憑依、入れ替わり、女体化、皮、変身ー…
過激な効果を持つカードの数々を利用して
”相手を戦闘不能”に追い込んだものが勝利となるー
そんな、カードゲームの物語ー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーくそっ…!どうすればー」
自分のデッキからカードを1枚引くー。
広々とした長方形の部屋で、立ったままカードゲームを
楽しむ青年ー
いやー…
彼は、楽しんでなどはいなかったー
”く…くそっー”
彼の対戦相手はー
ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべた眼鏡の女性ー。
その女性は、今、カードを引いた青年の友人の彼女だったー。
大学の春休み期間を利用して、
仲の良い友達たちと遊園地に遊びに来ていた4人の男女はー
数時間前までとはまるで真逆の”悪夢”に襲われているー
「ククククククー」
手を後ろで交差させて、ガラス張りの部屋から、
二人のカードバトルを見下すように見つめる男ー。
そんな男のほうを見上げてー
”ふざけるなー…俺たちを弄びやがってー”と、
カードを手にした青年、谷本 達平(たにもと たっぺい)は、
その男のほうを睨みつけるー。
「ーーーほらほらァ!何考え込んでんだよ!」
対戦相手の眼鏡の女性ー
同じ大学に通う親友の彼女である奈美(なみ)が、
まるで男のようにそう叫ぶー。
長方形の広々とした、まるで”実験場”のような部屋に設置された
モニターには”準決勝”と表示されているー。
達平と奈美は、それぞれ”第1回戦”を勝利して、
現在、準決勝を戦っているー
だが、普段は物静かで穏やかな性格の奈美は
好戦的な性格に豹変してしまっているー。
いやー…
今の奈美はー
奈美であって、奈美ではないー
だってー
奈美は”第1回戦”でーーーーーーー
・・・・・・・・・・・・・・・・
数時間前ー
遊園地にやってきていた大学生4人ー
「俺、ジェットコースターとか、メリーゴーランドとか、無理なんだよなぁ」
体格の良い男子生徒、長澤 雄一(ながさわ ゆういち)が呟くー。
「ーおいおい、その体格でジェットコースター怖いってか?」
笑いながら言う達平ー。
そんな達平に「うるせ~!見た目は関係ねぇだろ!」と、雄一が
笑いながら返事をするー。
「ーー二人とも、今日もとっても仲良さそうー」
達平の彼女・彩月(さつき)が、微笑ましそうに二人を見つめながら
隣にいる大人しい性格の眼鏡をかけた女子性、奈美に向かってそう呟いたー。
奈美は「うんー」と、頷くー。
大人しい奈美と、騒がしい雄一。
二人がどうして付き合い始めたのかはよく分からなかったが、
正反対だからこそ惹かれ合うのか、二人は仲良しだったー。
「ーっていうか、メリーゴーランドが無理ってどういうことだよー?」
達平が言うと、雄一は「ー馬の顔が怖くて」と、苦笑いしたー
「ー何だよそれ」
笑いながら達平は、雄一との話を終えると、
彼女の彩月の方によってきて
「ーあ、ごめんごめん」と、彩月と奈美に向かって
「最初はどこに行くー?」と、遊園地の全体図が示された
パンフレットを手に、二人と話し始めたー。
達平と彩月ー
雄一と奈美ー。
二つのカップルによる休日の遊園地ー。
今日は、楽しい1日になるはずだったー。
しかしー
観覧車に乗り、ゴーカートに乗り、絶叫系マシンのスターシップに乗りー、
4番目の”スリル系コースター”に乗ったその時だったー
乗り物に乗りながら、暗い室内を進み、
レーザーガンのようなもので、出現する敵を倒していくー
そんなアトラクションを楽しんでいた4人ー。
だがーー
途中で、レールが切り替わりー
”本来進むべき道”とは別の方向にコースターが進んだー
「ーーーあ…?」
雄一が首を傾げるー
長方形の広々とした遊園地らしからぬ部屋で停止した
乗り物ー。
「ーーなんだ…?ここがゴールなのか?」
達平が乗り物から降りるー
少し違和感を感じながら彩月と奈美も乗り物から降りるとー、
別の方角からも、同じ乗り物が3台ほどやってきてー
それぞれ親子、屈強な男、不気味な笑みを浮かべる女が
周囲を見渡すー。
全部で8人ー
謎の部屋に集まった時点で、
部屋の上部にあるガラス張りの部屋から
男が姿を現したー
”ようこそー
”秘密のアトラクション”へー”
マイクを通じて、部屋の上の方から語り掛けてくる男ー。
