勇者の仲間である少女が、
魔王に憑依されてしまった。
そうとは知らずに、
勇者たちは、次第に”崩壊”へと向かっていくー
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「---そ、そんな…」
勇者・セブンの一行が滞在している村は
重い空気に包まれていた。
セブンの幼馴染でもあり、セブンの仲間であった
デュオが、遺体となって発見されたのだ。
「---デュオは…闇の力で殺されたようです」
参謀役のウイングが言う。
「---デュオさん…」
回復役のセレスが涙する。
心優しいセレスは、
仲間の死を誰よりも悲しんでいた。
「----くくく」
少女・ルナは誰にも気づかれないように
笑みを浮かべていたー
「--愚かな人間どもよ…」
ルナは呟く。
「お前たちもじきに、
仲間のところに送ってやる…」
ルナの目が赤く光るー
勇者一行の苦しむ姿を見て
ルナに憑依している魔王クロノスは興奮にも似た
感情を覚えていたー
それに影響されてか、
ルナのアソコは濡れはじめているー
「ぐふふ…この小娘も興奮しているようだな…」
ルナは笑みを浮かべて、
セブンたちの方に近づく。
「きっと…残る大幹部・デッドナメクジの仕業ね…」
ルナが言う。
「--え?」
勇者セブンがルナの方を見る。
「--確かに、昨夜、魔物の気配はしませんでした」
参謀のウイングが言う。
ウイングは、魔物の気配を察知する能力に
長けている。
そのウイングが言うのであれば
魔物の気配はしなかったのだろう。
「--気配を消すことができる魔物ー」
ルナが言うー
「--そうだな…」
セブンは苦悩の表情を浮かべて、
変わり果てたデュオの姿を見る。
今までに対峙した魔物の中で
気配を消すことのできる魔物は2人だけだった。
大幹部のケルベロスとサキュバスだ。
もちろん、他にもいる可能性はあったが、
怪我をしていたとは言え、デュオが
そう簡単にやられるはずがないー。
そのデュオがやられたということはー
「---…」
回復担当の巫女・セレスが
不安そうな表情を浮かべていたー
・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
「--ぐふふふふふ…♡」
ルナは自分の部屋で、
自分の胸を触っていたー
「愚かな人間の身体ー
なかなか面白いではないか… あぁ♡」
ルナは顔を真っ赤にしながら
笑みを浮かべていたー
魔王クロノスにとっては
初めての経験。
胸や、アソコを触ると
身体がゾクゾクしてとっても気持ちがいい。
魔物たちには、
味わうことのできない快感だ。
「んあ♡ あっ♡
ぐふ、、変な声が、、でるぅ♡
あはあ♡ くくく…♡ ひははははははっ♡」
ルナが表情を歪めながら
甘い声を出す。
「ひとり、、ひとり、、始末してやる…
くく…ひひひひ♡
あぁぁぁ、わたしが、、
仲間を、、みんなみんな殺してやる♡
あははははははっ!」
ルナは身体をビクンビクンさせながら
嬉しそうに喘ぎ始めた
・・・・・・・・・
「デュオ…」
デュオの遺体が設置された
民家で、セブンは悲しそうな表情を浮かべていた。
ガチャー…
背後から人の気配がする。
「--誰だ?」
セブンがそう言いながら
振り返ると、そこには仲間の一人、
巫女のセレスがいたー。
セレスも、セブンに対して好意を抱いているー。
しかしー
ルナの思いが強いことを知り、
セレスは身を引いていたー
「セブンさん…」
セレスが困惑した表情を浮かべているー
「--邪悪な気配が、満ちていたんです…」
セレスは、昼間のことを話し始めた。
誰だかまでは分からなかったけれど、
デュオの遺体を発見し、
広場に運んだ際に
集まった人々の中から
”邪悪な気配”がしたのだという。
「--邪悪な気配…・?」
セブンが言うと、セレスは頷いた。
「---これまでの魔物とは
比べものにならないオーラでした…
きっと、、近くに…魔物が潜んでいます」
セレスはそこまで言うと、
”最悪の可能性”を口にした。
「--仲間の誰かにーーー
いると思うんです」
セレスの言葉に、セブンは驚くー
「なっ・・・!誰かが、
デュオを殺したってのか?」
セブンの言葉に、
セレスは頷く。
まず、デュオが無抵抗…
抵抗した形跡がないことを挙げるー。
そして、
夜のうちにこっそりとデュオが
殺されたこともー
さらに、邪悪な気配が村に充満していることー
そのことからー
デュオは、顔をよく知る相手に殺されたのではないか、と
セレスはそう考えていたー
「--そんな馬鹿なー」
セブンは仲間たちの顔を浮かべる。
ずっと一緒に旅をしてきたルナー、
最近仲間に加入した参謀役のウイングー
それともー
村の村長か…?
