<入れ替わり>お姉ちゃんになりたいな③~成長~(完)

大好きで憧れなお姉ちゃんと入れ替わって
お姉ちゃんの身体をゲットしてから
数週間が経過…

二人の、行く末は…?

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ネットで見つけた入れ替わり薬を
オレンジジュースに混ぜて
大好きな姉・優花里と入れ替わった、弟の俊太ー。

姉を性的な目で見るようになってしまい、
恋愛感情をも抱きー
やんわりと断られてしまった俊太は、
”お姉ちゃんになりたいな”と考えるようになり、
やがて、入れ替わって、お姉ちゃんの身体を
奪ってしまったー

それから、数週間が経過したー

「--は~~~」
優花里(俊太)は部屋で、生足をだらしなく晒して、
面倒臭そうに漫画を読んでいたー。
スナック菓子を食べながら、漫画を読んで笑う優花里(俊太)-

優花里になった俊太は、
最初でこそ、優花里の身体にドキドキしたりー
胸を触ってみたりしたもののー
数日もすると、そのドキドキは無くなってきてー
今では、すっかり、入れ替わる前の生活に戻っていたー

「-----う~ん…」
鏡を見つめる優花里(俊太)ー

しかしー
なんだかー
最近は少しふっくらしてきた感じがするー。

髪も傷んでいてー
いつも、可愛いと思ってドキドキしていた
お姉ちゃんの姿は、そこにはなかったー

髪は傷んでいるしー
なんだか少し太ったしー
表情も、なんだか可愛くないー

「---俊太~?」
俊太になった優花里が部屋に入って来るー

「ちょ!!そんな、だらしなく足を晒して~…
 男の人に襲われちゃうよ?」
俊太(優花里)が苦笑いしながら言うー。

「あんまり無防備なのも、危ないから、家の外では
 ちゃんとしてね」

俊太(優花里)はそう言いながら、
優花里(俊太)の方を見るー

優花里(俊太)は
「女子ってなんだか面倒くさい」と
不貞腐れたように呟くー。

「----」
俊太(優花里)は、もう一つ気がかりなことがあったー。

それはー
もうすぐー
”アレ”の時期だということー

俊太に耐えられるかな…?
と、少し心配に思う俊太(優花里)-

”生理”

俊太の身体には、それが存在しないー。
けれど、優花里の身体には、それが存在するー。

前回の生理は、まだ入れ替わっていない状態だったー

いつもの周期的に考えるのであればー
入れ替わったことで、何か身体が変異したりしていなければー
じきにーー

優花里の症状はー
正直ーー
結構、きついー。

激しい腹痛に襲われたり、頭痛に襲われたりするし、
憂鬱な気持ちになったり、イライラしたりするー

それを、優花里はいつも、周囲に悟られないようにしているー。

身の回りの人に、八つ当たりしても、
得るものはない、と優花里は考えているからー

けれどー

「--僕、、お姉ちゃんにはなれないのかな」
ボソッと、優花里(俊太)が呟いたー

学校では、彼氏の学がサポートしてくれているけれどー
先週、ミニテストがあった際には、点数が大幅に下落したことを
先生に指摘されてしまったー

自分ではー
優花里になることは出来ないー。

それにー

鏡を見つめて優花里(俊太)は悲しそうに呟くー

「僕の大好きなお姉ちゃんが…いなくなっちゃう」
とー。

俊太(優花里)はその言葉が聞こえないふりをしたー

優花里(俊太)は、悲しそうに鏡を見るー

”輝いていたお姉ちゃん”が、
自分のせいで、”輝きを失いつつ”あるー。

表情が暗くなったー
憧れの髪の毛が傷んできたー
顔も、どことなく雰囲気が違うー
体型が少しぽっちゃりしてきた気がするー
成績も落ちたー

優しくもないしー
怠けているだけー

「こんなの…お姉ちゃんじゃない」

部屋で一人になった優花里(俊太)は
一人、涙を流していたー

”お姉ちゃん”は自分自身の身体ー
俊太の身体になって生活しているー

けれどー
見た目が元自分だと、どうしても、
違和感を感じてしまうー

中身がお姉ちゃんなのはわかっていても、
何かー
何か、違うー

俊太は思うー

”見た目”と”中身”はセットだからこそ輝くのだとー。
姉の優花里が輝いていたのは、この身体だからじゃないー
この身体に、お姉ちゃんという中身がいたからこそー
輝いていたのだとー。

