<男体化>再会した幼馴染は男になっていた!?(後編)

再会した幼馴染は、”男”になっていたー。

何故、男になっているのかー
何があったのかー。

不思議な再会の物語、後編…!

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久しぶりに再会した幼馴染の穂希が
男になっていたー。

穂希は、厚善が東京に行っている間に
男体化しー、
それから既に5年以上が経過していたー

今では穂希は”男として振舞うほうが自然体”という
状況になってしまっていて、
厚善と一緒にいても、なんだか居心地が悪そうだったー

「あのさ……これからもー
 ”仲良く”してくれるー?

 昔のようにー」

昨日、穂希から言われた言葉を思い出すー。
頭の中では、”穂希は穂希”だと理解していても、
気持の整理が追い付かないー。

「---穂希は…女だって男だって…
 穂希だ…」

厚善は自分に言い聞かせるように呟くー

けれどー
やっぱり、それをまだ、受け入れることができなかったー

地元の友人・美智雄が今日も手伝い兼遊びにやってきていたー。

「--驚いただろ?」
美智雄が言う。

厚善は「あぁ…驚いたよ」と、呟くー

その顔色は、優れないー。

「だよ…な」
美智雄が、厚善の心情を読み取ったのか
神妙な面持ちで呟くー。

「--ーー美智雄は、知ってるのか?」
厚善が尋ねるー。

昨日、穂希は結局最後まで
”自分が男になった理由”を話してはくれなかったー。

どうして、穂希は男になってしまったのだろうー。

もし、穂希が自らそう望んで、
そうしているのであれば、厚善も前向きに
それを受け入れようと思うー。

けれど、そうじゃないのであればー

「-----ーーー事故だよ」
美智雄は呟いた。

「--事故?」

「--ああ」
美智雄は、目を閉じて、当時を思い出すようにしながら呟いたー。

穂希が中学生になったあとー、
穂希は”事故”に巻き込まれたのだというー。

かなりの重体ー。

そんな穂希を助けるために、
病院はあらゆる手を尽くしたー。

そしてー
事故で損傷した臓器をー
”臓器移植”により補ったー。

最新鋭の、特殊な技術が用いられた、と
美智雄は聞いているらしいー。

「--でもよ、あいつ、手術後から
 みるみる身体が”男”になっていってさ」
美智雄は言うー

”穂希には、男の臓器が移植された”のだとー。

そして、その臓器が何らかの作用を起こし、
穂希の身体を
”元々の持ち主と同じ性別”に作り替えてしまったのではないかー、
とー。

「--あいつは、今でも月1回病院に通ってるけど、
 結局、男のままー」

美智雄の言葉に、
厚善は首を振ったー

「--じゃ、穂希は、男になりたくてなったってわけじゃないんだな…」
厚善が言う。

「--まぁな」
美智雄はそう呟きながら、厚善の部屋に飾られている
小さい頃の厚善と穂希の写真を見つめたー。

「-最初は上村も泣いてたんだけどさ…
 でも、なんていうか、最近はもうすっかり男になったっていうか…
 一緒にいると、元々女の子だったことなんて
 忘れちまうぐらいに男になったんだよなぁ…

 やっぱ人間、慣れだぜ」

美智雄がそう言うと、
厚善は「そっか…」と呟いたー。

きっと、自分が北海道を離れている間に
穂希は、色々なことに葛藤したのだろう。

いきなり男になってしまえば、
全く戸惑わない女子なんていないと思うー。

でもー
5年以上の月日の中で、
その変化を、自分の中でなんとか受け入れて
今に至るー
そういうことなのだろうー。

「---でもまぁ…」
美智雄は呟いたー

「--お前が戻ってきたことでー、
 上村のやつー
 きっと、揺らいでるだろうな…」

美智雄はそれだけ言うと、
すぐに厚善の方を見て
「あ、いや、お前が悪いとかじゃなくってな。
 お前の前では、あいつも女の子でいたいかもしれねぇなって」
と、厚善をフォローしたー。

確かにー
昨日、再会した際には、
自分が男として振舞うべきかどうか、迷っているような
素振りも見られたー

きっと、穂希にも色々な葛藤が
あったのだろう。

けれどもー
それを乗り越えて、受け入れて、男として
生きて行こうと、
そうしているような素振りだったように思えるー。

「ーーー俺が戻ってきたことで…揺らいでいる…か」

美智雄が帰宅したあとに、厚善は一人、
整理整頓を終えた自分の新居で、そう呟いたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

