ある日ー、
おじいちゃんとおばあちゃんが入れ替わってしまったー。
祖父と祖母の入れ替わりに直面した孫娘の運命はー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「♪~~~」
細村 美彩(ほそむら みさ)は、
昔からおじいちゃんとおばあちゃんのことが大好きだったー。
その想いは高校生になった今でも変わることはなく、
美彩は、今年もおじいちゃん・おばあちゃんの家に
遊びに行くことになっていたー。
もうすぐ、美彩にとっては癒しの場所でもある
おじいちゃんおばあちゃんの家に到着するー。
美彩は少しだけ微笑みながら、
「おじいちゃんとおばあちゃん、元気にしてるかなぁ…」と、
呟くー。
数日前に電話では話しているけれど、
実際に会うのは半年ぶりぐらいだー。
いつまでも元気でいてほしい、と思いつつ、
会うたびに、だんだんと歳を重ねているのはイヤでも分かってしまうし、
そういう意味では寂しさも感じてしまうー。
”あと何回、こうしておじいちゃんとおばあちゃんの家に遊びに行けるかなー?”
と、そんなことまで時々考えてしまうことがあるー。
けれど、そんな泣き言を言っていても変わらないし、
今、こうしておじいちゃんやおばあちゃんと一緒にいることができる
時間を大切にしなくちゃいけないー。
美彩はそんなことを思いつつ
”せっかく遊びに来たんだし、暗いことを考えるのはやめなくちゃ”と、
そう心の中で呟くと、
明るい表情を浮かべ直してから、再び歩き出すー。
ようやく、おじいちゃんの宗太郎(そうたろう)と、おばあちゃんの恵子(けいこ)が
住んでいる家の前にやってくると、
美彩はインターホンを鳴らしたー。
しかし、返事がないー。
「あ、あれ…?」
もちろん、いきなり何の連絡もなしにここにやってきたわけではない。
だからー、美彩が来ることは知っているはずだー。
「ーーー??」
美彩は少しだけ不安そうな表情を浮かべると、
もう一度インターホンを鳴らすー。
すると、ようやく”おばあちゃん”である恵子の声がしたー。
”美彩ーーちょ、ちょ、ちょっと待っててなー”
恵子は慌てた様子でそう言葉を口にするー。
「?」
美彩は少しだけ首を傾げるー。
なんだか、祖母・恵子の反応がいつもと少し違うようなー、
そんな気がしたのだー
やがて、2分ちょっと待っただろうかー。
ようやく中から恵子が出てきて、
「ーーごめんなー美彩ー」と、そう言葉を口にすると、
不自然に何度か咳払いをしてから、
「ご、ご、ごめんねぇ~美彩ちゃんー」と、そう言い直したー。
美彩はそんな祖母・恵子の様子に違和感を感じると
「え…?おばあちゃんー、何かあったの?」と、そう言葉を口にするー。
しかし、祖母の恵子は
「な、な、何もないわよぉ~?おほほほほほほ」と、誤魔化すばかりー
普段、おばあちゃんはそんな笑い方はしないー。
どことなく、今のおばあちゃんは
”無理に女っぽく振る舞っている”ような、そんな感じがして、
とても強い違和感を感じるー。
「ーー~~~~…そ、それならいいけどー」
とは言え、美彩にも思い当たることがないし、
”本人も大丈夫”と言っている以上は、それ以上聞くことはせずに、
そのまま”少し様子のおかしいおばあちゃん”についていくー。
すると、その先の部屋には”おじいちゃん”である
宗太郎が妙にソワソワした様子で待ち構えていたー。
おばあちゃんだけでなく、おじいちゃんの様子も
なんだかおかしいー。
そう思っていると、宗太郎は
「ゆっくりして行ってねー”美彩ちゃん”」と、そう言葉を口にして、
祖母である恵子と何やら小声で話をし始めるー。
”やっぱり変ー”
美彩はそんな風に思いながら、
用意されていたお菓子を「いただきますー」と、言いながら
食べ始めるー。
祖父の宗太郎は、美彩のことをいつも”美彩”と呼ぶー。
そして、祖母の恵子は”美彩ちゃん”と呼ぶー。
が、玄関先に姿を現した祖母・恵子は
一回、”美彩”と言って、そのあとに言い直していたし、
逆に、今、祖父の宗太郎は、
”美彩ちゃん”と呼んで、それを呼び直す気配もなかったー。
「ーーちょっと、二人で話すことがあるから、のんびりしててね~」
祖父・宗太郎が笑いながら言うと、
祖母の恵子も、宗太郎を少し急かすかのようにして、
隣の部屋に入っていくー。
「ーーーーー…」
一人、取り残されてしまった美彩は、改めて表情を
曇らせると”ぜったい、何か変だよね?”と、
自問自答するかのように、言葉を口にしてから、
祖父と祖母が入って行った部屋に近付いてー、
耳を澄ませたー。
するとー、信じられない会話が聞こえて来たー。
”ねぇ、あなたー、どうするの?美彩ちゃんが来ちゃったわよー”
そう言葉を口にしたのは、祖母の恵子ではなく、
祖父の宗太郎ー。
まるで、”おばあちゃん”のような喋り方だー。
一方、祖母の恵子は言うー。
”わ、分からないー。でも、急に俺と恵子が入れ替わっちゃったなんて言っても、
美彩を混乱させてしまうだけだろうー?
