<憑依>真夜中のわたし①~異変~

ごく普通の生活を送るOL。

そんな彼女は、小さな異変に気付く。

寝ているのに、疲れが取れないー
朝起きると、部屋に違和感を感じる。

果たして、その真相は…?

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「なんか、最近、疲れてない?」

先輩の松恵(まつえ)が
2年目のOL・花帆(かほ)に
お茶を差し出しながら言う。

花帆は、ありがとうございます、と
お礼を言いながら
そのお茶を口に運ぶ。

去年入社した花帆は、
まだ20代前半ー。
要領が良く、まじめなことから
先輩たちからも可愛がられていたー

「最近、なんだか疲れが取れなくて…」
花帆が苦笑いする。

「--ふぅん…ちゃんと寝てる?」
先輩の松恵が言うと、
花帆は頷く。

「8時間は寝ているので、
 睡眠不足ってことはないと思いますけど…」
その言葉に、
松恵は、「たしかに、わたしなんか4時間しか寝てない!」と
笑いながら言ったー。

「--何か悩みでもあるの?」
松恵は、再び真面目な話に戻すと、
今度は花帆にそう尋ねた。

新入社員時代、夏帆はこの松恵に
指導を受けたこともあり、
松恵と親しいー

松恵は30代中盤の
頼れる女性、という感じの先輩だー

「--う~ん、あんまり、悩んでることも
 ないんですけどね」

「そっか」

松恵は安心したように立ち上がる。

「まぁ、あんまり無理しないでね」

「--はい」

この時はまだ、
それほど重いことだとは考えていなかったー
ただ単に、”最近疲れているなぁ”と
感じることは、人間、誰にでもある。

そうー、
あくまでも一時的なことだろうー
花帆は、そう思っていたー

夜ー

一人暮らしの花帆ー

しかし、
今日は、一人ではなかったー。

「--お!お疲れ~!」
花帆の部屋に、男が入ってくるー

大学時代からの彼氏・竜一(りゅういち)だ。
竜一とは、お互いが社会人になった今も親しい。

竜一が美味しそうなケーキを花帆に手渡す。
「わ~!美味しそう!」
花帆が嬉しそうに言うと
竜一も満足そうに微笑んだ。

「--最近、あまり会えてないからさ」
竜一は笑う。

お互い、仕事が忙しくて
最近はそんなに頻繁に会えてはいないー

いつかは結婚を、
などとも思ってはいるが、
それは、まだ先の話だ。

「--ありがとう」
花帆がケーキのお礼を言うー

忙しいけれどもー
こうして時々会える時間が
二人にとって、とても幸せだった。

「--じゃ、また」
竜一が笑いながら言う。

竜一も、夏帆も、
明日の朝、早いために
竜一は泊まることなく、
そのまま帰って行った。

「ふぅ~」
花帆は楽しかった~、という笑みを
浮かべながら部屋の中へと戻る。

もう、時間も遅いー

「明日も早いし…」
花帆は、シャワーに入って、
少ししたら寝よう、などと思いながら
後片付けを始めるのだった

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌朝ー

「う~ん…」

目覚まし代わりに使っている
スマホが音を立てる。

それを止めて、時計を確認する花帆ー

「--はぁ、、もう朝かぁ…」

ーーー!?

花帆は、違和感を感じるー

やはり、身体が異様に疲れているー
それに、なんだか少しゾクゾク…
そんな感じがする。
まるで、自分が興奮していたかのようなー

「…」
花帆は周囲を見渡す。

特に、おかしなところはないー

「はぁぁぁ…寝たのに寝てない気分」
花帆は、そう呟きながら
仕事へと向かうのだったー

それからもー
そんな日々は続いた。

いやーー
悪化した。

寝ても寝ても疲れが取れないどころか
どんどん悪化している気がする。

これは一体何なのか。

寝てもー

寝てもー

疲れが取れるどころか
疲れていくー

やがて、夏帆は不安に思い、
近所の病院を訪れた。

「--…最近、寝ても寝ても疲れが取れないんです」
花帆がそう相談すると、
医師は”睡眠の環境改善”を提案したー
また、眠りが浅いのかもしれない、ということで
不安を取り除く薬などを処方してくれたー

