姉のことが大好きな弟は、
次第に”お姉ちゃんになりたい”と
考え始めるようになってー…?
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姉・優花里(ゆかり)と、
弟・俊太(しゅんた)は、大の仲良しだったー。
優花里は高2で、
俊太は中1ー
「--お姉ちゃんのおかげで分かった!本当にありがとう!」
俊太が言うと、優花里は、「どういたしまして」とほほ笑んだー。
優花里は、弟思いでとても心優しい性格ー。
弟の俊太から見ても”可愛い”と思ってしまうような容姿の持ち主で
性格も真面目で優しいためにー
高校でもクラスの友達から頼りにされているのだというー。
最近、学(まなぶ)という彼氏も出来たのだとかー。
彼氏の学とも、弟の俊太は一度だけ会ったことがあるがー
とても真面目そうな男子高校生だったー。
「--それにしても、俊太がもう中学なんて、早いなぁ~
ちょっと前まで、こ~んなに小さかったのに」
優花里が笑いながら言うと、
俊太も「お姉ちゃんだって、大きくなったじゃん!
ちょっとまで、こんなだったのに」と、言葉を返したー。
「ふふ、まぁ、そうかもね」
優花里が笑うー。
「--ーー」
机の上に置いてある鏡越しに、姉・優花里の顔を見つめる俊太ー。
優花里は見つめられているとも知らずに、雑談をしているー。
「---(かわいいなぁ…お姉ちゃん…)」
弟の俊太は心の中でドキドキしていたー。
昔から、姉の優花里と弟の俊太は仲良しだったー。
しかしー
それはあくまでも”姉”と”弟”としての関係であり、
それ以上でも、それ以下でもないー。
だがーー
最近になって、俊太に異変が生じたー
俊太の年頃ー
最近になって、俊太は異性を意識するようになったー
それが早いのか、遅いのかは分からないがー
女子を見ていると、今まで抱いたことのないような
感情を抱くようになったー
そしてーーー
”お姉ちゃん…ホント可愛いなぁ・・・”
姉である優花里のことを”異性”として
見るようになってしまったのだったー
”好き”
異性としての恋愛感情が
姉の優花里に対して芽生えてしまったー。
優花里は、弟の俊太に対して
物凄く親切で優しいけれどー
彼氏もいるし、おそらく恋愛感情というものは
全く存在しないー
いや、想像すらしていないのだろうー。
けれどー
俊太からすれば、姉の優花里に彼氏ができた、
ということは強いショックだったー。
ショックだけでは済まないー
その”彼氏”とやらに激しく嫉妬したー。
ちょうど、思春期の感情が芽生え始めたタイミングで、
大好きなお姉ちゃんに彼氏ができた、という事実は、
俊太に強いショックを与えー
そして、結果的に、俊太を歪めてしまったー
「---」
制服姿の優花里が立ち上がるー
「じゃあ、わたしもテストが近いから勉強頑張るね」
と、笑いながら、立ち去ろうするー
制服姿の”お姉ちゃん”を見るだけで
胸が締め付けられそうになる俊太ー
ふわっ、と優花里の香りが漂ってきてー
俊太はそれだけでもドキドキしてしまうー
「---なんか、赤くない?大丈夫?」
優花里が、自然な様子で、俊太に熱がないかどうかを確認するー
優花里に触られてドキドキが止まらなくなってしまう俊太ー
「熱はないみたいね!よかった!」
優花里はにっこり微笑むと、そのまま部屋の外に立ち去って行ったー
もうー
我慢できないー
俊太はここのところ、夜になると部屋で、
姉の優花里を想像しながらヤるようになってしまったー。
「--うっ…お姉ちゃん…」
俊太は、感情を抑えられなくなりー
翌日ー
優花里に告白してしまったー
「---え?」
優花里が驚くー
「--ぼ、、僕ーー
お姉ちゃんのことが、好きなんだー」
俊太が叫ぶー。
「--ふふ、わたしも好きだよ」
優花里が微笑むー
”意味”が通じていないー
俊太はそう思ったー
”弟から恋愛感情を抱かれる”などと
夢にも思っていない優花里は、
”お姉ちゃんとして好き”の意味だと勘違いしているー
「そーーーその、、その…
ぼ、、僕、、僕、、お姉ちゃんのこと…
その、、、彼女にしたいー」
俊太が顔を真っ赤にしながら叫ぶと、
優花里はさすがに驚いたのか「えっ!?!?」と声を上げたー
けれどー
優花里は怒らなかったー
俊太の頭をポンポンと撫でて
「ありがとー」
と、微笑んだー。
「でもね、わたしと俊太は、姉弟だからー…
彼女と彼氏にはなれないよ。
ごめんね」
優花里が優しく微笑むー。
