以前掲載した”絶対に元に戻りたい彼氏と絶対に元に戻りたくない彼女”の
「③」の没バージョンデス~!
結末を2パターン考えていたのですが、
こちらのパターンだと、何だか展開が微妙な感じがしたので、
実際には別パターンのほうを採用しました~!
でも、途中まで書いてしまったので勿体ないので
こちらも載せておきます~!
※没バージョンなので途中で終わっています
※①と②の続き、③の没版デス!
(③の途中までは本編と同じで、途中から変わっています)
⇒本編はこちらからご覧ください~!
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「ーーーーーーー」
彼女の里奈のためにー
その一心で、里奈になった雅夫は必死に
元に戻る方法を探していたー。
「ーーーーー」
里奈の顔を鏡で見つめて、一瞬ドキッとする里奈(雅夫)ー
里奈になってから数週間が経過したー。
それなりに、”自分が里奈”という状況には慣れて来たー…
とは言え、
やはり、約20年も苦楽を共にした自分の身体の感覚は
そう簡単に消えるものではないー。
「ーー鏡を見るたびに、びっくりしちゃうよなー…」
苦笑いしながらそう呟く里奈(雅夫)ー
鏡を見て、自分のー…いや、里奈の姿が映るたびにびっくりするし、
ドキッとするー。
髪や胸に手を触れてしまうとドキッとするし、
お風呂や着替えの時間には妙にドキドキするー
一方で、トイレに入ればー
里奈もやっぱり同じ人間なのだとある意味、実感するー。
自分がその人間の身体になれば、
綺麗なことも綺麗じゃないことも含めて
全てを体感することになるのだからー。
「ーーーー…」
ふと、里奈(雅夫)は、表情を歪めるー
先日ー、
里奈(雅夫)は”あること”に気付いたー。
それはーー……
鏡を見つめながら表情を歪めるー。
「ーーーー……」
だが、里奈(雅夫)はそんなことを払拭するかのように
首を横に振ったー。
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雅夫(里奈)は、時間が経つにつれて、
里奈(雅夫)との接点を避けるようになり始めたー。
”入れ替わった状態”で生活するための必要な情報交換などは
相変わらずだが、
”ごめん、わたし、まだ元に戻りたくない”と、言い始めてー、
里奈(雅夫)を避けるようになったのだー
「ーど、どうしたんだよー…?
元に戻りたくないなんてー」
里奈(雅夫)は困惑するー。
入れ替わった直後から、確かに
”今しかできない貴重な経験だし”と、いうようなことは
言っていたものの、
日に日に”絶対に元に戻りたくない”というトーンに
意見が変わってきているー。
その理由が分からず、困惑する里奈(雅夫)ー
「ーーー雅夫は…!雅夫は、優しすぎるのー…!」
雅夫(里奈)は、それだけ言うと、目に涙を浮かべながら
立ち去っていくー。
分からないー。
一体、どういうことなのかー。
やっぱりー
”入れ替わった状態のまま”というのが不安なのだろうかー。
昼食を飲み物だけで済ませた里奈(雅夫)は
親友の朋美に声を掛けられるー。
「大丈夫?」
心配そうな朋美ー
「え、あ、うんー!大丈夫大丈夫ー」
朋美は入れ替わりのことを知らないー。
最近、”朋美から見て親友の里奈と、その彼氏の雅夫”が
上手く行ってないような気がして心配してくれているのだろうー。
里奈(雅夫)が苦笑いしながら、
そのまま立ち去ろうとすると、
「無理しちゃだめだよ?」と、朋美は心配そうに言葉を口にしたー
「ーーう、うんー」
里奈(雅夫)はそう答えると、
そのまま立ち去っていくー
”ーーーー”
”あること”に対する不安が強まる中、
里奈(雅夫)は、入れ替わった際に転落した階段付近の近くのお店に
”防犯カメラ”があることに気付いたー。
あまり目につかない感じのカメラで、
里奈(雅夫)も、今まで気づかなかったー。
個人経営の小さな商店でカメラもお店が独自に設置したもののように見える。
もしかしたらここに”当日の映像”が残っているかもしれないー。
”角度的に”階段から転落した際の映像が
ギリギリ映っているかどうかー、という際どいラインで
あったものの、”手がかりの可能性があるのならば”と、
そのお店の店主に頼み込む里奈(雅夫)ー
