※本日(9/11)の通常更新は既に終わっています!
「TSFサバイバルゲーム①」はこの1個前の記事を見て下さい~!
※こちらは、先日、ファンアートを描いて下さったいるこ様(@ill_188)への
お礼として、いるこ様ゲスト出演の新作を執筆しました★!
憑依X石化モノデス~!
いるこ様を知らない方でも、話の流れが分かるように
作ったつもりなので、皆様もぜひお楽しみください!
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夜の廃墟ー
「も、もう帰ろうぜ~?」
カップルの男が、彼女に向かってそう言い放つー。
「ーえ~?肝試しはまだ始まったばかりだよ~?」
仲間たちと共に旅行にやってきていた大学生二人ー。
1日目の夜となる今日は、
他の仲間と共に肝試しを楽しんでいたー。
そしてー
この二人は、彼氏の方がそういうのが大の苦手で、
彼女の方が逆に、そういうのが大好きなカップルだったー
「ーーうぅぅぅ…怖すぎるー」
冷や汗をかきながら、恐怖からか、次第に早足に
なっていく彼氏ー。
いつしか、彼女を追い抜き、
無意識のうちに、ほぼ半分走っている状態に
なってしまうー。
だがー、その時だったー
「きゃああああああああああ!!!」
背後から、彼女である紗愛(さら)の悲鳴が聞こえたー。
「ーー!?!?!?!?!?!?!?」
ビクッと、外から見ても分かるぐらいに身体を
震わせた彼氏の啓太郎(けいたろう)が振り返るー。
だが、いつの間にか、かなり前を進んでいた啓太郎の目からはー、
後ろの方で悲鳴を上げた紗愛の姿は、
振り返っただけでは見えなかったー
「ーな…なんだよ~…さ、紗愛ー
あんまり驚かすなよ~」
額にかいた汗を拭いながら表情を歪める啓太郎ー。
「ーーお、俺を驚かそうって言ったってー
そ、そうはいかないぞ~?」
紗愛からの返事を期待して、
さらにそう呼びかけるー。
しかし、それでも返事がないことに流石に
心配になってきてしまった彼はー、
震えながらも来た道を引き返していくー。
そして、10秒ほど暗闇の中を進むとー
彼女の紗愛の姿が見えて来たー
「さ…紗愛~いったいどうしたんだよ」
啓太郎が怖がりながらも、それを悟られないように
言葉を口にするー。
しかしー
それでも紗愛から返事はないー
「ーーお、おいー紗愛ってばー」
いきなり振り返って”ばぁっ!”とかやってくるに決まってるー。
そんなことを思いながら、啓太郎が紗愛の肩を掴むとー
その手触りはーー
”人間”を触った手触りではなかったー
「ーーーえ…??」
啓太郎の表情から、笑顔が消えるー。
そしてー、
顔色はみるみると悪くなっていくー
「お、おいー……さ…紗愛…?」
啓太郎は紗愛の身体に触れながら、呆然としていたー。
その”触り応え”は、
人間を触っている感触ではないー。
まるでー
”石”を
触っているようなー
そんな、感触だったのだからー。
「ーーーふふふふふふふ」
背後から声がして振り返るとー
そこには、巫女服を身に着けた女が立っていたー
「ーーー!?!?!?!?」
啓太郎が悲鳴を上げると同時にー
啓太郎の身体も、彼女の紗愛と同じように、
”石”になっていくー
やがて、その場所には石にされたカップルが
向き合った状態で、
表情も、何もかも変えることが出来ずに、
その場に立ち尽くしていたー
「ーこんなに近くにいるのに、
その手は、二度と届かないー」
そんな光景に芸術を感じながらー
その場で絵を描き始める女ー
彼女はー
”石化絵師”の異名を持ち、
恐れられている謎の絵師だったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「啓太郎と紗愛のやつ、ホント、どこ行っちゃったんだろうなー?」
翌日ー。
啓太郎・紗愛のカップルと共に肝試しを楽しんでいた
男子大学生・龍太(りゅうた)が困惑した様子で呟くー。
その龍太の彼女である麻紀(まき)は
「ー二人とも全然連絡もつかないし、
もちろん家にも帰ってないみたいだしー」と
困惑の表情を浮かべるー。
昨日ー
紗愛とは違い、”怖いモノ”が大の苦手だった麻紀は
途中で耐えきれなくなり、彼氏の龍太と共に
途中で引き返していて
”石化絵師”と遭遇することなく、宿へと戻っていたー。
今日は旅行の二日目ー。
けれど、旅行の続きを楽しむどころではなくなってしまい、
麻紀も龍太も、心配そうに
”スマホに二人からの連絡が来ないかどうか”
何度も何度も確認するような状態が続いていたー
けれどー
そんなことしていても、二人からの連絡は
来るはずがないー
