夜中に何者かが自分の身体を
乗っ取って、好き放題していることが分かった。
花帆は、なんとか対策を取ろうとする…。
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「それで?どうだったの?」
先輩の松恵が、
カメラを設置した結果は
どうだったのかと聞いてくる。
「あ、、、え…い、、いえ」
花帆は返事に困った。
夢遊病ではないか、などと疑って
カメラを設置したわけだったが
実際には夢遊病などではなく、
自分の身体が夜中に、
見知らぬ誰かに乗っ取られていたのだった。
そんなこと、言えるはずもないし、
信じてもらえるはずもない
「と、、特に問題はなさそうでしたね~あはははは」
花帆がそう言うと、
松恵は「あら、それならよかった」と微笑んだ。
ーーー本当は問題だらけだ。
このままじゃ寝不足も解消されないし、
そもそも誰が自分の身体を
乗っ取っているのかも分からないー
それにー
何か悪さをされてしまう可能性だって十分ある。
身の毛のよだつ思いをしながら、
花帆は、今後どうするべきなのかを考えたー。
このままではまずい。
どうにかしなくちゃいけないー
けれどー
どうすればいいのか。
・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー。
花帆は考え込んでいたー。
今日の夜も、見知らぬ誰かに
身体を奪われて、
エッチなことをされてしまうのだろうか。
昨夜は”角オナ”がどうこう言っていた。
わたしが、喘ぎながら角オナをしてるなんてー
想像できない。
花帆は、顔を赤らめる。
じっくり考えてみたけれど、
憑依とかいうのを防ぐ方法は
思いつかないー
だったらー
花帆は”あること”を思いついて、
その準備を始めるのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
「----ん…」
花帆は目を覚ますー
いやー
目を覚ましたのは花帆ではない。
花帆の身体を乗っ取った”何か”だー。
「--ふふふふ…」
怪しい笑みを浮かべる花帆。
普段の真面目な雰囲気ではないー
「--あぁぁ…♡花帆ちゃんのおっぱい…」
花帆は口元を歪めながら自分の
胸を揉んでいるー
思わず、涎を垂らしてしまうー
それにしても…
夜中にばれないようにこっそり
遊んでいるのに、
ばれてしまうとはー
と、花帆に憑依した者は思うー。
片づけもしっかりとして、
気付かれないように
していたはずなのにー
「さ~て…今日は、バナナエッチでも
してみようかな~うへへ!」
花帆はそう言いながら立ち上がる。
深夜の2時ー
真夜中の熱い時間を存分に楽しめる。
「--ん?」
花帆はふと、机の上に目をやった
”必ず見て下さい”
そう赤いペンで書かれたメモ用紙の横に、
USBメモリーが置かれていた。
「---ふぇ?」
花帆は、首をかしげる。
花帆に憑依している者は、
花帆の記憶を読み取ることはできない。
だから、昼間、花帆が何をしているのかは
分からないー。
「---」
近くにあったノートパソコンを起動すると、
花帆は、そのUSBメモリーの中に入っていた
動画ファイルを再生した。
「--!?」
再生された映像にはー
花帆の顔が写しだされた。
”--え~っと、こんばんは…かな?
夜中にわたしの身体が勝手に
使われているなんて…
その、、びっくりしました”
ー!?