俊太になった優花里もそうー。
中身は、お姉ちゃんがお姉ちゃんであったときと
同じように、優しいー

けれど、どこか”不自然”な感じがするー。
優花里になった俊太が、入れ替わる前のように
自然に頼る、ということが出来なくなってしまったし、
学校では、”ちょっと不気味がられている”と
俊太になった優花里から聞かされたー

俊太になった優花里は、
俊太の身体で、優花里の本来の性格ー
”とてもやさしくて親切”な振る舞いを続けているため、
一部のクラスメイトは俊太(優花里)を気味悪く
思っているのだというー。

そして、クラスの女子からは
”ちょっと前までの俊太くんが好きだったな”なんて
言われてしまったー、

と、先日、俊太(優花里)から聞かされたー

優花里(俊太)は部屋で、一人、悲しそうに鏡を見つめるー

”入れ替わったこと”でー
憧れのお姉ちゃんであった優花里の輝きを失わせてしまっただけではなくー
自分の輝きも失ってしまったー。

優花里が、とっても良いお姉ちゃんであることはもちろんだがー
俊太にも、俊太なりの良いところがあったー。

それが、”中身”が入れ替わったことによって、失われてしまったー。

「----僕…どうしよう」
優花里(俊太)はイライラした様子で頭を抱えたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その数日後ー

「--うるさい!」
優花里(俊太)は、俊太(優花里)に物を投げ付けたー。

俊太(優花里)が、元気のない優花里(俊太)を心配して
部屋にやってきたのだー

イライラが止まらないー
いつもなら、カッとならないようなことでも
すぐに、まるで、身体の中で爆弾が爆発するかのように
「イラッ」としてしまうー。

学校でも、些細なことで、彼氏の学に怒ってしまったー

身体中に倦怠感ー
そして、軽い頭痛とお腹のあたりの痛みを感じるー

急に不安になったりー
急に安心感に満たされたりー
何かが、おかしいー

「--風邪かな…?なんなんだろう…」
優花里(俊太)は、部屋の中で不安になっては
突然泣き出したり、突然イライラしては壁に物を投げ付けたー

俊太(優花里)は、そんな優花里(俊太)の様子を
こっそりと覗いて、呟いたー

「--俊太には…辛すぎるかも…」

俊太にとっては、あのような経験は初めてだろうー。
いや、まだ生理なんて、知らないかもしれないー。

俊太は風邪と思ってるかもしれないー。

俊太(優花里)はため息をついて、
”また怒られるかも”と思いつつ、優花里(俊太)のいる部屋に入ったー

そして、”生理”について、俊太でも理解できるように
シンプルに説明したー

「--そ、、そんなの…あるの?」
優花里(俊太)が戸惑いながら言うー。

俊太(優花里)がうなずくー。

「--な、、なんか、、だって、、もう…
 なんか、わけわかんないよ…

 急にむかって、するし、
 なんか、、こう…」

イライラと不安ー
今まで感じたことのない感覚に支配されて
優花里(俊太)は戸惑うー。

大好きなお姉ちゃんになりたいー
そんな思いは、いつの間にか消えてー
優花里(俊太)は、泣きながら全てを自白したー

”お姉ちゃんと入れ替わりたい”
そう思ってー
入れ替わり薬を購入したことー。

このままずっと戻らず、自分がお姉ちゃんになろうとしていたことー

オレンジジュースに入れ替わり薬を仕込んだことー
全てを、自白したー

「お姉ちゃんのこと…なんか、その、エッチな目で見るようになって…
 ぼく、、、ぼく…」
優花里の身体で泣きじゃくる俊太ー

最初はお姉ちゃんになって生活していこうと思っていたー

けど、それはできなかったー

「僕じゃ…僕じゃ、だめだよ…
 お姉ちゃんの身体、太ってきちゃったし…
 髪も、、表情も…成績も…

 ボクじゃ、、僕じゃお姉ちゃんになんかなれないんだ」

優花里(俊太)は泣きながら言うー。

「--お姉ちゃん、本当に、、本当に、凄いんだね…
 僕じゃ…僕じゃ、無理だよ…」

優花里になってみて、初めて分かったー
優花里は、いつもニコニコしていて優しいけれどー
その裏では、本当にたくさんの努力をー
数えきれないほどの努力をしているのだとー

