<入れ替わり>美はわたしのもの③~デビュー(完)~

入れ替わって奪ったこの身体で
AV女優になるー。

女子高生の身体を奪った彼女の野望の行く末は…?

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梨々花(彩香)は、”入れ替わっちゃったの!信じて!”と
両親や、友達に助けを求め始めたー。

しかしー
彩香(梨々花)は”彩香”として完璧に振舞ったー
入れ替わってからの数か月間で
”彩香”としての振る舞いを身に着けていたのだー。

ここ数か月で彩香は変わったー。
家族やクラスメイトは、そうは思っていたものの
”身体が入れ替わった”などというあまりにも非現実的なことを
信用することはできず、
”変わった”とは言え、彩香(梨々花)は、彩香としての思い出や個人情報、
振る舞いを完璧に理解していたために
「--な、、なにを言ってるんですか…?」ととぼけることによって、
”梨々花になった彩香”を
”頭のおかしなおばさん”という状況に追い込むことに成功したー。

「--ふふふ、だから言ったでしょ?」
彩香(梨々花)はひとり、自分の部屋で微笑むー。

彩香がどんな喘ぎ声を出すのかー
彩香がどんな風に感じるのかー。

AV女優になる前に色々なことを試しー
そして、身体の開発も進めておかなくてはいけないー。
美貌を失わないように、最大限の注意を払いー
女子大生になって、一人暮らしを始めたら
AV業界にデビューするつもりだー。

「---ふふふふふ…見てなさい。
 黒森 梨々花は不滅よ」
彩香(梨々花)は、そう呟いて、妖艶な笑みを浮かべたー

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それからさらに時が流れるー

彩香(梨々花)は、AV女優としてデビューするための下準備を
整えるー。

先日、友達の悪ふざけで、足を怪我しそうになった時には
思わず大声で「ふざけないで!!!!!」と
鬼のような形相を浮かべてしまったが、
それ以外、特に問題なく「彩香」として生活を続けているー。

梨々花になった彩香は、”頭のおかしいおばさん”として
近所から白い目で見られて、
塞ぎ込み、家から出てこなくなったー。

精神的に参ってしまったのだろうー。

全てが、梨々花の思い通りー
近所の可愛い女子高生の身体を奪いー
その身体で大学生になったら一人暮らしを始めー
AV女優としてデビューを果たすー。

入れ替わった相手の梨々花になった彩香が
騒ぎ出すことも織り込み済みー。
自分の身体を奪われて黙っている人間はいないー。
だから、最初は”協力して元に戻る方法を探しましょう”と
梨々花(彩香)をうまくごまかし、騒がれないようにし、
その間に、彩香になった梨々花は、”彩香”として完璧に振舞えるよう
彩香の日常生活を学んだー。

その結果ー
梨々花になった彩香が「おかしい」と感じて騒ぎ出したころには、
もう手遅れだったー。
「わたしが彩香なの!」と梨々花の姿をした彩香がどんなに叫んでも、
彩香の姿をした梨々花が「何を言ってるんですか…?」と
彩香として完璧に振舞えばー
周囲は、梨々花の姿をした彩香のことを信じないー

「--ふふふ、可愛くて、頭もいいわたし…」
彩香(梨々花)は下着姿で鏡の前に立って、ポーズを決めるー

今からー
どんな風に演技をすれば、
より見る人を魅了できるかを、考えているのだー。

「もう少しー
 ふふふふふ、もう少しー」

高校卒業の時が、迫っているー。
既に、1年以上が経過したー

普通の女子高生としての人生も悪くはなかったー。
彩香の両親も、両親として申し分ないー

けれどー

「わたしの舞台は、AVの世界よ」
彩香(梨々花)は、優しそうな顔立ちを歪めながら
笑みを浮かべたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そしてー
いよいよ、彩香になった梨々花は、高校を卒業ー
一人暮らしを始めたのだったー

