<憑依>真夜中のわたし②~対話~

夜中に何者かが自分の身体を
乗っ取って、好き放題していることが分かった。

花帆は、なんとか対策を取ろうとする…。

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「それで?どうだったの?」

先輩の松恵が、
カメラを設置した結果は
どうだったのかと聞いてくる。

「あ、、、え…い、、いえ」

花帆は返事に困った。

夢遊病ではないか、などと疑って
カメラを設置したわけだったが
実際には夢遊病などではなく、
自分の身体が夜中に、
見知らぬ誰かに乗っ取られていたのだった。

そんなこと、言えるはずもないし、
信じてもらえるはずもない

「と、、特に問題はなさそうでしたね~あはははは」
花帆がそう言うと、
松恵は「あら、それならよかった」と微笑んだ。

ーーー本当は問題だらけだ。

このままじゃ寝不足も解消されないし、
そもそも誰が自分の身体を
乗っ取っているのかも分からないー

それにー
何か悪さをされてしまう可能性だって十分ある。

身の毛のよだつ思いをしながら、
花帆は、今後どうするべきなのかを考えたー。

このままではまずい。
どうにかしなくちゃいけないー

けれどー
どうすればいいのか。

・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー。

花帆は考え込んでいたー。
今日の夜も、見知らぬ誰かに
身体を奪われて、
エッチなことをされてしまうのだろうか。

昨夜は”角オナ”がどうこう言っていた。

わたしが、喘ぎながら角オナをしてるなんてー
想像できない。

花帆は、顔を赤らめる。

じっくり考えてみたけれど、
憑依とかいうのを防ぐ方法は
思いつかないー

だったらー

花帆は”あること”を思いついて、
その準備を始めるのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー

「----ん…」

花帆は目を覚ますー

いやー
目を覚ましたのは花帆ではない。

花帆の身体を乗っ取った”何か”だー。

「--ふふふふ…」
怪しい笑みを浮かべる花帆。

普段の真面目な雰囲気ではないー

「--あぁぁ…♡花帆ちゃんのおっぱい…」
花帆は口元を歪めながら自分の
胸を揉んでいるー

思わず、涎を垂らしてしまうー

それにしても…
夜中にばれないようにこっそり
遊んでいるのに、
ばれてしまうとはー

と、花帆に憑依した者は思うー。

片づけもしっかりとして、
気付かれないように
していたはずなのにー

「さ~て…今日は、バナナエッチでも
 してみようかな~うへへ!」

花帆はそう言いながら立ち上がる。

深夜の2時ー

真夜中の熱い時間を存分に楽しめる。

「--ん?」
花帆はふと、机の上に目をやった

”必ず見て下さい”

そう赤いペンで書かれたメモ用紙の横に、
USBメモリーが置かれていた。

「---ふぇ?」
花帆は、首をかしげる。

花帆に憑依している者は、
花帆の記憶を読み取ることはできない。
だから、昼間、花帆が何をしているのかは
分からないー。

「---」
近くにあったノートパソコンを起動すると、
花帆は、そのUSBメモリーの中に入っていた
動画ファイルを再生した。

「--!?」

再生された映像にはー
花帆の顔が写しだされた。

”--え~っと、こんばんは…かな?
 夜中にわたしの身体が勝手に
 使われているなんて…
 その、、びっくりしました”

ー!?

花帆は、寝る前に、自分で動画を撮影して
”真夜中の自分”に対する
メッセージビデオを作ったのだった。

「--な、、なんだこれ…」
花帆を乗っ取っている人物は
思わずそう呟いた。

まさか、こんな風にビデオメッセージが
返されてくるなんて
完全に予想外だった。

”ひとつ、お願いがあるんですけど…
 聞いてもらえるか、、分かりませんけど…”

花帆は、困惑した様子で言っている。

「---お願い?」
真夜中の花帆が映像を見ながらそう呟く。

憑依して乗っ取っている間は
花帆の意識は眠りについている。
だから、こうでもしないと
確かに会話はできない

”--実はわたし、最近、寝不足が酷くて…
 昼間の仕事にも影響があるんです。
 それで、ちゃんと寝れてるのかな?って
 思って、カメラをつけたんですけど…”