「--でも、お姉ちゃんはずっと、俊太の味方だから
これからも仲良くしようね」
優しく言う優花里ー。
優花里はさらに”俊太にも、わたしなんかよりもっと可愛い子が見つかるから”
と、俊太を励ましたー
「うんーー」
俊太は、泣きそうになりながら頷いたー
優花里が立ち去っていくー
「でもね、わたしと俊太は、姉弟だからー…
彼女と彼氏にはなれないよ。
ごめんね」
優花里の言葉は優しかったー
けどー
俊太の心は砕かれてしまったー
”お姉ちゃんの…彼氏になれない…”
そう思ってしまった俊太は
激しく落ち込みー
そしてーーー
別の歪んだ考えを生み出してしまったー
それはーー
”お姉ちゃんになりたい”
という、考えー。
その日から、俊太は
姉の優花里に、自分が”なる”夢を何度も何度も
見るようになったー
夢の中で、姉の優花里になって
優花里として優しく振舞っている自分ー。
優花里になって何がしたいのかー。
優花里になって変なことをしたいー
わけではないー
悪事を働きたいわけでもないー
ただ、
お姉ちゃんが好きすぎて、お姉ちゃんになりたいー
その一心だけが、俊太を支配していたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”お姉ちゃんになる方法”
”お姉ちゃんになりたいな”
「------」
俊太はそんな風に連日、ネットで検索するようになっていた。
姉の優花里から”振られて”以降、
俊太は”お姉ちゃんになりたい”と思うようになったー
憧れのお姉ちゃんになりたい、
とー。
姉の優花里はあの”告白”の日以降も、
普通に接してくれていて、
特に避けられているような様子もなければ
嫌われてしまったような様子もないー
”いつも通り”の接し方ー。
しかしー
優花里から普通に接されれば接されるほど
俊太の中の気持ちは膨らんでいくー
”お姉ちゃんになる方法”
何度も何度もネットで検索を繰り返しー
検索結果の隅々までー
サイトを見つめていくー
「----!!」
”お姉ちゃんと身体を交換できちゃう”
「---え」
そんな文章が目に入ったー。
あなたの
大好きな家族ー
大好きな親友ー
大好きな恋人ー
大好きなお姉ちゃんー
大好きなお兄ちゃんー
一方通行のあの子ー
誰が相手でも”身体を入れ替えることが出来る”
そんな、夢のようなアイテムを販売している
サイトを、俊太は見つけてしまったのだー
「--……」
”入れ替わり薬”
相手と自分が、同時にその薬を飲むことで
互いの身体を入れ替えてしまうことが出来るー。
これがあればー
俊太は姉の優花里になることが出来るー。
俊太は、それを見て、笑みを浮かべずにはいられなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俊太は、”別のモノ”を買おうとして、
貯金していたお金を全て使いー
”入れ替わり薬”をこっそりと購入したー
これさえあればー
俊太は
”あこれがの優花里”の姿を思い浮かべるー
可愛くてー
優しくてー
頭も良くてー
何でもできる”お姉ちゃん”
そんなお姉ちゃんに、なりたい、という思いが
日に日に強くなってしまうー。
今や、俊太は姉・優花里のことを
完全に性的な目で見るようになってしまっていたー。
「---お姉ちゃん」
俊太は、姉の優花里の部屋をノックしたー。
”は~い”と、中から優花里が返事をするー。
俊太の両手には、オレンジジュース。
オレンジジュースの中に
”入れ替わり薬”を混ぜてあるー
ゴクリー
部屋に入る俊太ー
優花里は、今日も穏やかな雰囲気で、俊太の方を見てほほ笑んだー。
学校から帰ったばかりだからだろうかー。
まだ制服姿の優花里を見て、ドキドキしてしまうー
”お姉ちゃん”としてだけではなくー
”好きな女子”として、見てしまうー
それが、いけないことだと分かっていても、
自分を抑えることができないー。
「お姉ちゃん…」
オレンジジュースを入れたコップを2つ、持ちながら
俊太は、優花里の方に近づいていくー
「え?」
優花里が、不思議そうに俊太の方を見つめると、
「--あ、いや、いつも勉強お疲れ様って」
と、俊太は咄嗟に理由をつけて、オレンジジュースを
優花里の方に差し出した。
「--ありがと!」
優花里が優しく笑いながらオレンジジュースを手に取るー
心臓のバクバクが止まらないー。
”飲んで”
”飲んでー”
”それを、飲んで”
”僕がお姉ちゃんになりたいー”
