西暦2350年ー
人類を取り巻く環境は大きく変わっていたー。
人類存続のみを考える国際組織により、
優秀な頭脳を劣る人間に憑依させる”頭脳の選別”が行われていたー。
憑依X近未来Xディストピア小説!
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西暦2350年ー。
人類を取り巻く環境は大きく変わっていたー。
2100年頃からー
人類は深刻な危機を迎えていたー
食糧問題ー
貧困格差の拡大ー
環境汚染による地球環境の激変ー
そして、各国での少子高齢化の急激な進行ー
このままでは、人類はそう遠くないうちに滅亡するー。
誰もがそう感じるほどに、人類は追い詰められていたー。
しかし”黙って滅亡”するほど
人類は愚かではなかったー。
西暦2121年ー。
人類存続を目的に作られた国際機関”ZERO”-
”人類の存続”という、
人類で最も大切な”原点”=ZEROを掲げ、
各国のエリートが結集し、各国主導の国際組織として
発足された組織だー。
そして、ZEROには絶対的な権限が与えられたー
理由は明確だー。
これまでの国際組織は、”反対”する国が現れるなどして
なかなか話が進まなかったり、
効果に乏しいことしか実行できなかったりー
そういうことが起きてきた。
そうなってしまっては、
人類は滅亡してしまう。
だからー
国際組織ZEROには、圧倒的権力が与えられー
何かを決断したら即時、全世界にそのルールや方策を適応できる
”力”が与えられたー。
各国は既に、衰退しており、
人類滅亡の危機を誰もが自覚しているような世の中だったため、
国際組織ZEROには誰も逆らわず、
ZEROは絶対的権力を手に入れたー
だが、それでもー
人口減を抑えることはできずー。
西暦2180年ー
国際組織ZEROは方針を転換したー
”コンパクト種族・人類”
それが、新しい方針だー
”人間は、増えすぎた”
食糧問題を解決するためにはー?
少子高齢化を解決するためにはー?
環境汚染を改善するためにはー?
そうー
”人間を減らしてしまえば”良いー。
人間が全滅するぐらいであれば、
人間の数を”削減”し、
コストカットを行いー、
そして、人類を存続させるのだー
”ZERO”は強い権力を持ってー
それを実行したー
2200年ー
”憑依薬”を完成させたZEROは、
”激しい選民思想”により、
”優秀な頭脳は永遠に生きながらえるべき”とし、
優秀な人間は、他人の身体を奪ってでも、
永遠に生きられる”憑依システム”を構築したー
そして、”劣る”人間は、
優秀な人間に身体を差し出さなくてはいけない、という
国際的な法律を制定ー。
今や、憑依によって、
”一部の優秀な人間”だけが永遠に生きながらえる
ディストピア世界が誕生していたのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
西暦2350年ー
「----うん…お疲れ様」
高校2年生の吉野 知亜紀(よしの ちあき)が、
父親と話をしているー。
父は、今年”50歳”-。
”お別れ”なのだー。
「---元気でやるんだぞ」
父が笑う。
「うんー」
まるで、永遠の別れかのような会話のやりとりー。
だが、この父親は
病気でもなければ、これから戦場に向かうわけでも
転勤するわけでもないー
「---楽しい人生だった」
父が言う。
そして、工場のような場所で、
ベルトコンベアに横たわる父親ー。
ここはーーー
”処理センター”だー。
”人間”のー。
国際組織ZEROによる
「コンパクト種族・人類」の方策により、
50歳になった人間は、”殺処分”されるのが当たり前の世の中になっていたー
老いは何も生み出さないー
食糧問題をー
少子高齢化を解決させるための
あまりにも非・人道的な計画ー
最初は大勢の人間が反発したー。
だが、今ではそれが”当たり前”の世の中になっていたー。
「--お疲れ様!」
娘の知亜紀が笑うー。
知亜紀は、父が50歳で殺処分されることに何も疑問を感じておらず、
悲しいともあまり思っていないー
50歳まで生きた父にただ、”お疲れ様”としか、思っていないー
「ありがとな」
父も、特に疑問に思っていないー。
人間ー
”それが当たり前”だと思ってしまうとー
何も感じなくなるー
国際組織ZEROが支配して数百年。
既に、人間は50歳になったら死ぬー、が当たり前になっていたのだー
「----おやすみ」
「おやすみなさい」
父と娘が最後の挨拶を交わすー
ベルトコンベアに仰向けになり、
コンベアで運ばれていく父親ー。
まるでー”ゴミ”のようにー。
この世界ではー
”人類の存続”しか考えられていないー。
用済みのものはーーー
ブチッ
父親の身体が、プレスとローラーで一瞬にして原型を失いー