何故なら二人は昨夜、石化絵師・いるこによって
”石”にされてしまったのだからー。
「ーーーーー」
麻紀は、暗い表情でしばらく考え込んだあとに、
ようやく口を開くー。
「ーーねぇ……お昼ぐらいに、もう一度見に行ってみないー?」
麻紀がそう言うと、
龍太は「え…?昨日の場所?」と、困惑するー
「ーでも麻紀、昨日だってあんなに怖がってたしー」
龍太が心配そうにそう言うと、
「うんー…怖いけどー…でも、放っておけないしー」と、
麻紀は険しい表情で、真っすぐ龍太を見つめたー。
麻紀は、昨日”石”にされてしまった紗愛の親友ー。
そして、彼氏だった啓太郎は麻紀の”幼馴染”ー。
恋愛感情はないが、”幼馴染”として
龍太も交えて交友があるし、紗愛の方は言うまでもなく親友だー。
もちろん、龍太も”彼女・麻紀の幼馴染”である啓太郎とは
趣味も合い、意気投合していたし、
その彼女である紗愛のことも心配していたー。
「ーーわかった。昼を済ませたらもう一度行ってみよう」
龍太がそう呟くと、麻紀は「ありがとう」と、
悲しそうに、けれども安堵の表情を浮かべながらそう呟いたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー」
昨日、肝試しを行った山の近くの廃墟地帯を
訪れる麻紀と龍太ー。
”怖いモノ”が大の苦手の麻紀は、この場所に
戻ってくるのも本当は怖かったのだがー
親友である紗愛と、幼馴染の啓太郎のことを
そのまま”行方不明”にしておくわけにはいかなかったー。
「ーー誰も、いないなー」
龍太もさすがに嫌な雰囲気を感じ取っているのか、
その声は、いつもよりも暗いー。
「ーーうん」
麻紀がそう返事をすると、麻紀が怖がっていることに
気を遣ってか、少しだけ微笑みながら、龍太は
「大丈夫だから、心配するな、な?」と、
優しく言葉を掛けたー。
「ーーうん。ありがとうー」
麻紀がそう呟いたその時だったー。
ガタッー
廃墟地帯の一角から、ふと物音がしたー。
龍太と麻紀が振り返りー、
その緊張は一気に極限まで達するー。
ゴクリ、と唾を飲み込みながら
二人が、ちょうど今、立っている場所からは死角となっている、
廃墟の壁の裏側に足を進めるとー
そこにはーーー
「ーーー!!!」
石像のようなものを見つめながら
絵を描いている女性と鉢合わせしたー
「ーーー!」
その女も、龍太と麻紀に気付くと、
少し驚いたような表情を浮かべたものの、
すぐに「こんにちは」と龍太たちに向かって挨拶をしたー。
まだ30代ぐらいだろうかー。
どうして、こんな廃墟で絵をー?
「こ、こ、こんにちはー」
龍太がそう言いながら、
目の前にいる女性に悟られないように、
麻紀を守ろうと、後ろの方に回すー。
ここはー
どう考えても
”絵を描く場所ではない”からだー。
「ーーーあ、あのーー」
龍太は、気まずい雰囲気にならないようにと、
すぐに話題を振るー。
そうー、この場所で昨日、啓太郎と紗愛は
行方不明になったのだー。
この人が何か知っているかもしれないー。
そう思いながら、スマホを操作して
啓太郎と紗愛の写真をその女性に見せるー。
すると、その女性は「あ、この子ならー」と、
優しく微笑んだー
「し、知ってるんですか?」
龍太の背後にいた麻紀が、希望に満ちた表情で
そう叫ぶと、
絵を描いていた絵は「うん」と、頷くー。
「ーーー…ど、どこで見かけたんですか?」
龍太がすかさず口を挟むー。
するとー
その女性が、指を指したー。
「ーーえ?」
龍太が表情を歪めるー
絵を描いていた女性はー
”石像”を指さしたのだー。
「ーーー……その石像が、何か?」
龍太が恐る恐る確認すると、
女性は微笑んだー
「ーよく見てごらん」
とー。
「ーーー…!!?!?!?!??!」
龍太が石像のほうを今一度よく確認するとー
その石像はーーー……
「ーーー…え」
「ーーさ、紗愛ー!?」
龍太の背後にいた麻紀が気づくー
まさか”石”になっているなんて思わなかったために
”人の形をした石像”ぐらいにしか
龍太も、麻紀も思っていなかったが、
その石像の顔の部分をよく見るとー
昨日、肝試しの最中に”失踪”した、
紗愛の顔をしていたのだー
「ーーひっ!?こ、これは一体ー…!?」
龍太が言うと、その女性は絵を描くのを中断して
立ち上がりー、
「自己紹介が遅れちゃって、ごめんね」と、微笑んだー。
名刺のようなものを手渡してくるその女ー。
そこにはー
”石化絵師”いるこ
と、書かれていたー
「いるこー……?」
龍太は表情を歪めるー。
どこかでこの名前を聞いたことがあるー。
どこだー
どこだったかー?
