<憑依>極妹~NEXT~

とある幸せな家庭ー。

しかし、ごく普通の男子高校生だった伊佐夫の
妹・莉桜が、極道組織の妻・恵に憑依されてしまいー…?

※「極妹」の後日談デス!
本編は⇒こちらからご覧ください!

※先に本編をお読みください!

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男子高校生 千賀 伊佐夫(せんが いさお)は、
妹・莉桜(りお)が極道組織の妻・恵に憑依された件から
数か月後の現在ー、
すっかり元の生活に戻っていたー。

だがーー

”「あたしを誘拐して、ただで済むと思わないことね。
 あたしは月憑会会長の妻よ」”

憑依されていた時の莉緒のことを思い出すとー
今でも伊佐夫はドキドキしてしまうー

いつもは穏やかで優しい莉桜のあんな強烈な姿を見てー
伊佐夫はそれが今でも、頭の中から抜けないのだったー

「はぁ~~~…”莉緒さん”…」
伊佐夫は、あの時の
恵に憑依されている”極妻”になっていた莉桜のことを
自分の中で勝手に”莉桜さん”と名付けて、
よく、エッチなことをするオカズにしていたー。

今日も、憑依されていた頃の莉桜のことを思い出す伊佐夫ー。
トイレで”俺は何をしてるんだ…”と自虐的に思いながら
憑依されていた莉桜のことを思い出しながら、
欲望を吐き出したー。

「ふ~~~~」
伊佐夫がトイレから出ると、ちょうど玄関から
学校帰りの莉桜が入ってきたー

「あ、お兄ちゃん!ただいま~!」
莉桜の言葉に、伊佐夫はたった今”憑依されていた妹”を
オカズにしたことの罪悪感から、
「ひっ!?」と声を出してしまうと、
莉桜は「ちょ、ちょっと…どうしたの?」と笑いながら
「わたし、ほら、いつも通りだよ」と、両手を広げて
「憑依されてないよ!」と笑みを浮かべたー。

「ーあ、いや、そういうことじゃなくて、
 き、急に玄関開けて入ってきたからー」
と、適当な言い訳をして見せる伊佐夫ー。

「そ、そうー…ならいいけど」
そう言いながら、莉桜は自分の部屋の方に向かっていくー。

「ーー(ごめんな…莉桜)」
莉桜のことは、今でもとても大切にしているー。
それは、あの一件が起きる前からもそうだし、
あの一件が終わった今も変わらないー。

けれどー
どうしても、あの時の
極妻になった莉桜のことが頭にフラッシュバックしてしまうー

同じ顔ー
同じ声ー
同じ身体ー
それなのにー
まるで別人のようだったー。

人間は”中身”が異なるだけで
あそこまで変わることができてしまうー。
そんな光景を目の当たりにして、
伊佐夫は、良からぬモノに目覚めてしまったのだー。

「ーーーーーふぅ」
部屋に戻った莉桜は、一人ため息をついていたー

”お兄ちゃんがわたしを見る目が変わってしまったー”
莉桜は、そんな風に思っていたー。

きっと、あの時のせいだー。
と、莉桜は思うー。

今でも、兄の伊佐夫は変わらず優しいー。
それは、変わらないー

でもー
日常の中になんとなく”お兄ちゃん”のぎこちない行動が
気になってしまうこともあるし、
”お兄ちゃん”自身、何か気まずそうな、そんな、
やりにくそうな雰囲気を感じるー

「ーーこのままじゃ、イヤだなぁ…」
莉桜はそんな風に思いながら
あれこれ思案していたー。

そしてーー

「ーー!」

・・・・・・・・・・・・・・・・

伊佐夫が部屋へと戻ってくるー。

裏社会の組織との争いに巻き込まれることになるなんて、
あの時までは夢にも思っていなかったー

結局ー
莉桜に憑依した”極妻”恵の夫である
龍山会長はあの件で死亡、
龍山会長が率いていた月憑会も、
敵対組織の刺亜組によって壊滅させられたー。

刺亜組は未だ健在のようではあるものの、
伊佐夫たちとは何の接点もないため、
こうしてまた、幸せな日常が戻ってきていたのだったー。

そんなことを考えていると、部屋がノックされたー

伊佐夫が返事をしようと口を開こうとすると同時にー
莉桜が部屋の中に入ってきたー

「ーーえ?」
伊佐夫が戸惑っているとー
莉桜は突然、伊佐夫をビンタしたー

「あんた、あたしとの約束を忘れたの?」
莉桜が突然そう叫ぶー

伊佐夫は「へ……??」と、戸惑った表情で莉緒のほうを見つめるー。

”こ、、この雰囲気は…まさか…!”