花帆は、自分の身体を夜中に
乗っ取っているはずの人物に
対しても、敬語で遠慮がちに話している

「---あぁ…それでか」
花帆は、髪を掻き毟る。

自分が寝ているはずなのに
寝不足になっていることに違和感を感じて
花帆はカメラを設置したのだろう。

「--確かに、そこまで考えなかった」
花帆に憑依している人間は
そう呟くと、映像の続きを見る

”あの…え~っと、正直に言うと、
 ちょっと怖いですケド、別に何か取ったり
 荒らしたりしてるわけじゃないみたいなので、、
 
 え~っと、その、なんというか…
 悪さしなければ、、いいというか…”

映像の中の花帆が困惑しながら喋る。

「はは…面白い子だな」
花帆は映像を見ながら笑う。

自分の映像を見ながら
笑っている自分ー

端から見たら異様な光景だ。

”--あの…寝不足は困っちゃうんですケド…
 どうしたらいいかな~って”

映像の中の花帆が
困った様子でにっこりとほほ笑んだ。

そのあと、少し話が続きー
映像は終わった。

「----」
花帆に憑依している人間は少し考えたあとに、
自分もビデオメッセージを作ることにしたー。

そしてー
撮影を終えると、
花帆は微笑んだ

「さ~て…バナナエッチ…!

 と、言いたいところだけど…
 寝よう」

花帆は、素直に、ベットに飛び込んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

「う~ん…」
花帆が目を覚ますー

なんだか今日は、目覚めがいい。

「あれ…今日は疲れがいつもより無いような…」

花帆がそう呟く。
そしてー
机の上を見ると、
”見て下さい”とUSBメモリーが置かれていた。

「わ!」
花帆は思わず声を出す。

”真夜中のわたし”からの返事だー

花帆は、仕事までにはまだ時間がある、と
早速それを再生するー

するとー

真夜中の花帆が写しだされた

”え~っと…
 寝不足になっているとのことで…
 申し訳ありませんでした”

憑依されている夜中の自分が頭を下げる。

「--なぁにこの人…」
花帆は苦笑いする。

人の身体を勝手に使っておきながら
何故か妙に礼儀正しい。

なんだか、その光景がおかしかった。

”え、、っと、わたし…いや、俺…?
 俺は、花帆さんに危害を加えるつもりはありません

 あ、いや…エッチしてる時点で、
 寝不足にしてる時点で危害かもですけど、
 人生を壊したり、このまま奪ったり、
 エッチな写真をネットに流したり、
 そういうことは絶対にしません。お約束します”

その言葉を聞きながら
花帆は、なんとなく少しだけ安心したー

本当に身体を奪われてるなら、
人生丸ごと奪われる可能性だって
あったわけだし、
この人がそういうことをするつもりはない、
と分かっただけでも、それは充分な収穫と言える。

”それで…考えたんですけど。
 花帆さんが、寝不足にならないように、
 これからは、身体を使う時間を短くして、
 あと…え~っと、毎日深夜に憑依していたのを
 やめて、週に3日、4日にしようと思います”

花帆は思わず耳を疑った。

なんて自分勝手な人なの!?

とー。

勝手に人の身体を使っておきながら
”時間を減らします”とは何か。

普通なら、ごめんなさいと、
憑依をやめるべきではないの?

とー。

「--なんなのこの人…」
花帆は溜息をつくー

エッチなことをされているのはなんだか気味が悪い。

けどー
なんとなく寝不足になっている以外は
無害そうな気がしてー。

「はぁ…とりあえず…どうしようかな」

花帆は、ふとカレンダーを見る。

そういえば、明日は自分の誕生日ー。
色々あって、忘れていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

誕生日ー

誕生日の日は、
彼氏の竜一と楽しい時間を過ごしたー

「ーーー今日は泊まって行こうかな…」
竜一が呟く。

「--あ、うん!全然だいじょうぶだよ~!」
花帆はそう答えてからはっとしたー

「---!!」

まずいー。

今日の深夜は、
”憑依しに来る日”だー

誰だか分からない人に
憑依されてしまう日ー

もしもー
もしもー竜一の目の前で
憑依されてしまったらー

「---あ、、ご、、ごめん」
花帆は慌てて口を開いた

「--?」
竜一が首をかしげる。

「--明日、仕事早いから、
 また今度にしよ?」
花帆が苦笑いしながら言うと
竜一は一瞬、驚いた様子だったものの
すぐに微笑んで
「そっか。分かった」と花帆に返事をした

