親友の晃が、
見ず知らずの女子大生を
無理矢理”妹”に仕立て上げているー。
それを察した、晃の親友・啓祐は
晃の家に乗り込もうとするも…?
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晃の部屋の前に立つ啓祐。
インターホンを鳴らす。
だが、その直後ー
「きゃああああああああああ!」
アパートの側から悲鳴が聞こえた。
ーー!?
啓祐がびっくりして、アパートの階段を下りて
悲鳴をした方に向かうとー
そこには、全裸で、笑いながら奇妙なダンスを
踊る若い女の姿があったー
「なんだこれは…」
啓祐は驚くー
「あひゃひゃひゃ~♡
わたしは変態でぇ~す♡」
大声で笑いながら、
裸で奇妙な動きをしている女ー。
”酔っ払いか?”
啓祐はそう思った。
だがー
その顔を見て啓祐は驚く。
「---!!」
裸で奇妙なダンスを踊っているのはー
昼間ー
情報交換をした女子大生・恵美だったー。
「--なっ…」
啓祐の方を見て、恵美はにやっと笑った。
そして、ギャラリーが集まってきたのを見計らって
彼女は大声で笑いながら
猛ダッシュして、近くの大通りの方に
飛び出していくー
「あっ…おい!」
啓祐は思わず叫んだー
だがー、
彼女は大声で笑いながら、
大通りに飛び出しー
そのまま救急車で緊急搬送されることになってしまった…。
「----」
啓祐は、ここにいても仕方がない…と、
恐怖を感じながらも
再び晃の部屋の前に向かうー
”晃が何かしたのではないか?”
そんな不安を感じながらー。
再びインターホンを鳴らす。
すると、晃が「よ!来ると思ってたぜ」と
呟きながら、啓祐を部屋の中に
招き入れた。
部屋の中に入ると、
妹の香奈枝が見えてしまいそうなほど
短いミニスカート姿で、椅子に座っていた。
晃は部屋に入るなり、
香奈枝の太ももをイヤらしく触り始める。
「---おにいさま…♡」
香奈枝が嬉しそうに呟くー
太ももを触られても、
嫌そうなそぶりは全く見せない。
「---晃…お前…」
啓祐が言うと、
晃は立ちあがったー
「---もう、お前には、隠せそうにないな…」
晃は優しく微笑むと、呟いたー
「いつからはお前はお兄ちゃんになったんだ?
…そう、聞いたよな?
あぁ…確かに、俺は少し前まで
お兄ちゃんじゃなかった」
晃の言葉に、
啓祐は香奈枝の方を見ながら呟く。
「--その子…
妹なんかじゃないんだろ!?
…聞いたぞ?
その子、近所の名門大学に通う、
皆本璃子、って子なんだろ?」
啓祐が言うと、
晃が何かを言う前に、香奈枝が叫ぶ。
「璃子じゃないもん!香奈枝だもん!」
とー。
ツインテールをゆらゆらさせながら
ぷくっと頬を膨らませる香奈枝ー。
「---ははっ…
まぁ、な。」
晃は笑った。
「確かにお前の言うとおりだ」
晃は机の上に置いてあった
学生証を、啓祐に見せる。
そこにはー
女子大生である”皆本 璃子”の
顔写真と名前が記されている。
「俺はさ、ずっと妹が欲しかったんだ。
前に、お前にも言っただろ?」
そう呟くと、晃は香奈枝を名乗る璃子の方に
近づいていく。
「そして、手に入れた」
香奈枝の髪をイヤらしく撫でると、
晃は笑う。
「て、、手に入れたってどういうことだ!?
彼女も、お前の妹になることに
納得してるのか?」
啓祐は声を荒げる。
璃子が、
晃と付き合っていて
”妹プレイ”でもしているなら
それで構わない。
大学生同士の恋愛に口を挟むことではないー。
だがー
もしも、晃が璃子を脅しているならー…
「--その人を…
脅したり…してないよな?」
啓祐は不安になりながらも聞く。
脅して家に連れ込み、
妹として無理やり振る舞わせているなら
それは犯罪だー。
「--ねぇ!何なの!?
おにいさまをいじめるな!」
香奈枝が叫ぶー。
「--くくく…はははははははは!
脅す?
啓祐、お前は何もわかっちゃいない」
晃はそう言うと、
部屋の窓を指さす。
「ここに来る前に、変なモノ、見なかったか?」
笑いながら言う晃。
「変なモノ…」
啓祐はすぐに思い当たった。
女子大生の恵美がー
全裸で奇妙なダンスを踊っていたー
「あ…あれはお前の仕業か!」
啓祐が叫ぶー
「あぁ。彼女、何であんなことしたと思う?」
晃が言うと、
啓祐は”脅したのか?”と呟くー
晃は笑いながら首を振った。
「俺なんかに脅されて、あんなことするか?