ここは、何とか、普段通りのフリをして、美彩には余計な心配をかけさせないようにー”
とー。
その会話を聞きながら、美彩は困惑した表情を一人浮かべるー。
”え?何?おじいちゃんとおばあちゃん、いったい、何を話してるのー?”
そんな風に思っていると、
中から、さらに会話が聞こえて来たー。
”ーまさか、二人でぶつかって身体が入れ替わっちゃったなんて言えないわよねー”
祖父・宗太郎の声が聞こえて来るー。
「い、い、入れ替わり!?」
その会話を聞いていた美彩が思わず叫んでしまうと、
扉が開いて、驚いた様子で祖父の宗太郎ー…中身は祖母の恵子が
美彩のほうを見つめて来たー。
「ご、ご、ご、ごめんなさいー。盗み聞きするつもりはなかったんだけどー」
美彩が慌ててそう釈明すると、
宗太郎(恵子)は、「あらあらー…聞かれちゃったのねー」と、
少し自虐的に笑いながら
「こうなっちゃったら、もう隠してもしかたないわーね、あなたー」と
背後にいる恵子(宗太郎)に対してそう言葉を口にしたー。
「む…むむーそうだなー…」
恵子(宗太郎)も、これ以上隠し通すことはできないと悟ったのか
そう言葉を口にすると、
美彩のほうを見つめながら言ったー。
「ー美彩ー…実は俺とおばあちゃんは入れ替わっててー」
とー。
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二人から美彩が到着する1時間ほど前に、
ちょうど出会い頭にぶつかってしまい、
その衝撃で入れ替わってしまったことを聞いた美彩ー。
「そ、そんなことがあったんだー…」
美彩は、おじいちゃんおばあちゃんの家にやってきてから
二人の様子がおかしかったことに、妙に納得すると、
「ー別に隠さなくてもよかったのにー」と、二人の前で笑うー。
「ーす、すまんー
美彩に心配をかけてはいけないと思ってー」
恵子(宗太郎)が申し訳なさそうに言葉を口にするー。
「ごめんねー。せっかく遊びに来てくれたのに
面倒なことに巻き込んでしまってー」
宗太郎(恵子)も、同じく申し訳なさそうに言葉を口にすると、
美彩は笑いながら二人を見比べたー。
「ーあははー…なんだか、二人ともいつもと様子が違って新鮮ー。
たまにはこういうのも悪くないし気にしないでー」
美彩は、本当に”面白い”と思ったのと、
おじいちゃんおばあちゃんの二人を暗い気持ちにさせてはいけない、と
そう思いながら、二人にそんな言葉をかけたー。
二人とも、そんな美彩の優しさを受けて、
少し安心した様子で頷くと、
「こんな状態だけど、好きなだけゆっくりして行ってねー」と、
そう言葉を口にするのだったー。
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いつもと”逆”のおじいちゃんとおばあちゃんと過ごす1日は
とても不思議な感じだったー。
見た目はおじいちゃんなのに、中身はおばあちゃん。
逆に、見た目はおばあちゃんなのに、中身はおじいちゃん。
そうは分かっていても、
頭では理解していても、
いざ、二人と話をすると、頭がバグってしまうような、
そんな感じがするぐらいには、不思議な感じだったー。
「ーそれで、おじいちゃん、おばあちゃんの身体になってー
そのー、ドキドキとかしたの?」
揶揄うような口調で言う美彩ー。
そんな言葉に、恵子(宗太郎)は「えっ!?いや、そんなことはー…」と、
苦笑いしながら、宗太郎(恵子)のほうを見るー。
すると、宗太郎(恵子)の方が
「おじいちゃんより、どちらかと言うと、わたしの方がドキドキしてるかもねぇ」と、
少し恥ずかしそうにそう言葉を口にしたー
「え~!そうなんだ~!意外!
