<憑依>夢~YUME~①”幸せ”

最近、何もかもが上手くいくー

彼女は、そう感じていた。、

しかしー
彼女は気付いていないー。

”憑依”と”夢”の物語ー。

------------------------------—

中丸 莉那(なかまる りな)は、
可愛らしい容姿で、クラスの人気者の女子高生。

本人も、日々の平和な生活に満足していたー。

「--♪~」

だがー
最近の莉那は特にご機嫌だった。

”いいこと”が立て続けに起こるのだー。

どうしてだろうー?

時々、
ふと我に返ることがある。

けれどー
理由なんてどうでもいい。

今、自分が幸せなんだから、
余計なことを気にする必要はないー

「--最近、莉那、すっごくご機嫌だよね」
莉那の友達の奈江(なえ)が笑う。

「--え?そうかな~」
莉那の言葉に、奈江が「何かいいことあったんでしょ~」と微笑んだ。

確かに、いいことはあったー。

先週の火曜日にー
クラスメイトの男子に呼び出されて、
”告白”されたのだったー

クラスメイトの鍵原 謙介(かぎはら けんすけ)

陰キャラで、
一度も喋ったことがなかったけれどー
告白されて、急に彼のことを
好きになってしまったー

謙介の告白に、前向きな返事をした莉那は、
生まれて初めての彼氏を手に入れて
上機嫌だったー

そして、
謙介と付き合い始めてからの莉那は
いいことだらけだった。
何だか、世界が自分を中心で回っている、
そんな感じさえするぐらいだった。

・・・・・・・・・・・・

「ただいま~!」

「あ、お姉ちゃんお帰り!」

中学2年の弟が、笑顔で姉の莉那を
出迎えた。

最近は、弟との関係も良好ー

少し前まで、喧嘩が耐えなかったけれどー
謙介と付き合い始めてからだろうかー

弟とも上手くいくようになったー。

「--運が回って来たってことかな」
莉那は嬉しそうに微笑む。

何もかもが上手くいくー

そう、”怖いぐらい”にー。

「-----…う」

夜ー。
莉那は、目を覚ましたー。

「はぁ…はぁ…♡」

莉那は自分の口から甘い息が
漏れていることに気付くー

「あ…あれ…?」

莉那がベットから起き上がると、
周囲には見たこともない
エッチな服が大量に転がっていた。

「--!?」
莉那は驚く。

「な、、なにこれ…!?」

とー。

莉那はふと、自分の部屋にある姿見を見つめる。

「--!!」
莉那は思わず驚いてしまったー

自分が、バニーガールの格好をしているのだー。
しかも、その髪は乱れきっている。

「え…え…!?」
莉那は驚きの表情を浮かべたまま
動けなくなってしまうー。

11月12日ー。
莉那がカレンダーの日付をふと見つめるー

”おっと、いけね”