笑いながら裸でダンスして、
自ら車に轢かれるようなことするか?
しないだろ?」
晃はとても面白い話をしているかのように笑うー
「じゃ、、じゃあどうして…」
啓祐は恐怖を感じながら呟く。
確かにー
脅されただけであそこまでしないだろうー
それにー
裸で奇妙な踊りをしていた恵美は、
とても”嬉しそう”だったー。
「---憑依」
晃が呟く。
「なに?」
啓祐は思わず聞き返した。
「--見てろよ」
晃はそう言うと、大きなペットボトルを取り出し、
それをコップに注いで一口だけ飲んだ。
「--!?」
それを飲んだ瞬間、晃はその場に倒れる。
「お、おい!」
啓祐が思わず晃の方に駆け寄るー。
しかしー
「慌てるなってー」
!?
啓祐は驚くー
妹の香奈枝が、そう呟いたのだ。
香奈枝は自分の胸を揉みながら笑った。
「--どうだ?すげぇだろ?
俺は人の身体を自由に乗っ取ることが
できるようになったんだぜ」
香奈枝と名乗らされている璃子が、
自分のツインテールを触りながら笑う。
「ふひひひひ…どうだ!今は俺が璃子だ!」
璃子が両手を広げて笑う。
「お…お前…!」
啓祐は唖然とすることしかできなかった…。
憑依…?
そんなことが…?
「さっきの女子大生は、俺が憑依して
俺が裸で躍らせたんだー
あの女、俺と香奈枝の邪魔をしようとするから
消えてもらったんだよ」
香奈枝が男言葉を可愛い声で口にする。
「そ、、そんなこと…!
そんなこと、許されると思ってるのか!」
啓祐が叫ぶー。
だが、香奈枝は、足を組んでイスに座ると
ケラケラと笑った。
「俺は何も悪いことはしてないぜ。
この璃子ちゃんは、一人暮らしだったし、
ちゃんと大学に退学届も出させた。
俺が憑依して
家族にも適当に連絡してる。
な~にも、問題はない」
香奈枝がニヤリと笑う。
「ふ、ふざけるな!その人の気持ちを考えろ!
好き勝手に…」
「--喜んでるじゃん。
香奈枝、幸せそうだろ?
憑依してる間はさ…
ココを使って物事を考えるわけ」
香奈枝が、自分の頭をつんつんつつきながら言う。
「--そんな状態で
”この人がわたしのおにいさま”って念じ続けたり、
”わたしは香奈枝”って念じ続けたりすると、
どうなると思う?」
香奈枝はゲラゲラと笑ったー
「-なんと!この女の思考が
塗りつぶされて、思い通りの人間が
出来上がるんだよなぁ!ひひひひひ!」
笑い続ける香奈枝ー。
啓祐がどうしようかと困っていると、
香奈枝が「うっ」と低い声をあげて
その場にうなだれるー
すぐに、晃が立ち上がるー。
香奈枝の身体から出たのだー。
「---香奈枝…
幸せか?」
晃がニヤニヤしながら聞くと、
香奈枝は答えた。
「うん!わたし、とっても幸せだよ♡」
とー。
晃がドヤ顔で啓祐の方を見る。
「-俺も、香奈枝も、幸せでいっぱいなんだ。
俺は、悪いことは、何もー」
「--ふざけるな!」
啓祐は大声で叫んだ。
「お前がそうさせてるだけじゃないか!
本当の彼女が、今の状況を幸せに思っているわけがないだろ!
晃!お前、自分のやってることが分かってるのか!?」
啓祐の大声に、晃は笑う。
「--女に憑依して、自分の好きなように作り替えるー。
これは、犯罪か?
憑依を裁く法律が、この世にあるのか?
香奈枝…いいや、璃子ちゃんは未成年じゃない。
表向きは大学生同士のお付き合いで同棲してるだけだ。
”同意の上で”な。
あ?俺は犯罪者か?容疑者か?
あ?お?何とか言ってみろよ」
挑発的に笑う晃。
啓祐は「-ふ…ふざけるな…!」と
言い返すのがやっとだったー。
「---くくく」
晃は笑うと、
香奈枝と名乗らされている璃子の方を見た。
「--お前は香奈枝だよな?
それとも璃子か?」
晃が、香奈枝の髪を触りながら言う。
すると、香奈枝は迷わず微笑んだ。
「わたし、香奈枝だもん!
