<憑依>ポゼッションシミュレーター②~堪能~

憑依を現実さながらのVR空間で疑似体験できる
新感覚ゲーム「ポゼッションシミュレーター」。

その体験会に参加した男子大学生。

しかし、その裏では…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翔貴は、サラリーマンの男の身体を捨てて、
女子大生らしき子の背後まで、
霊体の状態で迫っていたー

「ん…?あ、あれっ!?」
さっきまで憑依していたサラリーマンの男が
困惑の表情を浮かべながら立ち上がるー

”すげぇ…”
翔貴はそんな様子を見つめながら思うー

”ゲーム”とは言え、現実さながらだー。
ちゃんと、”今まで憑依されていた人間”が正気を取り戻して
困惑するー
そんな様子までしっかりと再現されている。

まさに、”すごい”の一言だー。

「ーー……ゴクリ」
そう思いながら、いよいよ目の前を歩く女子大生に霊体を突っ込ませた翔貴ー

「ーーぁっ…!」
びくっと震える女子大生ー

憑依した瞬間の、そんな色っぽい声にもドキッとしてしまいながら
女子大生に憑依した翔貴は、自分の身体を見下ろすー

「うぁ…こ、これが女の子視点ー…」
やべぇ、と思いながら翔貴は、自分の口から可愛らしい声が出たことにも
ドキッとして思わず口のあたりを押さえてしまうー。

だがー
その”手”も、自分の手ではなく、綺麗な手で
余計にドキドキしてしまいながら、
スカートの感触や、足が晒されていることによる
空気感も感じー、
さらにドキドキを強めていくー

「うぁぁ…こ、これはヤバすぎるー…
 ゲームとは思えない臨場感だー」

そんな言葉を口にするとー、
「そ、そうだー」と、その子が持っていたバッグを漁り始めるー。

すると、中から
聞いたことのない大学の名前ー…
まぁ、恐らくはこのゲーム内の架空の大学の名前と、
この子の名前ー

”倉坂 千香(くらさか ちか)”という名前が
目に入ったー

「ちゃんとNPCにも名前がついてるってとこには、こだわりを感じるなぁ」
千香の声でそう呟くと、
「ーーわ、わたしは千香…」などと、自己紹介を口にして、
興奮する翔貴ー

「えへ…えへへへ 自分の名前を言うだけなのにこんな興奮するなんてー…
 っていうか、この何て言うかゾワゾワした感じ…
 なんかこの身体が興奮してるって感じで凄いな…」

ニヤニヤしながら千香は「ちょ…ちょっとぐらいー…いいよな?」と、
自分の胸に手を触れて、それを揉み始めるー。

VRなのに”凄まじいリアル感”を感じるー

実際に”自分で自分の胸を揉む”なんてことは翔貴には出来ないためー
これが”現実でも同じ感覚なのか”は、分からないー

けれど、胸を揉んでいる感覚や、
揉まれて感じる快感はー、
翔貴が今まで味わったことのない、最高の快感だったー。

「ーーこ、これは病みつきになりそうだなー…
 こ、このゲーム発売されたらホントにヤバいぞ…」

翔貴はそんなことを呟きながら、ふらふらと歩き出したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

現実世界ではー
腕組みをしながら、”体験”参加者の脳波らしきグラフが
それぞれ表示されているモニターを
主任の女・真鍋が見つめていたー。

一見すると、大人しそうな顔立ちのパーティドレスの女性ー。

「ーーー」
参加者のうちの一人の脳波を確認すると
「”彼”はもういけそうだな」と、真鍋が笑みを浮かべるー。

「ーーーーーようやく、出番じゃなー」
背後から、かなり高齢の老人が杖をつきながら
姿を現すと、真鍋主任は笑みを浮かべながらー、
「あんたのことだから、本当は女が良かったんじゃないか?」と言葉を口にするー

すると、老人は笑いながら
「まぁ、でもー”決まり”じゃからなー
 それにー人生が終わったらそれで終わりー。
 終わりが近づいているこの儂の終わりが遠のくのならー
 何も言うことはあるまい」と、言葉を口にしたー