「ー秘密のアトラクション?」
達平が首を傾げると、男は言葉を続けたー
”あなたたちには、当園で開発中の
新作カードゲームのテストに協力してもらいます”
男の言葉に、
母親と息子の親子は「ママ~…敵をやっつけるゲームの続きは~?」と、
不満そうにしているー
「ーーおい!俺は協力なんてしねぇぞ!」
屈強な男が叫ぶー
「ーーーふふ…ふふふふふ」
不気味に笑っている女は、何の反応も示していないー。
「ーーちょっと…何なの…?」
不安そうに呟く達平の彼女・彩月ー。
雄一も「こんなイベントあるって聞いてたか?」と
彼女の奈美に向かって質問しているー。
”まだ一般向けには発表していない特別な企画ですので、
こうして週に1度、8名様を無作為に選び、ご招待しておりますー”
男はそう呟くと、
「ー俺はごめんだな」と、屈強な男がそのまま立ち去ろうとしたー。
しかしー
”ー残念ですがー”
遊園地の職員と思われる男は、不敵な笑みを浮かべながらそう呟いたー
”皆さんには、嫌でも協力してもらいますー。”
その言葉と同時に、部屋に突然ガスのようなものが充満し始めてー
そのまま8人は眠らされてしまったー。
「ーーー!!!」
すぐに目を覚ました達平は、控室のような個室の中にいたー
個室のモニターに、先ほどの男が映し出されるー
”手荒な真似をして申し訳ありませんでしたー
会場の準備のため、一度皆さんには、個室に移動していただく
必要がありましたので、一時的に眠っていただきましたー”
達平が時計を確認するとー
先ほどから10分ほど経過していたー。
”一体、何が目的なんだー!?”
そんな風に思いながらも、達平は男の話を聞くー。
男によれば、これから”開発中のカードゲームのテストプレイ”を
大会形式で行ってもらうー
とのことだったー。
優勝者には豪華賞品も用意しており、
テストプレイ大会が終わったら、ここから出ることができる、とも
男は説明したー
「ーくそっ…なんなんだこれはー…?」
本当に、遊園地の関係者なのかー?と、
不安に思いながらも、達平はひとまず様子を見ることにするー
本当に遊園地のイベントなのかもしれないし、
遊園地の体感アトラクションの奥に
この施設があったわけだから、少なくとも
遊園地側の”何か”なのだろうー。
ルール説明を聞く達平ー
ルールは非常にシンプルだったー
”カードで先に対戦相手を戦闘不能にすれば勝利。手段は問わない”
というものー。
ただしー
”あくまでもカードで戦闘不能”にするのであり、
当然、直接的な暴力行為などは禁止ー、と
男は説明するー
”テストプレイ用のデッキは、皆さんの控室にそれぞれ1個ずつ
既に準備してあります
それを手に、対戦相手を戦闘不能にしてー
優勝を目指してください”
その言葉と共に、モニターにトーナメント表が掲示されるー。
谷本 達平
望月 文江
伊藤 奈美
海藤 航
望月 浩太
長澤 雄一
橋本 彩月
遠藤 梨華
達平の1回戦の相手は、
子連れの親子の母親の方のようだー。
8人の顔写真がそれぞれ表示されているー。
「ーークククーーー」
”謎のテストプレイ”を取り仕切る男が笑みを浮かべるー。
会場は4つの部屋に分かれていて、
それぞれの部屋に囲まれるようにして、上の方に浮かんでいる
ガラス張りの部屋からはー
男が4つの会場の戦い全てを見れるようになっているー。
まるで”太陽”のように、4つの部屋を見渡しながら
男は、それぞれの会場を見つめるー。
「ーーーーよろしくお願いしますー」
戸惑いながら達平が頭を下げると、
対戦相手の子連れ親子の母親・文江は目に涙を浮かべていたー
”子供と離れ離れにされて不安”なのだというー。
達平は困惑の表情を浮かべながらも
「ーテストプレイが終わればー、外に出られるみたいですしー」と
呟くと、「ーー本当に、そうなのでしょうかー」と、子連れの母親・文江は
不安そうに呟いたー
「ーーーーー」
部屋の上部にあるガラス張りの部屋を見つめるー
「ーーそれでは、”TSFカードゲーム”の、テストプレイ大会
第1回戦を開始しますー」
男がマイクで4つの部屋にそう宣言するー。
8人とも、十分にルールも教えてもらっていないまま、
困惑の表情を浮かべるー。
”ルールは習うより慣れろー。
実際にプレイしていただければ分かりますよー”
男の言葉に、8人は困惑しながらー
それぞれ勝負を開始したー。
”な、なんだこれー… えっ…!?”
