ある日の休日ー、
彼女から電話で告げられた言葉は信じられない言葉だったー
”お前の彼女と入れ替わっちゃったんだけど、
俺はどうすればいい?”
そんな、奇妙なことを口走る彼女…
果たして、その真相とは…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーzzzz…」
ある日の休日ー。
男子大学生の三好 正太郎(みよし しょうたろう)は、
数度の寝落ちを繰り返していたー。
今日は大学もバイトも休みだし、
特に予定もないー。
朝から数度、目を覚ましては”もう少し…”と思いつつ
また寝落ちして…を繰り返すー。
そんな休日を送っていたー。
最後に目を覚ました時は、確か11時40分ぐらいだったー
もう、午前中も間もなく終わるー
そんな時間だ。
”あぁ、このまま今日は夕方までぐうたらコースかな”
そんなことを思いながらも正太郎はまた寝落ちして
寝息を立てていたー。
がー、
その時だったー
♪~~~~
♪~~~~
スマホが音を立てて鳴り始めるー。
先程からメッセージが届いた通知音は何度か鳴っていたが
電話はこれが初めてだー。
正太郎はため息をつきながら
「もう少し寝かせてくれぇ…」と、一人呟くー。
既に時間は13時を過ぎているー。
このまま本当に夕方まで寝てしまいそうな勢いだー。
やがてー…スマホの音が一度は止まり、
正太郎は再び寝息を立て始めるー。
♪~~~~!
♪~~~~~!
「おいまたかよ!」
数分後ー、正太郎は思わずそんな声をあげながら目を覚ますー。
もう一度無視しようと思ったが
こんな短時間のうちに何度もかけてくるということは
それなりに急用なのかもしれないー。
そう思いながら仕方がなく正太郎が身体を起こして
スマホの置いてある机の方に向かうとー、
スマホの画面には”坂藤 結衣(さかふじ ゆい)”と表示されていたー
「げぇっ!結衣!?」
思わず叫んでしまう正太郎ー。
結衣は正太郎の彼女だー。
正太郎は忘れっぽい性格で、今までに何度か
結衣とのデートを忘れてしまったことがあるー。
結衣のことを適当に扱っているー、とかそういうことではなく
正太郎自身の元々の問題で、
結衣との約束に限らず、よく色々な物事を忘れてしまい、
周囲に迷惑をかけてしまうことも多いー。
結衣と付き合い始めてからは、結衣に何度か怒られたこともあって
最近はだいぶ良くなっていたのだがー、
今日、こうして休日に結衣から電話がかかってきているのを見て
正太郎は”もしかして、俺ー…デートの約束、また忘れてた!?”と
青ざめながらカレンダーを見つめるー。
だがー
今回ばかりは”結衣とデートを約束した覚えはない”
いや、でもー
こうして結衣が電話をかけてきているのだからー
きっとー、
俺が何かやらかしてしまったのかもしれない。
正太郎はそう思いながら、スマホを手に取ると同時に
「結衣!ごめん!」と、叫んだー
”ーーーえ”
だが、電話相手である結衣は、逆に困惑したような声を出したー。
”な、何だよ急に?”
そう聞き返してくる結衣ー。
その言葉遣いに少し違和感を感じたものの、
正太郎はすぐに
「あ、い、いやー…俺、またやらかしたのかなってー…?」と、
申し訳なさそうに言葉を口にしたー。
しかし、結衣は”いや…何のことか分からないけど”と、
言葉を口にした後に、
”本題”を口にしたー。
”正太郎ー
落ち着いて、落ち着いて聞いてくれよ?”
その言葉に、正太郎は
「え…あ、あぁ…」と、戸惑いながら返事をするー
どうやら、デートの約束をすっぽかしてしまったわけでは
なさそうだったが、
結衣の口調が何だかおかしいー
別の意味で嫌な予感を感じながら
結衣のその先の言葉を待つー。
そして、続いて結衣から告げられた言葉に、
正太郎は思わず変な声を出してしまったー
”こ、声は結衣ちゃんなんだけどー
じ、実は俺は、結衣ちゃんじゃなくて勇人(ゆうと)なんだー”
結衣がそう言い放ったのだー。
友人の磯部 勇人(いそべ ゆうと)の名前を名乗る結衣ー。
だが、声はどう考えても結衣の声だー。
”は?”と、裏声を出してしまって
少し恥ずかしい気持ちになりながらも、
正太郎は「え、えっと、俺、どんなリアクション取ればいいのかなー?」と、
結衣に聞き返すー
結衣が電話をかけて来た目的が分からないー。
いや、まさか勇人のやつが本当に結衣の声を物まねしてー?
