とある学校の水泳部ー。
部員たちの仲も良く、いつも賑わうその部活で
悲劇が起きようとしていた…!
(注)男子への憑依になるので、
「男には興味ないぞ!」という方はごめんなさいー!
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とある学校の水泳部。
水泳部のエース・神山 洋二郎(かみやま ようじろう)は
次の大会に向けた練習を必死に行っていた。
そんな洋二郎のライバル的存在で
悪友の黒澤 太一(くろざわ たいち)は、
舌打ちする。
「くそっ!」
太一も、実力はあるのだが
相手を見くびったりサボったりするクセがあり、
いつも洋二郎に負けて2番手の立場に甘んじていた。
「---ま、お前に花を持たせてやろうと思ってな」
太一が悔しそうに言う。
「おいおい、また負け惜しみかよ」
洋二郎が苦笑いしながら言う。
真面目な好青年という感じの洋二郎と、
ちょっとチャラい感じの太一は
性格も容姿も全然違っていて
よく憎まれ口も叩くような間柄だったが、
同じスポーツに打ち込むもの同士、
なんとなく、絆が出来上がっていた-。
「お疲れ様」
水泳部マネージャーの姫野 日紗子(ひめの ひさこ)が
洋二郎たちを出迎える。
「ありがと」
洋二郎がタオルを受け取りながら笑う。
マネージャーの日紗子は、
洋二郎の彼女だ。
「けッ!リア充が~!」
太一はふてくされた様子で叫んだ。
なんだかんだで楽しい毎日。
彼らは青春を謳歌していたー。
「---いよいよ来週だね」
日紗子がほほ笑む。
「あぁ。今回こそ優勝してやる」
洋二郎は決意の言葉を口にする。
昨年、洋二郎は同じ大会に出場していたものの、
ギリギリ入賞することができず、
とても悔しい思いをした。
だからこそー
今年は負けないー
そう誓って。
「--ふふふ、頑張ってね」
日紗子の笑顔ー。
日紗子のためにも、
今年は、必ずー。
そう思っていたー
しかし、
悲劇は起きた。
人間の命は、儚いー。
時に、一瞬にして、それが奪われてしまう。
本人はー
まさか、自分の命が、もう終わるなんて
思っても見なかっただろう。
洋二郎と日紗子が一緒に下校した翌日ー
日紗子は学校に向かう最中、
突如歩道に突っ込んだ車に激突されてー
即死したー。
数分後にー
洋二郎はその場を通りかかったー
人だかりができていて
”なんだろう?”と思った洋二郎の目に
飛び込んできたのはー
既に原型をとどめていない
日紗子の姿だったー
・・・・・・・・・・・・・・・・
「-------」
生きる目標を失ったー
洋二郎は激しく落ち込んでいた。
彼女であり、マネージャーであり、
心の支えでもあった日紗子が死んでしまったー
日紗子の笑顔を思い出すー
「---……」
心にぽっかりと穴が開いてしまったー
洋二郎は、水泳部の練習に顔を出さなくなってしまったー
自暴自棄になり、
抜け殻のような日々を送るようになってしまったー
日紗子が楽しみにしていた大会にも
出場せずー
そのままふさぎ込んだー
「---やったぜ!」
悪友・太一は、
洋二郎が不参加だったこともあり、
その大会で入賞を果たした。
だがー
「---…あいつ」
洋二郎のことを思い出す太一。
「---勝ち逃げかよ…」
舌打ちする。
太一にとって、洋二郎は
ライバルであり、友であるー
そしてー邪魔者でもあったー
”あいつがいなければ俺がエースなのに”
そんな風に思ったことは
1度や2度ではない。
だがー
こうして、洋二郎のいない大会で勝利してもー
太一の心は晴れなかった。
「--お前がいないと…」
太一が帰宅する。
「---え」
帰宅して、自分の部屋に戻った太一は驚くー。
「----え、、えええええええええ!?!?!?!?」
太一の部屋の中にー