竜一と楽しい誕生日を過ごした花帆はー
満足のうちに、眠りについたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

「---!?」
花帆が起きると、
少し身体がゾクゾクしている感じがした。

「やっぱり…憑依されてるのかなぁ…」

あれ以降、特にお互いにやりとりはない。

けれどー
ぐっすり眠れていると感じる日もあるから
恐らく、約束通り、
自分に憑依している人間は
憑依しない日を守っている。

そしてー
憑依されていると思われる日も
幾分か楽になっていることを考えると、
憑依する時間を短くしてくれているのだろう。

「え…」
花帆が起きあがると、
そこには、USBメモリと
プレゼントの包が置かれていた。

「なにこれ…?」

花帆は不思議に思い、
USBメモリに保存されている
動画を再生した。

するとそこには、
顔を赤らめた自分の姿が映し出されたー

”はぁ…はぁ…♡
 あ、ごめんなさい
 ちょっと角オナしたばっかりで…♡”

甘い声で言う花帆ー

自分の姿のはずなのに、
その映像を見ながら花帆はドキッとしてしまうー

”今日、お誕生日だと、書いてあったので
 プレゼント、買ってきました。

 あ、、だ、大丈夫ですよ!
 ちゃんと俺の金で買いましたから”

映像の中の花帆がそう言いながら
プレゼントを机の上に置く。

”ここに置いておきますね”

映像の中の花帆が笑うー。

”なんだか…
 自分にプレゼント渡してるみたいで
 変な気持ちだなぁ…”

映像の中の花帆が顔を赤らめた。

「----」
花帆はその映像を見ながら
きゅんとしてしまう。

なんだか、この人ーー
変な人だけど、面白いー

とー。

なんとなく、花帆は
映像を見ながらドキドキしてきてしまった。

自分は、一体、どんな人に
憑依されているのだろうー

”あ、、お、、お出かけしたときは
 ちゃんと普通に振る舞いましたから
 心配しないでください。

 でも、、スカートで外歩くと
 スースーして落ち着かないものですねぇ
 へへへ”

ニヤニヤする映像の中の花帆

少ししてハッとすると、
花帆は真剣な表情になって言った。

”え~っと、花帆さん。
 お誕生日、おめでとうございます”

と、
言いながら
映像の中の自分は、ふかぶかと頭を下げたー

「~~~~」
花帆は映像を見終えると
顔を赤くしていたー

そして、プレゼントを開くと、
そこには、ぬいぐるみが色々と入っていた。

「なにこれ…かわいい…」

花帆は”女の人に贈るプレゼント、
あまり知らないのかな?”と苦笑いしながら
微笑んだー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それからも、不思議な関係は続いたー

竜一とは仕事の関係で会う回数が減りー
花帆は、次第に”憑依している誰か”の
ことが好きになってしまっていたー

そしてー

花帆は、ついに決意したー

ある夜ー

「ふぅぅぅ~♡ 憑依完了~♡」
微笑む花帆。

花帆の許可を得て、
メイド服や、セーラー服などを
用意し、
それを楽しんだりもし始めていたー

なんとなくー
二人は、不思議な縁で
親密になり始めているー

「---ん?」
真夜中の花帆は、
机の上に置かれた花帆からの
メッセージに気付く。

映像を再生するー

するとー

花帆は言った。

”あの…
 わたしに憑依している誰かさん…?

 わたしと…
 会ってくれませんか…?”

真剣な表情の花帆ー

花帆に憑依している”誰か”はー
その言葉を聞いて、悲しそうな表情を浮かべたー

③へ続く

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コメント

不思議な関係に進展するふたりー。
結末は明日デス~

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憑依<真夜中のわたし>

コメント

  1. 行人 より:

    SECRET: 0
    PASS: bb57a011a2727df47c6014f90e419b63
    二重人格似た感じ、非常にいいですね

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 二重人格似た感じ、非常にいいですね

    ありがとうございます~!
    最終話もがんばりますネ!