<入れ替わり>兄妹戦争①~喧嘩~

とある家庭ー

”仲良しな兄と妹”がいたー。

けれど、それは表面上の話。裏では兄が妹を
日常的に苛めていたー。

ある日、妹が入れ替わり薬を手に入れて、兄と入れ替わって
立場が逆転してしまうー

※リクエスト作品デス

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ごく普通の家庭ー。

兄・弦太(げんた)と妹・美穂(みほ)は
仲良しだったー。

今日も母と父のいるリビングで
仲良さそうに談笑しているー

二人ともまだ小学生ー
元気にワイワイふざけたり
雑談したりしているー。

「--はは、二人は本当に仲がいいなぁ」
父の一夫(かずお)が言うと、
「そうねぇ」と
母の佐津子(さつこ)もにっこりと微笑んだー

けれどー
両親は知らないー。

二人はー
”仲良し”なんかじゃないー

「なぁ、明日友達から遊びに行くからお小遣い貸してくれよ~!」
兄の弦太が妹の美穂の部屋でそう言い放つ。

「え~…お兄ちゃん、いっつもお金返してくれないじゃん…!」
妹の美穂が悲痛な叫びをあげるー。

「うるさい!妹の癖に生意気だぞ!」
弦太が美穂の髪を思いきり引っ張る。

「いたい!いたい!お兄ちゃん!やめて!」
辛そうな叫び声を上げる美穂。

そんな美穂を無視して
髪を引っ張りながら美穂の貯金箱を
勝手に開けて、その中から
1000円札を数枚取り出す弦太。

「お兄ちゃんなんて大っ嫌い!」
美穂が叫ぶ。

「うるさい!」
弦太が美穂の頬にビンタをするー。

これがー
”兄”と”妹”の日常的な風景ー

誰かが見ているところでは
仲良しを振る舞うが
誰も見ていないところでは
横暴な兄が、妹をいじめている。

「--いたい…」
美穂がぶたれた部分を
触りながら涙目になる。

「--泣けばいいと思ってるのか~!?
 弱虫!弱虫!弱虫!」
手を叩きながら弱虫コールを繰り返す
弦太ー

「--お父さんとお母さんに言いつけるから!」
美穂が叫ぶー

けれどー

弦太は舌打ちをすると、
美穂の頬を、美保の貯金箱から取った
1000円札でぺちぺちしながら囁いた。

「他の人に言ったら、俺が悪者にされるだろ?」
弦太が言うー。
自分が悪者であることは
間違いないのに、まるで自分が悪者では
ないかのような発言ー。

そして、1000円札の1枚を手でぐしゃぐしゃに
丸めて見せると、美穂の方にそれを
投げつけた。

「--美穂も、そうなるよ」
弦太は笑いながら言うと、
貯金箱から、今ぐしゃぐしゃにしたのとは
別の1000円札を勝手に取り出すと、
そのまま部屋から飛び出して行くー

「…許さない…!」
美穂はそう呟いたー。

”許さない”
そうは言ったものの、美穂には
どうすることもできなかった。
兄・弦太の方が力も強いし、
ぶたれたくないー。
父や母に相談する方法もあったが
その場では弦太が謝ってきたとしても、
お父さんとお母さんが、見ていない場所では
きっと、もっとひどい事をされるに決まっているー。

美穂はー
何もすることはできなかったー

けれどー
ある日ー
突然”そのチャンス”は訪れた。

「--ねぇねぇ美穂~」
クラスの友人の一人が、
不思議なものを見せてくれたー。

”これ、他の人と身体をとりかえっこできる
 薬なんだって~”

笑いながら言うクラスメイト。

”好きな人ととりかえっこもできるみたいなんだ~
 ふふふ”