そして、ゴミのように処理されていくー
「--ふ~~~おわったおわった~」
娘の知亜紀は、そんな父を見ても、何も感じず、
そのまま工場を後にするー
知亜紀の背後にも、次の家族が待っていて、
母親がコンベアに仰向けになってー
そして、手を振りながら”処分”されていくー。
もはやー
この世界に尊厳など、存在しないー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
知亜紀が教室にやってくると、
友達の一人が笑ったー
「今度のテスト、松子、やばいかもね?」
とー。
「--え~?そうなの~?」
知亜紀が言うと、
友人の奈々(なな)が笑いながら言うー
「英語の勉強に、ついていけないんだって」
とー。
「--ふ~ん、じゃあ、”器”になっちゃうのかな?」
知亜紀が言うと、
奈々は「たぶん」と笑ったー
”器”
国際組織ZEROによる”コンパクト種族・人類”を実現するための
方策のひとつー。
人間の身体は”入れ物”である、という考えに基づくもので、
ZEROが開発した憑依薬により、
優秀な人間は、自分の身体が老いると、”次の身体”に乗り換えて、
永遠に生きていくー。
そういう、システムだー。
”劣等人間”に生きる価値などなしー。
それが、国際組織ZEROの考えー。
食料は有限だ。
資源も有限だ。
そんな限りあるものを劣等人間に与える価値なしー。
劣等人間は、その健康な身体を
優秀な人間に差し出すべしー。
今、この世ではー
”国際組織ZERO”が定める水準に満たない人間は
”器”にされてしまうー
つまり、ZEROが選定した優秀な人間に
自分の身体を差し出さないといけないのだー。
「---わたしと同じになるんだね~ふふふ」
知亜紀は笑ったー。
知亜紀はーー
既に、知亜紀ではないー
本当の知亜紀は、中学2年の時の
毎年3回行われる”全国選民テスト”で、
平均点を下回ってしまったために
”器”にされたー。
今、知亜紀の身体を動かしているのはー、。
当時48歳だった女科学者だー。
優秀な頭脳は、まだこの世に必要ー、ということで、
”劣等人間”に認定された知亜紀の身体が提供されたー。
女科学者の真理子は、憑依薬を飲みー
”劣等人間”に認定された知亜紀に憑依、
こうして今も生きているのだったー。
”器”
優秀な人間に憑依される人間、つまり”入れ物”のことー
”劣等人間”
国際組織ZEROが定めた基準に満たない人間のことー。
器にされるか、殺処分にされるー。
”優先国民”
国際組織ZEROが定めた生き残るべき”頭脳”ー。
憑依薬が支給され、新しい身体”器”へと移動することができるー。
「---でも、人間が生き延びるためだから、仕方ないじゃない?」
知亜紀が言うと、
奈々も「そうだよね~!」と笑ったー
この世界では、それが、当たり前なのだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
帰宅すると、知亜紀は、一人、自分の部屋で
空中に浮かぶモニターを前に、何か調べ事をしていたー
”科学者”としての研究を行っているー。
「-------」
知亜紀は、表情を歪めるー
”国際組織ZERO”のアドバイザーの一人でもある知亜紀は、
”選民テスト”の基準をもっと上げて、
さらに人類を削減すべきだと提唱していたー
今の人類の数だと、50年後には食料が無くなる、とー。
国際組織ZEROからも前向きな返事をもらっているー
足を組みながら、
ワインを口にする知亜紀ー。
知亜紀の身体は高校生だが、
この時代では”中身の年齢”で何事も
決められるー。
真理子はーー
「146」だー。
元の身体と名前は忘れてしまったー
女科学者・真理子も、
高2の時に選民テストに落ちた真理子の身体を乗っ取ったものだー
自分が元々誰だったのかも、もう忘れているー
そんなこと、どうでもいいことだからだー
「--もっともっと、”価値のない人間”は削減しなくちゃ」
知亜紀は、不気味な笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ある日ー
知亜紀は高校にやってくると、
クラスメイトの男子、岡本 涼真(おかもと りょうま)が、
神妙な面持ちをしていることに気づくー。
「どうしたの?」
知亜紀が言うと、涼真は「あぁ、吉野さん」と呟いた。
涼真の成績は”並”
選民試験で落ちるほどではないが、
そこまで”必要な”人間ではないー
いずれ、淘汰されることになるだろう。
今の世の中は”優秀な頭脳”を残すことが
最優先なのだからー。
「---……彼女がさ…”今度の試験”落ちそうでさ」
涼真が言うと、
知亜紀は「彼女?」と首を傾げたー
「--あ~、えっと、松子だけど」
涼真が言うと、
知亜紀は思わず吹き出しそうになったー
”松子ー?