喉が詰まりそうなほどに緊張する俊太ー
俊太が優花里になったらー
俊太になった”お姉ちゃん”をたっぷりと愛でてあげるー
お姉ちゃんはきっとー
入れ替わってしまったら、
”仕方ないね…”と笑って受け入れてくれるー
”僕は憧れのお姉ちゃんとして…
僕になったお姉ちゃんを守るんだ…”
歪んだ感情が膨れ上がっていくー。
「---」
優花里がオレンジジュースを口にしたー
俊太は目を見開くー
「--やった!」
思わずそう叫びながら、俊太も、
自分のために用意した”入れ替わり薬”を盛った
オレンジジュースを口にするー
「---うっ…」
飲み終えた直後、俊太は突然のめまいを感じるー
「--!」
”これが、入れ替わり薬の効果”
俊太はそんな風に思いながら、姉の優花里の方を見ると、
オレンジジュースを半分ほど飲んだ
優花里も、めまいを感じているのか、既に頭のあたりを抑えながら、
辛そうにしていたー
”お姉ちゃんになりたい”
”お姉ちゃんになりたいー”
”お姉ちゃんになりたいーー”
俊太は、それだけを想いながら、意識を失ったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--うっ…」
俊太が目を覚ますー。
”はっ”
どうなったー!?
と、思いながら、慌てて起き上がると、
足のあたりや
首筋のあたりに違和感を感じたー
長い髪の感触ー
スカートの感触ー
そして、胸ー
「うっ…ふあああああああっ!?」
目を覚ました俊太はー
憧れのお姉ちゃんである優花里になっていたー
「--うっ…うっ…あああああああああああああっ!!!」
語学力をも失い、鏡の前で、
優花里になった自分を見つめる俊太ー。
「あっ…あっ…あっ」
みるみる顔が真っ赤になっていく優花里の姿を見てー
優花里(俊太)は思わず
「あぁ…お姉ちゃん…そ、そんな顔しないで…」と、
今の自分の姿を見て、自分で恥ずかしくなってしまうー。
「--あっ♡」
真っ赤になるぐらいに赤面してしまう
優花里の身体ー
「--って…!」
優花里(俊太)は慌てた様子で振り返るー。
自分がお姉ちゃんになったということはー
お姉ちゃんは、僕になったはずだー
と、思いながらー
だがー
部屋には、俊太の身体はなかったー。
「えーー…!?」
”僕の身体はどこに!?”と
一瞬不安に思ったがー
そんな心配はなかったー。
扉が開きー
俊太(優花里)が部屋に入って来るー。
「---あ…起きたんだ?」
俊太(優花里)が不安そうな表情を浮かべながら言うー。
「--え、、えっとね…わたしと、俊太ー…
入れ替わっちゃったみたい…」
事情を知らないであろう俊太(優花里)は
戸惑った様子で呟いたー
「あ、、ぅ…うん」
優花里(俊太)は、わざと驚いたような演技をしながら、そう返事をしたー。
先に目を覚ましていた俊太(優花里)は、
「--ま、、まず、落ち着いて…」と、優花里(俊太)に言うと、
部屋に座ってため息をつくー。
「-なんか…わたしたち、入れ替わっちゃったみたいなんだけどー」
そう説明する俊太(優花里)を見ながらー
優花里になった俊太は、笑みを浮かべた-
”そんなことわかってるよ お姉ちゃんー。
僕が仕組んだんだからー”
そうは、思いながらも、
優花里(俊太)は、俊太になった優花里の話をちゃんと聞いてー
笑みを浮かべて頷いたー
”微笑んで頷くお姉ちゃんもかわいい…!
これからは僕が…僕が… うあああ”
途中から、俊太になった優花里の話など耳にも入らず、
俊太は”お姉ちゃんになれた”喜びをかみしめていたー
②へ続く
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コメント
お姉ちゃんが大好きな弟と、お姉ちゃんの入れ替わり…!
不穏な方向に進まないことを祈るばかり…!?
今日もありがとうございました!!
コメント
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ここの作品って親兄弟とかにロクなのがいない話が多いですよね。
この話も大抵ハッピーエンドにはならなそうですけど、最終的にどうなるのか楽しみです。
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コメントありがとうございます~!
身近な人間からの憑依や入れ替わりを起こすとなると
そういう人が必要になるので、
性格が悪い家族キャラが生まれます!笑