そんな風に思った正太郎はー
「え…?え?結衣だよな?」と、困惑するー
声は確かに結衣だー。
それに、通話をしている相手の電話番号も
間違いなく結衣ののものだー。
もしも、これで電話相手が勇人だと言うのであれば
”勇人が結衣のスマホを使って、結衣の声の物まねをしながら
電話をかけてきている”と、いうことになってしまうー
”いやいや、どんな状況だよー。流石にそりゃないだろ”
自分で自分にそう言い聞かせると、
正太郎は何と言っていいか分からず、言葉に詰まってしまうー。
すると、結衣らしき声が言葉を続けたー
”信じられないかもしれないけどー
俺、お前の彼女と入れ替わっちゃったんだよー
ど、どうすりゃいいんだ?”
そんな声に、正太郎は
「い、い、入れ替わり!?」と、また変な声を上げてしまうー
「え??え???
ってことは、アレかー?
身体は結衣だけど、中身は勇人ーーお前だって言いたいのか?」
正太郎がそう聞き返すと、
結衣(勇人)は”そう、そういうことなんだよ!”と、戸惑いの声を上げたー。
「ーーーーいやぁ~…ははははっ…はは」
思わず笑いだしてしまう正太郎ー
「なかなか面白い冗談だなぁ…」
正太郎がそんなことを言っていると、
結衣(勇人)は慌てた様子で”う、嘘じゃない!ホントなんだ!”と、
電話の向こうから叫んでくるー。
「いやいやいやいやいや…
入れ替わりがどういうものかは俺も知ってるけどさー、
”あいつの名は”だったっけー?
映画じゃないんだし、流石に”はいそうですか”と答えるやつなんて
いなくね?」
苦笑いしながらそう呟くー。
「あ、勘違いされるとアレだから先に言っとくけど、
全然怒ってるわけじゃないからな?」
正太郎が笑いながらそう付け加えるー。
休日の暇な時間、彼女とこんなくだらない冗談を口にしながら
過ごせるのであれば、悪いことではないし、
そもそも、何度も何度も寝たり起きたりを繰り返して
堕落した休日を送ろうとしていた正太郎からすれば
ちょうどいい眠気覚ましとも言えたー。
”じ、冗談じゃなくて俺はマジで言ってるんだけど!?”
結衣(勇人)の困惑したような声が再び響き渡るー。
正太郎も、”ここまでしつこく言われると”なんだか
だんだん不安になってきて、言葉に詰まってしまうー。
正直、これ以上はどう反応すればいいのかも
あまり良く分からないー、というのが本音だ。
”ーわたしに貸して”
ふと、そんな声が電話の向こうから聞こえて来たー
今度は友人の勇人の声だー
”ーもしもし?わたしだけどー
本当に入れ替わっちゃったんだけど、どうすればいいの?”
勇人(結衣)の言葉に、
「え!?勇人も一緒だったのかー?」と困惑するー
「おいおい勇人ー、二人で俺にドッキリでも仕掛けるつもりか?」
正太郎は少し呆れ気味の口調でそんな言葉を口にすると、
勇人(結衣)は”さっきから、磯部くんが入れ替わっちゃったって言ってるでしょ?”と、
困り果てたような口調で言い放ったー
「ーーーー…いやー…え??本当に入れ替わってー?」
正太郎が、”勇人の声”ながら、その口調と苛立ちに
確かに結衣らしき要素を感じて
”勇人にここまで結衣っぽさを出せるか?”と、不安をさらに強めていくー。
”嘘なんかついてどうするの?
本当に困ってるの!”
勇人(結衣)の悲痛な叫びに、
正太郎は「おいおいおい、マジかよー」と、言葉を失うー。
やがてー
少し間を置いてから、
「ーーー…わ…分かったー」と、正太郎はようやく
勇人(結衣)と、結衣(勇人)の言うことを信じて、
観念したように、そう言葉を口にしたー
「ーと、とりあえずー…今から俺の家に二人で来れるか?」
正太郎はそう提案するー。
決して正太郎が外に出るのが面倒だから
そう言っているわけではなく、
外で”入れ替わり”なんて話をしてたら
周囲から変な目で見られてしまうかもしれないし、
それでなくても、今、既に電話の向こうでは
”男言葉で喋る結衣”と、”女言葉で喋る正太郎”の
声が聞こえているー。
どこから電話してきているのかは知らないが、
少なからず、周囲から変な目で見られてしまっている可能性もあるー。
それを避けるためには、正太郎の家に呼ぶのが一番良いのだー。
結衣の家ー…でも良かったが、
結衣は実家暮らしだったし、かと言って勇人の家、というのは
彼氏でもない以上、結衣が嫌がるかもしれないー。
そう判断して、正太郎は二人を自分の家に呼び寄せたー。
やがてー
結衣(勇人)と、勇人(結衣)がやってくるー。
結衣(勇人)は、
困惑しながら「スカートって落ち着かないな…」と、
そわそわした様子でスカートのあたりに手をやるー。