「--!?」
誰かの声が聞こえたー

そしてー

「きゃああああああ!」
莉那は、ベットから飛び起きたー

「はぁ…はぁ…」

朝の7時ー

カレンダーを見つめるー。
カレンダーは10月のページ。
今日は10月29日。

「--……はぁ…はぁ」
莉那は慌てて自分の格好を確認したー。

しかし、いつも通りのパジャマ姿だった。
髪も乱れていないし、
エッチな服も転がっていない。

「ゆ…夢…」

莉那はほっと一息をついた。

変な夢だったー。
自分にエッチな願望でもあるのだろうかー。

それに、どうして11月だったのだろう。

そんなことを思いながら、莉那は
学校に行く準備を始めたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

学校に登校するころには、
莉那は”嫌な夢”のことを忘れていた。

友達と楽しく談笑する莉那ー

「--最近、莉那、すっごくご機嫌だよね」
莉那の友達の奈江が笑う。

「そうかな~」

幸せー。

彼氏の謙介との仲も良好だー。
毎日が、本当に幸せだった。

「--あ、そうだ、わたし、先生に呼び出されてるんだった」

昼休みー
先生に呼び出されていることを思いだし、
莉那は職員室に向かう。

職員室ではー
莉那が進路相談をしている先生が待っていたー。

進路相談に関することで、褒められた莉那は
より上機嫌になっていた。

「やった♪褒められちゃった」

ついこの間まで、先生に厳しい顔を
されていた莉那。

その理由は、莉那の学力に見合わない大学を
莉那が目指していたからだった。

莉那の成績は決して悪くないし、
平均よりも十分に上だ。

だが、莉那はそんな自分のレベルよりもさらに高い
レベルのところを目指しており、
最初は先生が難色を示していたのだった。

けれどー
最近は、努力が認められたのか、
先生が、褒めてくれるようになった。

目指している大学に、行けるかもしれないー

「--あ、莉那!」
友達の奈江が笑いながら近づいてくる。

「先生の話、なんだった?」
奈江にそう聞かれて、莉那は嬉しそうに
先生に褒められたことを告げるのだった。

「ただいま~」
帰宅する莉那。

今日も弟が出迎えてくれるー。

「ねぇねぇお母さん~!
 今日の晩御飯は何~?」
莉那が、台所に居た母に聞くと、
母は、笑いながら、オムレツだと答えた。

莉那の大好物だった。

「やったぁ~♪」
嬉しそうに自分の部屋に向かっていく莉那ー。

彼氏の謙介に選ばれてから、
本当に毎日が幸せで幸せで仕方が無かった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1週間が経過したー。
10月も最終週。

「--♪~」
莉那は職員室から出てくると、
嬉しそうに廊下を歩いていた。

今日も、いいことがあったー。

放課後。

今日もいつものように、友達の奈江と歩いていたー

「そういえばさ、莉那は、謙介くんのどこが
 好きになったの?」

奈江が笑いながら聞いてくる。

「--え?う~ん」
咄嗟に聞かれると、なかなかその返事が
浮かんでこない。

莉那は、謙介のことを浮かべながら
色々と考えてみるー

けれどー
言葉にするのは難しかったー

好きに理由なんていらないー
好きになったから、好き、
それだけのことだー

「-!!」
莉那は突然、自分の身体がゾクゾクっとしたことに気付く。
とても気持ちイイ感触。

何もしていないのに、突然、
絶頂を迎えそうになるー

「--どうしたの?」
奈江が不思議そうに、莉那のことを見つめるー

莉那は
「ううん、なんでもないよ」と答えた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あ…♡ はぁ…あ…♡」

