<皮>我が社は全員、OLです①~入社初日~

その会社には”女性社員”の姿しかなかったー。

毎年、確かに男性社員も採用されているはずなのに、
いったい、どうしてー…?

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社会人初日ー。

ついこの間までは男子大学生だった
永嶋 和樹(ながしま かずき)は、
緊張した様子で、就職先の企業を訪れていたー。

若者向けのアプリなどを開発している企業で、
和樹もこの会社が開発したアプリを利用したことがあって、
その繋がりで、就職先の候補の一つに選び、
最終的に和樹はこの会社への就職を決めたー。

今日はその入社初日ー。

緊張した様子で入口にやってくると、
入口の警備員の男が少し”物珍しそうに”
和樹の方を見つめたー。

「ーーー…え…な、何か間違ってましたかー?」
和樹は思わず不安になって、そう言葉を口にすると、
警備員の男は「あぁ、いやー…”珍しい”んでねー」と、
それだけ言葉を口にしたー。

外部の警備系の会社から派遣されている彼は、
そんなことを言いながら
「そうかそうかー、君は”今日”入社なんだねー」と、
そう言うと、「珍しいと思ったよー」と、
そんな言葉を付け加えるー。

「ー珍しいー…??
 どういうことですかー?」
和樹は戸惑うー。

毎年、この会社ではそれなりの人数の人間が
採用されていたはずだー。

「ーーあぁ、いやー」
警備員の男はそれだけ言うと、
「とにかく、入社おめでとう。
 色々大変だと思うけど、頑張って」と、
そんな言葉を掛けられたー。

「ーはぁーありがとうございますー」
和樹は戸惑いながら、
そのまま会社の敷地内に入り、
そのまま奥へと進んでいくー。

”びびったぁ…何かやらかしたのかと思ったー”
警備員にじろじろ見られていたために、
一瞬、何かをやらかしてしまったのかと不安に思ってしまった和樹ー。

が、そういうことではなかったようだー。

「ー建物の1階のラウンジでお待ちください、かー」
和樹は新入社員に事前に配布されていたプリントを確認しながら、
そう言葉を呟くと、建物内に入り、受付のところにいた女性社員に頭を下げると、
そのまま指定された”ラウンジ”を見つけて、そこに足を運んだー。

「ーーお?君も新入社員ー?」
そこに到着すると、中性的な雰囲気の男が
和樹を見つけて声をかけて来たー。

「ーーあ、うんー。そっちもー?」
和樹はそう返事をすると、
「ーそうそう。あ、僕は丸山 雄介(まるやま ゆうすけ)ー。よろしくー」と、
自己紹介をしながら手を差し伸べて来たー。

「ーー俺は永嶋ー。永嶋 和樹ー。こちらこそよろしくー」
和樹がそう返すと、二人は握手を交わすー。

「ーー君も”この会社”の噂を聞いて入社したのかいー?」
雄介がふと、そんな言葉を口にするー。

「ーーん?噂ー?」
和樹は少しだけ不思議そうにしながら、雄介の方を見つめると、
雄介は「えっー…あぁ、知らずに入社した感じ?」と、
少しだけ笑うー。

「ーえ…な、何かあるのかー?
 ブラック企業とかー…?」

和樹が不安そうに言葉を口にすると、
雄介は「あははー」と、笑いながら
「ーいや、そういうわけじゃないよー。多分ブラックではないと思うー。
 残業は多くないみたいだしねー」と、そう付け加えたー。

「ー僕はー”その噂”を聞いてここを選んだからー
 てっきり君もー」
雄介がそこまで言うと、
「ー別にいいじゃねぇかー。働き始めりゃ、どんな会社かなんてわかるんだー」と、
腕組みをしながら壁に寄りかかっていた
ゴツイ感じの男ー、沖田 恵三(おきた けいぞう)が言葉を口にしたー。

「ーーははー。彼はちょっと怖い感じだけどー、
 成績は優秀らしいよー」

先に到着して、ゴツイ男・恵三とも既に色々話した中性的な新入社員・雄介が
そう言葉を口にすると、
和樹は「どうもー」と頭を下げながら恵三とも挨拶を交わしたー。

ラウンジにはあと三人ー…
二人組で色々話をしている女性新入社員と、
一人でイスに座ってスマホをいじっている女性ー、
合計6人がこの場に集まっていたー。

「ーー採用されたのって”6人”だったっけー?」
和樹がそう言うと、「ー確かそうだったねー」と、中性的な雰囲気の雄介が
そう答えるー。

「じゃ、これで全員かー」
和樹はそう言いながら周囲を見渡すー。

ラウンジから見える会社のエントランスには
先程から、社員たちが出勤してきているー。

がー、出勤してきている社員たちは
”女性社員”ばかりで、しかも美人揃いだったー。

「ーーそういや、ここって面接の時とかも思ったけど、
 女の人、多いよなー」
和樹がそう言うと、雄介は「君は本当に何も知らないんだねー」と、
苦笑いするー。

壁に寄りかかっていたゴツイ新入社員・恵三は
少しだけ笑うと、
「ま、俺がここを選んだ動機はそれだからなー
 女が多いし、美女が多いー へへー」と、
そんな言葉を口にするー。