花帆は、寝る前に、自分で動画を撮影して
”真夜中の自分”に対する
メッセージビデオを作ったのだった。
「--な、、なんだこれ…」
花帆を乗っ取っている人物は
思わずそう呟いた。
まさか、こんな風にビデオメッセージが
返されてくるなんて
完全に予想外だった。
”ひとつ、お願いがあるんですけど…
聞いてもらえるか、、分かりませんけど…”
花帆は、困惑した様子で言っている。
「---お願い?」
真夜中の花帆が映像を見ながらそう呟く。
憑依して乗っ取っている間は
花帆の意識は眠りについている。
だから、こうでもしないと
確かに会話はできない
”--実はわたし、最近、寝不足が酷くて…
昼間の仕事にも影響があるんです。
それで、ちゃんと寝れてるのかな?って
思って、カメラをつけたんですけど…”
花帆は、自分の身体を夜中に
乗っ取っているはずの人物に
対しても、敬語で遠慮がちに話している
「---あぁ…それでか」
花帆は、髪を掻き毟る。
自分が寝ているはずなのに
寝不足になっていることに違和感を感じて
花帆はカメラを設置したのだろう。
「--確かに、そこまで考えなかった」
花帆に憑依している人間は
そう呟くと、映像の続きを見る
”あの…え~っと、正直に言うと、
ちょっと怖いですケド、別に何か取ったり
荒らしたりしてるわけじゃないみたいなので、、
え~っと、その、なんというか…
悪さしなければ、、いいというか…”
映像の中の花帆が困惑しながら喋る。
「はは…面白い子だな」
花帆は映像を見ながら笑う。
自分の映像を見ながら
笑っている自分ー
端から見たら異様な光景だ。
”--あの…寝不足は困っちゃうんですケド…
どうしたらいいかな~って”
映像の中の花帆が
困った様子でにっこりとほほ笑んだ。
そのあと、少し話が続きー
映像は終わった。
「----」
花帆に憑依している人間は少し考えたあとに、
自分もビデオメッセージを作ることにしたー。
そしてー
撮影を終えると、
花帆は微笑んだ
「さ~て…バナナエッチ…!
と、言いたいところだけど…
寝よう」
花帆は、素直に、ベットに飛び込んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「う~ん…」
花帆が目を覚ますー
なんだか今日は、目覚めがいい。
「あれ…今日は疲れがいつもより無いような…」
花帆がそう呟く。
そしてー
机の上を見ると、
”見て下さい”とUSBメモリーが置かれていた。
「わ!」
花帆は思わず声を出す。
”真夜中のわたし”からの返事だー
花帆は、仕事までにはまだ時間がある、と
早速それを再生するー
するとー
真夜中の花帆が写しだされた
”え~っと…
寝不足になっているとのことで…
申し訳ありませんでした”
憑依されている夜中の自分が頭を下げる。
「--なぁにこの人…」
花帆は苦笑いする。
人の身体を勝手に使っておきながら
何故か妙に礼儀正しい。
なんだか、その光景がおかしかった。
”え、、っと、わたし…いや、俺…?
俺は、花帆さんに危害を加えるつもりはありません
あ、いや…エッチしてる時点で、
寝不足にしてる時点で危害かもですけど、
人生を壊したり、このまま奪ったり、
エッチな写真をネットに流したり、
そういうことは絶対にしません。お約束します”
その言葉を聞きながら
花帆は、なんとなく少しだけ安心したー
本当に身体を奪われてるなら、
人生丸ごと奪われる可能性だって
あったわけだし、
この人がそういうことをするつもりはない、
と分かっただけでも、それは充分な収穫と言える。
”それで…考えたんですけど。
花帆さんが、寝不足にならないように、
これからは、身体を使う時間を短くして、
あと…え~っと、毎日深夜に憑依していたのを
やめて、週に3日、4日にしようと思います”
花帆は思わず耳を疑った。
なんて自分勝手な人なの!?
とー。
勝手に人の身体を使っておきながら
”時間を減らします”とは何か。
普通なら、ごめんなさいと、
憑依をやめるべきではないの?