両親は、彩香がすぐに「一人暮らしをしたい」と言い始めたことに
驚いている様子だったが、
彩香(梨々花)は「早くお父さんとお母さんを安心させたいし、
わたしが支えられるぐらいになりたいの」と、
甘い言葉で両親を説得しー
一人暮らしをスタートさせたー。

「--ふふふ、わたし、必ずAV界の頂点に立つからー」
家を出た彩香(梨々花)は、実家を振り返って
クスクスと笑ったー。

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AV業界に接触しー
彩香(梨々花)は、AVへの出演が決まったー
色々苦労したが、”AV業界”の裏側も知る梨々花にとって
彩香の”女子大生”というステータスと美貌を生かせば、
取り入ることは簡単だったー

彩香(梨々花)がAVの撮影に臨むー

「ふふふふ」

彩香が、彩香として生きていれば
絶対に縁のなかったであろう世界ー
そこに、今、彩香として、梨々花は身を投じているー

梨々花として生きてきたときの”卓越した演技力”で
スタッフだけではなく共演者も魅了した彩香(梨々花)-

”先輩”AV女優でもある、ぼたんが、やがて彩香(梨々花)を
目の敵にし始めるー。

「----わたし、先輩より可愛いですから」
彩香(梨々花)は挑発的な笑みを浮かべてぼたんを見つめたー

ぼたんは悔しそうに彩香(梨々花)を見つめるー

「いい気味」
彩香(梨々花)はそう思ったー

梨々花を”ババア”と陰で見下し、デビューして
AV界の期待の星として、活躍していたぼたんー。

”こんな小娘に”
と、梨々花は何度も屈辱を飲み込んだー

だがー
今は、”逆”

彩香として、ぼたんを追い詰めることができるー

ぼたんはまだ若かったが、
美貌を手に入れ、ベテランのテクニックも持つ
彩香(梨々花)にはかなわなかったー

AV女優・花崎 奈菜美(はなざき ななみ)の名で
デビューして彩香は、猛烈な勢いでぼたんを蹴落とし、
大学生活なんてどうでも良くなるぐらいに、
AV業界で引っ張りだこになったー。

だが、ある日ー

”最近は、どうだ?”

実家の父ー
”彩香の父”から電話がかかってきたー

彩香(梨々花)は、
「うん!順調だよ」と、”良い子の娘”を演じるー

しかしー

”………どうして、AVに出たりしたんだ?”

父の悲しそうな声ー

「---!!」
彩香(梨々花)は表情を歪めたー

父も母も「AV」などとは無縁の人間に見えたー。
最近は確かに雑誌などにも出ていたから
バレるリスクはあったかもしれないー

だが、こんなに早くばれるなんて…

「---ひ、、人違いじゃないかな?」
彩香(梨々花)が言い訳をするー

けれどー
父は”娘を見間違えるわけがないだろ”と、即答したー。

彩香(梨々花)は観念して言うー。

「これがわたしの夢ー
 邪魔をしないで」
とー。

そう、”邪魔”をするなら、許さないー。
AV女優になるために、彩香の身体を奪ったのだからー。

”----それが、お前の夢なら、
 お父さんは、応援するー”

父は、色々な感情を飲み込んで、そう、優しく呟いたー

もっと色々言われるのではないか?
そう思っていた彩香(梨々花)は、意外な表情を浮かべて
「そ…ありがと」と、返事をするのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