厚善の大学初日を迎えるー。
ちらほらと、小さいころに見たことのあるような顔も
いるにはいたが、
さすがに大学、ということもあり、
散り散りになっていたのか
”周囲に知り合いばかり”という状況ではなかったー

「--穂希!」
厚善は、大学内で穂希を見かけると、
穂希に声を掛けたー。

「---あ…、、、」
穂希は、複雑そうな表情を浮かべるー

厚善は「そんな顔するなって!」とほほ笑むと、
そのまま穂希と一緒に大学の食堂に向かったー

食堂を厚善に軽く案内する穂希ー。

穂希と同じ大学を狙ったわけではなかったのだが…ー
穂希も、厚善が行こうとしている大学に通っていると聞き、
こうして、一緒になったのだったー。

「----…俺、、、あ、、いや、ううん…わたし…」
穂希がそう呟くと、
厚善は、少しだけ寂しそうな表情をしてから呟いたー

「無理しなくていいよ」
厚善が微笑むー

「--あ、べ、、別におれ、無理なんか!」
穂希はそこまで叫んでからー

「--わ、、わたし…」
と、首を振るー。

「--穂希は…
 今、どう思ってるんだ?」
厚善が優しく尋ねるー。

穂希は、少し考えてからー

「最初はイヤだったけど、5年以上も男として過ごすと
 やっぱり…もう、、なんていうか、この方が自然…かな」

と呟くー。

「--女として振舞うことに違和感を感じるし、
 …ふと気づくと、自然と男として振舞ってる…

 そんな感じ」

穂希の言葉に
厚善は「そっか」と答えるー。

「--でも…厚善には嫌われたくないからー…
 だからーー
 厚善の前ではーー」

「--嫌わないよ」
厚善は笑うー。

「-親友でも、彼女でも、両方でも、
 奥さんでも、夫でも、パートナーでも、
 穂希と一緒にいられるなら、なんだっていい」

厚善は言ったー

「性別なんかどっちでもいいさ。
 俺はこうして、穂希と再会できてうれしいしー

 もちろん、最初は戸惑ったけどー
 ゆっくり自分なりに色々考えてみたんだー。

 穂希はどんなになっても穂希だしー
 性別がどうこうよりも、俺は、穂希にあえて嬉しいー」

とー。

厚善の言葉に穂希は「厚善…」と呟いたー

「--だから、無理なんてしなくていいー
 穂希が男として振舞うほうが自然に感じるなら
 全然それでいいと思うし、
 どうしても俺の前では女子として振舞いたいなら
 それでいいと思う。

