<憑依>あの世で知る真実Ⅱ

人生を終えた先には、何が待つのかー。

衝撃の真実が明かされる
「あの世で知る真実」の続編…!

「あの世で知る真実1」を先にご覧ください★!

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とても、幸せだったー。

一目見て、すぐにわかるほどに衰弱している老婆は、
今までの人生を振り返っていたー。

彼女ー
美羽(みう)は、長い人生を、まもなく終えようとしていたー。

お金持ちの両親の元に生まれてー
何不自由なく育ちー
楽しい学校生活を送りー
就職してー
素敵な人と出会ってー
子供にも恵まれてー
趣味も充実した人生だったー。

”幸せな人生”とは、こういうことを言うのだろうー。

けれどー
それも、いつかは終わるー

幸せにも、不幸にも、永遠はないー。
いつか、終わりが来るー。

”死んでしまった人間は、どこに行くのだろうー”
美羽は、最近、そんなことばかりを考えていたー

この歳になると、不思議と”怖い”という感情は、もうないー。

けどー
心がきゅっと苦しくなる思いはあるー。

今までの記憶も、思い出も、全て消えてしまうのだからー。

「ーーおばあちゃんー」
孫娘が心配そうに、美羽のことを見守っているー

死ねばー
何もないー

いいえー
そうとも限らないー

もしかしたらー
”その先”があるかもしれないー

人間は、”人間の想像できる範囲内”で物事を考えすぎているとも思うー。

そもそも、宇宙とは何なのかー

そもそも、この世界は、”人間の想像もつかない何か”
なのではないかー。

そんな風にも、時々思うー。

”宇宙”という存在は誰が作ったのかー。
ビッグバンだとかなんとかで、こんな都合よくこの世界は生まれるのかー

”宇宙の外側”に何か世界があってーー

そんなことを永遠と考える日々ー
けど、やっぱり、何もないのだろうなー

美羽は、そんな風に思いながら
”ついにその終焉”を迎えてー
息を引き取ったー

最後にー
すぅ~~~っと、全てが消えていくような感覚ー

無限の海に放り出されて沈んでいくようなー
そんな感覚ー
けれども、怖くはなくー
何かー解き放たれるような感覚を感じながらー

次の瞬間ー
プシュウウウウウ…

と、
変な音がしたー

「ーーーえ?」
美羽は戸惑うー

また、”蘇生”したのかなー?
とー。

以前も一度、危篤状態になって、病院の先生の必死の処置で
生きながらえたことがあるー

今回もー
と、思いながら起き上がろうとするとー
妙に身体が軽くー
そしてー

「いたっ!?」
カプセルのようなものにぶつかって、美羽は悲鳴をあげたー。

カプセルの扉が開くー

「はははははは!相変わらず面白いなお前ー」

カプセルの外には”光る人型の生命体”ー

「ーーーえ…だ、、誰…?
 え…ここ、天国ー?」

美羽は「天国ってほんとうにあるんだぁ…」と、思わず口にしてしまうー。

「ーーー天国じゃないよ、ここはー
 俺たちの”住む世界”、だろ?」

人型の光の影のようなものがそう呟くー

「ーーーえ…」
きょとんとした様子の美羽ー。

そんな美羽に対して、目の前にいた人型の光が、
手を動かすと
”鏡の役割を果たす光”が出現して、
それを美羽の方に向けたー

「え…」
美羽は驚くー。
自分も、目の前にいる人型の光と同じ姿をしているー

「ーど、どういうこと…?」
美羽の言葉に、人型の光は
「どういうことだと思う?」と、面白そうに呟くー。

「ーーえ…え~っと…やっぱり天国?」
美羽が言うと、人型の光は首を横に振りながら
「残念ー」と、呟くー。

「ーーまぁ、俺も”人生”プレイし終えたあとは
 いつもそう思うけどな」

人型の光がそう言うと、美羽は首を傾げるー
かなり戸惑った様子だー。

「ーーーははは、悪い悪い
 そろそろ揶揄うのは終わりだー。

 ほれ」

人型の光が、カプセルの横にあったスイッチを押すと、
キラキラと光が降り注ぎー、
美羽は全てを思い出したー

「ーーーーーー!!!
 あ~~~~~!
 あ、、そう!そうだった~~!」

”美羽”として”人生”をプレイしていた人型の光が笑うー

”この世界”は天国でも、地獄でもないー
美羽がー
いや、美羽を名乗っていた光の人影が元々住んでいる世界ー

この世界は果てしなく平和だー。
そして、そこに生まれた生命体たちは永遠の生を持つー。

一方で”何も”ないのだー。

娯楽はあるー。
しかし、”永遠の生”を生きているとそれにも飽きてくるー。

争いも、不満も、何もないこの世界で
”永遠に生き続ける”ということは、”暇”でしかなかったのだー

そんな時に、この世界で生み出されたのが
”人生~ZINSEI~”という名の壮大なゲームだ。