”綺麗なお姉ちゃん”は努力の上で成り立っているのだとー。

そしてー
こんなに辛い”生理”の期間中でもー
”お姉ちゃん”は、いつも自分には優しかったー

きっとお姉ちゃんもイライラしていたんだろうしー
きっとお姉ちゃんも不安だったんだろうしー

でも、そんなこと、全然わからなかったー

俊太はそんな風に思いながら、
「僕のせいで…」と、何度も何度も謝罪の言葉を口にしたー。

俊太(優花里)はその言葉を聞き終えると、
静かに微笑んだー。

「元に戻りたい?」
とー。

「--無理だよ」
優花里(俊太)は頭を抱えたまま呟くー。

そうー
もう”無理”なのだー

俊太が入れ替わり薬を手に入れたサイトは
あの後既に閉鎖されていて、入れ替わり薬は、もう、ないー。

「---もう、ないんだよ…お姉ちゃん」
優花里(俊太)が言うと、
俊太(優花里)はほほ笑んだー。

「--あるよ」
とー。

「---え?」
俊太(優花里)に言われて、
優花里(俊太)は戸惑いながら、俊太(優花里)についていくー。

そしてー
俊太(優花里)は冷凍庫の奥底から
何かを取り出したー。

普段、優花里(俊太)は、冷凍庫の奥底まで
わざわざ見ないから、気づかなかったー

俊太(優花里)が取り出したのはー
凍ったオレンジ色の物体ー。

それは、あの日のオレンジジュース。
”入れ替わり薬を混ぜたオレンジジュースを冷凍したもの”だったー。

「--え…」
優花里(俊太)が驚くー。

俊太(優花里)が笑うー。

「ごめんね俊太ー。
 わたし、最初から、俊太がわたしと入れ替わろうとしてたこと、気づいてたの」
俊太(優花里)が笑うー。

入れ替わる少し前ー
リビングで俊太がスマホを置いたままトイレに行った際に、
優花里は俊太のスマホを偶然見てしまい
”入れ替わり薬”のことを知ったー。
それからの俊太の言動から、
”俊太がわたしと入れ替わろうとしている”ことに優花里は気づいたー

最初は止めようと思ったけれどー
あえて、優花里は一度俊太の思い通りにさせて、
俊太が自分から元に戻りたい、と思ってくれるまで待つことにしたー。

”弟が、色々なことを学んで成長してくれることを願って”

「---ーー!」
優花里(俊太)は、入れ替わった日ー、
俊太(優花里)が先に目を覚ましていたことを思い出すー。

そして、さらにあの時の光景を思い出すー

俊太はそんな風に思いながら、姉の優花里の方を見ると、
オレンジジュースを半分ほど飲んだ
優花里も、めまいを感じているのか、既に頭のあたりを抑えながら、
辛そうにしていたー

姉の優花里は、半分しか
”入れ替わり薬入りのオレンジジュース”を飲んでいなかったー。

あえて半分しか飲まなかった優花里ー。

その結果、”先に”目を覚ましー、
優花里になった俊太が、目を覚ます前に、
残りのオレンジジュースを、俊太(優花里)は冷凍しておいたのだー。

「---入れ替わり薬のサイトに確認して
 冷凍保存も大丈夫なこと、飲むのは少量でも大丈夫なことも
 確認しておいたの」

俊太(優花里)の言葉に、
優花里(俊太)は
「はは…お姉ちゃんは全部、お見通しなんだね…
 やっぱすごいや…」と、微笑んだー。

「--お父さんとお母さんにも、先に話してあったしー
 あと、学にもー」

「---えっ!?」
優花里(俊太)は唖然としたー。

両親にも、優花里が先に説明していたのだというー
さらには、優花里の彼氏・学にもー。

学が、妙に優花里(俊太)に、
学校の教室の位置を教えてくれたり、
トイレの間違いを指摘してくれたりしていたのは、
”事情”を知っていたからー。

優花里(俊太)は笑ったー

「お姉ちゃんにはかなわないやー。

 僕じゃお姉ちゃんにはなれないー。
 お姉ちゃんの身体は、中身がお姉ちゃんだからこそ、
 輝くんだねー」

その言葉に、俊太(優花里)も笑ったー

「-俊太も、俊太の身体だからこそ、輝くんだよ」
とー。

二人は、冷凍されたオレンジジュースを解凍してー
それを、静かに飲み干したー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