セブンとセレスは不安そうな表情を
浮かべることしかできなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
セレスは自分の部屋へと戻っていく。
「ひとりで大丈夫か?とセブンは尋ねたが
「これでも、魔物と戦う巫女ですから」と
セレスは微笑んで見せたー
自分の部屋にひとりになったセブンは考えるー
誰か、仲間がデュオを…?
魔物が人間に化けて
自分たちに近づいてきたとすればー
最近であった人間たちだー、とセブンは思う。
もしも前から旅をしているルナが
魔物であれば
もっと早く行動を起こすはず。
わざわざ、大幹部のケルベロスやサキュバスが
倒されるまで、黙って見ているはずがないー
と、なればー
怪しいのはー
セブンは
村の村長と、仲間のウイングの顔を浮かべるー
「--確かに、昨夜、魔物の気配はしませんでした」
昼間の、参謀・ウイングの言葉を思い出すー
「まさかー」
セブンははっとするー。
巫女のセレスが察知できた邪悪なオーラ…
魔物の気配を探知できるウイングは、
なぜ探知できなかったのかー
そう言えば、ウイングは
自分からセブンたちに接触をかけてきた人物dったし、
ウイング自身の過去は不明だ。
彼が、語ろうとしないからだー
そしてー
最後の大幹部・デッドナメクジの正体はいまだに不明ー
「---」
セブンは、ウイングに疑いを抱きはじめていたー
”ウイングが、デッドナメクジなのではないか”
とー。
セブンは自分の部屋から飛び出して
ウイングの部屋へと向かうー
出会うタイミングー
昼間の言動ー
謎の過去―
色々な状況が、
ウイングが、デッドナメクジ、あるいは
他の魔物である可能性を示していたー
もしも、デュオがウイングに殺されたのであれば、
デュオが無抵抗だったのもうなずける。
「---あ!」
廊下でルナとすれ違う。
「--どうしたの?」
ルナは心配そうにセブンの方を見る。
「--ルナ…!」
セブンはルナの方を見て微笑む。
「--夜にそんな血相変えて…
どうしちゃったの?」
心配そうに言うルナ。
セブンは、ルナの方を見て言った。
「デュオを殺したのは…
もしかしたらウイングかもしれない」
セブンが言うと、ルナは「えぇ!?」と驚く。
「もちろん、そうであって欲しくはないー
けど…」
セブンは悲しそうな表情で
ルナを見た。
「---実は…」
ルナは、セブンの方を見て呟いた。
「--わたし、、怖くてずっと言えなかったけど…
昨日の夜…
デュオの部屋から、ウイングが出ていくのを見たの…」
ルナは目から涙をこぼしながら言う。
「--な、、なにっ!?」
驚くセブン。
そんなセブンの反応を見ながら
ルナは邪悪な笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・
「--ウイング!」
セブンがウイングの部屋に駆け込む
「---!!!」
セブンは驚きで目を見開いた。
ウイングがー
自らの喉元にナイフを突き刺しー
果てていたー。
「ウイング…!」
セブンは唖然とするー
ルナの言うとおり、
このウイングがデュオを殺した犯人だったのかー
それともー
すぐに、ウイングの遺体が回収されたー。
ウイングの前に
セブンと、ルナ、そして巫女のセレスが
悲しそうにたたずむ。
ルナはー
悲しそうな表情を浮かべながらも、
笑うのをこらえていたー
(だ…だめだ…まだ笑うな…)
ルナに憑依している魔王は、
今にも大笑いしてしまいそうだった。
こんなにもあっけなく、勇者の
パーティメンバーの2人を
葬ることができたー
あとは、二人。
巫女のセレスと、
勇者セブンー。
そして、最後に、この小娘の身体も
自ら消し去るー
「--くく…」
ルナは思わず少し笑みをこぼしてしまうー
「---…」
セレスはそんなルナの方を
じっと見つめていたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---がぁっ!」