「ーーいやああああああああ!!!!!」
そんなことを考えていると、
背後から悲鳴が聞こえたー。
”石になった人を絵にするのが好きなの”
いるこがそう囁く中ー、
彼女の麻紀が石にされていくー
「ーや…やめろ!」
龍太がそう叫び、いるこの腕を掴もうとするも、
龍太の身体が、急に重くなりー
あっという間に動けなくなってしまうー
「ーあなたも、あなたもー石になるー」
いるこはそう囁くと、
二人を満足そうに見つめながら
少しだけ笑うー。
「ーーー!思い出したー…!」
下半身からだんだんと石になっていく中、龍太がそう叫ぶー。
”ツイッター最古の利用者ー!”
その言葉に、いるこは反応を示すー。
”知ってるんだ”と、言わんばかりにー
「ーーー2017年10月からー…
”1000年以上も前から”ツイッターを利用し続けていて
今も更新されている謎のアカウントー…
確か、あれの名前がー”いるこ”ー」
龍太のそんな言葉に、いるこは少しだけ笑みを浮かべるー
”だが、どういうことだー?”
龍太は困惑するー。
目の前にいる”石化絵師”を名乗るいるこは、
30代ぐらいにしか見えないー
代々”いるこ”と名乗る人間が
あのアカウントを更新しているというのかー?
今は、”3175年ー”だー。
2017年にアカウントを開設したいるこが生きてるわけがー…
そんなことを考えていた龍太ー
だが、その答えが見つかる前に、龍太は”石”になってしまったー
「ーーふふふ…」
石になった4人の大学生を見つめながら満足そうに笑みを浮かべた
いるこは、
”この身体も、少し年老いて来たしー
そろそろ”交換”しようかなー”
と、呟いたー。
石にした4人のうち、紗愛と麻紀の姿を見つめると、
「こっちの子がいいかな」と、満足そうに頷きー
そして、”石”になった麻紀に手を伸ばすとー
ずぶっ、といるこの身体が、麻紀の方に吸い込まれ始めたー。
「ーーーぁ…」
”いるこの身体”だった、30代ぐらいの女性が、
魂が抜けたかのように石になって、
そして、砕けていくー。
代わりにー
石になっていた麻紀が、みるみると生気を取り戻しー、
そして、”人間”の姿に戻るー。
「ーーーー…これでよし」
麻紀は、満足そうにそう呟くー
だが、さっきの、龍太と共に石にされた麻紀とはまるで
別人のような表情を浮かべー
その雰囲気はまるで別人のようだー。
満足そうに近くの椅子に座った麻紀は
”石化させた3人”を見つめながら満足そうに絵を描き始めるー
「ー今日から”わたしが石化絵師・いるこ”ー」
いるこに憑依されて、いることなった麻紀は、
笑みを浮かべながら、
麻紀にとって、幼馴染・彼氏・親友である三人の”石”を見つめながら
その絵を描き始めたー
人を石化させー
石にした人間に憑依することで、
1000年以上の時を生き永らえている石化絵師・いるこー。
彼女の”芸術”は、まだ終わらないー。
この先も、ずっとー。
おわり
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コメント
ファンアートのお礼(イラストギャラリーから見れます~!)に
作ったお話でした~!☆
石化要素のある小説を書くのは多分初めてだったので、
新鮮な気持ちで書けました★!
また、機会があればこのようなジャンルにも挑戦してみたいと思います~!
”憑依要素”も、
憑依空間なのでちゃっかりと入れてみました笑
いるこ様、お読み下さった全ての皆様、
ありがとうございました~!
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