<TSF>TSFサバイバルゲーム①~謎の島~

謎の島を舞台に繰り広げられる
”サバイバル”ゲーム。

集められた10人の運命は…?

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”諸君らには、これから
 この島でサバイバルゲームをしてもらうー”

その声と共に、目を覚ましたのは30分前のことだったー

「くそっ!…何で…何でこんなことに!」
今日は、彼女とのデートの日ー。
待ち合わせ場所で合流しー、
デートを楽しむはずだったのにー

それが、どうしてこんなことにー

男子大学生の水原 慎太(みずはら しんた)は
舌打ちをしながら、武器を手に、
木々を中を走り抜けるー。

「ーー綾(あや)も来てるのかー…?」
そんな風に呟く慎太ー。

慎太は、彼女・綾と、映画館で映画を見ていたー
はずだったー。

しかし、映画の最中に急に意識が遠のき、
気付いた時には、このー”謎の島”にいたー。

全く意味が分からないー。
一体、何が起きたというのかー

慎太は、こうなるまでのことを思い出すー。

慎太が意識を取り戻した時には、
木々に囲まれた地帯で、一人だけになっていてー、
その側には”装備品”が多数置かれていたー。

そして、慎太が意識を取り戻した直後ー

島に設置されている防災無線を放送するのと
同じような放送機から、謎の男の声が聞こえてきたのだー

”諸君ら10人は選ばれし戦士だー
 おめでとうー。
 今から君たちには”ゲーム”をしてもらうー。
 
 島全体を舞台としたサバイバルゲームを”

そんな言葉と共に、
男はルールを説明し始めるー。

”諸君ら10名は、今、島の中のそれぞれの拠点にいるー
 君たちひとりひとりに用意された拠点だー
 そこには色々な装備が置かれているだろう?
 そこから好きなものを手に、島にいる他の9人を
 戦闘不能にするのだー。

 生き残った1名だけがー
 この島を出ることができるー”

男は、確かにそう言ったー。

そしてー
慎太は、困惑しながらも”装備”とやらを確認したー

そこには、銃も置かれていて、慎太は悲鳴を上げたー

だが、そんな慎太の様子をどこからか見ているのか
男は、すぐに続けたー

”安心したまえー
 そこに置かれている武器の数々は別に人を殺すためのものではないー
 いずれも、殺傷能力はないから、心配する必要はないー”

その言葉の直後、慎太は”武器”の数々を確認したー

そこにはー

”人に憑依する銃”
”他人の性別を切り替えるライフル”
”他人と身体を入れ替える糸”
”他人の姿に変身できる眼鏡”
”人を皮にすることができるナイフ”
”他人を洗脳することができる振り子”

などなど、
色々なものが置かれていたー

「ーーーなんなんだ、これはー…」
慎太の口から最初に出て来た言葉は、それだったー

まるで、ゲームかアニメの世界に迷い込んだかのような
”あまりにも非現実的な”内容の数々ー。

他にも”相手の行動を一時的に封じるカード”だとか、
そういう”実用系”のものも色々と設置されていたー。

「ーーおい…!お前は誰なんだ!ここはどこだ!」
慎太はすぐにそうも叫んだー

だが、男は言ったー

”知りたければー生き延びたまえー
 この、何も知らずに放り出された過酷な島でー”

とー。

「くそっ!」
慎太はそう呟きながらも、
”映画館の何かのイベントか?”と一瞬首を傾げながら、
適当に武器や装備品を整えていくー。

”生き残った1名だけが、この島を出ることができる”

男はそう言ったー

でー、あればー…

「ーー……」
一緒に映画を見に来ていた彼女の綾はどうなるー?

もし、綾もこの島に連れて来られているとすればー

「ーーー…聞こえるか!
 生き残った一人の願いを叶えると言ったがー…、
 他の人と一緒に脱出することを望むこともできるのか!?」

放送機を通じて喋っている男に言葉が聞こえているかは分からないー。
だが、聞こえていると信じて慎太がそう叫ぶと、
男はすぐに返事をしたー

”無論だー
 諸君らが望むのであれば、
 他の人間と共に脱出することもできるー”

その言葉に、慎太は表情を曇らせながらも
”もし、他の9人の中に綾がいるのならー”と、
綾と共にこの島を脱出する決意をするー。

そしてー
30分後の今、慎太は森の中を駆け抜けていたのだったー。

「ーーっらぁッ!」

ー!?