「ーーー」
男が、4つの部屋の戦いをそれぞれ見つめるー。
”TSFカードゲーム”
この遊園地は”新技術”を作りだすための実験場ー
「”我々”の技術発展のためー
君たちモルモットを存分に活用させてもらうよー」
早速ー
”カードゲームの本質”を、理解した人間がいるようだー。
達平の親友、雄一は、子連れ親子の子供のほうー、浩太と
対決していたー。
だが、最初に使用したカード”女体化の波動”により、
対戦相手の浩太が女の子になってしまい、戸惑っていたのだー。
「ーーーえ…ぼ…僕… お…女の子にー?」
不安そうに対戦相手の浩太がアソコを触りながら戸惑っているー。
雄一も当然、戸惑っていたー。
「ーーなんだ…これ…?」
”カードは30秒に一度ドローできるー
ドローしたカードは、どのタイミングで使おうと、自由だー”
男の声が響き渡るー。
「ーーーー!」
雄一が手札にあるカードを見つめるー
そこにはー
”洗脳”や
”憑依”、
”変身”など、物騒な効果のカードが並んでいるー
「ーーー…これは、いったいー…」
雄一が困惑していると、対戦相手の浩太が「ぼ、僕はこのカードだ!」と
叫んだー。
”状態解除”と書かれたカードー
それを使った浩太は、少女の姿から元の姿へと戻るー
「ーーー…!」
雄一はそんな様子を見て
”何なんだこのカードゲームは…”と、困惑の表情を浮かべるー。
「ーーーー!!!奈美ー」
彼女の奈美も、別の部屋で戦っているであろうことを思い出し、
雄一は、「な…奈美!」と、部屋の向こうに向かって叫ぶー
だが、その言葉は通じないー
男は、雄一が叫んだのを見て、
奈美と、屈強な男ー、海藤 航が戦っている場所を見つめたー。
「ーーた…助けてー」
奈美が壁際に追い込まれているー。
「ーいやぁ…マジで凄いカードゲームだぜ」
航も、このカードのルールを理解していたー
そして、その手には”憑依する霊体”と、いうカード
「ーこのカードを使えばー
マジでこの子に憑依できるってことだよなぁ」
部屋の上部にあるガラス張りの部屋のほうを見ながら
航が叫ぶと、男は、航と奈美が対決する部屋にだけ聞こえるように
放送で”その通りです”と答えたー
「へへへー…悪いなー」
荒れ果てた人生を送ってきた屈強な男・航はニヤニヤしながら
”憑依する霊体”を使うー。
それを使った瞬間ー、
自分の身体が幽霊のようになりー
そのまま悲鳴を上げる奈美の身体に突進したー
「ーやめて… やめ… え… え…ふ、、ふふふふふふふふ…」
笑みを浮かべる奈美ー。
「ーククク…やべぇ…マジだー」
奈美は自分の胸を触りながら「ってー…この場合、勝者はどっちだ?俺か?」と、
奈美が部屋の上部を見つめながら言うー。
男はー
”勝者は伊藤 奈美さんの方になりますねー”
とだけ答えると、
言葉を続けたー
”ですが憑依した以上、今からあなたが伊藤 奈美ですー。”
奈美に憑依した航は「へへっ…じゃあ俺の勝ちー…いや、わたしの勝ちね!」と、
ニヤニヤしながら叫んだー。
”クククククー”
謎のカードゲーム”TSFカードゲーム”で8人を戦わせている男は、
残りの3試合の行方を見つめながら笑みを浮かべたー
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
謎のTSFカードゲーム…!
以前「TSFボードゲーム」というお話を書いたことがありますが
それとの繋がりは特にありません~!☆
コメント
すごく面白い内容だねぇ
みんなには好き勝手いろんなことをしてほしい
変化した後の反応などもいいねぇ
コメントありがとうございます~!☆
久しぶりのカード系ですネ~!
今回は架空のカードですが、好き放題の様子を
ぜひ楽しんでくださいネ~!