「ーーククーそうだなー」
真鍋主任がそう言うと、「それにしてもあんたは羨ましいー」と、
老人が真鍋主任を指さすー。

その言葉に、真鍋主任は笑みを浮かべながら
「ー”この女”の身体を手に入れることができて、良かったよー」と、
邪悪な言葉を口にしたー

数々のモニターと機械が、色とりどりの光を放つその部屋でー
真鍋主任は再び真顔に戻ると、モニターの方に向かって
視線を注いだー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーはぁ~~~…やばすぎる…」

あまりの身体に、千香の身体でぐったりしていた翔貴ー。

千香の身体で何度かイってー、
憑依される前の千香の面影がないぐらいに
千香は乱れ切っていたー。

半裸状態で路上でニヤニヤしながら倒れている千香を見て
周囲の通行人たちがざわつくー。

”おっとっと、やばっ!”
翔貴はそう思いながら、千香の身体から抜け出すと、
千香はそのまま白目を剥いて失神するー。

ピクピクしている千香を見て、
「あ~…憑依が長いとこうなるのかな?」と翔貴は
言葉を口にしたー

”ごめんね”
霊体のまま小声で失神している千香に呟く翔貴ー

「まぁ…ゲームのNPCに謝る必要はないんだけどー
 あまりにもリアルすぎて…な」

そんな風に思いながら周囲を見渡すー

それにしても”リアル”だー。
場所はこの付近の実際の街並みが再現されているし、
ここにいる人々も”とてもリアル”だー。

恐らくは架空の人物だとは思うが、
ゲームキャラとは思えないリアルさで、
最初に憑依したサラリーマンも、
先程まで憑依していた女子大生の千香も、
実際に存在していそうな、そんな感じの人間だったー。

”ーーーー”
翔貴はふと「こ、今度は女子高生に憑依してみようかなー」などと
思い始めるー。

憑依した友達に襲い掛かって一緒にー…

そんな、妄想をする翔貴ー

現実ではそんなことをするつもりもないしー、
人を傷つけようなどという意志は全くないー。

しかし、これはあくまでも”ゲーム”だー。

ゲームなのであれば話は別ー。
せっかくなのだし、存分に楽しみたいー。

そんなことを考えながら翔貴は再び
”次の憑依相手”を探そうとするー

だがー
その時だったー

「えっ!?」
街の中にー
彼女の”梨穂”が歩いていたのだー。

「り、梨穂?」
困惑する翔貴ー。

ポゼッションシミュレーターの存在を教えてくれた梨穂。
だが、てっきり一緒に体験会に行くのかと思いきや、
そうではなく、結局、翔貴一人で体験会にやってきたー。

そのため、梨穂はポゼッションシミュレーターの体験会場にはいないはずだー。

これは、”たまたま似た”だけなのかー?
それともー?

そもそも、
プレイヤーはそれぞれ別々のVR世界に飛ぶ、と
真鍋主任は言っていたー。

そうなれば、ここにいる梨穂は”NPC”の梨穂ということになるー

「ーーー…い、いやいやいや、流石に彼女に憑依するのはちょっとー」

現実世界ではないのだから、梨穂に憑依してしまってもいいのではー?と
一瞬考えはしたものの、
例え本人じゃなくても、梨穂の姿で好き放題やることは気乗りしなかったー。

「ーーー…っていうか、何で梨穂の姿のキャラがいるんだよ」
そう思いながら、我に返った翔貴は、
あることを思い出すー

 もしも途中で気分が悪くなった場合は、
 ゲーム内の各所に専用の端末がありますのでー
 そこから”離脱”コマンドを選択してくださいー

別に気分が悪くなったわけではないが、
少し聞いておきたいー

そんな風に思い、端末を見つけると、
霊体でも端末にだけは触れることが出来ー、
そのまますんなりと現実世界に戻ることができたー。

先程の会場に戻って来る翔貴ー。

「ーーあら?どうかされましたか?」

装置から目覚めた翔貴に気付いた
開発主任の真鍋が笑顔で応対するー。

「あ、いえ、ゲームにはまた戻りたいんですけど、
 ちょっと質問してもいいでしょうか?」

翔貴が言うと、真鍋は「どうぞ」と、頷くー。

「ーーーゲーム内に”俺の彼女”がいたんですけどー…
 これって、勝手に誰かの姿を使ってるってことですか?」

翔貴が、ゲーム内のNPCについて心配そうに確認するー。
すると、真鍋主任は笑みを浮かべながら答えを口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー」
ピッー