伊佐夫は嬉しそうな顔で
「も、もしかして”莉桜さん”…!?」と叫ぶー。

”莉桜さん”とは、
極妻の恵に憑依されていた間の莉桜のことだー
あの件のあと、伊佐夫が勝手にそう名付けたー

「ーーな~にが莉桜さんよ」
莉桜が怒りの形相で言うー。

「ーーーえ、あ、いや、それは…」
伊佐夫が戸惑っていると、莉桜が伊佐夫の胸倉を掴んだー。

「あんた、あたしとの約束忘れたのかい?」
莉桜の言葉に、伊佐夫は「ひっ!?」と叫びながらも、
忘れもしない、あの時、
莉桜に憑依していた恵が、自分の医療機器を全て取り外してー
自ら”死”を選んだ光景を思い出すー

その時にー

”「妹を、大事にしなよーー」”
と、言われたのだー

「ーお、覚えてるよー。
 莉桜を大事にするー
 そのことは今もーー」

だが、言葉を言い終える前に、再び伊佐夫はビンタされたー

「馬鹿!あんた、気づいてないのかい?
 あんたの妹、あんたがソワソワした変な態度を
 見せてるから、心配してるんだよ!?」

莉桜の言葉に、
伊佐夫は「え…そ、それは…」と、戸惑うー。

伊佐夫はふと、自分のズボンのほうを見つめたー。

極妻に憑依された莉桜を再び目の前にしてー
アレが勃起していたー

莉桜と伊佐夫の目が合うー。
伊佐夫は気まずそうに笑っているー

「ーこのバカ!!!」
莉桜が、伊佐夫のアレを蹴り飛ばすと、
伊佐夫は真っ赤になってその場に転がりまわったー

・・・・・・・・・・・・・・・

しばらくしてー
ようやく伊佐夫が落ち着くと、莉桜はため息をつくー。

「ーー…ったく、男っていうのはー…
 まぁ、あんたの気持ちも仕方ないのかもしれないけどー
 でもさ、妹が戸惑ってるんだからー
 そういうのは我慢して、
 ちゃんとシャキッとしなよ」

莉桜の言葉に、
伊佐夫は「は、、はい…」と、戸惑いながらうなずくー

「まぁ、あたしのこと思い出すのはいいけどさー、
 でも、そういうのは、妹に悟られないようにやりな」

莉桜にそう言われて
伊佐夫は「はいです…」と落ち込んだ様子で呟くー。

「ーー久しぶりにこっちを見に来たらあんたのこのザマだよー」
と、うんざりした様子でため息をつく莉桜に対しー
伊佐夫はしょんぼりとしながら、莉緒のほうを見つめたー

「まぁでも、あんたが妹を本当に大事にしてるのも
 伝わっては来たけどさ…」

莉桜はそう言うと、伊佐夫のほうを見つめたー。
緊張と不安ー
そんな感じの伊佐夫を見て
「ーー最近は元気でやってるの?」と、話を振るー。

伊佐夫は戸惑いながらも
「まぁ…おかげ様で、あの時に無事に、莉桜と一緒に
 逃げることができたし…」と、呟くー。

「ーーそっか」
莉桜はそれだけ言うと、そのまま部屋から立ち去ろうとするー

「ーーあっ!ちょ、どこへ!?」
伊佐夫が言うと、
莉桜は「あんたを叱るためだけに来たんだから、あたしはもう行くよ」と、呟くー。

振り返った莉桜は、伊佐夫のほうを見て、
再び勃起していることに気づきー
「ーーあんた…もう1回蹴られたいの?」と不愉快そうに呟くー

「ひぃっ!!?!?!これは、ちがっ!莉桜が莉桜さんになってるのを
 見て、それで、、それで…」

伊佐夫は顔を真っ赤にしてから意味不明な
苦しい言い訳をするとー
「ーーったく、あの時、あたしらのところに乗り込んできたあんたは
 なかなかいい感じだったのにー」と、莉桜があきれ顔で呟いたー

「ーー…あ、、あ、、あの時は妹を助けようと必死だっただけで…!
 俺ぐらいの年齢の男子はみんなこうだし…!」

伊佐夫が言うと、
莉桜は少しだけ微笑んだー。

「ーーま…そうかもねー。
 そういう風に振る舞えるぐらいの日常の方がー
 いいのかもしれないー」

莉桜はそれだけ言うと、再び
立ち去って行こうとするー。

「ーーも、もう帰るのか…?」
伊佐夫が言うと、莉桜は頷くー。

「ーこんな小娘の身体に居座る気はないしー
 言ったろ?他人の身体を奪うのは
 あたしたちの仁義に反するーって。

 まぁ、思い出して興奮しちゃうのは
 あんたも年頃だから仕方ないのかもしれないけどー
 とにかく、妹の前では、そういうそぶりを見せるのは
 やめな」

莉桜の言葉に、伊佐夫は「わ、、わかったよ…」と呟いたー。

「ーーその言葉が聞ければ、安心だね」
莉桜はため息をついて、そのまま立ち去って行こうとするー。

「あ、待って!」
咄嗟に叫ぶ伊佐夫ー

「-なに?」
振り返る莉桜ー。

「ーあ、、あ、、あ、あの世ってどんなところなのかなぁ~って」
伊佐夫が気になっていたことを言うと、
莉桜はふっと笑ってから「ひ・み・つ」とだけ言って
そのまま部屋の外に立ち去って行ってしまったー。