”ーよくそんな動機で採用されたなー”
心の中で和樹はそんなことを思いつつ、
恵三の方を見つめるー。

そうこうしているうちに、受付側の方から
スーツ姿の女性がやってきて、
「ーお待たせしましたー」と、そう言葉を口にしたー。

「ーはじめましてー
 わたしは新入社員の皆さんの案内を担当する
 天野 麗香(あまの れいか)ですー
 よろしくお願いしますー」

優しそうに微笑む麗香ー。

新入社員6名は、そんな麗香に対して
「よろしくお願いします」と返すと、
麗香は、集まった6人の確認をしつつ、
社員証を配り始めたー。

「永嶋 和樹さんー」
和樹に対して、社員証を手渡すー。

「ー沖田 恵三さんー」
ゴツイ体格の恵三にも社員証を手渡すー

「ー丸山 雄介さんー」
中性的な雰囲気の雄介に社員証を手渡すー。

がー、三人は顔を見合わせて少しだけ戸惑うー。

「ーー鮎川 梨絵(あゆかわ りえ)さんー」
「ーー安本 野々花(やすもと ののか)さんー」
ラウンジで待機中、二人で仲良く話をしていた女子に社員証が配られるー。

「ーー神崎 静奈(かんざき しずな)さんー」
すっとスマホをいじっていた大人しそうな子・静奈にも社員証が手渡されてー、
新入社員6名への社員証が全て手渡されたー。

がー、
ゴツイ体格の恵三は不満そうに、
自分の社員証を手にしたー

「ーあの”俺たち”の社員証、なんか雑じゃないですか?」
とー、そう言葉を口にしながらー。

そうー
何故か、新入社員6人のうち、
男性である和樹・恵三・雄介の三人に配られた社員証は
適当にパソコンで名前を打ち込んで、そのまま普通紙に印刷、
ハサミで切り取ったかのようなレベルの
”いい加減な”ものだったー

一方で、新入社員6人のうちの女性三人ー、
梨絵、野々花、静奈の三人には
セキュリティのためのチップも搭載されて
顔写真も掲載されている立派な社員証だったー。

「ーなんなんですか、これ?」
体格の大きい恵三がそう言いながら、
指導役の社員・麗香に迫るー。

が、麗香は「あなたたち三人はここで待機していて下さい」と、
恵三と和樹、雄介を見つめながら言い放つー。

「ーーおいおいおい、なんで女の社員証は立派なんだよー」
なおも不満そうな恵三はそう声をあげながら、
大人しい雰囲気の静奈の方に近寄り、
その社員証を勝手に手に取るー。

「ーーさ、触らないでー」
汚らわしいものを見るような目で静奈がそう言うと、
恵三は「なんだと?」と、不満そうにしながら
「なんなんですか!?女の社員証はこんな立派で、
 俺たちはこんな紙切れ!馬鹿にしてるんですかー?」と、
そう声を上げたー。

「おい、やめろってー」
和樹は戸惑いながら恵三を止めるー。

一方、中性的な雰囲気の雄介は少し笑いを堪えるような
仕草をしていて、特にリアクションを起こす気配はないー。

「ーーはぁ?お前も腹立つだろ!?
 なんで男はこんな扱いで、女共だけ優遇されてるんだ!」

恵三が怒りの形相で、
大人しそうな静奈と、梨絵、野々花の二人組の方を指差すー。

「ーーやめろってー
 理由があるかもしれないし、
 それに新入社員同士で争ったって仕方ないだろー?
 この人たちが決めたんじゃないだろうし!」

和樹がそう言い放つと、
大人しそうな静奈は「騒がないでくれるー?」と、
恵三の方を見つめながら、そのまま”ふん”と顔を背けるー。

「ーー…な、なんか騒がしくてすみませんー」
和樹は申し訳なさそうに静奈にそう言葉を掛けると、
梨絵・野々花の二人組にもそう言葉を口にするー。

おしゃれな野々花の方の反応は薄めであったものの、
しっかり者な雰囲気の梨絵は
「あははー…あなたが悪い訳じゃないでしょー
 …えっとー」と、そう言葉を口にするー。

