最近、何もかもが上手くいくー
彼女は、そう感じていた。、
しかしー
彼女は気付いていないー。
”憑依”と”夢”の物語ー。
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中丸 莉那(なかまる りな)は、
可愛らしい容姿で、クラスの人気者の女子高生。
本人も、日々の平和な生活に満足していたー。
「--♪~」
だがー
最近の莉那は特にご機嫌だった。
”いいこと”が立て続けに起こるのだー。
どうしてだろうー?
時々、
ふと我に返ることがある。
けれどー
理由なんてどうでもいい。
今、自分が幸せなんだから、
余計なことを気にする必要はないー
「--最近、莉那、すっごくご機嫌だよね」
莉那の友達の奈江(なえ)が笑う。
「--え?そうかな~」
莉那の言葉に、奈江が「何かいいことあったんでしょ~」と微笑んだ。
確かに、いいことはあったー。
先週の火曜日にー
クラスメイトの男子に呼び出されて、
”告白”されたのだったー
クラスメイトの鍵原 謙介(かぎはら けんすけ)
陰キャラで、
一度も喋ったことがなかったけれどー
告白されて、急に彼のことを
好きになってしまったー
謙介の告白に、前向きな返事をした莉那は、
生まれて初めての彼氏を手に入れて
上機嫌だったー
そして、
謙介と付き合い始めてからの莉那は
いいことだらけだった。
何だか、世界が自分を中心で回っている、
そんな感じさえするぐらいだった。
・・・・・・・・・・・・
「ただいま~!」
「あ、お姉ちゃんお帰り!」
中学2年の弟が、笑顔で姉の莉那を
出迎えた。
最近は、弟との関係も良好ー
少し前まで、喧嘩が耐えなかったけれどー
謙介と付き合い始めてからだろうかー
弟とも上手くいくようになったー。
「--運が回って来たってことかな」
莉那は嬉しそうに微笑む。
何もかもが上手くいくー
そう、”怖いぐらい”にー。
「-----…う」
夜ー。
莉那は、目を覚ましたー。
「はぁ…はぁ…♡」
莉那は自分の口から甘い息が
漏れていることに気付くー
「あ…あれ…?」
莉那がベットから起き上がると、
周囲には見たこともない
エッチな服が大量に転がっていた。
「--!?」
莉那は驚く。
「な、、なにこれ…!?」
とー。
莉那はふと、自分の部屋にある姿見を見つめる。
「--!!」
莉那は思わず驚いてしまったー
自分が、バニーガールの格好をしているのだー。
しかも、その髪は乱れきっている。
「え…え…!?」
莉那は驚きの表情を浮かべたまま
動けなくなってしまうー。
11月12日ー。
莉那がカレンダーの日付をふと見つめるー
”おっと、いけね”
「--!?」
誰かの声が聞こえたー
そしてー
「きゃああああああ!」
莉那は、ベットから飛び起きたー
「はぁ…はぁ…」
朝の7時ー
カレンダーを見つめるー。
カレンダーは10月のページ。
今日は10月29日。
「--……はぁ…はぁ」
莉那は慌てて自分の格好を確認したー。
しかし、いつも通りのパジャマ姿だった。
髪も乱れていないし、
エッチな服も転がっていない。
「ゆ…夢…」
莉那はほっと一息をついた。
変な夢だったー。
自分にエッチな願望でもあるのだろうかー。
それに、どうして11月だったのだろう。
そんなことを思いながら、莉那は
学校に行く準備を始めたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
学校に登校するころには、
莉那は”嫌な夢”のことを忘れていた。
友達と楽しく談笑する莉那ー
「--最近、莉那、すっごくご機嫌だよね」
莉那の友達の奈江が笑う。
「そうかな~」
幸せー。
彼氏の謙介との仲も良好だー。
毎日が、本当に幸せだった。
「--あ、そうだ、わたし、先生に呼び出されてるんだった」
昼休みー
先生に呼び出されていることを思いだし、
莉那は職員室に向かう。
職員室ではー
莉那が進路相談をしている先生が待っていたー。
進路相談に関することで、褒められた莉那は
より上機嫌になっていた。
「やった♪褒められちゃった」
ついこの間まで、先生に厳しい顔を
されていた莉那。
その理由は、莉那の学力に見合わない大学を
莉那が目指していたからだった。
莉那の成績は決して悪くないし、
平均よりも十分に上だ。
だが、莉那はそんな自分のレベルよりもさらに高い
レベルのところを目指しており、
最初は先生が難色を示していたのだった。
けれどー
最近は、努力が認められたのか、
先生が、褒めてくれるようになった。
目指している大学に、行けるかもしれないー
「--あ、莉那!」
友達の奈江が笑いながら近づいてくる。
「先生の話、なんだった?」
奈江にそう聞かれて、莉那は嬉しそうに
先生に褒められたことを告げるのだった。
「ただいま~」
帰宅する莉那。
今日も弟が出迎えてくれるー。
「ねぇねぇお母さん~!