その子は笑ったー。
父親が新薬の研究の仕事をしていて
その過程で完成した薬なのだとか。
父親に内緒で、こっそりと学校に持ち出したらしい。

「--憧れの七次郎くんと身体をとりかえっこして…」

そんな風に目を輝かせている友達ー

その友達の入れ替わり薬をー
美穂は盗んでしまったー

目的はひとつー
兄に、仕返しをするためだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー

いつものように、兄・弦太は妹の美穂を
いじめていた。

「--お前の顔見てるとむかつくよな~!」

いつものような悪口が続いている。

だがー
今日の美穂はいつもとは違った。
「わたしも、お兄ちゃんの顔見てると、むかつく」
と、反抗的な態度を示したのだ。

「あ?」
弦太が怒りの形相を浮かべる。

「おまえ!生意気だぞ!」
顔を真っ赤にして美穂の方に近づいてきて
美穂をぶつ弦太。

「生意気だ!生意気だ!」
何度も、何度も美穂を叩くー

いつもそうだー
時々、美穂が反抗してくることがあるー。

妹の癖に生意気だ。

こういうときは、妹が泣きだすまで、
叩くのをやめないー

弦太が1回、2回と美穂のことを叩くー

生意気だ、生意気だ!と思いながらー

しかしー
何故だか、弦太は”痛い”と感じ始めていた。

「--!?…!?え…!?」
弦太は思わず声をあげたー。

何故ながらー
いつの間にか、
自分が、ぶたれていたからだー。

「え???な、、なんだぁ!?」
弦太は驚いて声をあげるー

弦太がーー美穂になっている。

そして、
美穂になった弦太が、
自分自身…弦太にぶたれている。

「妹の癖に生意気だ!
 妹の癖に生意気だ!」
そう叫びながら、目の前の弦太が
美穂になった弦太をぶっている。

やがてー
美穂になった弦太は叫んだ。

「お…お前…何をした!」
美穂の可愛い声でそう叫ぶ弦太。

目の前にいる自分自身ー
弦太は笑ったー

「お兄ちゃんと身体をとりかえっこしたの…」

とー。

学校の友達から盗んできた
入れ替わり薬を使って
美穂は弦太と身体を入れ替えたー

弦太は美穂の身体に
美穂は弦太の身体になったのだった

美穂(弦太)は顔を真っ赤にしているー
「このやろー!」
可愛い声でそう叫んで弦太(美穂)に
襲い掛かる。

けどー
簡単に、押さえられてしまったー

「お兄ちゃん…今はわたしの方が
 力持ちだよ」

弦太(美穂)はそう言ってにっこりとほほ笑むと、
美穂(弦太)を壁際に突き飛ばした。

「うわぁ」
美穂(弦太)が床に倒れてしまうー
スカートの中が見えている態勢なのも
気にせず、美穂(弦太)は叫んだ。

「お…俺の身体を返せ!」
そう叫ぶ美穂(弦太)

だがー
弦太(美穂)は首を横に振った。

「お兄ちゃん、いっつもわたしのこと
 いじめて…
 もう許さない…!
 今度はわたしがお兄ちゃんを
 いじめる番…!」

弦太(美穂)が憎しみの声で言う。

「---ふ、ふざけるな!」
美穂(弦太)が叫ぶー

弦太になった美穂は
一瞬”自分の姿をしたお兄ちゃん”を
苛めることに、ちょっと戸惑った。
自分で自分の身体を叩いたりするー
なんだか、とても変な気分だし、
迷いもあったー

けどー…

「---えいっ!」
襲いかかってきた美穂の姿になった弦太に
足を引っ掛ける弦太(美穂)。

美穂(弦太)はその場で転んでしまって
悲鳴をあげた。

力持ちで暴力的なお兄ちゃんが、
美穂の身体になったことで、
こんなにも弱弱しくなっているー

「--うふふふふふ」
弦太(美穂)は思わず笑ってしまったー

女の子になったお兄ちゃんを
苛めるのはー
楽しいーーー

そんな風に、ちょっとだけ思った。

目的が変わってきてしまっていることに
違和感を感じつつも、
弦太(美穂)は言うー。

「あ、お父さんとお母さんには言っちゃだめだよ」
弦太(美穂)の言葉に、
美穂(弦太)は叫ぶ。

「も、元に戻せ!俺の身体を返せ!」

美穂の姿で荒い言葉を叫ぶー

だがー

ぱしん!

弦太(美穂)が美穂(弦太)の頭をぶった。

「--ひっ」
美穂(弦太)が痛がるー。

美穂の身体のほうが自分が
ぶたれたときよりも痛みを感じる気がするー

美穂の身体が痛みに敏感なのか、
それともぶってる弦太の力が強いのかー
それは分からない。

とにかく、痛いー

「---妹のくせに、生意気だぞ!」
弦太になった美穂は
弦太のセリフを真似て見せると、
近くにあったティッシュを掴んで
それをぐちゃぐちゃに丸めて
美穂になった弦太の方に投げつけた。

「そうなりたくなかったら…
 言っちゃだめだよ…?お兄ちゃん…
 いいや…美穂…」

弦太(美穂)は、
やられたことをやり返しながら
快感を覚えていたー。

その日、いじめっ子の兄と
いじめられっ子の妹の
立場は”逆転”したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

美穂になってしまった弦太は
”美穂”として振る舞うことを強制された。

学校にも、美穂として行くー。

一方、弦太になってしまった美穂は、
スムーズに弦太として暮らしを始めていた。
入れ替わったあとの連休で、
男の子について徹底的に調べ上げて、
弦太のスマホから、弦太の人間関係も
徹底的に調べ上げていたー。