「お、俺に言われてもなー…
俺も穿いたことなんてないしー」
困惑しながら正太郎はそう呟くー。
勇人(結衣)も、困惑した様子で家に入ってくると
「せっかくの休日だったのに、ごめんねー」と、
言葉を口にするー
「お、おぅ…べ、別にいいけどさー…」
正太郎はそれだけ言うと、二人をイスに座らせて
事情を聴き始めたー。
結衣(勇人)がー、
特に悪気はないのだろうが、スカートの中身が
見えてしまうような座り方をしているのが
とても気になるー。
それを気にしないようにしながら、正太郎は二人の話を聞くー。
どうやら、駅で友人との待ち合わせに遅刻しそうになっていた勇人が、
慌てて走っていたところ、
偶然駅に居合わせた結衣と出合い頭にぶつかってしまいー、
そのまま入れ替わってしまったのだと言うー。
「ー嘘だろ?そんな漫画みたいなこと、あるのかよ!」
正太郎が思わずそう叫ぶと、
勇人(結衣)が「でも、本当に入れ替わっちゃってるしー…」と
困惑しながら、自分の身体ー…結衣(勇人)のほうを指さしたー。
「ーーま…まぁ…そうみたいだけど…
結衣は何で駅に?」
正太郎がそう言うと、
勇人(結衣)は「なんでって…?ただの買い物だけどー…」と、
不安そうな口ぶりで言葉を口にしたー。
「あ、い、いや、悪いー」
”そりゃ買い物ぐらいするか”と、思いつつ、
事情を聴き終えた正太郎は、
「勇人ー…お前、結衣の身体で変なことしてないだろうな?」と、
困惑の表情を浮かべるー。
「し、してねーよ!」
結衣(勇人)が顔を真っ赤にして叫ぶー
「お、俺だって好きで結衣ちゃんと入れ替わってるわけじゃないし!」
結衣(勇人)の言葉に、勇人(結衣)は
「とりあえずー磯部くんは今のところは何もー」と、口を挟むー
「い、今のところ!?まるでこれから俺が何かをするような口ぶりー…!」
結衣(勇人)があたふたしながらそう言うと、
勇人(結衣)と、正太郎は苦笑いしながら、顔を見合わせたー
「ーまぁ、冗談はさておき、二人とも、元に戻る方法はあるのか?」
正太郎がそう困惑しながら言葉を口にすると、
「分からないけど…、ぶつかったら入れ替わったからー
またぶつかれば元に戻れるかも」と、
勇人(結衣)が言葉を口にしたー。
「ーまぁ、確かにそりゃそうかー。
ーーーって、じゃあ何でそれを試さないんだ?」
正太郎がそう言うと、
「いやいや、お前、外で大学生の男女がぶつかりあってたら
やべぇやつだと思われるだろ?」と、
結衣(勇人)がすかさずツッコミを入れたー
「あぁ、まぁ、確かにー」
正太郎が納得するとー、
早速二人はその場で”もう一度ぶつかれば元に戻れる”ことを期待しー、
もう一度、正太郎の部屋で”わざと”二人とも駅でぶつかった時のように
同じようにぶつかるー。
「ーーどうだ!?」
正太郎がすぐに二人に向かって叫ぶー。
「ーーーー」
結衣(勇人)が自分の手を見つめるー。
「だめー」
勇人(結衣)が落胆しながら言うー。
やはりと言うべきかー、
案の定、二人は元には戻っていなかったのだったー
<後編>に続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
以前、(ツイッターなどで公開している)イメージ画像まで
作ったにも関わらず、実際に書くことはなく、
お蔵入りになっていた入れ替わりモノデス~!
今回、土曜日枠でせっかくなので、頭の中にあるお話を
こうしてちゃんと描くことにしました~!
ちなみに、いつもの①、②、③ではなく
前編・後編なのは、土曜日枠で1週間間が空くため
何となく私の中で区別しています~!☆
(※土曜日のみ、当日に書けないので予約投稿で投稿しています~!)
続きは来週になってしまいますが、
ぜひ楽しんでくださいネ~!
コメント
御蔵入りしてた作品だったんですね!
どんな展開になるか待ち遠しいです!
自分も結衣ちゃんみたいな女子大生と入れ替わりたいです笑
女子大生活を満喫したいです♥️笑
思いついてしばらく放置しているネタは
これ以外にもたくさんあるので、
機会があればこうして書いていきたいですネ~笑
女子大生ライフ…☆!
楽しいこともたくさんありますよ~笑
無名さんは毎日更新していろんなアイディアに溢れてるし新しいジャンルにも挑戦したりしてホントにスゴいですっ!
女子大生ライフ満喫したいです♥️
結衣みたいな女子大生と入れ替わって自分色に塗り替えたいです( *´艸`)笑
ありがとうございます~~~!☆!
似たようなお話が出来ちゃうこともありますが、
これからも色々なお話を作っていきます~☆!
自分色に染め上げる…☆!
素敵ですネ~!