慎太が咄嗟に身を引くとー
”人を皮にするナイフ”を手にした気弱そうな男が立っていたー

「なんだァ…男かよ」
男はそう呟くと、慎太のほうを見つめるー。
気弱そうな見た目とは裏腹に、乱暴な言葉遣いー

「ーー……へへ そんな怖い顔すんなってー」
男のそんな言葉に、慎太は「あんたもー…映画館にいたのか?」と確認するー

相手の男は「ーーんん?あぁ、そうさー。お前もか」と、笑みを浮かべるー。

「ーーへへへへ
 しかし俺らはラッキーだよなぁ?
 聞いたか?
 拠点に置かれてた武器ー
 あれ、全部”本当”らしいぜー?
 
 他人に憑依したり、他人と身体を入れ替えたりー
 このナイフのように、他人を”皮”にして、着たりー」

その言葉に、慎太は「ーーそ、そんなことできるはずがー」と、呟くー。

しかしー
男は「できるんだよ」と、笑ったー

そしてー
男がぱっくりと割れてー
まるで”服を脱ぐ”かのように、中から渋い雰囲気の中年男性が姿を現したー。

「ーーへへへへ…こいつー…
 さっきこのナイフで切り付けてやったら、”ペラペラ”になってよー
 着たら、”こいつ”になれたんだよー」

”中から出て来た”目つきの悪い渋いおじさんは、
そう言うと「ーってことはだ」と、ナイフをクルクル振り回しながら笑うー。

「ーもし、この島にいる10人の中に女がいたらー」

それだけ言うと、舌でナイフを舐めながら
「ー俺が女になれるってことだよなぁ?」と、笑うー。

「ーー今のとこ、俺とお前と、さっき皮にしてやったこいつー
 3人しか俺は知らねぇー
 残り7人の中に女がいればー

 ククー俺がそいつを着てやるぜ」

渋いおじさんの言葉に、慎太は「ーイカれたおっさんだなー」と、言い放つと
男は笑うー

「イカれたおっさんじゃねぇー
 俺は高野(たかの)だー」

男がそう名乗ると、
”人を皮にするナイフ”を振り回してきたー

「ーっ!お、おい!危ないだろ!」
慎太がそう言うと、
高野は「聞いただろ!?」と叫ぶー

「これはサバイバルゲーム!
 仲良く話してる暇なんて、ねぇんだよ!」

とー

斜面で足を滑らせた慎太がバランスを崩しながらも、
高野の攻撃をなんとかかわすー。

慎太は、手にした”他人の性別を切り替えるライフル”を
咄嗟に高野の方に向けたー

これを選んだ理由は単純に
”ライフルであれば遠くの様子を探るのに役に立つかもしれない”と
思ったからだー

「ー!?」
ビクッとして高野が身を躱すとー、
バランスを崩して急斜面に転落ー

そのまま悲鳴を上げながら、高野は斜面になっている部分を滑り落ちて
姿を消したー

「はぁ…はぁ…」
表情を歪める慎太ー

その足元には高野に皮にされたという気弱そうな男が
”ペラペラ”な状態で、横たわっているー。

「ーーーー…何なんだこの島はー」
慎太が不安そうにそう呟くと、背後からがさっと音がしてー
慎太が咄嗟に振り返るー

すると、そこには大人しそうな制服姿の少女が立っていたー

「ーーあ…」

「ーー!」

慎太が咄嗟に身構えるも
「ま、待ってくださいー…!」と、その少女は声を上げたー

「ーわ、わたし…あ、争うつもりなんてーありませんのでー」
その言葉に、慎太も計画を解き、その少女のほうを見つめるとー
お互いに映画館にいたこと、
そして自己紹介を交わしたー

慎太の前に姿を現した女性はー、
波多野 梨沙(はたの りさ)ー

友達二人と共に映画館に映画を見に来ていたのだと言うー。

「ーそうなんだー…俺はー彼女と一緒に
 映画を見に来てたんだけどー」

慎太がそう言うと、梨沙は「お互い、心配ですねー…」と
怯えたような表情で呟いたー。

そんな梨沙は、武器すら何も持っていないー

「ー”拠点”から何も持ってこなかったのかー?」
慎太が心配そうにそう言うと、
梨沙は「はいー」と頷くー

「ーーその友達の子はー…?」
慎太が確認すると、梨沙は「分かりません」と、呟くー。

”諸君ら10名”