ここでも、”差”が出たー。
美穂の身体になってしまった弦太は
”身体を返せ”と喚くだけで
何もしてこなかったから、
学校でも戸惑い、
家でも戸惑う羽目になったー。

最初、学校で誰かに相談しようと思ったが
”入れ替わりが学校で知れ渡ったら”
お兄ちゃんの身体、ボロボロにしちゃうから!と
言われて、どうすることもできなくなっていたー。

「---うぅぅ…」
トイレから出てきた美穂(弦太)が
顔を真っ赤にしている。

「あっれぇ~?お兄ち…、いや、美穂。
 お漏らししちゃったの~?」

弦太(美穂)が笑うー

今まで兄からのいじめに耐えてきたー
だが、今は違うー
もう、お兄ちゃんには負けないー。
今までの仕返しをー
たっぷり、してやる。

弦太になった美穂はそう思いながら
クスクスと笑う。

「--くそっ…!女のトイレ、面倒くさいんだよ!
 なんでアレがついてないんだよ!」
美穂(弦太)が喚く。

美穂になった弦太は、
上手くトイレを済ませることができずに
入れ替わってから何度も何度も、
こうしてトイレに失敗してしまっていたー。

「--ふふふふ…」
弦太(美穂)が笑うと、
”お母さん~!また美穂のやつが服を汚した~!”と
笑いながら母の佐津子に伝えるのだった。

佐津子は、
「もう!最近どうしたの!」と
少し苛立ちながら、美穂(弦太)のほうに
駆け寄ってくる。

恥ずかしさと悔しさから
顔をトマトのように真っ赤にして
ぷるぷると震える美穂(弦太)

”いい気味”

弦太になった美穂は、そう思いながら
静かに笑みを浮かべるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー。

「あ~~~くっそぉぉおぉお!」
可愛い顔を鬼のような形相にして、
怒りをあらわにする美穂(弦太)

美穂になった弦太は怒りにまかせて
髪の毛をグシャグシャにする。

その可愛らしい小さな手で
壁を殴りつける。

怒りが、収まらないー

どうすればー?
今迄みたいに、力で勝つこともできないー
しかもー
”入れ替わり”を仕掛けてきたのは
美穂のほうだー。

何が何だかさっぱり分からない弦太に
抵抗することはできなかったー

ガチャー…

部屋の扉が開く。

「--お兄ちゃんさぁ~」
弦太になった美穂が勝手に部屋に入ってくる。

「-お兄ちゃんはもう女の子なんだから
 もっと可愛くしなくちゃ」

「あ?」

美穂(弦太)が首をかしげる。

弦太(美穂)が、洋服を漁り、
スカートやワンピースを取り出した。

「ほら~!こういうやつ!
 女の子らしくしなくちゃ!」

「--ふ…ふざけんな!」

屈辱ー。

美穂になってしまった弦太は
顔を真っ赤にして言うー。

美穂の身体になってしまってからは
ズボンだとか、なるべく
女の子らしくない服を意識して
選んでいた。

そんな美穂(弦太)の様子を見て
弦太(美穂)はスカートを履くように
強要してきたのだ。

「お…おまえ…俺をバカにするのもいい加減にしろ!」
美穂の身体で殴り掛かろうとする弦太。

しかしー
弦太の身体になった美穂に簡単に押さえられてー
転ばされてしまった。

「うぅ…」

洋服をゴミ袋に入れていく弦太(美穂)

「-ーーや…やめろ…!
 俺は、、スカートなんてはきたくない!」
美穂(弦太)が叫ぶー

「--”俺”じゃなくて”わたし”でしょ!」
弦太(美穂)が冷たい声で言うー。

美穂(弦太)は、
どうすることもできず、ついに震えながら
スカートを身につけさせられてしまった。

「く…く…くっ…」

怒りと恥ずかしさでぷるぷると身体が
震えるー

「わ~!似合ってるよお兄ちゃん…!
 いいや、美穂! ふふふ」

弦太になった美穂は満足そうに
その姿を眺めて笑うー

勝ち誇った表情の弦太(美穂)。

そんな弦太(美穂)を見ながら
美穂(弦太)は
”今に見てろよ…”と怒りを
たぎらせるのだったー。

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

リクエストによる入れ替わりモノです!

いじめっ子の兄と
いじめられている妹の身体が
入れ替わってしまって立場逆転…!

果たしてどうなるのでしょうか~?
続きは明日デス☆

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入れ替わり<兄妹戦争>

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