今日の晩御飯は何~?」
莉那が、台所に居た母に聞くと、
母は、笑いながら、オムレツだと答えた。
莉那の大好物だった。
「やったぁ~♪」
嬉しそうに自分の部屋に向かっていく莉那ー。
彼氏の謙介に選ばれてから、
本当に毎日が幸せで幸せで仕方が無かった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1週間が経過したー。
10月も最終週。
「--♪~」
莉那は職員室から出てくると、
嬉しそうに廊下を歩いていた。
今日も、いいことがあったー。
放課後。
今日もいつものように、友達の奈江と歩いていたー
「そういえばさ、莉那は、謙介くんのどこが
好きになったの?」
奈江が笑いながら聞いてくる。
「--え?う~ん」
咄嗟に聞かれると、なかなかその返事が
浮かんでこない。
莉那は、謙介のことを浮かべながら
色々と考えてみるー
けれどー
言葉にするのは難しかったー
好きに理由なんていらないー
好きになったから、好き、
それだけのことだー
「-!!」
莉那は突然、自分の身体がゾクゾクっとしたことに気付く。
とても気持ちイイ感触。
何もしていないのに、突然、
絶頂を迎えそうになるー
「--どうしたの?」
奈江が不思議そうに、莉那のことを見つめるー
莉那は
「ううん、なんでもないよ」と答えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あ…♡ はぁ…あ…♡」
莉那は、自分が甘い声を
出していることに気付いた。
「うへへへへへ~!
謙介~!最高だぜ~!」
誰かの声が聞こえる。
「---!?」
莉那は、自分が裸で股を
開いていることに気付く。
「!?!?!?」
莉那は驚いて、悲鳴を上げようとした。
しかしー
「くへへへへ!だろ?
俺は…いいや、わたしは莉那よ!
ほら!もっと♡」
莉那の口から謎の声が発されるー
「え…な、、なに…?」
莉那はそう思った直後ー
闇に飲まれたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふ~…」
最近は、よくおかしな夢を見る。
欲求不満なのだろうか。
莉那はそんな風に思いながら学校に向かう。
最後に見た夢は12月24日ー
クリスマスイヴの夢だった。
クリスマスの日に、自分が誰かとエッチをしている夢ー
「--クリスマスかぁ」
莉那はスマホのカレンダーを見つめる。
クリスマスまでは、あと2か月。
まだ先の話だ。
彼氏の謙介とエッチなことでも
することになるのだろうか。
いや、謙介は草食系だし、
そんなことないだろう。
でも、自分にこうして彼氏が
出来るとは思わなかった。
彼氏ができると、世界が変わるー
そのせいか、毎日がとても幸せだし、
なんだか、身体が常に気持ちいい感覚に
包まれている。
幸せに包まれている感じ、とでも言うべきだろうか。
「--最近、莉那、すっごくご機嫌だよね」
莉那の友達の奈江が笑う。
「--え?そうかな~」
莉那の言葉に、奈江が「何かいいことあったんでしょ~」と微笑んだ。
いいことはあったー
彼氏が出来たことだー。
「実は…」と、莉那は彼氏が出来たことを
奈江に告げる。
奈江は少し驚いたあとに
「おめでとう」
と微笑んだー。
昼休みー
莉那は、身体がゾクゾクするような感覚を覚える。
今まではこんなことはなかった。
けれどー
最近は、急に体がゾクゾクする。
とっても気持ちいい。
思わず、声が出てしまいそうなぐらい。
けどー
何もしていないのに、声を出してしまったら
100パーセントおかしな人間だ。
そう思いながら莉那は、廊下を歩く。
「そういえば…」
莉那はふと我に返った。
最近、夢見心地の気分から
突然我に返ることがある。
我に返った莉那は、
”そういえば、告白されてから一度も謙介と会ってない”
ことに気付く。
「あれ…?謙介、どこ?」
莉那は不思議に思い、教室に戻る。
しかし、謙介の姿はない。
「--!?!?」
莉那はちょっと不安になって
友人の奈江に声をかけた。
「奈江、謙介、どこにいるか知らない?」
莉那は変な事を聞いているなぁ、と
思いながらも、そう奈江に聞くのだった。
すると、奈江は微笑みながら答えた。
「莉那は、余計なこと気にしなくていいの。
だって今、幸せでしょ?」
諭すような言葉ー
そうだー
今は、幸せだー。
莉那は、夢見心地な気分になって幸せに
包まれていく。
感じていた不安は無くなり、
気持ちいい気分になった莉那は
そのまま奈江と談笑を始めるのだった。
「ただいま~」
帰宅する莉那。
今日も弟が出迎えてくれるー。
「ねぇねぇお母さん~!