死んだはずの日紗子がいたからだ。
「ゆ、、幽霊ぃぃぃぃぃぃ!?!?」
太一が驚いていると、
日紗子が少しだけほほ笑んだー
そして、”あること”を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
洋二郎は、今日も自暴自棄な
1日を過ごしていた。
何もやる気が起きない
何も感じないー
自分はこのままー
そんな風にすら、考えてしまうー
学校に登校はしているー
ただ、心が死んでいる。
まるで、無のような、
虚ろな目で学校に登校しては、
無気力のまま授業を受けて、
そして、抜け殻のように昼食を食べるー。
「------…」
それだけ、彼にとって
日紗子の存在は重要であり
心の支えだった。
こんな生活を送っていたら
日紗子は悲しむだろうか。
洋二郎はそんな風にも思った。
だがー
もう、日紗子はここにはいない。
洋二郎がどんな生活を送っていたところで、
日紗子は怒ってくることもないのだ。
永遠にー。
「-----おい」
背後から声がした。
気付けば放課後になっていた。
5時間目、6時間目も無意識のうちに
終えてしまっていたー
「あ?」
洋二郎が振り返ると、そこには
水泳部のライバルで、悪友の太一がいた。
太一に「ちょっと、き、、来い」と
呼び出されて、洋二郎は、
仕方がなく太一についていく。
「---なぁ……洋二郎…」
太一が口を開く。
水泳部の部室ー
と、言っても更衣室横の小さな準備室だが、
そこに呼び出された洋二郎は
神妙な表情の太一に、こういわれた。
「あんまりがっかりさせるなよ」
とー。
「--あ?」
洋二郎は愛想なく返事をする。
「ほ、ほら、ようじ、、じゃない、お前、
あんなに熱心に練習してただろ!?
それがなんだよ!
そんな抜け殻みたいになっちゃって!」
「--お前に何がわかる」
洋二郎は鋭い目つきで太一を睨む。
「---お前の暑苦しいところが
好きだったのによ!
どうしたんだよ!なぁ」
「--好き?」
洋二郎は、へ?と一瞬思う。
「あぁ、いや、ほら、ライバルとして、、な」
太一の様子がなんだか変だ。
洋二郎はそう思いながら
”いいや、変なのは俺か”と
自虐的に笑う。
太一は続ける。
「---わたし…じゃない、、 えっと、
日紗子も悲しむぞ」
「-ーーうるさい!」
洋二郎は叫ぶ。
「うるさいうるさいうるさい!
日紗子はもういないんだ」
頭を抱えてしまう洋二郎。
太一はそんな洋二郎を見ていて、
「いつまでそんなうじうじしてるんだ!」と叫んだ。
そして、洋二郎の胸倉をつかむ。
驚く洋二郎。
いつもヘラヘラしている太一の目は
本気だったー。
「---た、太一…!?」
洋二郎は、太一のほうを見る。
太一は本気で自分を心配している。
そう感じ取る。
けれどー
「--もう、、ダメなんだ…
日紗子がいない世界に…
なんの意味もない…」
洋二郎はその場に手をついて
悔しそうに泣き始めた。
「---もうだめだ…
俺も・・・俺も…日紗子のところに行こうかなぁ…」
洋二郎の言葉に
太一は「バカ野郎!」と叫ぶー。
「---わた、、、、じゃない、日紗子、、ちゃんが
そんなことして喜ぶと思う?
今のお前を見たら、わ、、日紗子ちゃん
がっかりするよ!」
「---そんなの…そんなのお前の勝手な妄想だろ!」
洋二郎が叫び返す。
太一の言葉遣いが少しおかしなことにも
気付かず、洋二郎はさらに叫ぶ。
「--お前に死んだ日紗子の気持ちが
分かるのか!?え???
日紗子だって、俺に来てほしいって
思ってるかもしれないだろ!?!?
なぁ、なんとか言えよ!」
バシッ!!
「--!?」
太一が、洋二郎の頬を叩いたー
「---わかるよ!」
太一が叫んだ。
「---!?」
太一のほうを見て、
洋二郎は再び叫ぶ。
「テメーに何がわかる!