しかしー

それでも、夏帆の疲れが取れることはなかったー。

「---だいじょうぶ?」
先輩の松恵が言うー。

「---あ、、はい…」
花帆は、すっかり疲れ果てていたー

花帆の尋常じゃない疲れっぷりに、
周囲も困惑していたー

「あのさ…」
松恵が、難しい顔をしながら言う。

「寝ても、寝たような気がしないってことはさ、
 寝てないんじゃない?」

松恵が冗談めいて言う。

「そ、そんな…!わたしちゃんと!」

花帆がムキになって反論すると、
松恵は「まぁまぁ、最後まで聞いて」と
花帆の言葉を止めたー

「つまり、寝てる間に
 何かしてるんじゃない?ってこと」
松恵の言葉に
花帆は考えるー

そういえばー
ひとつ、疑問があるー

花帆は、寝ている間に、
一度ぐらい、目を覚ますことが多いのだー

風の音だったり
近所に大きなトラックが通ったり、
なんとなく目を覚ましたりー

思えば、最近、それが全くない。

夜、眠ると、すぐに朝。

確かに、疲れているということで
説明はつくかもしれないー
ただ、なんだか不気味だ。

「夢遊病…?」
花帆がそう呟く。

「--そういうことも、あるかもね」
松恵がそう言うと、
鞄から何かを取り出した。

松恵が取り出したのは、カメラ。

「---これを、、部屋につけて、
 自分がちゃんと寝ているか、
 確認してみたらどう?」

松恵は、後輩が疲れ果てているのを心配して
部屋で使える小型のカメラを
花帆のために買ってきてくれたのだった

「あ…ありがとうございます」
花帆はそれを受け取りながら
”夢遊病だったらどうしよう”と
不安に思うのだったー

夜ー
花帆は帰宅するとすぐに、自分のベットが見えるように
そのカメラを設置した。

もしも夢遊病なら、
自分でカメラをどかしてしまったりすると
まずい、ということで、
カメラを見えにくい場所に設置するー

「--これで、よし」

花帆はそう呟くと、
布団に入り、眠りについたー

翌朝―。

「はぁ~もう朝かぁ…」
花帆は呟く。

やっぱり、身体が疲れているー。

「…あれ?」
花帆は、ふとあることに気付くー。

ペン立てのボールペンが
1本減っている気がするー

友達から貰った大事なボールペンが、ないー。

「---…」

花帆は違和感を感じる。
昨日の夜、書き物をした際に
使ったはずだ。
その時、確かにペン立てに戻したハズ。

なのに、なぜー?

