仲良しオタク4人組ー
一人が女体化したことで、
その関係は変わってしまったー。
4人の絆の行方は…?
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「--え~~!?ほんと~ですか~?
ありがとうございます~!」
オタクたちに写真撮影を頼まれて
”かわいい”と言われたことで
とても嬉しそうな麻人ー。
以前は、同人誌の収集に勤しんだり、
自分が、写真撮影をする側だったのだが、
今や、麻人は、写真を撮影される側になり
快感を感じていたー。
「--ふふふ」
握手を求められて握手する麻人。
相手の男性が顔を真っ赤にしているのを見て
麻人は”優越感”を感じたー
”今のわたし、かわいいもんね”
麻人は、すっかり有頂天になっていたー。
「--へ~!ゲットできたのか~よかったな!」
麻人の友人の一人だった隆也が言う。
隆也・義弘・大輔の3人も、
このイベントにやってきていたー。
前回までは、4人でいろいろ回っていたのだが、
麻人はもういないー
麻人は、麻美になってしまった、と言ってもいいだろう。
女体化した麻人は、変わってしまったー。
「---俺たちが出会ったのはここだったよな」
義弘が悲しそうに言うー。
4人はー
元々他人だった。
けれど、ネットで同じ趣味で意気投合してー
真夏の日差しが降り注ぐ中ー
木陰となっているこの場所で、
初めて実際に出会ったー
麻人、隆也、義弘、大輔の4人は
その時から、強い絆で結ばれていたー
「----よろしく」
麻人の笑顔を思い出す。
麻人は、オタク趣味に時間を費やしているとき、
とても楽しそうだったー
いつも満面の笑みだったー
”ここには俺たちの夢が詰まってる”
などと、いつも言っていたー。
その麻人は、今や、完全に女子になってしまって、
以前とは変わってしまったー
あんなに仲良しだったのに、
麻人は、俺たちのことを見下すようになってしまった。
「くそっ!女体化なんてしなければよかったのに!」
義弘が悔しそうに叫ぶ。
「変わっちまったよなぁ…あいつ」
童貞を守る大輔が呟くー
「あぁ…だな」
イケメン風の隆也が悲しそうに呟くー
最初、女体化したばかりの頃は
胸を触らせてやるだの、いろいろ言っていたが
今ではすっかり、距離が離れてしまったー
「---ま、あいつのことなんて
考えててもしょうがねぇよ。
俺たちと一緒に夢を追っていたあいつは、
もういないんだ」
隆也はそう言うと、
他の二人の方を見て呟く。
「俺たちは、俺たちなりに、夢のような
この空間を、楽しもうぜ」
まだまだイベントの最中だ。
欲しい同人誌もあるし
ネット上で有名な会っておきたい人もいるー
コスプレイヤーもたくさん歩いているし
まだまだ夢のような時間は続く。
「よし!そうだな」
義弘が呟く。
大輔も頷き、3人は、再び会場の中へと向かって行ったー
・・・・・・・・・・・・・
「---あ~あ~すっごいなぁ~」
麻人は、他のコスプレイヤーの写真撮影に
夢中になって群がる男たちを見つめるー
そんな男たちを”上から”目線で見つめる麻人ー。
自分はあいつらとは違う。
今のわたしはとってもかわいいんだからー。
満面の笑みを浮かべる麻人。
大輔、義弘、隆也の3人のことをふと思い出す。
あいつらも、ここに遊びに来ているのだろうか。
”負け犬”のあいつらもー。
「-あ、、、、あの…」
背後から声がしたー
小太りの、眼鏡をかけた男がそこにはいた。
「--はい?」
麻人が首を傾げながら返事をすると、
「--あぁぁ・・あ、、あ、、麻美ちゃん…
い、、いつも、ツイッター、見てます」と
挙動不審に男が言い放った。
「あ、、、あぁ~…はい、ありがとうございます」
麻人は内心で
”キモオタめ”と、見下した発言をしながら
愛想笑いを浮かべるー
「--み、、み、、、充です」
その男は、充と名乗ったー