ダメ元で、”少し前に、彼氏と歩いている時に誰かに押されて転落した”
ことを説明し、必死に、必死に頼み続けたー。
すると、店主は困惑しながらも
「そこまで言うんだったらー…」と、カメラの映像を見せてくれたー
これでー
元に戻る方法は分からないとしてもー
”里奈を押した犯人”は分かるー。
里奈(雅夫)は、店主の許可を得て、奥の事務所で
録画映像を確認するとーーーー
そこにはーー
”真実”が映し出されていたー。
「ーーーありがとうございました」
映像の確認を終えた里奈(雅夫)が穏やかな表情でそうお礼を口にすると
店主は心配そうに「なにか分かったのかい?」と、尋ねて来るー。
「ーはいー」
そう返事をする里奈(雅夫)の表情は、どこか悲し気だったー。
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翌日ー
里奈(雅夫)は、
雅夫(里奈)と会うために雅夫の家にやって来たー。
入れ替わった数日後から、二人は”身体の方の家”で生活をしているー。
”雅夫の家”
つまり、自分の家にやってきた里奈(雅夫)は
”なんだか懐かしいな”と、少しだけ微笑みながら
家のインターホンを押したー。
すると、中から雅夫(里奈)が出て来るー。
里奈(雅夫)は簡単に挨拶を交わすと
部屋の中に入ってから”本題”を切り出したー。
「里奈を押した犯人、分かったよー」
里奈(雅夫)が言うと、雅夫(里奈)は「えっ…?」と
少し驚いた表情を浮かべるー。
「ー近くに昔ながらの雑貨屋みたいな店、あっただろ?
見えにくいけど、あそこに防犯カメラがあるのに気づいてさー
映像、見せてもらったんだー」
里奈(雅夫)の言葉に、
雅夫(里奈)は表情を歪めると、
里奈(雅夫)は言葉を続けたー。
「ー犯人は”いなかった”よー」
とー。
そうー
防犯カメラに残された映像はーー
”雅夫の背後を歩いていた里奈が、
自ら雅夫にぶつかって階段から一緒に落ちた”という映像だったー。
里奈は”誰かに押された”と言っていたが、
実際には誰にも押されておらず、
里奈が自ら、雅夫と共に階段から転落したのだー
映像を見る限りー
里奈は直前に”何か”を飲んでいるのも確認できるー。
小さなタブレットキャンディのようなものを口に入れてー
そのあとに”きゃっ”と、声を上げて、
雅夫に自らぶつかり、転倒しているー。
里奈自身も監視カメラが近くの商店にあるとは
気付いておらず、まさか映像が残っているなどとは
夢にも思っていなかったのだー
「ー入れ替わりはー里奈が仕組んだんだなー」
里奈(雅夫)が言うと、
「ーそれと、何で里奈が絶対に元に戻りたくないって
言い始めたのかー、わかったよー」
と、里奈(雅夫)は言葉を続けたー。
雅夫(里奈)は目に涙を浮かべたまま、
里奈(雅夫)の言葉の”先”を待っているー。
「ーーーーこの身体ー……すごく調子悪いよなー」
里奈(雅夫)が、そう呟きながら里奈のー
今の自分の身体に手を触れるー
最初は”女子だから”食欲がないのかと思ってたー。
だが、日に日に”異様に食欲がなくなって”いくー。
徹夜して、妙に身体への負担が強すぎると思っていたのもー
里奈の身体だからー、というよりかはーー
全てはーー
「ーーー何の病気なんだ?」
里奈(雅夫)が言うと、
雅夫(里奈)は「ごめんなさいー…」と言いながら、
少し前に”余命宣告”を受けたことを告げたー。
自分の運命を知った里奈は、
”まだ死にたくない”という強い思いからー、
”何とかして生き延びる方法”を探していたー
そして、見つけたのが入れ替わり薬ー。
昔から”何でも我慢してしまうタイプ”で弱みを誰にも見せない里奈はー
余命宣告や病気のことまで、一人でずっと抱え込んできていたのだー。
「ーーー雅夫の身体を奪えばー…まだ死ななくて済むー…
…………わたし…死にたくなかったー…
分かってるー…
大好きな彼氏の身体を奪って、わたしだけ生きようとするなんてー
本当に酷いことだってことぐらいー
わたしだって、好きな人を傷つけたくないー。
でもーー…
死んだらー…そこで”おわり”だからー
死んだらーー”わたしの世界”はそこでおわりだからー…
死んじゃったらーもう、その先には、何もないからー…」
泣きながらそう思いを吐露する雅夫(里奈)ー
入れ替わり薬を手に入れた里奈は”余命あとわずか”の自分の身体を捨てて