今日の晩御飯は何~?」
莉那が、台所に居た母に聞くと、
母は、笑いながら、オムレツだと答えた。
莉那の大好物だった。
「やったぁ~♪」
嬉しそうに自分の部屋に向かっていく莉那ー。
部屋のカレンダーは、10月29日を
指し、示している。
「んあぁ♡」
莉那は急に気持ちよくなって少し喘ぐと、
そのまま眠くなって、
昼寝モードに入ってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「-----!!」
莉那はふと起き上がった。
「--えっ!?」
莉那は、見知らぬホテルの一室のような場所で目を覚ます。
目を覚ますー
ビリビリに破れた黒タイツー
「はぁ…♡ はぁ…♡」
口から甘い声が漏れている。
「な…な…なに…?」
驚く莉那。
「--うへへへへ…
今度は、こっちだぁ」
汚らしいおじさんが笑う。
「きゃああああああ!」
思わず莉那が叫んでしまう。
自分の姿が鏡に一瞬映るー
「--ー!」
胸元を強調し、乱れた髪型で、
妖艶に笑う自分の姿が映った。
「ひっ!?」
莉那は驚く。
ふと、カレンダーが目に入る
2月ー!?
”おっといけねぇ、
まだ意識が残ってたか”
謎の言葉ー
そしてーー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ひっ!?」
莉那が目を覚ますと、そこは
いつもの自分の部屋だった
「はぁ…はぁ…夢…」
莉那はカレンダーを見る。
10月29日-。
夢…
夢か。
莉那は最近、時々やけにリアルな
変な夢を見る。
そしてー
大抵の場合、夢の中で自分は
エッチなことをしているー
しかも、
気になることがひとつある。
夢の中の時間がどんどん進んでいる。
最初は11月ー
12月ー
最近は、来年の1月や2月の夢になっている。
まるで、時が進んでいるかのようにー
「何なんだろう」
莉那はふと、自分の部屋のカレンダーを
見つめて何かを思い出しそうになるー
10月29日ー
……。
莉那は、何か大事なことを思いだせない気がして、
首をかしげた。
「まぁ、夢のことを考えても仕方ないよね」
莉那はそう呟くと、自分の部屋から出て、
家族の待つ場所へと向かっていった。
・・・・
「--最近、莉那、すっごくご機嫌だよね」
莉那の友達の奈江が笑う。
「--え?そうかな~」
莉那の言葉に、奈江が「何かいいことあったんでしょ~」と微笑んだ。
いいことはあったー
彼氏が出来たことだー。
「実は…」と、莉那は彼氏が出来たことを
奈江に告げる。
奈江は少し驚いたあとに
「おめでとう」
と微笑んだー。
ーーーー!!
莉那は突然はっとしたー
10月29日ー
おかしいー
29日は、謙介に告白された日だー
今までずっと幸せな気分に包まれていて
気付かなかった。
29日ー
あの日、
謙介に告白されてー
それからー…?
それにー
”何度も何度も何度も、同じ日を繰り返していないかー?”
莉那はそう思った
「あのさ…」
莉那は立ち止まる
「ん?」
奈江も立ち止まる。
「わたしたち、”この会話”何度もしてるよね…?」
莉那が言うと、奈江がにっこりとほほ笑んだ。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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”憑依された人間の意識”はどこに行ってしまうのか。
そんなテーマの作品デス~
どんな秘密が隠されているのかは、明日をお楽しみに~!
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