「---」
麻人は”あぁ、充さんか”と頭の中で考える。
あさみ★のアカウントのフォロワーの一人に
充という男が確かに、いた。
やたらとアプローチをかけてくるアカウントで、
”あさみちゃんのことを宇宙一愛してる”だの
”一緒にハワイに旅行に行こう”だの言ってきていたー。
そんな充に対して
麻人は”優しそうで素敵です!”などと返事をしていたー
「-えへへへへ…はい」
充が笑みを浮かべながら、
何かケースを取り出して、それを開いた。
「--?」
麻人は首をかしげるー
開かれたケースの中には、婚約指輪。
「--えへへへへ…テレちゃうなぁ…ふぅふぅ」
充が笑う。
「-は?なんですかこれ?」
麻人が疑問に思っていると、
「優しそうで素敵って告白してくれてから僕、
ず、、ずっと考えてたんだ…
どうやったら、麻美ちゃんがよろこんでくれるかなって。
こ、こ、、これが、、僕の、、僕の答えだよ」
充は笑みを浮かべた。
「--は!?!?」
麻人は戸惑ったー
ネット上で”優しそうで素敵”と返事をしただけで
何で勝手に告白したことになっているのかー
「あ、、あの…すみません
そういうのは、ごめんなさい」
麻人はそれだけ言って立ち去ろうとするー
充は呆然とそのまま立ちつくていたー
だがー
「--ぼ、、ぼ、、僕の、、僕の心を、、
弄んだのか!」
充が背後で叫んでいるー
麻人はため息をついたー
”お前みたいなキモオタを相手にしてる暇などないんだよ”
麻人は、内心で周囲の男を見下すようになっていたー
「---あの、迷惑なんで。」
麻人はそれだけ言うと、
立ち去ろうとした。
しかしー
「うあああああああああああああああ!!!!」
発狂した充が、麻人の方に猛ダッシュで走ってきたー
「--!ぎゃ!?」
麻人が壁にたたきつけられるー
”こんなやつ”と思いながら
充を振り払おうとするー
しかしー
女体化した麻人は、以前のように
力を出せなくなっていたー
非力な、身体ー
「--ひっ!?」
「--えへへへへへへ…
麻美ちゃぁぁぁぁん」
充は麻人を押し倒して、笑みを浮かべるー。
「---ん?あれ?」
大輔が指を指すー。
たまたまその現場に通りかかった
大輔・義弘・隆也の3人は
オタク男に襲われている麻人の姿を見つけた。
「--はは、チヤホヤされて調子に乗ってるから
ああなるんだ」
義弘が呟く。
「だな」
大輔もそれに賛同するー。
女体化した麻人の態度に、3人とも
腹を立てていた。
だからー
ああいう風に
”罰が当たっている”麻人を見ることには
せいせいとした気持ちさえ覚えるー
しかしー
「隆也!?」
大輔が驚く。
イケメン風の隆也が
襲われている女体化した麻人と充の方に近づいていくー
「おい」
隆也が声をかけると
女体化した麻人の服を脱がせようとしていた充が振り返る。
「その辺にしておけ」
隆也が言うと、充が叫ぶ
「な、なんだ、、なんだ、おまえ、、おまえは!」
明らかに動揺している雰囲気の充。
そんな充の手を掴んで
隆也は充の手を握る腕に力を込めるー
”その辺にしておけ”
もう一度、力強く言い放つ隆也。
隆也の言葉に、びびった充はそのまま
意味の分からない言葉を発して、逃走したー
「--た、、た、、隆也」
巫女服姿のコスプレをしている麻人が
隆也の方を見つめるー
「……ずいぶん可愛くなっちまって」
隆也はそう呟くと、
麻人の方を見つめたー。
「-----…悪い」
麻人は、助けてくれた隆也に申し訳なさを覚えるー
女になって、調子に乗りすぎていたかもしれないー、
と、そう思いながらー。
いつの間にか、自分はチヤホヤされることに
有頂天になって、
大事な友達すら失う羽目になるところだったー。
「----…」
大輔と義弘も、近づいてくるー。
「---……」
麻人は、弱弱しく座りながら
他の3人を見つめる
「--最近のお前はさ、正直、