「あ…そうだ…」
花帆は、カメラの映像を確認しようとする。

これで、自分が夢遊病なのか、
ちゃんと寝ているのかどうか、
確認できるはずだー。

花帆は、映像を部屋にあった
ノートパソコンで再生したー

真夜中の花帆は、
ぐっすりと眠っているようだー

ベットの上で穏やかな寝息を立てている。

「---ふつうね…」
花帆はそう呟いた。

映像に変化はない。

「---」
花帆は”ずっと見ていたら日が暮れちゃう”と、
早送りで再生を始めるー。

もしも変化があれば
自分が動き出すだろうからー
早送りでも気付くはずだー。

23時ー
0時ー

時間はどんどん経過していく。

寝てから2時間分の映像には
特に何も問題がないように見える。

しかしー

それは、起きた。

「-----!!!??」

花帆は、早送りの映像を見ながら驚くー。

「--えっ!?」

自分が起きあがったのだー

そして、鏡の前で胸を触っているように見える。

花帆は、慌てて映像を止めたー。

それまで、普通に寝ていた花帆は、
急に起き上がったー

そして、

「今日も楽しませてもらうよー」

と、花帆が呟いたのだった。

「--!?」
花帆は、その映像を見ながら驚く。

”今日も楽しむ”とは何? とー…。

明らかに何かがおかしい気がする。

夢遊病ー?
しかし…

花帆はベットで身体を起こすと、
自分の指を口の中に入れて
味わうようにして舐めはじめた。

「ん~っ♡」
甘い声を出して嬉しそうに微笑む花帆。

録画映像を見ながら花帆は叫ぶ

「ちょ、、ちょっと!何これ…!?」

深夜に起きて、
自分の指をクチュクチュと舐めている花帆。

明らかにおかしいー。

しかも、当の本人には
こんな記憶はない。

そして、花帆は立ち上がると、
設置していたカメラの映る範囲の外に
出て行ってしまった。

しっかりとした足取り。

とても、夢遊病の人間のそれとは思えないー

何がー
いったい、何が起きているのか。

さっぱり、分からないー

花帆は、ただひたすらに困惑したー。
いったい、これは、何なのかー。

とー。

「---………」

「あっ♡ あぁぁああ♡ あぁぁ♡」

自分のイヤらしい声が聞こえてきた。

「---えっ…」
映像を見ながら花帆は驚く。

明らかに何かエッチなことをしている声だ。
自分は、深夜に一体何をしているというのか。

「んぁぁぁああ♡
 角オナぁぁ…きもぢいいいいいぃ♡♡」

激しく喘ぐ声が聞こえてくるー

その映像を見ながら
花帆は唖然とすることしかできなかった。

自分はー
深夜にこんなことをしているのかー

これじゃ、疲れが取れるはずがないー
自分は寝ているつもりなのに、
真夜中のわたしは、エッチなことをしているのだからー。
疲れが取れるわけがないのだー…。

「---……はぁ♡ はぁ♡ はぁ♡」

行為は、4時まで続いていた。

ようやく深夜の花帆が戻ってくると
花帆は丁寧に汚したものや、
ずらしたものを整えていく。

「今日も、ごちそうさまでした」
映像の中の花帆は礼儀正しくそう呟くと、
微笑んだー。

1時間ほどかけて、片づけを終えると、
花帆は、カメラの方に目を向けたー

「あーーー!」

映像の中の花帆が笑う

「--ひっ!?」
映像を見ていた花帆がびくっとする。

深夜の映像を録画していることに
気付かれていたー。

そしてー
映像の中の花帆は笑うー

「ふふふ…はじめまして~!
 ”真夜中のわたし”です~

 な~んちゃって!」

それだけ言うと、
映像の中の花帆は、
続けた。

「--びっくりしちゃったかな?
 こうやってカメラを置いてるってことは
 何か異変に気付いたってことだよね。

 でも大丈夫。
 危害を加える気はないから
 どうしても、女の人の身体を
 楽しみたくて、
 こうして憑依させてもらってるだけだから」

その映像を見ながら花帆は思うー

”憑依”?と。

そしてー
”憑依させてもらってるだけ”とは
何て図々しいの!?

とー。

「--あ、そろそろ時間なんで、
 失礼しますね」

映像の中の花帆はそういうと、
そのまま微笑んで、ベットへと戻ったー

その後はー
目覚ましが鳴る時間まで、
花帆はぐっすりで、特に異変はなかった-

「・・・・・・・・・・」

映像が終わるー

花帆は唖然とする。
寝ても寝ても疲れが取れないー

その理由は分かった。

深夜に誰かが自分の身体を
使っているからだ…。

「---わたし、、どうすれば…」

花帆は、唖然とすることしかできなかったー

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

寝ているはずなのに疲れがとれない!?

そんな皆様は花帆のように
夜中に憑依されているのかも…?笑

続きは明日デス~!

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憑依<真夜中のわたし>

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