勇者セブンを支えてくれていた少女・ルナ。
彼女が憑依されているとは夢にも思わず、
勇者セブンは、魔王の元を目指すー…
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「---あ…♡ あ…♡ あ…♡」
魔王の城…
東側では、巫女のセレスが
服を引きちぎられて、
ルナに身体をしゃぶりつくされていた。
「や…やめて…」
セレスが目から涙をこぼす。
綺麗な色白の肌が、
露出して、
身体からは愛液が流れている。
「んふふふふぅ♡」
ルナはそれを指につけて舐めると笑う。
「--お前たち人間の身体が
こんなに気持ちイイものなんて…
ぐふ…ぐふふふふふ♡」
自分の胸を触るルナ。
ルナはセレスの上に乱暴に乗っかると
片手で自分の胸を、
もう片手でセレスの胸を掴み、
乱暴に揉み始めた。
「いいもん持ってるではないか…
ぐへへへへへへ♡」
激しく興奮した様子で笑うルナ。
「---ル…ルナさんを返して・・・!」
セレスは弱気な様子で叫ぶ。
しかしー
ルナは言った。
「返さないー…
この身体は、我のものだ…」
自分の顔をイヤらしく撫でまわすルナー
そしてー
「むっ…」
ルナは何かを感じ取ったかのように
呟いた。
”部下の魔力が消えた”
「--ククク…そろそろ時間だ」
ルナは冷たい表情でセレスの方を見ると、
セレスに向かって魔力を注ぎ始めたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---そ…そんな馬鹿なぁ~!」
魔王城西部ー。
魔王配下の大幹部・デッドナメクジが、勇者セブンの
必殺技を喰らい、最後の断末魔をあげていたー
セブンの背後で、
デッドナメクジは大爆発を起こして消滅するー。
手ごわい相手だったー
恐らくは今まで戦った大幹部、
ケルベロスやサキュバスよりも、
その力は上だっただろうー
しかしー
「--俺は、負けないー」
デュオとウイングを失った
勇者セブンの怒りが、
それを超越したー。
デッドナメクジを倒した勇者セブンは、
魔王城を駆け上がるー
そして、ついに最上階に辿り着いた。
「---魔王クロノス!」
魔王の間ー。
いかにもな雰囲気の広々とした
部屋に入って行くー。
そこにはー
背を向けるようにして玉座が存在していた。
誰かがそこに座っているー
「--お前が、魔王・クロノスか!」
勇者セブンは剣を向けて叫ぶ。
「---くくくくくく」
魔王の笑い声が響くー
「くくくく、あはははははははははは!」
部屋中に響き渡ったのは
女の声ー。
「(魔王は、女だったのか?)」
勇者セブンは思うー
確かに、魔王クロノスと直接対峙したことはないー
先入観から男だと思っていたが
女だったということだろうー
だが、男であろうと
女であろうと、
凶悪な魔王は、討伐しなくてはならないー
「--」
玉座が回転してー
魔王が姿を現すー
足を組み、妖艶な悪の女王のような格好をした
魔王はー
セブンの方を見て、笑みを浮かべたー
「----!!!」
セブンは驚いて目を見開く。
「---我が魔王クロノスだー」
微笑む女ー
それはー
「ル、、、ルナ!!!」
さっき別れたときと格好が違うが
確かに、ルナだったー
「--くくく…どうした?勇者セブンよ…」
妖しい格好のルナが玉座から立ち上がって、
セブンを見下す。
「---魔王にふさわしい、綺麗な身体だろう?」
ルナの声ー
優しかったルナの声が、
今は低く、悪魔のようなトーンに聞こえる。
「お…俺達を…騙していたのか…?」
セブンは絶望の表情を浮かべるー
セブンもー、
巫女のセレスと同じように
”ルナが憑依されている”とは考えなかったー
”ルナは最初から、自分たちを騙すために近づいてきたー”
そう思った。
「---くくくくく…」
ルナは笑うだけで返事をしない。
「---貴様…!」
セブンの愛が、一気に憎悪に変わる。
信じていたのにー
あの笑顔もー
涙もー
全部嘘だったって言うのかー!