日紗子のなに……が…」
途中で洋二郎は言葉を止めたー
太一にーー
一瞬、日紗子が重なって見えたー
「---え…」
洋二郎は、一瞬驚いたあとに
何かを呟こうとした。
だがー、言葉を飲み込む。
「とにかく、……いつまでも
ふさぎ込んでちゃだめだ」
そう呟くと太一。
洋二郎は、何かをこらえながら
静かに頷いた。
「-----」
太一は時計を見つめる。
”もう、時間がない”
そう思いながら
洋二郎のほうを見た。
「--…え?」
太一が真剣な表情で
洋二郎に近づいてくる。
「え!?!?え?」
洋二郎は混乱している
「--」
太一が洋二郎に触れる。
「え??お??
俺は、、そんな趣味は…
え…ちょ!?」
洋二郎が言うと、
太一がニヤリと笑った。
「--なんて。
この”身体”じゃだめだよね」
太一はそう言うと、
洋二郎から離れる。
「--こ、この身体!?
いったいどういう…」
洋二郎は、さっき太一に
日紗子が重なって見えたことを思い出す。
「---ま、、まさか、、、
え…?日紗子なのか?」
洋二郎が混乱しながら言うー。
太一は振り返ってニッと笑うとー
そのまま立ち去って行ったー。
「--…」
一人部室に残された洋二郎は、
悲しそうに呟く。
「そっか……
わかったよ…
ごめんな、日紗子…
俺、もうくよくよしないから…」
洋二郎はそう呟くと、
立ち直る決意をして、準備室を後にしたー
・・・・・・・・・・・・・
”よかったのか…?”
”うん…もう、十分”
太一と、日紗子が、
心の中で会話していたー。
”わたし…もう、時間だから…”
日紗子が悲しそうに言う。
”時間?あの世にいくってやつ…?”
太一が言うと、
日紗子は静かに返事をしたー
”でも、よかったー。
洋二郎も、少しは立ち直ってくれると思うから”
日紗子の言葉に、
太一は”これからあの世に行く人になんて声をかければ”と
一瞬戸惑ったが、
自分らしく、最後の言葉をかけることにした。
”っかし、俺の身体で洋二郎とムフフなこと
しようとしてただろ~?
びっくりしたぜ!”
太一の言葉に、
日紗子はいたずらっぽく微笑んだ。
”ふふふ、つい… ごめんね!
でも、ありがとうー
これからーー
洋二郎のこと、よろしくね…
わたしも、見守ってるからー”
日紗子がー
光となって消えていくー
太一は”あぁ…”と手短に返事をしたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
水泳部の練習には、
元気に練習をしている洋二郎の姿があったー。
太一は笑いながら、洋二郎に勝負を挑むー
昨日の出来事は
太一からも、洋二郎からも
話を切り出すことはなかったー
洋二郎は呟く。
「日紗子…もう、心配かけるようなことはしないから…
俺、約束するよ」
とー。
いつまでもクヨクヨしているわけにはいかないー。
日紗子のためにも、
日紗子の分まで頑張ろう、と
洋二郎はそう決意したのだったー。
「ん?」
太一が、洋二郎がブツブツ言ってるのに
気付いて首を傾げる。
「-あ、いや、気にするな!
ほら、勝負するぞ!」
洋二郎の言葉に、
太一は頷き、共に練習を始めるのだったー
洋二郎の自宅にはー
亡き日紗子の写真が飾られていたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・
コメント
元はリクエストがきっかけで
書こうとしていた作品ですが、
リクエスト通りに全く書けず、
完全に別作品になってしまって
このような形になりました(汗)
わずかな名残が
男子への憑依であること…ですネ汗
お読み下さりありがとうございました~!
コメント
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なんかこの設定でアレンジというか二次創作してみたくなりましたね。
女の子視点で転生したら水泳部のチャラ男だった件みたいな感じで。
かけたらどこかにあげるかもしれません。
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> なんかこの設定でアレンジというか二次創作してみたくなりましたね。
>
> 女の子視点で転生したら水泳部のチャラ男だった件みたいな感じで。
>
> かけたらどこかにあげるかもしれません。
コメントありがとうございます~!
ぜひぜひ~!
もしも完成したら私も読んでみますネ!
楽しみにしてます~☆!
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憑依したままムフフしても良かったんじゃ…笑
(腐視点からの感想です)
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> 憑依したままムフフしても良かったんじゃ…笑
> (腐視点からの感想です)
感想ありがとうございます~!
まずは私が、男性同士のムフフをうまく書けるように
ならないとですネ~!