莉那は、自分が甘い声を
出していることに気付いた。

「うへへへへへ~!
 謙介~!最高だぜ~!」

誰かの声が聞こえる。

「---!?」
莉那は、自分が裸で股を
開いていることに気付く。

「!?!?!?」
莉那は驚いて、悲鳴を上げようとした。

しかしー

「くへへへへ!だろ?
 俺は…いいや、わたしは莉那よ!
 ほら!もっと♡」

莉那の口から謎の声が発されるー

「え…な、、なに…?」

莉那はそう思った直後ー
闇に飲まれたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ふ~…」

最近は、よくおかしな夢を見る。

欲求不満なのだろうか。
莉那はそんな風に思いながら学校に向かう。

最後に見た夢は12月24日ー
クリスマスイヴの夢だった。

クリスマスの日に、自分が誰かとエッチをしている夢ー

「--クリスマスかぁ」
莉那はスマホのカレンダーを見つめる。

クリスマスまでは、あと2か月。

まだ先の話だ。
彼氏の謙介とエッチなことでも
することになるのだろうか。

いや、謙介は草食系だし、
そんなことないだろう。

でも、自分にこうして彼氏が
出来るとは思わなかった。

彼氏ができると、世界が変わるー

そのせいか、毎日がとても幸せだし、
なんだか、身体が常に気持ちいい感覚に
包まれている。

幸せに包まれている感じ、とでも言うべきだろうか。

「--最近、莉那、すっごくご機嫌だよね」
莉那の友達の奈江が笑う。

「--え?そうかな~」
莉那の言葉に、奈江が「何かいいことあったんでしょ~」と微笑んだ。

いいことはあったー
彼氏が出来たことだー。

「実は…」と、莉那は彼氏が出来たことを
奈江に告げる。

奈江は少し驚いたあとに
「おめでとう」
と微笑んだー。

昼休みー
莉那は、身体がゾクゾクするような感覚を覚える。

今まではこんなことはなかった。
けれどー
最近は、急に体がゾクゾクする。
とっても気持ちいい。
思わず、声が出てしまいそうなぐらい。

けどー

何もしていないのに、声を出してしまったら
100パーセントおかしな人間だ。

そう思いながら莉那は、廊下を歩く。

「そういえば…」
莉那はふと我に返った。

最近、夢見心地の気分から
突然我に返ることがある。

我に返った莉那は、
”そういえば、告白されてから一度も謙介と会ってない”
ことに気付く。

「あれ…?謙介、どこ?」
莉那は不思議に思い、教室に戻る。

しかし、謙介の姿はない。

「--!?!?」
莉那はちょっと不安になって
友人の奈江に声をかけた。

「奈江、謙介、どこにいるか知らない?」
莉那は変な事を聞いているなぁ、と
思いながらも、そう奈江に聞くのだった。

すると、奈江は微笑みながら答えた。

「莉那は、余計なこと気にしなくていいの。
 だって今、幸せでしょ?」

諭すような言葉ー

そうだー
今は、幸せだー。

莉那は、夢見心地な気分になって幸せに
包まれていく。

感じていた不安は無くなり、
気持ちいい気分になった莉那は
そのまま奈江と談笑を始めるのだった。

「ただいま~」
帰宅する莉那。

今日も弟が出迎えてくれるー。

「ねぇねぇお母さん~!
 今日の晩御飯は何~?」
莉那が、台所に居た母に聞くと、
母は、笑いながら、オムレツだと答えた。

莉那の大好物だった。

「やったぁ~♪」
嬉しそうに自分の部屋に向かっていく莉那ー。

部屋のカレンダーは、10月29日を
指し、示している。

「んあぁ♡」
莉那は急に気持ちよくなって少し喘ぐと、
そのまま眠くなって、
昼寝モードに入ってしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「-----!!」

莉那はふと起き上がった。

「--えっ!?」
莉那は、見知らぬホテルの一室のような場所で目を覚ます。
目を覚ますー

ビリビリに破れた黒タイツー

「はぁ…♡ はぁ…♡」
口から甘い声が漏れている。

「な…な…なに…?」
驚く莉那。

「--うへへへへ…
 今度は、こっちだぁ」

汚らしいおじさんが笑う。

「きゃああああああ!」
思わず莉那が叫んでしまう。

自分の姿が鏡に一瞬映るー

「--ー!」
胸元を強調し、乱れた髪型で、
妖艶に笑う自分の姿が映った。

「ひっ!?」
莉那は驚く。

ふと、カレンダーが目に入る

2月ー!?

”おっといけねぇ、
 まだ意識が残ってたか”

謎の言葉ー

そしてーー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ひっ!?」

莉那が目を覚ますと、そこは
いつもの自分の部屋だった

「はぁ…はぁ…夢…」

莉那はカレンダーを見る。

10月29日-。

夢…
夢か。

莉那は最近、時々やけにリアルな
変な夢を見る。

そしてー
大抵の場合、夢の中で自分は
エッチなことをしているー

しかも、
気になることがひとつある。

夢の中の時間がどんどん進んでいる。

最初は11月ー
12月ー

最近は、来年の1月や2月の夢になっている。

まるで、時が進んでいるかのようにー

「何なんだろう」
莉那はふと、自分の部屋のカレンダーを
見つめて何かを思い出しそうになるー

10月29日ー

……。

莉那は、何か大事なことを思いだせない気がして、
首をかしげた。

「まぁ、夢のことを考えても仕方ないよね」
莉那はそう呟くと、自分の部屋から出て、
家族の待つ場所へと向かっていった。

・・・・

「--最近、莉那、すっごくご機嫌だよね」
莉那の友達の奈江が笑う。

「--え?そうかな~」
莉那の言葉に、奈江が「何かいいことあったんでしょ~」と微笑んだ。

いいことはあったー
彼氏が出来たことだー。

「実は…」と、莉那は彼氏が出来たことを
奈江に告げる。

奈江は少し驚いたあとに
「おめでとう」
と微笑んだー。

ーーーー!!

莉那は突然はっとしたー

10月29日ー

おかしいー

29日は、謙介に告白された日だー

今までずっと幸せな気分に包まれていて
気付かなかった。

29日ー
あの日、
謙介に告白されてー

それからー…?

それにー
”何度も何度も何度も、同じ日を繰り返していないかー?”

莉那はそう思った

「あのさ…」
莉那は立ち止まる

「ん?」
奈江も立ち止まる。

「わたしたち、”この会話”何度もしてるよね…?」
莉那が言うと、奈江がにっこりとほほ笑んだ。

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

”憑依された人間の意識”はどこに行ってしまうのか。
そんなテーマの作品デス~

どんな秘密が隠されているのかは、明日をお楽しみに~!

PR
憑依<夢~YUME~>

コメント