信じられないという表情で
セブンはルナに襲い掛かる。
怒りのセブンは、
デッドナメクジをも圧倒したその力で、
ルナを追い詰めていくー
「(ククク…怒り狂え勇者よ)」
ルナは剣を振るいながら笑みを浮かべる。
この身体は元々剣術に
たけてなどいないが、
今は魔王の身体ー。
剣技もお手のものだったー
「--くそぉおおお!」
セブンが剣を振るうー
ルナの持っていた剣がはじき飛ばされる。
「はぁ…はぁ…」
セブンがルナの方に剣を向けた。
妖艶な格好をしたルナが
地面に這いつくばって
セブンの方を見る。
「--くくくくく…
お前に我は殺せない…」
ルナが低い声で
おかしそうに笑う。
「--……ルナ…」
セブンは目から涙をこぼすー
だがー
「--俺は…俺は…!」
セブンは涙を流しながら叫んだ。
「--俺はおまえなどに屈しない!」
セブンは、ルナを剣で斬りつけた。
「ぎゃあああああああ!」
悲鳴を上げるルナー
ルナの身体から、黒い煙が
放出されるー
「あ………」
ルナの身体から血が流れて、血だまりが出来上がるー
”くくくくくく…”
ルナから放出された黒い煙が、笑うー。
”お前は、最愛の女性を
自分の手で斬ったー”
魔王・クロノスが笑うー
「---な、、なに!?」
勇者セブンは、
苦しむルナと、黒い煙を見ながら言う。
黒い煙はーーー
部屋の奥の方へと流れていくー
「---せ…セブン…
わ、、わたしは…」
ルナが苦しみながら
喋りはじめる。
「ど…どういうことだ!?おい!」
セブンがルナを抱きかかえながら
黒い煙の向かった部屋の奥に向かって叫ぶ。
「----くくくくくく」
別の女の声ー
コツコツと、ヒールのような音がこちらに近づいてくるー
そしてー
部屋の奥の闇から姿を現したのはー
ルナと同じように、魔王の好みに着替えさせられて
妖艶な巫女服に着替えさせられた
巫女のセレスだった。
憑依されていたルナに襲われたセレスは、
魔力で眠らされて、いざというときの身体として
この部屋に連れてこられていたのだった。
「セレス!?」
セブンは叫ぶ。
「--うふふふふふふ…
”この身体”のほうがより強力な魔力があったし、
われの好みなのでな…
この身体を我の身体にすることにした」
巫女セレスの優しい声が、
悪魔のような言葉を告げる。
セレスは自分の胸を触って微笑むー
「--痛い…痛いよ…」
セブンに抱えられているルナが
泣きながら弱弱しく呟いた。
「--ル…ルナ……!これは…」
セブンは呆然とした表情で言う。
巫女のセレスが
勝ち誇った表情で両手を広げて叫んだ。
「この小娘も、そのルナという小娘も、
我が憑依して身体を奪って
好き勝手操っていたのだー
ぐははははははははは!」
セレスの言葉を聞いて、
唖然とするセブン。
「なん…だと…」
苦しむルナの方を見つめるー
「--お前たちがサキュバスを倒したあとー
我は、そこのルナという小娘に憑依したー
そして、デュオとウイングを殺しー
ここに貴様を呼び寄せたのだ」
いつも穏やかな口調で話す巫女のセレスが
強気な口調で話すー
妖艶な格好をしているせいもあり、
まるで別人のようだ
「お前は、、そうとも知らずに
大事な女を、その手で斬った…
くくくくく…」
セレスが身体を震わせる。
笑いをこらえきれず、セレスは
大声で笑いはじめる。
「あはははははははははははっ♡」
セレスの笑い声が響き渡る中、
ルナは苦しみの表情でセブンを見た。
「いたい…よ…
さむいよ…セブン…」
ルナが涙を流しながら
弱り切った手で、セブンを掴む。
自分が妖艶な格好をさせられていることにも
気付けないほど、ルナは弱っている。
「--ルナ…!ルナ…!」
セブンは泣きながら
ルナを抱きかかえた。
一緒に生き延びるって約束したのにー
「-なんで…どうして…」
ルナが苦しみながら言う。
憑依されていた間の記憶がなく、
前後の記憶があいまいなルナは
”いきなりセブンに斬られた”
そう思っていた。
「---」
魔王に憑依された巫女・セレスは
その様子を見ながら
わざとらしく叫んだ。
「--セブンさん!ルナさんを
斬るなんて!ひどい!」
セレスはニヤニヤしながら
そう叫んでいるー
その言葉が耳に入ったのか
ルナは目から大粒の涙をこぼす。
「ひどいよ…いたいよ…
なんでよ…」
ルナの言葉に、
セブンは「ちがう…ちがうんだ!」と叫んだ。
”ルナが憑依されている可能性”
そんなこと、セブンは全く考えずに、
ルナを斬ってしまったー
魔王クロノスがルナという少女に化けて
最初から騙すつもりで近づいてきた、と
そう判断して斬ってしまった
「---ルナ!!!」
セブンはうつろな目になっていく
ルナに向かって叫ぶ。
「---や…だ……しにたく…ないよ…」
ルナはそう呟くと、
力なく、上げていた腕を落としたー
もう、ルナは動かない
「うわあああああああ!」
セブンはルナを抱きかかえて泣き叫ぶ。
「--くくくく…
あ~ははははははははは♡」
セレスが笑う。
「うううぅううう」
セブンは泣きながらセレスの方を見る
「--我が憎いか?斬るか!?