あの劣等人間すれすれのゴミ?”
とー。
知亜紀の性格が悪いわけではないー
”2350年”では、それが当たり前の考えなのだ
「え!?ちょ、ちょっと岡本くん、ゴミと付き合ってるの?
やめときなよ~!」
知亜紀が言うと、
涼真は「ゴミじゃない!」と叫んだー
「---松子だって、、生きてるんだよ!
一生懸命、、頑張ってるんだよ!」
涼真が目に涙を浮かべて言うー。
「え??ちょ、、劣等人間すれすれのあんな女のために
何むきになってるの?」
知亜紀は首を傾げるー
本気で、理解できないー
「---吉野さんには分からないよ」
涼真は呟いたー
涼真は思い出すー。
2年前ー。
涼真の妹・羽須美(はすみ)はーー
”劣等人間”に認定されたー。
決して”頭が悪かった”わけではないー
テストでミスをして、結果”基準点”を超えられなかったのだー
”選民試験”はそれまでの成績など考慮されないー。
たった”一度のミス”で
劣等人間に認定され、
優秀な頭脳を持つ人間の憑依先
つまりー”器”に選ばれてしまうー。
「--お兄ちゃん!助けて!嫌だ!!わたし、、嫌だ!」
羽須美は、兄の涼真に向って泣き続けていたー
だがー
”国際組織ZERO”の職員がやってきてー
羽須美に注射を打ち込みー
羽須美は虚ろな目になって、ぐったりとしてー
そのまま、力なく連れていかれたー。
強力な洗脳催眠効果のある注射を打たれた羽須美はー
ぐったりとしたまま、まるで”ごみ”のように、床を引きずられて、
道路を引きずられてー
そのまま、”器”にされてしまったー
今も”羽須美”は、家にいるー
だが、中身は、”エリートな男”だー。
この世は、おかしいー
涼真は、そう感じていたー
”優秀な頭脳”を生かすためー
少しでも劣る人間の身体をゴミのように扱うー
逆らえば、”殺処分”が待っているー。
「----俺は、、こんな世界間違ってると思う」
涼真が言う。
知亜紀が表情を歪めるー。
「---何百年も前は、人間は50歳を超えても普通に生きていて
今みたいに処分されることなんてなかったらしいし
こんな、、こんな、世の中ーーー!」
ーー!?!?
涼真は驚くー
突然、知亜紀が目を赤く光らせて、顔に”ZERO”という文字が大量に
紋様のように浮かび上がったのだー。
「---小僧、頭に乗るなよ」
知亜紀の声が、加工音声のように歪むー
「ひっ!?」
涼真が尻餅をついてしまうー
知亜紀が涼真の胸倉をつかんで
”これは警告だ。処分されたいのか?”と、涼真を脅すー。
ものすごい力で、片手で涼真を持ち上げる知亜紀ー
”ZERO憑依”
この世の人間は、生まれた時に”全員”とある加工をされるー
”国際組織ZERO”のメンバーが
いつでも、だれにでも憑依できるようにー
細工されているのだー
今、知亜紀は乗っ取られているー
涼真を脅すと、知亜紀は、
”次はないぞ”と脅すような口調で言いー、
そして、正気に戻ったー。
「---あ」
知亜紀が笑うー。
「--そういうこと言っちゃ、ダメでしょ!」
とー。
立ち去っていく知亜紀ー
涼真は拳を握りしめたー
”こんな世の中、間違っているー”
西暦2350年ー
世界の在り方を”間違っている”と思っている涼真と
”何の疑問も抱かない”知亜紀の2人の運命が
大きく変わろうとしていたー
②へ続く
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コメント
未来を舞台とした
ディストピア(?)憑依モノデス~!
未来系は何個か書いていますが
久しぶりに書いてみました!
続きはまた明日デス!

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