人生とは、この世界の住人が作り出した、ゲーム。
神々のような存在が作りあげた、疑似世界で
壮大すぎるオンラインゲームのようなものだー。

あらかじめ、”どんな人生”を歩むかある程度設定
キャラメイクをしたら、カプセルに入り、記憶を一時的に消去、
ゲームを開始するー

ゲームを開始すると、疑似世界の中の
”胎児”に憑依し、
人生を味わうことになるー。
そして、死ぬと、ゲームは終了、
カプセルの機能で記憶が戻るー
という仕組みだー

「ーーーっていうか、口調が”美羽”モードになっちゃってるし!」
美羽だった光の人影はそう言いながらカプセルから立ち上がるー。

「ーーまぁ、俺たちに性別はないしなー。
 俺も、この前プレイするまでは、女っぽかったしー」

美羽を揶揄っていた光の人影はそう呟くー。

この”個体”は、前回、”ZINSEI”をプレイした際には
男としてプレイしていたー。
そのため、今は男の口調になっているー。

「ーーーわたしたちって、何と言うか、無個性だよねー。
 姿もみんなほぼ同じだしー」

「”番号”でしか見分けられないからな」

美羽の相手の人影が言うー。

「ーーーー」
美羽としてプレイしていた人影が、相手のほうを見つめるとー、
横にデータが表示されるー。

彼らはー
”みんな同じように光の人影”の姿で見分けがつかないー。
それを識別するため、相手を見ると、横に識別番号が表示
される仕組みになっているー。

”B-98754”

美羽と話している相手の識別番号だー。

美羽が仲良くしている相手の一人だー。

と、言ってもー
この世界では遊ぶものもないし、
”食事”をとる必要もー
そもそも、”食事”という概念も存在しないためにー
何かをすることもできないのだがー。

周囲を駆け巡る光を吸収するだけでー
”食事”に相当することを終えることができるのだー。

「ーーーあ~~!ハンバーグ喰いてぇ」
美羽と話していた光の人影が呟くー

”この世界”では、光のエネルギー以外存在せず、
~ZINSEI~の中のように”食べ物”を作ることも、食べることもできないー。

「ーーーじゃ、またZINSEIをプレイするしかないね」
美羽が笑うと、「もちろんさ ここにいても、つまらないしー」と、相手は笑うー。

「今度はどんな人生にするの?」
美羽がそう言うと、
「ーー大食いの男に決まってんだろ」と相手は笑ったー。

この光の人影はいつも”食べること”を楽しめる人生ばかり選んでいるー。

「ーーあなたらしいねー」
そう言うと、美羽は、その人影が、次の人生をプレイ開始するのを見送りー
”少しだけ”と、この世界を歩き始めるー。

ずらりと並んだカプセルー。

何もない、青白い世界ー。
光が漂う様は、綺麗だー。
しかし、それ以外、何もないー。

何も、ないのだー。

「ーーーーーー」

”食べることすら”必要ないー。

光の人影同士は、エネルギー体のような状態で、
互いに「触れ合う」こともできないー。

そのために、争いもないー

お金も必要ないし、
この世界は”完璧”だから、働く必要もないー。

エネルギーに満ち溢れたこの世界において
エネルギー不足にもならないー

だがー
”何も”ないー。

”完璧すぎて”何も、ないー

それゆえに、この世界の一部のものたちが
作り上げたのが
「人生~ZINSEI~」と呼ばれる巨大な架空の世界を舞台とした
オンラインゲームのようなものだったー

あえて”不完全な世界”を作り上げ、
その中に生み出した”人間”という名の”NPC”に憑依する形で
ゲームをプレイするー。

究極のリアリティゲームー。

もちろん、”人生~ZINSEI~”をプレイせずに、
ずっとこの世界で漂っている同士もいるー

けどー
あまりにも”完全”すぎるこの世界は
何の変化もなくー
そして、寿命も”無限大”であるために、本当にー
”やること”が、何もないー。

「ーーー……」
美羽だった存在は、座って”前のプレイ”のことを思い出すー。

人生は、色々不安定だー。

とにかく、何もかもが、不安定だー。
けれど、それだからこそー
刺激があるのかもしれないー。

だからこそ、喜びがあるのかもしれないー。

「”完璧”すぎるっていうのもー退屈なのかも」
美羽はそう呟きながら、次の”人生”について考え始めるー。

前は、幸せな女性としてプレイしたー。
今度はどうしようかー。

あえて、不幸な人生を送ってみるプレイヤーもいるー。

だがー
実際、プレイを終えると
”やっぱわざわざ不幸になる必要はないな”と笑う
プレイヤーも多いー。

「ーーーう~ん」
美羽は、色々と考え込むー

”美羽”という名前も仮の名前でー
この世界には”識別番号”しか存在しないー。

”次はどんな人生を楽しもうかなー?”