深夜…。
村の村長が、何者かに
襲われていた。
「--あ…ア…」
村長は必死に命乞いをする。
「--くくく」
村長を襲っていたのは、
勇者の仲間・ルナだった。
「--た、、助けて下さい…!」
村長が必死に頭を下げる。
しかしー
「くくくく…
愚かな人間どもよ…
勇者が本当に我に勝てると思っているのか?」
ルナが目を赤く光らせて
悪魔のような形相で笑うー
可愛らしい声―
しかし、その声には、脅すようなトーンが
含まれていたー
「--あ、、あなたは一体…」
村長は驚いて目を見開く。
「--我は魔王クロノス…
この身体は、我が奪い取った!
今や、完全に我のモノだ!
ぐははははははは!」
笑うルナ。
優しかった少女の面影は
消えて、その表情は邪悪に、歪んでいるー
「---ひっ…お助けを…!」
逃げようとする村長ー
しかしー
ルナは表情一つ変えずに、
冷酷に、村長の首を吹き飛ばしたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌朝ー
「--お前たちは疫病神だ!」
「お前たちのせいで、村長は!」
空気が変わったー
村長が死体で発見されたことで、
勇者セブン一行を疫病神とする動きが出始めたー
また、
セブンたちが村長を殺したのではないかという
疑惑まで持ちかけられて、
勇者セブンは追いつめられていた。
「--すみませんでした」
セブンは村人たちに頭を下げる。
これ以上、この村にいることはできない。
セブンは、ルナとセレスに声をかけて
村の外へと立ち去って行く。
デュオもウイングも死んでしまった。
戦闘能力ではNo2だったデュオと、、
参謀役だったウイング。
この2人を失ったことで、
パーティは大幅な戦力ダウンだった。
だがー
それでも勇者セブンは退くことはできなかったー
魔王・クロノスを倒すためー
「--こうなったら…
こっちから魔王の城に乗り込んでやるー」
危険な賭けー
今までは、無謀なことをせずに
少しずつ、魔王の城へと進んでいたー
魔物を少しずつ倒し、
身の安全を守りながら
周辺の村や町を守りつつ進むー
そういうスタンスで、勇者セブンたちは
行動していた。
しかしー
こうなってはー
もう、強行突破するしかないー
魔王の城へと乗り込みー
魔王・クロノスを撃破するー。
それしかないと
勇者セブンは考えたのだったー
「--冷静になってください!」
巫女のセレスが言う。
しかしー
セブンは言った
「もう、俺たちに、後はないんだ…」
と。
デュオとウイングを失ったことで
セブンは焦っていた。
「---そうね…
わたしも賛成…」
ルナが呟く
「--このままだと、全滅を待つだけだわ…。
それに、魔王もまさかわたしたちが
奇襲を仕掛けてくるとは思っていないだろうし…
わたしは、セブンの策に賛成」
ルナがそう言うと、
セブンとルナに押し切られる形で、
セレスは頷いた。
「---…」
セレスは前を歩くルナを見つめるー
セレスの目には映っていたー
”ルナから邪気が発されている”
のが、今ははっきりと見えていたー
”なんとかしないと…”
セレスはそう思っていたー
セブンに言うかどうか、迷ったー。
けれどー
セブンはルナを強く信頼しているー
”ルナが魔物かもしれない”
なんて言っても、セブンは絶対に信じないー
だったらー
気付いていないふりをして、
隙をついて、ルナをー。
セレスは”自分の勘違い”に気付いていないー。
セレスは、”ルナが魔王に憑依されている”と思っているのではなく
”ルナはセブンに近づき、仲間のふりをして潜り込んでいた魔物”
だと勘違いしているー
それに気づくのは、まだ先の話だったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
勇者セブンたちは、数日かけて、
魔王の城に辿り着いたー
城に潜り込む3人。
しかしー
ガガガガガガガガ!!