AV業界でさらに地位を高めていく彩香(梨々花)-

しかしー
彩香(梨々花)は、彩香の母親が
食事がのどを通らないほどに落ち込んでいることを知ったー

”AV女優を馬鹿にしないで”と、
最初はそう思っていたー

梨々花はAV女優という仕事に誇りを持っているー
なぜ、娘がAV女優になったら、
悲しむのかー
それが、梨々花には理解できなかったー

けれどー

「-----」
彩香(梨々花)の心は晴れなかったー

彩香と入れ替わってから、彩香として
1年ちょっと、両親と過ごしたのだ。

そしてー
母も父もとても優しかったー

”他人の親”になんて、興味はないはずだったー。

それでもー
1年ちょっと共に過ごしたことで、
彩香になった梨々花の中には”誤算”が生まれていたー

彩香の両親に対する”情”がー。

「---」
彩香(梨々花)は休日に実家に戻り、
彩香の母親と話し合うことにしたー

母親は、泣いていたー
父親も、とても悲しそうにしているー。

AV女優に対する偏見はない、と父親は言う。
けれど、自分の娘が、自分の身体を晒すことを
仕事にしている、ということは、心情としては
複雑で、娘の選んだ道を認め、応援してあげたいと思いつつも、
それができない自分がいる、と父が神妙な面持ちで気持ちを吐き出したー。

「-----…わたしはAVに命を懸けてるの!」
彩香(梨々花)はそう叫ぶもー
揺らいでいたー。

「----……」
歯ぎしりする彩香(梨々花)-

彩香の母親は、泣きじゃくっているー。

”AV女優だって、誇りを持ってやっているのよ!”と
怒りを覚える梨々花ー

だが、それと同時にー
1年以上、彩香として一緒に過ごしたからだろうかー。
この両親が、心底彩香のことを愛していて、
それ故の、悲しみと複雑な心境であることも、
今の梨々花には理解できてしまったー

「---……わたしは、AV女優をやめないー
 AVはわたしの生き様よ」
彩香(梨々花)はそれだけ言うと、
すっかり妖艶な雰囲気になった自分の姿を鏡で見るー

「-----」
(この子はー
 わたしと入れ替わったりしなければ
 AVと縁のない人生を送ったのでしょうね…)

そんな風に思いながら、
彩香の両親のほうを見るー。

ため息をつく彩香(梨々花)-

「--わたしは、AV女優をやめない。
 絶対にー」

そう、”わたしはー”

実家から出た彩香(梨々花)-

梨々花(彩香)は今、どうしているだろうかー。

もういいー。
もういいーー。

「こんな面倒くさい両親がいるなら、
 こんな身体、お断りよ」
彩香(梨々花)は、
梨々花(彩香)の家に向かうー

彩香の実家のすぐそばにある
”元・自分の家”-。

口では悪態をつきながらも、
彩香になった梨々花は
彩香の両親の悲しみに感化されてしまいー

結果ー
”AV女優としての誇りを持つ自分”
”彩香の両親に対する情”

その二つを両立させる手段を取ることにしたー

それはー

もう一度彩香と入れ替わってー
身体を返すことー。

彩香が元の身体に戻ればAV業界とは縁を切りー、
両親も喜ぶだろうー。

そしてー
梨々花はーー

「--わたしの…自分の身体だって、わたしは、まだ、やれるー」
彩香(梨々花)は、自分の身体で栄光を取り戻すことだって、できるからー、と
半分不貞腐れたまま、元・自分の家の前にたどり着いたー。

”美はわたしのもの”
でもー

彩香の両親の顔を見てるとーーー
悲しそうな顔を見てるとーーー

「---!!!」
彩香(梨々花)は表情を歪めたー

”田所”
表札には、そう書かれているー

「え!?誰!?」
彩香(梨々花)は戸惑うー

梨々花(彩香)はどこに行ったのかー。

戸惑いながらー
もう一度彩香の実家に戻った彩香(梨々花)は、
「ね、、ねぇ、お父さん!あの家のおばさん、引っ越したの!?」
と、尋ねたー。

すると、父は答えたー。

「あぁーー…
 あの人は、お前が出てったちょっとあとにー
 首吊って死んだよー」

とー。

「--------!!!」

もうーー
元には戻れないーーー

AV女優・彩香として、生きていく道しか、もう、ないー。

”心を入れ替え”かけていた彩香(梨々花)はー
この日ー修羅の道を歩む決意をするのだったー。

おわり

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コメント

身体を返す決意…改心をしたのですが
もう手遅れでした~…!

この後、彩香になった梨々花は
開き直ってAV女優の世界にどっぷりと…!

お読み下さりありがとうございました~!

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