「あ、俺は、永嶋ー…永嶋和樹です」
紙切れの社員証を見せながら、改めて自己紹介するー

今さっき名前を呼ばれていたばかりであるものの
いきなり全員分の名前を覚えるのは難しいだろうし、
和樹は改めて自己紹介するー。

「ふふー…って、同期なんだし、敬語じゃなくていいからねー?
 わたしは鮎川 梨絵ー。
 一緒に頑張ろうねー」

梨絵が優しく微笑むー。

「ーは、はいー」
和樹は少しだけ照れ臭そうにそう言うと、
「ー言った側から敬語ー」と、梨絵は苦笑いしながら
そう指摘してくるー

「あっ!」
和樹はしまった!と言う様子で笑いながらそう言葉を口にすると、
梨絵も笑うー。

「ーそれでは、鮎川さん、安本さん、神崎さんはこちらにー」
案内役の女性社員・麗香がタイミングを見計らって言うと、
梨絵は、和樹との会話をひと段落させて「じゃ、またあとでねー」と、
手を振りながら立ち去っていくー。

「ーちょっとちょっとー、梨絵ってば社交的すぎでしょ?」
「え~?そうかなぁ~?」
梨絵は元々知り合いらしき、おしゃれな雰囲気の野々花と
喋りながら、案内役の女性社員・麗香の方について行くー。

物静かな雰囲気の静奈は、一人でぽつんと、
そのまま後をついて行くー。

ラウンジに残された三人ー。

恵三は不満そうに「ケッ」と、声を上げると、
そのまま不貞腐れた様子でイスに座り込むー。

「ーははー、でも優遇されてるのは”僕たち”だからねー」
中性的な雰囲気の雄介がそう言葉を口にすると、
和樹は「えっ?」と、言葉を口にしたー。

「ー”始まる”よー。
 僕は、”このために”ここに入社したんだからー」
雄介の言葉に首を傾げる和樹ー

やがて、案内役の女性・麗香が戻ってくると
「それでは、皆さんーお待たせしましたー」と、
麗香はクスッと微笑んだー。

「ーーケッー…俺たちは廃棄処分でもされるんですかね?」
ゴツイ恵三は、なおも不満そうに呟くー。

が、麗香は「あなたたちは”立派な戦力”ですよー」と、
それだけ言葉を口にすると、
先程、梨絵たち三人が案内された部屋の中に、
男性新入社員三人も案内されるー。

そしてー…
そこにはーー

先に入ったはずの梨絵たちの姿はなかったー。

「ーーあれ…?鮎川さんたちはー?」
和樹がそう言うと、
案内役の麗香は笑みを浮かべたー。

「”ここ”ですよー」
とー。

部屋の中の少し先の床を指差す麗香ー。

そこにはー
”脱ぎ捨てられた着ぐるみ”のようになった三人が
横たわっていたー。

ペラペラの状態でー

「なっ…!?」
驚く和樹と恵三ー。

中性的な雄介だけは”待ってました”と言わんばかりに
笑っているー

「ーー我が社は全員、”OL”になるんですー。
 ”わたし”も含めて
 うちの会社は全員、”外見”が女で、
 ”中身”は男ー」

麗香がそう言うと、
ゴツイ体格の恵三は「えっーじ、じゃあ、お姉さんも男ってことですか?」と、
ニヤニヤしながら言うー。

「ーふふー
 まぁ、”使ってる身体”は、生物学的にも”女”ですけどねー
 この女を”着て”使っているー
 
 ”中の人は男”ってことですー」

麗香の言葉に、恵三は戸惑いながら
「ーふふ、なら”確認”しますかー?」と、麗香は自分のスカートを指差すー。

恵三はニヤニヤしながら「え…じ、じゃあ、ぜひー!」と、
麗香に”ついてないかどうか”、スカートの上から確認したー

「つ、つ、ついてねぇ!」
顔を真っ赤にしながら言う恵三ー。

「ーあなたたち三人には、”皮”にしたこの三人を着てもらいますー
 うちは、”女性社員”は、”洋服”として入社させて、
 ”男性社員”を”戦力”として入社させていますー。

 さっき、あなたたち三人の社員証が適当だったのは
 ”必要ないから”ですー
 あなたたち三人は、この三人ー…鮎川さん、安本さん、神崎さんを
 着て働くのですからー
 社員証はこの三人の”身体”の分だけあれば十分なのでー」

案内役の麗香がクスッと笑うー。

「ーーへへ…そ、そういうことかー
 お、俺が女になれるなんてーへへー」
ゴツイ恵三は嬉しそうに笑みを浮かべるー。

「ーふふー”僕はこのために”入社したんだー」
中性的な雄介が嬉しそうに笑うー

がーーー
和樹は、さっき話をした”梨絵”が無残にも”皮”になっている姿を見て、
困惑した表情を浮かべることしかできなかったー

②へ続く

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闇の深そうな会社に入社してしまった新入社員たち…★!

明日の②からは、
皮を着た状態でのお仕事(?)が始まります~!★!

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