そんな風に思いながら、美羽はふと、あることを思いつくー

”ここでの記憶を保ったまま、人生をプレイできれば
 もっと色々なことができそうなのにー”

とー。

死んだ後に、ここに戻ってくることー…
つまり、人生の終わりは、”人生”というゲームの終了でしか
ないことに、プレイ中に気付くことができれば、
色々と気持ちも楽になるだろうし、
人生が辛くなったら、軽い気持ちで命を絶つこともできるしー

「ーーーあ…」
美羽は、一人呟くー。

「それじゃ、だめかー」
とー。

「ーー”これは人生という名のゲームだ”と分かっている状態で、
 人生を始めたら、確実に秩序は崩壊するだろうし、
 好き放題犯罪を楽しむ人間も増えてしまうだろうー。

 だからこそー
 ”人生は一度切り”
 ”死は怖いモノ”として、刷り込んでいるのかもしれないー

”自暴自棄プレイ”ができないようにー

それから数日後ー
いやー
この世界では”時間の流れ”というものも曖昧で
本当に変化がないのだがー

恐らく、”人生”なら数日が経過しているだろうな、という
タイミングで、美羽は再び”次の人生”を遊ぶことにしたー。

”今度はー
 男の人でプレイしようかなー。
 ごく普通のサラリーマンでいっか”

”人生”のプレイ中はー
”金持ちになりたい”と思うことも多いー

しかし、実際に”ここ”に戻ってくるとー
”いろいろなシチュエーションの人生を楽しみたい”という気持ちの方が強くなるー。

「ーーそういえばさ、俺、前回”突然死”したんだよね」

次の”人生”をプレイしようとしている美羽に対して、
別の光の人影ー、美羽と知り合いの光の人影が呟くー

「え?どうしてー?」
美羽だった光の人影の言葉に、相手は少し笑ったような感じで答えたー。

「いや、時々あるんだよ”エラー”。
 人生のプレイ中に”ここのこと”を急に思い出しちゃってさー」

時々ー
”人生”をプレイしている最中にー
”人間”として、この世界のことを思い出してしまうことがあるのだと言うー。

”人生というゲームのバグ”

「ーー思い出しちゃったら、そこで終わりさ」
相手の光の影が笑うー

美羽が「え?」と首を傾げるとー

「ーほら、突然、脳とか心臓が原因で死ぬ人、いるだろ?
 あれ、”この世界のこと”を思い出しちゃったやつが
 ”強制終了”されて、この世界に戻ってるんだよー」

と、相手の光の影は苦笑いしたー。

美羽は「へ~…そうだったんだ」と、呟くと、
「じゃあ…プレイ中は思い出さない方がいいんだねー…
 まぁ…自分でどうにかできる問題じゃないんだろうけど」と、
言葉を口にしたー。

「まぁ、そうだなー…
 あ、悪い悪い、そろそろプレイ開始か?」

相手の言葉に美羽は「うん」と微笑むー

「次は、”サラリーマン男性”としてプレイするよー」

そう、言い放つと、美羽だった光の人影は
カプセルに入りー
記憶を消去され、
巨大な架空世界で、これから生まれる胎児に
憑依させられてー

新たな”人生”をスタートさせたのだったー。

おわり

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コメント

以前、あの世で知る真実を書いた際に
「もう少しこの世界のことを見たい」というお話を
頂いたので、書いてみました!~!

”何もない完璧すぎる世界”なので、
前回からあまり変化はないですが、
こんな感じになりました~!☆

人生を終えた先に、こんな真実が待っていたら…
いいですネ~!

お読みくださりありがとうございました!

コメント

  1. 匿名 より:

    リクエストに応えていただき、ありがとうございました。

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!☆

      リクエスト停止中ではあるのですが
      続編が見たい!のお声は今でも(叶えられるものは)できるだけ…と思っているので
      ちょうど書けそうなお話でしたし、こんな感じで書いてみました!

      少しでもお楽しみ頂けていればうれしいデス!