけど、
自分の顔とキスするとなると、拒否反応がー」と
言葉を付け加えたー。
しかしー
それでも、このまま何もしなければ
元に戻れないかもしれないー。
結衣(勇人)は意を決したのか、
そのまま勇人(結衣)とキスをするー
結衣の彼氏・正太郎は不機嫌そうに目を逸らしながら
それが終わるのを待ったものの、
結局、元に戻ることはできなかったー
「ーーーーー」
結衣(勇人)は少しため息をついてから
正太郎のほうを見るー。
「ーーーなんだよ」
正太郎が、まだ少し不満そうにそんな言葉を口にすると、
結衣(勇人)は少しニヤニヤしながら口を開いたー
「ここまでしても元に戻れないってことはー……
アレじゃね?」
結衣(勇人)が、ハッキリとは言わず、
そんな言い回しをするー
正太郎は首を傾げながら「あれって?」と返事を返すと、
結衣(勇人)は、正太郎の近くにやってきて
耳元で何かを囁こうとしたー
”ちかっ!女子の身体になってる自覚を持てよ!”
正太郎はそんなことを心の中でツッコミつつ、
かなり至近距離までやってきた結衣の身体にドキドキしながらも
結衣(勇人)の言葉を待ったー
”エッチなことーヤるしかないんじゃないか?”
結衣(雄太)の言葉に、正太郎は
”彼女と親友”がエッチなことをしている姿を
頭の中に浮かべてしまい、
「ダメだダメだダメだ!絶対ダメだ!」と、大声で叫んだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結衣(勇人)と、勇人(結衣)は元の身体に戻ることが出来ずー
そのままの状態が続いたー。
数日後ー、勇人(結衣)の提案で、
”入れ替わった状態”の診察をしてくれるという病院を発見ー
そこで、彼氏の正太郎も同席した上で、
先生の話を聞いたー
だがー、
結衣(勇人)と勇人(結衣)の診察を終えた
医師の柿谷(かきたに)は、表情を歪めながら呟いたー。
「ー完全に、二人の人格が入れ替わってるー」
脳のレントゲン写真を見せながら
小難しい説明をする柿谷先生。
柿谷先生によれば、脳のある部分に異常が見られー、
命に別状はないものの、
二人が入れ替わっていることに関しては
”疑いようのない事実”であると三人に告げたー。
そんな説明をしていると
勇人(結衣)が「それでー…わたしたちは、元に戻れるんですか?」と、
不安そうな表情を浮かべながら確認するー。
そう、それが最も大事な部分だー。
元に戻る方法はあるのかどうか。
それともー。
すると、医師の柿谷は少し困惑した表情を浮かべてからー
「残念だけど、ずっとこのままで生活するしかー」と、
気まずそうに答えたー。
「ーーーーそ、そんなー」
結衣の彼氏、正太郎が声を上げるー。
「そんな…!そんなバカなことってあるものか!」
正太郎は彼女の結衣が、ずっと勇人の身体で過ごすことに
なってしまう、ということに声を上げるー。
柿谷医師に「とにかく、どうにかしてくださいよ!」と叫ぶ正太郎ー。
焦りからなのか、過剰とも言えるぐらいに詰め寄る正太郎を見て
勇人(結衣)は「もういいよ」と、だけ呟くと、
正太郎は「くそっ…くそっ!」と、悔しそうに言葉を口にしたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結衣(勇人)と勇人(結衣)は元に戻れないままー
しかし、正太郎には
男の身体になった結衣をそのまま彼女と見ることは出来ずー、
迷った挙句に、勇人(結衣)に、別れを告げたー。
勇人(結衣)は悲しそうな表情をしながらも
「こんな状態になっちゃったし、仕方ないね…」と、それを受け入れるー。
一方、結衣(勇人)とも、一緒にいると
頭がバグってしまいそうになることも多く、
次第に距離が生まれたー。
別れを告げた勇人(結衣)への罪悪感もあったー。
「もう、こうなっちゃった以上、”お互いに相手のフリ”をしながら
生きてくしかないよなー。
入れ替わりのことはややこしくなっちまうし、誰にも言えないからさー」
結衣(勇人)はそんな風に言っていたー。
正太郎も、確かに入れ替わりなんて、ややこしすぎるもんなー、と、
そのことは三人の秘密にすることを決意するー。
だがー、やがてー、正太郎は、
結衣とも、勇人とも次第に距離が生まれていくー。
入れ替わった状態のままの二人を前にすると、