「--!?」
突然、機械仕掛けの扉が動きだし、
セブンと、ルナ・セレスは分断されてしまった。
「--!?大丈夫か!」
扉は開きそうにない。
「--わたしたちは大丈夫!
セブンこそ、平気?」
ルナの声ー。
セブンは「あぁ、だいじょうぶだ!」と叫ぶ。
「--この扉は開きそうにないわ!
あとで合流しましょ!」
ルナの言葉にセブンは
「気をつけろよ!」と叫んで、
西側通路から、魔王城の最上階を目指す。
一方、ルナとセレスは東側通路から最上階を目指すー
「---」
セブンは魔王城を駆け上がる。
魔王・クロノスを倒しー
平和を取り戻したらー
故郷に戻ってー
ルナと結婚するんだー
セブンは、そんな風に思っていたー
「--!!」
突然、泥のような液体が飛んできて、
セブンは咄嗟にそれを避ける。
「お前は!」
セブンの視線の先には、醜悪な怪物が居たー
「--俺はデッドナメクジー。
ここがお前の墓場だ…!」
魔王クロノス配下の
3大幹部、最後のひとり・デッドナメクジが
勇者セブンの前に姿を現す。
セブンは剣を構えて、呟く
「デュオ…ウイング…俺に力を貸してくれ」
そしてー
決意の表情で、
行く手を阻むデッドナメクジを見つめたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
東側から最上階を目指すルナとセレス。
「---あの…」
セレスが立ち止まる。
「どうしたの?」
ルナが振り返る。
”もうすぐだ…
笑いを…堪えろ…”
全て思い通りー
ルナに憑依している魔王・クロノスの計画成就まで
あと少しー。
勇者セブンを
希望から絶望に突き落とすー
最高の瞬間がもう少しでー
「-----!?」
突然、ルナの身体に衝撃が走った。
「---はぁっ!」
巫女のセレスが、魔を封じる術を唱えて、
ルナを攻撃したのだ。
「--なっ!?なにをするの!?」
ルナは叫ぶ。
そんなルナを見て、セレスは言った。
「--…村で気づいたんです。
あなたの正体に…
ルナさん…いえ、魔物!」
セレスの言葉に、ルナは笑みを浮かべた。
「ククク…気づかれたか…
巫女の子娘よ…」
ルナが目を赤く光らせて笑う。
「---やはり…」
巫女・セレスは、トドメの呪文を
唱えようとする。
どんなに強大な魔物であったとしても
セレスの聖なる力をもってすればー
「いいのかー?」
ルナが低い声で呟く。
「--この”身体”は、
人間のものだぞ??」
とー。
「--!!」
セレスは攻撃の手を止めるー
”魔物が人間に変身して、勇者セブンに近づいた”
セレスはそう思っていたー
しかし、実際はー
「--我が名は魔王クロノス。
このルナという娘の身体を、憑依して奪ったのだ…!
くくくくく…」
ルナの身体から、黒いシルエットが浮かび上がる。
ルナと、黒いシルエットが同じ言葉を発するー
「ここで我を殺せばー
この小娘も死ぬぞ…?
くくくくくく…」
その言葉に、心優しい巫女のセレスは
攻撃をためらってしまうー
そしてー
「バカな小娘だ!」
ルナが大声で叫ぶと、
衝撃波が発生して、
セレスは吹き飛ばされた。
「--う…」
苦しむセレス。
その上から覆いかぶさるルナ。
「--んふふふ…人間の女の身体…
気持ちよいではないか・・・
楽しませてもらうぞ…♡」
そう言うと、ルナははぁはぁ♡と言いながら
セレスを押さえつけて
無理やりキスをするのだったー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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次回が最終回デス~!
果たして魔王を倒せるのでしょうか~!
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