 どっちでも俺は穂希のことを嫌いになったりなんかしないし、
 彼女でも彼氏でも妻でも夫でも、なんでもこいって感じだよ」

厚善がそこまで言うと、
穂希は笑ったー

「---ふふふふ…ありがとう」
穂希はそれだけ言うと、厚善の方を見て
にこっと笑うー

「でもさーーー
 夫とか妻って…
 なんか、遠回しにプロポーズされてるみたい」

穂希が微笑むー。

「--えっ!」
厚善は顔を真っ赤にするー

別にそういうつもりで言ったわけではなかったー。
つい、熱くなってしまい、
感情に任せて色々な言葉を口から
出してしまっただけだー

「あ、いや、これは、モノのたとえで」
厚善が慌てて言うと、穂希は「嬉しいよ」とだけ
呟いて、にっこりと笑ったー。

厚善はー
穂希との日々を過ごすー。
最初は”幼馴染が男になっていた”という事実に
驚いたものの、今は自然とそれを受け入れることが出来ているー

穂希の行動を見ていると
”やっぱり今の穂希は男として振舞うことが自然”に
なっていると感じるー

そしてーー
ある日ーーー

「---……ダメ…?」
穂希に呼び出された厚善は、穂希に告白されたー

北海道に戻って3カ月が経過した時のことだったー

「----」
厚善は穂希の方を真剣な表情で見つめるー。

「--俺にとって、穂希は、穂希だー
 小さい頃も、今もー
 それは、変わらない」
厚善は呟くー

「--最初は戸惑ったけどさー」
厚善が苦笑いすると、
穂希は「俺も最初は戸惑ったさ」と呟くー。

もうー
穂希から”女”としての振る舞いは
ほとんど見られないー

厚善がいない間に、
穂希は、心も男になったーー
のかもしれない。

どんな葛藤があったのかは分からないし、
穂希の心の奥底までは分からないー

けれどー
”女子”として振舞っている穂希のほうがー
今はとてもつらそうに見えるー。

「---それでも、やっぱ俺…
 厚善のことが、好きなんだ」
穂希の言葉に、
厚善は、少しだけ笑うと、
真剣な表情で穂希を見つめたー

「---きっと、笑われるー」
とー。

「--」
穂希が表情を暗くするー。

「---この世界はー
 そういう世界だからー。

 俺と穂希が付き合ってー
 将来、一緒になったりしたらー
 きっと、笑う人もいるー
 いや、もっとひどい反応をする人もいるー」

厚善の言葉に
穂希は苦笑いするー

「はは、だよな…」
とー。

「----ごめんな 
 変なことしてー
 これからも、親友でー」

穂希がそう言いかけたその時ー
厚善が有無を言わさず近づいてきて
穂希を抱きしめて、そしてキスをしたーー

その場面を目撃していた何人かの大学生が
指をさして笑うー。

「--いっぱい笑われるー
 --いっぱい馬鹿にされるー

 でも、俺はその覚悟はできてるー
 穂希を守るしー
 どんなに笑われても、俺は穂希を
 それ以上に幸せにしてみせるー」

「---あ、、厚善…」
男になった穂希が顔を真っ赤にしながら言うと、
厚善は離れたー。

「---やっと穂希と恋人になれた」
厚善が微笑むと、
嬉しそうに穂希も微笑んだー。

周囲は笑っているー

だが、笑いたければ笑えばいいー

厚善は堂々と穂希と手をつなぎー
笑っている人たちの前を堂々と通り抜けたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

付き合っている相手が男だろうとー
付き合っている相手が女だろうとー

好きなものは、好きー

厚善は、穂希が好きだったー
だからこそ、穂希が男になっていたことも受け入れて、
そして、同棲生活を始めたのだった

親友の美智雄も「あいつは、お前がいて、本当によかったよな」と
二人を祝福されたー。

厚善は、家族や友人たちに
”好きなやつが、男だった”と単刀直入に説明しー
今では、家族や友達にも受け入れられているー。

家族には、相手が”穂希”であることは
まだ打ち明けていないー

穂希が
”女から男になった、はさすがに普通の人じゃ理解しがたいだろ?”と
言ってたので、厚善も「確かにそうだな」と、
直接家族に会うタイミングで説明するつもりでいたー。

電話やLINEじゃー
穂希の現状を説明するには難しいー

まだまだ課題はあるがー
それでもー

厚善はーーー

ガチャー

「ただいま」
厚善が、微笑みながら穂希の待つ家に帰るとー
そこにはーーーー

「--え」

厚善が驚くー

「----どうしよう…?」
穂希が振り返るー

そこにはーー
ジャージ姿のまま
”女体化”した穂希の姿があったー

「--俺、女に戻っちゃった…」
穂希が言うー。

「---え、えぇっ!?」
唖然とする厚善ー

「--俺、今更女っぽく振舞えって言われても…
 ちょっと、、もう無理かも…
 どうすりゃいいんだよ…」

長くなった黒髪をぐしゃぐしゃとかきむしりながらー
5年以上ぶりに女に戻ってしまった穂希は
困惑した様子でそう呟いたー

厚善もー
さすがにどんな言葉をかけて良いのか分からず困惑しー
その場に立ち尽くしたー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

私が書くのはとても珍しい
男体化のお話でした~(2、3作品目ぐらいだったはず…デス!)

普段慣れないジャンルなので、難しい部分もありましたが
ひとまず書き終えることができて、安心しました!

お読み下さりありがとうございました~!

コメント

  1. 匿名 より:

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    こういうオチですか。本人戻って困惑してるけど、またそのうち慣れそうだから別に問題ないんじゃないですかね?

    それにしても個人的には穂希が女体化(元に戻る)オチより今度は厚善が女体化する展開とかが見てみたかったかな?

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントありがとうございます~!

    確かに、そのうち慣れそうな感じはしますネ…笑

    女体化展開…!
    それも面白そうでしたネ~!