元に戻ったふたりー

俊太は「お姉ちゃんの身体…太っちゃった…」と
色々心配していたー。

成績も悪化ー
髪は傷みー
少し太りー
事情を知らない友達たちは、優花里を変な目で見ていたー

だがー
そんな心配はいらなかったー

優花里は、あっという間に
体重は元通り、髪もさらさら、友達との人間関係も、成績も
元の優花里に戻ってしまったー

「---やっぱ、、すごいや」
そんな優花里を見て、俊太はそう微笑みながらー

やっぱりー
”お姉ちゃんになりたいな”
と、静かに呟いたー

優花里そのものになるのではなく、
”お姉ちゃんみたいに”
立派な人に、なりたいなー、

とー。

「--いいや、なってみせる」
俊太はそう呟くと、晴れ晴れとした表情で
今日も、中学に向かうのだったー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

ハッピーエンドの入れ替わりモノでした~!

①の時点から、お姉ちゃんは
入れ替わり薬入りのオレンジジュースを半分残したり、
ちゃんと、先のことまで考えて対応していたのですネ~☆!

お読み下さりありがとうございました!

コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    記憶を取り入れられる話にすれば完全に成り済ませる話にできたのに残念な話となり⤵︎(ノД`)。ハッピーエンドでも完全に成りすまして欲しかったです

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントありがとうございます~!

    今回はなりすましの入れ替わりモノではなかったので…!

    また、次の入れ替わりモノを楽しみにしていてくださいネ~!

  3. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    なんか「1年後の美貌」に近い結末でしたね。
    あの話と違って元に戻れてる分こっちの方がハッピーエンドですけど。

    全部お姉ちゃんの手の平の上だったんですね。

    確かに内面から出る魅力とかは本人にしか出せないと思いますが、太ったりして容姿が劣化したのは単純に俊太の努力とかの不足としか言いようがない気がしますね。何もしなくても容姿が保てるとか思ってたんですかね? 

    俊太は中1みたいですけど、精神年齢は小学生か、あるいは幼稚園児レベルみたいですよね。色々想像力が足りてません。

    それにしてもお姉ちゃん、冷凍しても大丈夫とか、少量でもいいとかサイトで確認したのはいいですが、そんな怪しげなサイトの言うことを鵜呑みにするのは迂闊すぎじゃないですかね?

    お姉ちゃん的には元に戻れる確証があったから弟の成長のためにしばらく体を貸してあげたみたいな感覚だったんでしょうけど、

    下手したら冷凍した結果、薬の成分が駄目になって元に戻れなくなった、みたいな展開だって十分あり得たでしょうに。

    それにしても、もし優花里が弟が入れ替わろうとしてることに事前に気づかなかったら、元に戻ることが出来なくなったでしょうから、かなり危ういとこでしたね。

    弟が使った手段が入れ替わり薬だったのも幸運でしたね。もし憑依薬(二度と元に戻れないタイプの)だったら、バッドエンド一直線ですよね。

  4. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントありがとうございます~!

    1年後の美貌に確かに近い感じでしたネ~!
    こちらは色々危ういところもありましたが
    最後は、うまく収まりました!

    弟が使う手段が戻れそうにないものなら、
    実行される前にお姉ちゃんは止めていたでしょうネ~笑

    ちなみに、お姉ちゃんが怪しげなサイトのことを信じた理由は、
    弟が入れ替わり薬を使い、サイトで説明されている通りに、
    実際に入れ替わったため、入れ替わり以外の部分も
    全部本当の可能性が高い、と優花里が判断したためでした!