何様なんだよって感じだよ」
隆也が呟く。
「今まで俺たちとギャーギャー楽しくやってたのに
急によそよそしくなったり、見下すような態度を取ったりー。
なんか、お前が遠くに行っちまったような…
そんな感じだよ」
隆也の言葉に、
麻人は複雑な表情を浮かべるー
「--……--
だってさ…急にチヤホヤされるようになったら……
誰だって」
麻人が言い訳を口にしようとするー。
だがーそれを、途中でやめた。
「--……俺たちも悪かったよ」
義弘が呟く。
「--胸を揉ませろとか触らせろとか
もうそういうことは言わないからさ」
大輔が言う。
麻人は、”俺が女だったらいくらでも触らせてやる”みたいなことを
仲間たちに、女体化する前に豪語していたー
「--お互い、変に意識しすぎていたのかもしれないな」
隆也はそう言うと、
「男とか、女とか、そういうこと考えるのやめて、
また、仲良くやろうぜ」
と、続けた。
麻人は「…みんなに酷いことしたし…」と呟く。
さらに続けて、
「そうは言っても…もう、この身体だし…
ふるまいもだいぶ女っぽくなっちゃったし…
今までのようには…」
麻人は、後ろ向きな言葉を口にするー
そんな麻人に対して
義弘、大輔、隆也は色々と思うところはあったが
友としてそれらを全て飲み込み、
手を差し伸べたー。
「---でも、麻人は麻人だろ?」
そんな言葉に、麻人は
3人の方を見上げるー
「ここには俺たちの夢が詰まってるー。
一緒に掴みに行こうぜ、俺たちの夢を」
隆也が、賑わうイベント会場の方を
指さしながら笑うと、
麻人も、全ての気持ちを飲み込んで、
隆也たちの手を握ったー。
そうだー
変に女体化のことを意識する必要なんて、ない。
自分も、女体化を意識しすぎていたのかもしれないし、
有頂天になりすぎていたー
「---そうだな。ごめんな」
麻人は可愛い声でそう呟くと、
女性に耐性がない義弘が、顔を真っ赤に赤らめたー
・・・・・・・・・・・・・・・
その日からー
4人の絆は取り戻されたー
麻人は相変わらず女子を満喫しているが、
3人のことも大事にする素振りを見せるようになったし、
隆也たちも、麻人が女子女子していることに
文句を言ったり、胸をどうこう、とかそういうことは
言わず、あくまで”今まで通り”の付き合いをしたー
一時は引き裂かれそうになった
絆は、無事に取り戻されたのだったー
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
「--うぉおおおおおおおお!?!?!?!?」
ある日ー
イケメン風の隆也がーー
女体化したー
金髪のツインテールお嬢様のような美少女にー
「---うっふふふふふ♡」
その日からー
隆也は有頂天になったー
かつての麻人と同じようにー
チヤホヤされて、調子に乗って、
麻人・義弘・大輔の3人を馬鹿にし始めたー
今度は、隆也が孤立して、一人女子ライフを満喫している。
「--なんだよ、あいつも結局同じじゃんか」
童貞を守る大輔が呟く。
「---はぁ…ってか、麻人が女体化したときよりひでぇよな」
義弘が呟くー。
可愛らしいファッションに身を包んだ麻人が
ジュースを飲みながら苦笑いするー。
結局、散々文句を言ってた隆也も、
麻人と同じような道をたどっているー
「--ま、、まぁ、ほら、俺みたいに
戻って来るかもだし」
麻人がそう呟くと、
大輔は「俺たちまで女体化しちまったりしてな!」と
冗談を呟いたー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
女体化して有頂天になるお話でした~!
皆様が女体化した立場だったら
どうしますか~?
お読み下さりありがとうございました!!
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