複雑な気持ちになってしまい、
どうすることもできずー、
ついには、二人と疎遠になってしまったのだったー。
正太郎は深々とため息をつくー
「どうして、こんなことになったんだろうなー」
そんな風に呟きながら
正太郎も今日は、一人、大学生活を送るのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「本当に、ありがとうー」
”結衣”が言うー。
「いやいや、いいさー。
でも…びっくりしたよ。
本当に”入れ替わり”の薬なんてものがあるなんてー」
”勇人”が言うと、結衣は微笑んだー
二人が入れ替わったのは”偶然”ではないー。
ましてや駅でぶつかったわけでもないー。
”ある目的”のために結衣が勇人に相談し、
入れ替わり薬を飲んだのだー。
そしてー
二人は”もう”元に戻っているー。
正太郎と結衣(勇人)が別れた数日後ー、
二人は再び入れ替わり薬を飲み、
”もう”元に戻っているのだー。
その、目的はーー
”結衣が彼氏の正太郎と別れること”だったー。
正太郎は、約束事を良く忘れたり、
いい加減な一面があり、
また、イライラすると人に当たるような一面もあったー。
そのため、結衣はずっと、正太郎と別れたいと考えていたー。
しかし、以前、正太郎が約束を忘れて遅刻した際に、
悪びれる様子もあまりなかったために
別れ話を切り出したところ、正太郎はまるで別人のように豹変し、
怒りをあらわにしたため、結衣は危険を感じて
別れ話を撤回、そのまま付き合い続けて来たー。
なんとか”自然に別れる方法”ー
それを、探し求め続けた結果、出会ったのが”入れ替わり”ー
正太郎の性格を良くも悪くも、良く知っている結衣は、
”実際に誰かと入れ替わってしまえば”
諦めて別れてくれる、と判断して
計画を実行に移したのだったー。
”入れ替わったフリ”でも良かったが
それではボロが出るかもしれないー。
だからこうして”実際に入れ替わって”
正太郎を欺いたー。
勇人はその協力者ー。
以前から、正太郎について相談していたため、
快く、今回の計画を引き受けてくれたー
医師の柿谷先生は、結衣の親戚にあたる人物で、
柿谷先生も事情を知った上で、今回協力してくれていたー。
「ーまぁ、これで、結衣ちゃんも一安心ってところかなー」
勇人がそう言うと、結衣は「うん。本当にありがとうー」と、微笑むー。
”お互い、入れ替わった状態のまま、相手のフリをして過ごす”という
話にしてあるため、正太郎は結衣たちが”ふつう”にしていても
特に疑問を抱かないだろうー。
これでー、
やっと、正太郎と別れることができたー。
結衣は、安堵の表情を浮かべると、
今一度、勇人にお礼の言葉を口にしてから、
その場を後にしたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
実は彼氏が嫌われていたオチでした~!
勇人くんの方には、別の好きな子がいるので、
このあと結衣と恋愛関係になることは、
たぶん、ないのデス~
お読み下さりありがとうございました~!
コメント
親友と彼女が裏で共謀してたとは、予想外でした。
予想では、勇人が実は結衣の身体を狙っていて、偶然の事故を装って、入れ替わり薬で意図的にやったという展開になるのではと思ってたので。
それにしても、結衣はろくでもない彼氏と別れたかったのは分かりますけど、危ないことしますね。
もし勇人が良からぬ人物なら、結衣はそのまま永遠に身体を奪われたままになる可能性もあったでしょうから。
コメントありがとうございます~☆!
危険を承知の上でもこうせざるを得ないぐらい
別れたかったのかもしれませんネ~!
確かに、いつもの感じなら勇人くんが悪者な展開だったかもデス…!
まさかの彼氏が嫌われてたパターンでしたねっ!
彼氏と別れる為にここまでっ!
自分も結衣ちゃんと数日でいいから入れ替わって女大生ライフをエンジョイしたいです\(^o^)/
明日のレーシングチェンジも楽しみですd=(^o^)=b
ありがとうございます~~!☆
レーシングチェンジもお待たせしました~!☆
ぜひ明日、楽しんでくださいネ~!
明日も楽しみで待ち遠しいですぅ~~~(*^o^)/\(^-^*)
どんな展開になるか楽しみにしてますっ!!
ふふふ~☆
楽しみにしていて下さいネ~!