とー。
「--なんなのこの人…」
花帆は溜息をつくー
エッチなことをされているのはなんだか気味が悪い。
けどー
なんとなく寝不足になっている以外は
無害そうな気がしてー。
「はぁ…とりあえず…どうしようかな」
花帆は、ふとカレンダーを見る。
そういえば、明日は自分の誕生日ー。
色々あって、忘れていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
誕生日ー
誕生日の日は、
彼氏の竜一と楽しい時間を過ごしたー
「ーーー今日は泊まって行こうかな…」
竜一が呟く。
「--あ、うん!全然だいじょうぶだよ~!」
花帆はそう答えてからはっとしたー
「---!!」
まずいー。
今日の深夜は、
”憑依しに来る日”だー
誰だか分からない人に
憑依されてしまう日ー
もしもー
もしもー竜一の目の前で
憑依されてしまったらー
「---あ、、ご、、ごめん」
花帆は慌てて口を開いた
「--?」
竜一が首をかしげる。
「--明日、仕事早いから、
また今度にしよ?」
花帆が苦笑いしながら言うと
竜一は一瞬、驚いた様子だったものの
すぐに微笑んで
「そっか。分かった」と花帆に返事をした
竜一と楽しい誕生日を過ごした花帆はー
満足のうちに、眠りについたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「---!?」
花帆が起きると、
少し身体がゾクゾクしている感じがした。
「やっぱり…憑依されてるのかなぁ…」
あれ以降、特にお互いにやりとりはない。
けれどー
ぐっすり眠れていると感じる日もあるから
恐らく、約束通り、
自分に憑依している人間は
憑依しない日を守っている。
そしてー
憑依されていると思われる日も
幾分か楽になっていることを考えると、
憑依する時間を短くしてくれているのだろう。
「え…」
花帆が起きあがると、
そこには、USBメモリと
プレゼントの包が置かれていた。
「なにこれ…?」
花帆は不思議に思い、
USBメモリに保存されている
動画を再生した。
するとそこには、
顔を赤らめた自分の姿が映し出されたー
”はぁ…はぁ…♡
あ、ごめんなさい
ちょっと角オナしたばっかりで…♡”
甘い声で言う花帆ー
自分の姿のはずなのに、
その映像を見ながら花帆はドキッとしてしまうー
”今日、お誕生日だと、書いてあったので
プレゼント、買ってきました。
あ、、だ、大丈夫ですよ!
ちゃんと俺の金で買いましたから”
映像の中の花帆がそう言いながら
プレゼントを机の上に置く。
”ここに置いておきますね”
映像の中の花帆が笑うー。
”なんだか…
自分にプレゼント渡してるみたいで
変な気持ちだなぁ…”
映像の中の花帆が顔を赤らめた。
「----」
花帆はその映像を見ながら
きゅんとしてしまう。
なんだか、この人ーー
変な人だけど、面白いー
とー。
なんとなく、花帆は
映像を見ながらドキドキしてきてしまった。
自分は、一体、どんな人に
憑依されているのだろうー
”あ、、お、、お出かけしたときは
ちゃんと普通に振る舞いましたから
心配しないでください。
でも、、スカートで外歩くと
スースーして落ち着かないものですねぇ
へへへ”
ニヤニヤする映像の中の花帆
少ししてハッとすると、
花帆は真剣な表情になって言った。
”え~っと、花帆さん。
お誕生日、おめでとうございます”
と、
言いながら
映像の中の自分は、ふかぶかと頭を下げたー
「~~~~」
花帆は映像を見終えると
顔を赤くしていたー
そして、プレゼントを開くと、
そこには、ぬいぐるみが色々と入っていた。
「なにこれ…かわいい…」
花帆は”女の人に贈るプレゼント、
あまり知らないのかな?”と苦笑いしながら
微笑んだー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それからも、不思議な関係は続いたー
竜一とは仕事の関係で会う回数が減りー
花帆は、次第に”憑依している誰か”の
ことが好きになってしまっていたー
そしてー
花帆は、ついに決意したー
ある夜ー
「ふぅぅぅ~♡ 憑依完了~♡」
微笑む花帆。
花帆の許可を得て、
メイド服や、セーラー服などを
用意し、
それを楽しんだりもし始めていたー
なんとなくー
二人は、不思議な縁で
親密になり始めているー
「---ん?」
真夜中の花帆は、
机の上に置かれた花帆からの
メッセージに気付く。
映像を再生するー
するとー
花帆は言った。
”あの…
わたしに憑依している誰かさん…?
わたしと…
会ってくれませんか…?”
真剣な表情の花帆ー
花帆に憑依している”誰か”はー
その言葉を聞いて、悲しそうな表情を浮かべたー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
不思議な関係に進展するふたりー。
結末は明日デス~
コメント
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二重人格似た感じ、非常にいいですね
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> 二重人格似た感じ、非常にいいですね
ありがとうございます~!
最終話もがんばりますネ!