この島に慎太たちを連れて来たと思われる男は
確かにそう言ったー。

そして、さっき慎太に襲い掛かってきた高野という男も、
この梨沙という少女も、
映画館にいたというー。

ならば、慎太と同じあの場にいた人間が10人、
集められている、ということなのだろうー。

だがー…慎太の彼女も、この梨沙という子の友達も
まだ見つかっていないー。

そして、映画を見ていた人間は10人ではなく、
もっといたはずだー。

と、なれば、慎太の彼女・綾や、
梨沙の友達は”ここにはいない”可能性もあるー。

10人以上、同じ場所で映画を見ていたから、
”全員”ここに連れて来られたわけではなく、
”その中の一部”がここに連れて来られたと考えるのが自然だー。

”諸君ら10人は選ばれし戦士だ”とも、男は言っていたー

つまりー、
彼女の綾はここにいない可能性もあるしー、
慎太としては、綾がここに連れて来られていないことを願っていたー。

綾は心配しているかもしれないー。
けれど、それでもこんな島に綾がいてほしくなかった。
綾に危険な目に遭って欲しくなかったー。

「ーーーー」
慎太が頭の中で島に来てからのことを考えるー

自分と、さっきの高野という男、高野に皮にされていた男、
そしてこの梨沙ー。
既に10人のうち”4人”は分かったー

残りは、6人ー

「ーどうしますか…?」
梨沙が不安そうに呟くー。

「ーあ、あぁ…えっとー
 君の拠点はー…?」

慎太が言うと、梨沙は「わ、わたしのですか…?」と
少し戸惑いながら言うー。

「あぁ、いやー変な意味じゃなくてー…
 俺、さっき高野って男に襲われたし、
 何も持ってないと危ないから、一度装備を整えた方がいいかなって」

慎太の言葉に、梨沙は「そ…そうですね」と、頷くー。

「ーーー……」
不安そうな梨沙ー。

「ー大丈夫ー。
 ー生き残った1名が島から出れるーって言ってたけど、
 俺は、襲ってくる人以外全員とこの島から出たいって思ってるからー…
 君も一緒に、ここから出よう」

慎太がそれだけ言うと、
すぅっと息を吸ってから、
「サバイバルゲームってことは、”生き残った1名”ってのは
 別に相手を殺さなくてもいいんだよな?」
と、空を見上げながら呟くー

すると、近くの放送機から男の声が響くー

”もちろんだー
 最初にも言った通り”戦闘不能”にしてもらえば構わないー
 これは、本物の殺しではなく
 あくまでもサバイバルゲームだからな”

男の言葉に、慎太は安心した様子で頷くと、
梨沙に対して「だから、大丈夫ー」と、言い放つー。

慎太と梨沙、そしてまだ見ぬ残りの6人ー。
”一緒に”協力していける相手なのであれば、
慎太は協力して、ここから外に出たい、と、そう願っていたー。

「ーーー……こっちです」
梨沙は、慎太のことを信用してくれたのか、
自分が目を覚ました場所ー”拠点”に慎太を案内し始めるー

そのあとについていく慎太ー

正直、慎太は軍人でもなんでもない、ただの男子大学生だー。
だから、梨沙を守りながら戦う、なんてことはできないー。
梨沙を守ろうとすれば自分が、
自分を守ろうとすれば梨沙が犠牲になってしまう可能性が高いー

だからこそ、梨沙の拠点に行き、梨沙の装備を整えないといけないー。

彼女には、酷かもしれないが、
それが最良の選択肢ー

「ーーーーー…」

だがー
前を進む梨沙が、不気味な笑みを浮かべたことに、
慎太は気づくことができていなかったー。

そしてーーー

「ーーーーーーーー」
離れた木の上から島の拠点に用意された装備品の一つ、
”パラサイト・ライフル”を手に、不気味な笑みを浮かべる
覆面姿の男の存在にも、
慎太は気づいていなかったー…。

②へ続く

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コメント

謎のサバイバル開始…★!
果たして無事に島から出ることはできるのでしょうか~?

続きはまた明日デス~!

今日の夕方~夜に、
通常の更新とは別に、
新作を一つ(先日憑依空間でも公開した頂き物のファンアートのお礼を兼ねた小説)を
公開予定デス~!

そちらもぜひ楽しんでくださいネ~!

コメント

  1. 匿名 より:

    この話はバトルロワイアルのイメージですかね?
    人数が十人というのは少なめですよね。
    どんな結末になるか楽しみです。

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!☆

      本当はもっと人数が多そうなイメージなのですが、
      3話構成なので、あまり増やしても分かりにくくなるだけな気がしたので
      人数は絞った描写にしました~!☆