雅夫の身体を奪おうと画策ー、
入れ替わり薬を飲んでー、”誰かに押された”フリをして雅夫と共に
階段から転落しー、
雅夫の身体を奪ったー。
あとは、里奈になった雅夫が病気で死ぬのを待つだけだったー。
相手に雅夫を選んだのはー
”入れ替わったあともできるだけトラブルにならず、
かつ、疑われる可能性が限りなく低い相手”だったからー
「酷いよね、わたしー」
雅夫(里奈)は呟くー。
彼氏への愛情よりも、死への恐怖が上回ってしまったー。
でも、入れ替わったあとも、必死に元に戻る方法を探す雅夫を見てー
里奈はさらに心を痛め、迷い続けて来たー。
入れ替わった初日にも、里奈は自分が”やったこと”の恐ろしさと
”余命あと僅かな身体を彼氏に押し付けた”ことで、
恐怖し、震えー、雅夫の優しさに涙していたー。
入れ替わり初日に雅夫(里奈)が突然泣いたのはー、
”雅夫が優しすぎて辛かった”からー。
入れ替わった直後も、ずっとずっと迷い続けて来たー。
だが、雅夫の身体が”こんなにも元気に動く”ことに
だんだんと”生への欲望”が強まってきて、
やがて、里奈の中での迷いは消えていきー
”どうしよう”から”絶対に元に戻りたくない”に変わったー。
「ーーー……あぁーー酷いなー」
里奈(雅夫)が呟くー。
「ーーーーーー」
少し間を置いてからー、雅夫(里奈)は自虐的に笑いながらー
「ーー死ぬって……怖いよ?」と、里奈(雅夫)に対して言い放つー
「余命宣告ーーー 受けた時ってねー…
世界が止まるのー。
何も聞こえなくなるー
何も感じなくなるー
…そのあと、死んだあと、どうなるんだろうーって
怖くなって ずっとぐるぐるそれが頭の中に回るのー」
雅夫(里奈)はそこまで言うと、
「ーーーーー死にたくないー…わたしー死にたくないー
酷いって言われてもーわたしはーまだーーー」
と、泣きながら言葉を吐き出したー。
里奈は思うー。
雅夫のことは本当に好きだし、
雅夫のことは裏切りたくないし、
雅夫に身代わりになって死んでもらうなんて許されることではないことも分かっているー。
けれど、余命宣告を受け入れて、”良い子のまま”死んだら、
それで終わりー。
誰がどんなに泣いてくれようと、
誰が何を言おうと、
どんなに”いい子だったね”と惜しまれようと、
もう何も感じることはできないー。
そこで、終わり。終わったら何も残らないー。
里奈は、死後の世界なんて信じていないー
”終わったら、終わり”
大切なものを捨ててでも、生きなければー
全て、おわりー。
”大切な人を助けるために死を選ぶ”
そんな、人も世の中にはいるー。
でも、里奈は小さい頃から、それが正しいことだとは思わなかったー
人間、自分が死ねば
少なくとも、その本人にとっての世界は、おわりなのだー。
雅夫(里奈)は口を開くー。
「ーーー分かってるー
雅夫に代わりを押し付けるなんて、わたしはクズだってことぐらいー
だから、どんなに恨んで貰ーーー」
「ーー違うー」
里奈(雅夫)は首を横に振ったー
「ー里奈の気持ちは分かるー。
俺が余命宣告されて、俺が他の人と入れ替われる薬を手に入れたらー
やっぱり俺もーそれを使うかもしれないー。
里奈の気持ちは、分かるよー。
死にたくないし、死ぬのが怖いのも分かるー
大切な人を裏切ってでも生きたい気持ちも分かるー」
里奈(雅夫)は悲しそうにそう言いながら、
雅夫(里奈)のほうをまっすぐ見つめるとー
「何で、病気のことー
余命宣告のことー
何も言ってくれなかったんだー?
何で、入れ替わりのことー言ってくれなかったんだー?
ーーーーーー酷いじゃないかー…
小さい頃から、一緒だったのにー」
里奈(雅夫)のそんな言葉にー
雅夫(里奈)が何度も何度も謝罪の言葉を口にするー。
「ーーそれで里奈が生きられるならー
俺の身体なんて、いくらでもあげるさー」
「ーー!?」
雅夫(里奈)が驚いて、顔を上げるー。
里奈(雅夫)は笑っていたー
「ーー
★ここまでで終了デス!★
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ほぼ完成まで没版も出来ていたのですが
結局、③の途中からはほぼ書き直ししました!
皆様はどっちが好みですか~?★
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