「ーーーーーー…」
伊佐夫は、ため息をつきながら
「ーーありがとう…」と静かにそう呟いたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

その日の夜ー

親から晩御飯の準備ができたと言われた
伊佐夫は部屋から出て、1階へと向かうー。

同じように呼ばれた莉桜が部屋から
出てきて伊佐夫と目が合うー。

「ーーー」
伊佐夫がつい、莉桜の顔を凝視していると
莉桜は首をかしげながら「どうしたの…?」と呟くー。

「ーー…あ、いや…べ、別に…」
伊佐夫は少し顔を赤らめながら莉桜から目を逸らすー

「ーーえ…?ちょ、ちょっと何?
 なんか変なお兄ちゃん!」
莉桜が苦笑いしながら言うと、
伊佐夫は、莉桜に憑依した恵から言われた言葉を
思い出しながら、
「莉桜ー」と、今一度莉桜のほうを見て呟くー。

「ーーその、俺の態度で嫌な想いさせてたりしたら、ごめんな」
伊佐夫が言うと、
莉桜はきょとんとしながらも、
優しく微笑んだー。

「ーーやっぱ、今日のお兄ちゃん、変なの!」
とー。

「ーーははは」
伊佐夫は、そんな莉緒の返事に、
笑いながら、「さ、晩御飯冷めちゃうし、早く1階に行こうぜ」と、
莉桜に言い放ったー。

そんな言葉に莉桜は
「晩御飯冷めちゃうって、お兄ちゃんが止めたんじゃん!」と
ツッコミを入れるー

「そ、そうだったな~ははは」
笑いながら、今日も仲良く二人、1階に降りていくー。

”ーーーありがとな”
伊佐夫は、そんな風に心の中で呟きながら、
これからも妹の莉桜を大事にしていくことを
改めて決意したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

「そういえばー…」
ふと、伊佐夫は”昨日のこと”を思い出すー。

再び恵に憑依された莉桜ー
突然のことだったため、驚いてしまったし、
すぐに信じ込んでしまったがー

よくよく考えてみると、
あれは本当に”恵”だったのだろうかー。

”莉桜があの時のように憑依されたフリ”をして、
兄である伊佐夫に苦言を呈しただけなのではないかー

そんな風にも思ったー

極妻の恵は、あの時死んだー。

もしも昨日の莉桜が”本当に憑依”されていたのなら
あの世も存在することになるー。

だが、莉桜の演技だった可能性もあるー。

「ーーあ、莉桜」
そんな風に考えていると、莉桜が伊佐夫の部屋にノックして
入ってきたー

要件は”この前貸したボールペンを返してほしい”という要件だったー
伊佐夫が「あ、忘れてたよ、ごめん」と言いながら
ボールペンを返すー。

「ーーなぁ、莉桜ー」

「ーーえ?」

伊佐夫は莉桜のほうをしばらく見てから、
少しだけ笑ってー

”やっぱりーー
 いいかー”

と、心の中で笑みを浮かべたー

「ーーなんでもないー」

昨日の”憑依された莉桜”が
本当に極妻・恵が再び憑依したのだとしてもー
莉桜の演技だったとしてもー

これからも莉桜を大事にしていくー
という気持ちに変わりはないのだからー

「ーー今日も変なお兄ちゃんー」
笑いながら立ち去っていく莉桜を見て、
伊佐夫は”これからもこんなお兄ちゃんだけど、よろしくなー”と
心の中で静かに呟いたー。

おわり

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コメント

2019年に書いた「極妻」の後日談でした~!

元々過去作品の後日談を急に書くことは時々あるのですが
今回は「後日談を見たい」というお声をたまたま頂いたので、
書いてみました!
これからもこの兄妹は仲良く過ごせそうですネ~!

お読みくださりありがとうございました!

※「後日談を見たい!」に必ずお応えできるわけではないので
 ご了承下さいネ~!
 たまたま浮かべば書くかも…?ぐらいデス~!

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憑依<極妹>

コメント

  1. 匿名 より:

    憑依にしろ、入れ替わりにしろ、この話みたいに本物より偽物の方が魅力的に思われるのって、本物にとっては侮辱以外の何物でもないですよね。まあギャップとかでそう感じてしまう気持ちはよく分かるんですけどね。

  2. 匿名 より:

    恵さんにはもう少し妹ちゃんの体を使って引っ掻き回して欲しかったなぁ。
    もしよろしければ続きを見たいのですがダメでしょうか?

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!☆

      これのさらに続き…☆!

      私の中で物語が浮かんでくるか分からないので
      お約束はできませんが、
      覚えてはおきますネ~☆!
      (※書けるかどうかはまだ未定デス~!)