璃子ってだぁれ?」
とー。
「---…お、、おい…」
啓祐は唖然とするー
憑依されてー
ここまで変えられてしまうものなのか…
”憑依”に対する恐怖心が
こみあげてくるー。
「--め、、目を覚ますんだ!
君は、ほら、皆本 璃子さんだろ!?」
啓祐は部屋に落ちていた学生証を
拾って、その写真を見せつける。
髪型はツインテールではないが、
確かに今、目の前にいる香奈枝と
璃子は、同じ顔をしているー。
当たり前だー。
同一人物なのだからー
「--わたしは香奈枝だもん!!璃子なんかじゃない!」
彼女は、そう叫んだー。
「--ははっ、いい子だ」
晃が香奈枝の頭をなでると
香奈枝は「あぁぁ…おにいさま~…」と
うっとりとした表情で呟く。
完全に、意のままにされてしまっている。
「--き、君を助けようとした友達は今
こいつに酷い目に遭わされて、病院で
苦しんでる!」
啓祐が叫ぶー。
晃に憑依された璃子の友人・恵美は
裸で踊らされた挙句、大通りに飛び出して
轢かれてしまったー。
「---……ともだち~?」
香奈枝が首をかしげる。
「わたしには、おにいさまがいれば十分なの!」
晃に抱き着く香奈枝ー
晃はニヤニヤしながら喜んでいる。
「--そんな…」
啓祐は唖然とするしかなかったー。
呼びかけたりしても、
全く正気を取り戻す気配がないー
「---…なぁ、啓祐。
お前が望むなら、お前にも俺と同じように
妹を作ってやるよ。
俺達、親友だろ?
つまらないことはやめにしようじゃないか」
晃が諭すようにして言う。
「ふ…ふざけるな…!お前、自分のしてることが
分かってるのか…!」
啓祐が晃を睨む。
晃は啓祐の方を笑いながら見つめる。
「あぁ、分かってるさ。
見ず知らずの女子大生に憑依して
思考を書き換えて
俺の妹にしたのさ。
でも見てみろよ。
璃子…いや、今は香奈枝か。
すっごく幸せそうだろ?」
啓祐が香奈枝の方を見るー。
香奈枝と名乗らされている璃子は、
とても、幸せそうだー。
けどー
これはー
”そうさせられている”だけだー
「--うるさい!今すぐ警察に通報してやる!」
啓祐はそう言い放ち、スマホを取り出す。
「-----やめろ」
晃が冷静に呟く。
「やめない!」
啓祐がスマホのロックを解除する。
「なぁ、俺とお前は親友だろ?」
晃の言葉ー
「あぁ、だからこそ、だ。
親友の俺がしてやれることは
道を踏み外したお前を
止めてやることだ!」
啓祐が叫ぶ。
すると、晃は溜息をついた。
「どうあっても…俺と香奈枝の邪魔をするいみたいだな」
そう呟きながら
晃が近づいてくる。
そしてー
啓祐の目の前にやってくると、
晃はにっこりとほほ笑んだー
「俺、もう一つ欲しいものがあったんだ」
晃は、さらにニコッと微笑んだー
まるで、無邪気な子供が、欲しいものを
目の前にしたかのような微笑み。
そして、呟いたー
「---弟」
とー。
「--!?」
その瞬間、晃が倒れてー
啓祐の意識が途切れたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「う…」
啓祐が目を覚ますー
「お、、、俺は…」
何かされた…?
啓祐はそう思いながら周囲を見渡したー
「--おはよう」
誰かがそう囁く。
「え…」
啓祐が声のした方を振り向くとー
そこにはー
”晃兄さん”がいたー。
「---啓祐…いや、孝之。」
晃がにっこりと笑うー
「に、、兄さん」
啓祐が呟く。
「あぁ…そうだ。俺はお前のお兄ちゃんだ。
そしてお前は…孝之だ。そうだろ?」
晃がそう言うと、
啓祐は嬉しそうにうなずいた。
「--あ、姉さん!おはよう!」
啓祐が言う。
「あら!孝之!おっはよ~!」
香奈枝が、ショートパンツ姿で足を晒しながら
嬉しそうに挨拶をするー
啓祐もー
晃に憑依されて、”変えられて”しまったー
香奈枝と同じようにー。
「いつまで寝惚けてるんだ?
ほら、早く起きろよ」
晃が言うと、
啓祐は嬉しそうに、「はい!おにいさま!」と
声をあげたー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
憑依で、記憶を塗り替えて、
見ず知らずの人を妹に仕立てあげてしまう…
というお話でした!
香奈枝にされてしまった璃子も、
啓祐も、
一人暮らしの設定なので、
晃が上手く、操って
家族や周囲には悟られていないようデス…!
ぶるぶるですネ…!
お読み下さりありがとうございました~!
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