来いよ!!」
セレスがセブンを挑発する。
優しい巫女の面影は、もうどこにもないー
「くっ…セレス…」
セブンはセレスの方を見る。
「---目を覚ましてくれ!セレス!」
セブンは叫ぶ。
しかし、セレスはふざけたポーズを取りながら
「わ・た・しは正気ですよ♡
うふふふふふふふふ!」
と笑って見せた。
「くそっ…セレス…」
剣を手に震えるセブン。
セブンに、仲間を斬ることなどできない。
ましてや、
目の前にいるセレスは魔王に憑依されているだけー、
と知ってしまっている。
斬ることなどできるはずもないーー
「うぅぅぅ…」
セブンは剣を捨てた。
そして、土下座のようなポーズで
セレスの方を見るー
「---俺は…
仲間を斬ることはできない…」
セブンは真剣なまなざしでセレスの方を見た。
妖艶な姿のセレスが近づいてくる。
「--ふふふふふふふ…
バカなやつだ」
モデル歩きをしながら近づいてくるセレスを
見ながら、セブンは叫ぶ。
「セレス…!頼む…目を覚ましてくれ!
闇になんか負けるな!」
セブンは必死に呼びかける。
心の奥底に封じ込められているであろう
セレスに向かってー
「・・・・!!」
セレスが不快そうな表情を浮かべるー。
「--俺といっしょに、魔王を倒そう!
セレス!!!」
セブンがセレスの目を見て叫ぶー
その目はーーー
強い意識が込められていたー
仲間のセレスに対する強い想いもー。
「----」
セレスは紫色に染まった魔王の剣を手に
セブンの方を見つめる。
「セレス!!!!闇に勝つんだ!!!!!」
セブンの叫び声がーー
魔王城に響き渡ったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
拍手に迎えられるセブン。
勇者は、帰還したー
自分の故郷に帰ってきたセブンー
ようやく、戦いは終わった。
セブンの隣には、いつものように
優しく微笑むセレス。
魔王クロノスの闇に打ち勝ち、
セレスは、魔王を身体から追い出した。
そして、巫女セレスの技と
勇者セブンの連携攻撃で
ついに魔王クロノスを倒すことが
できたのだった。
「---これが俺の故郷だよ」
セブンが微笑む。
「--そうなんですね…素敵な場所…」
巫女・セレスが微笑む。
「--ルナに…見せてあげたかったな…」
セブンが悲しそうに呟くー
ルナー
デュオ―
ウイングー
本当はみんなに見せてあげたかった
でも、
もうそれは、叶わないー
セレスが、セブンの腕を握る。
「---セブンさんは、よく戦いました…
ルナさんたちも、恨んでなんかいませんよ」
セレスの言葉に、
セブンは「…そうだといいな」と呟いた。
故郷の村人たちが
セブンを迎えるー
晩餐会が開かれるー
セブンとセレスはどんどん親しくなりー、
元々セブンに好意を抱いていたセレスは
急接近して、ついにセブンと結婚したー
セブンは、幸せな日々を送るー
セレスと共にー
「--平和って…いいもんだな」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「平和って…いいもんだな…」
血まみれになって
床に倒れー
うつろな目でセブンは呟いた。
その言葉を聞いて
妖艶な姿をした巫女・セレスが笑う
「--くくく…死ぬ直前に
幻でも見ているのか??」
セレスの剣は、血に染まっていたー
セブンの言葉は、セレスに届かなかったー
斬られたセブンはー
死の間際ー
夢を見たー
それは、とても幸せな夢ー
「---ぐふふふふふ
この世は、我ら魔族のものだ!」
セレスが両手を広げて勝利宣言する。
「--我は魔王・クロノス…いや、
今日からは女王・セレスよ…!
くくく…あはははははははは!」
女の身体に快感を見出した魔王クロノスは、
この日から、自ら女王セレスと改名し、
人々をさらに恐怖に陥れるのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---平和って、いいもんだな…」
セブンは、
死の間際の夢の中で、そう呟いた。
セレスと結婚してー
子供を授かってー
「----…あれ」
セブンは、村に誰もいないことに気付く。
「--セレス?
みんな??」
誰もいない村ー
「---セブン」
ふと、懐かしい声が聞こえる。
振り返ると、
そこには
光の扉ー
その先にはー
ルナ、デュオ、ウイングの姿ー
セブンは、
笑みを浮かべる。
「なんだ…そういうことか…」
セブンは全てを理解したー
「---みんな…ごめん」
目から涙をこぼしながら
セブンは、扉の方に向かうー
そしてー
彼の意識は
光に包まれて―
永遠の眠りについたのだった。
醒めることのない、眠りにー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
デッドナメクジは倒せましたが、
魔王を倒すことはできませんでした…汗
これからは
女王セレスの弾圧に
苦しむことになりそうデス…!
お読み下さりありがとうございました~!
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