参加者たちの脳波を見つめる真鍋主任ー

「あの子もいけるなー」

真鍋主任は、
ポゼッションシミュレーター体験直前に、
翔貴と会話をしていた眼鏡の女子・美恵のほうを見つめるー。

「ーーげへへへ…いい身体を引き当てたぜ」

背後から再び老人が姿を現すー。
先程の老人とは”また別”の老人だー。

「ーーーククーお前が好きそうだよな」
真鍋主任はそう言いながら
再びモニターを見つめるー。

「よし。脳が”リラックス”モードに入ったー
 ”転送”を開始していいぞ」

真鍋主任がそう言うと、老人は「イエッサー」と、呟きながら
美恵が眠っている装置の方に向かって歩き出したー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「なるほどー」
翔貴は頷くー

「ー不安でしたら確認して頂いても構いませんー」

真鍋主任は言うー。

ゲーム内のNPCは”以前、ポゼッションシミュレーターの体験会に参加したことのある
人間の姿や、開発者の姿などから作られているのだとー。

ポゼッションシミュレーターを体験した際に取得した”容姿のデータ”を元に
NPCを作り出しているのだと言うー。

「あなたも含め、今回、ご参加いただいたみなさんにも、体験会終了後に
 ”NPCとしての利用”の許可の有無を確認しますー
 もちろん、こうしてゲーム内に使われるのが嫌であれば拒否もできますので
 安心してください」

真鍋主任の言葉に、翔貴は「分かりましたー。ありがとうございます」と
お礼を口にして、再び装置に横たわる形で入るー。

”ってことはー、梨穂は
 俺より先にポゼッションシミュレーターの体験会に参加してー
 自分の姿がNPCとして利用されることを承諾してるってことかー”

翔貴はそんな風に思いながら
再び霊体になって、ポゼッションシミュレーターのプレイを再開するー。

「へ~…ゲーム的なイベントもあるんだな」

ポゼッションシミュレーターの世界を探索しながら
ゲーム内にイベントらしきものが設置されているのを眺めるー。

”憑依乱闘大会”

”憑依美人コンテスト”

”憑依イケメンコンテスト”

”憑依されているのはだぁれ?”

色々なイベントらしきものを見つめながら、
OLの身体に憑依した翔貴は、自分の身体を見つめて
ニヤニヤと笑みを浮かべるー

「しかしすげぇなぁ…
 …この声も!
 あ~…何かこう…喋ってるだけで興奮するよなー」

”自分の口”からなのに他人の声が出るー
そんな事実に興奮せずにはいられないー。

人は嫌でも、大抵の場合は”自分の声”と長い付き合いになるー。

しかし、今、翔貴は”自分の声ではない他人の声”を出しているのだー。
そこに、興奮せずにはいられないー。

ドキドキしながら翔貴が周囲を見渡していると、
今度はツインテールの可愛らしい女子高生の姿が目に入ったー

「ーーーうへへ…今度はあの子にするかー」

次第に、憑依に病みつきになっていきー、
今度はその子に対して憑依しようとする翔貴ー。

翔貴は”体験時間いっぱい”欲望の限りを
ポゼッションシミュレーターの中で試したー。

そして、制限時間が終わりー、
翔貴は、会場に戻ったー。

「ーーーぉ」
意識が戻り、取り付けられていたヘルメットが外されるー。

「ーお疲れ様でした」
主任の真鍋がそう言うと、翔貴は「最高のゲームでしたよ!」と
嬉しそうに微笑むー。

そんな様子を見て、真鍋主任は静かに笑みを浮かべたー

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”しぶといなー”

モニターを見つめながら、真鍋主任は参加者数名の脳波を確認するー

”完全なリラックス”状態にならなければ
”転送”は出来ないー。

でないと、”失敗”する恐れがあるからだー。

「まぁいいー」
真鍋主任はそう呟くと、邪悪な笑みを浮かべたー

③へ続く

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コメント

次回が最終回デス~!

もしかしたら、”何か”に気付いた皆様も
いるかもしれませんネ~!

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