ーえ、でも、二人とも違う人の身体になってどんな感じなの?」
美彩は、普通なら絶対にあり得ることのない奇妙な状況を前に、
目を輝かせながらそう言うと、
宗太郎(恵子)と、恵子(宗太郎)は、笑いながら
”入れ替わった気分”を口にし始めるー。
二人からはとっても貴重な話を聞くことができたー。
美彩は「入れ替わっちゃうなんてすごいね~」と、
改めて笑うと、
「わたしも、好きな人となら入れ替わって見たいかも」と、
言葉を付け加えるー。
「あらあらー…美彩ちゃんにも好きな子がいるのー?」
宗太郎(恵子)が笑いながら言うと、
美彩は少し恥ずかしそうに微笑んでから「ひみつ~!」と、
そう言葉を口にしたー。
そんなやり取りを笑う恵子(宗太郎)ー
入れ替わりのトークを十分に堪能したところで、美彩は
ひと息つくと、「じゃあ、おじいちゃん、おばあちゃんー
元に戻るために、色々試してみよっかー」と、
そう提案するー。
入れ替わっているおじいちゃんとおばあちゃんを見るのは
楽しいけれど、ずっとこのままにしておくわけにはいかないー。
小さい頃から、いつもよくしてくれている二人のためにも、
わたしが力を貸さなくちゃ、と、美彩はそんなことを
思いながら二人を見つめると、二人とも「ありがとうねー」と
お礼の言葉を口にしながら、
美彩に”入れ替わった時の状況”を改めて
説明したー。
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「う~ん、それなら、やっぱりもう1回、同じような感じで
ぶつかってみるのがいいのかなー?」
話を一通り確認した美彩が改めてそう言葉を口にすると、
宗太郎(恵子)と恵子(宗太郎)も顔を見合わせて頷くー。
「ーじゃあ、どんな感じだったか詳しく教えてー
わたしも手伝うから」
美彩がそう言うと、
宗太郎(恵子)が「わたしたちで何とかするから、
美彩ちゃんは、心配しなくても大丈夫よー?」と、
申し訳なさそうに言うー。
けれど、美彩は首を横に振ると、
「おじいちゃんとおばあちゃんが入れ替わってるのも
なんだかおもしろいけど、
やっぱり、二人は”いつもの二人”の方がいいもん」と、
優しく笑うー。
「美彩ー」
恵子(宗太郎)も、どこか嬉しそうに頷くと
「よし、そうだなー元に戻ろう」と、
宗太郎(恵子)に向かってそう言葉を口にするー。
ぶつかった時と同じ状況を作り出して、
「じゃあ、おじいちゃん、おばあちゃんー
ちょっと痛いかもだけど、頑張って!」と、そう言葉を口にしたー。
二人は、入れ替わった時と同じように
ぶつかるために歩き出すー。
それを見守る美彩ー。
がー、その時だったー
「あっー」
”恵子”の身体で歩くことにそんなにまだ慣れていない宗太郎が
普通に歩いていただけなのにバランスを崩すー。
慌てて、バランスを崩して盛大に転倒しそうになった
恵子(宗太郎)を助けようと、
駆け寄る美彩ー
「おじいちゃん!あぶないー!」
そう言葉を口にして、
恵子(宗太郎)が背後の棚に頭を打ち付けないように、
必死に飛び込んだ美彩ーーー
「ーーーーーだ、大丈夫ー!?」
それを見ていた宗太郎(恵子)が慌てた様子で言うと、
起き上がった美彩が叫んだー
「ーだ、大丈夫じゃー。それより美彩はー!?」
とー
「ーーえ」
呆然とする宗太郎(恵子)ー
「ってー、あれ…?声がー」
美彩も、そう言葉を口にするー。
それと同時にー
「あ~~~~!?!?わたしが目の前にー!?」
そう叫んだのは”おじいちゃん”の宗太郎ー。
「ーーえ、ま、まさかー」
美彩がそう言葉を口にすると、
”宗太郎”のほうを見つめながら、瞬きをするー。
やがて、”美彩”になってしまった宗太郎と、
”宗太郎”になってしまった美彩は
「ーわたしたち」
「ー俺たちー」
「入れ替わってる!?!?!?」
と、そう叫ぶのだったー
おわり
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コメント
おじいちゃんとおばあちゃんの入れ替わり…は、
ほとんど書かないので、
たまには~!ということで書いて見ました~!!!
いつもあまり書かない組み合わせだと書いていて
新鮮ですネ~!!
お読み下さり、ありがとうございました~~!
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