<憑依>最後の一言①~嫉妬~

平凡な男子大学生。

彼には、心優しい彼女が居たー、
しかし、彼に好意を抱く幼馴染の嫉妬は
次第に膨れ上がっていき…?

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大学の敷地内を歩く男女ー。

大学生の
滝野 真守(たきの まもる)と、
その彼女の名坂 真美子(なさか まみこ)ー。

二人は、真面目な人間同士、意気投合して、
大学内でも有数の仲良しカップルとして有名だったー

「---じゃあ、明日の昼ごろ、滝野くんの家に行くね」
おしとやかな雰囲気の真美子がそう言うと、
真守は「あぁ、待ってるよ」と優しく返事をした。

「あ、そろそろ友達との約束があるから行くね」
真美子が言うと、
真守は「わかった。じゃ、また明日」と、返事をして
二人は手を振って別れた。

「ふぅ…」
真守は一息ついて、近くにあったベンチに座る。

今年も紅葉が綺麗だー。
真守は、そんな風に想いながら大学の敷地内にある
真っ赤に染まった木々を見つめるー

「--な~に、黄昏てるのよ!」

背後から、女性の声がして振り向くと、
そこにはポニーテールがよく似合う女子大生、
三田 明日香(みた あすか)が居たー

「なんだよ、明日香か、驚かすなよ」
真守は手に持っていたお茶を飲みながら
苦笑いした。

「別に驚かしてないわよ」
明日香が言うと、真守は「いや、背後から急に声をかけられたら驚くだろ!」と
呟いたー。

真守と明日香は幼馴染ー。
幼稚園から中学校まで一緒で、
高校時代は別々の高校だったが、
大学で再会し、昔のように仲良くしているー。

真守の彼女・真美子も、明日香とは親しくしており、
二人の”幼馴染”の関係性も理解してー、
それに深く立ち入ることはない

「--いいな~…」
明日香がベンチに座って呟く。

「--何が?」
真守が聞き返すと
明日香は、意地悪そうな笑みを浮かべて呟く。

「明日、真美子ちゃんとデートでしょ?
 いいな~」

明日香が言うと、
真守は「おいおい、”幼馴染のままでいよう”って
約束したじゃないか」と言い返す。

明日香はー
大学で再会した真守を”異性”として意識するようになり、
去年の丁度、この季節に告白したー。

あの日は、ちょうど、
今と同じように、綺麗な紅葉が見られる日だったー

「--ごめん…
 俺、彼女が居るんだー」

真守はそう言った。

明日香は、告白すれば、真守もそれを受け入れてくれる、
そう思っていたー。

でも、現実は違ったー

「--飛鳥のことは、好きだけど、
 それは”友達”としてだし、
 幼稚年から知ってると、恋愛対象としては見れないよ…
 ごめんな」

真守はそう言った。

真守は、嘘をついて、
女性をたぶらかすような人間じゃない。
それは、幼馴染の明日香がよく知っていた。

だからー
それが、本心なのだろうー

「そ。…ま、仕方ないね」
明日香は泣きたい気持ちを抑えながら
やっとの思いで笑顔を浮かべて、呟いたー

「--わたしこそ、急に告白してごめんねー。
 告白のことは忘れてー。

 これからも、
 幼馴染のままでいようねー」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「わ、分かってるわよ」
明日香は1年前の事を思い出しながら言う。

「--俺は真面目だからさー、
 真美子のことを悲しませることはできないよ」

真守が言う。

真守は昔から真面目で、
友達との約束も絶対に守るし、嘘もつけないタイプだったー

「-自分で真面目って言っちゃう?」
明日香が笑いながら言う。

そして、呟いたー

「--ま、いいけどね。
 わたしはわたしで、楽しむから」

明日香がそう言うと
真守は「お?明日香もデートか?」と笑ながら聞く。

「違うわよ!ちょっと一人旅でもしようかなって!」
明日香は、観光ガイドを見せながら笑う。

明日香は旅行好きで、よく一人旅をしているー

「あ~箱根か。いいね」
真守はそう言いながらガイドブックを見つめる。

「---でも、真美子ちゃんが羨ましいなぁ~
 わたしが真美子ちゃんになって、
 真守を自分のものにしたくなっちゃう!」
明日香が意地悪そうに言うと、
真守は、顔を赤らめて声をあげた

「お、おい!真美子には手を出すなよ~!」

その言葉に、明日香は微笑む。

「冗談よ。真美子ちゃんと真守の邪魔をしたりなんかしないわ」

そう言うと、ベンチから立ち上がる、明日香は
”そろそろ行くね”と呟いて、真守と別れた。

散る紅葉を見ながら、
明日香は悲しそうに呟いた。

”わたしの誕生日、もう覚えてないよねー”

明日は自分の誕生日ー
去年まで、毎年祝ってくれたー

けれどー
今年は…。

彼女が出来て、明日香のことなど、眼中になくなったという
証拠だろうー。

「---はは…何期待してんだろ、わたし…
 わたしったら、バカ」

そう呟くと、明日香は、寂しそうに、落ち葉を踏みながら
立ち去って行ったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

彼女の真美子が自宅へとやってきた。

「---お邪魔します」
真美子は、今日も落ち着いた雰囲気の格好をしていた。

明るく元気な幼馴染の明日香とは
まるで違うタイプの女性だー。

明日香と、昔からよく一緒に居たからこそ、
違うタイプの女性に、魅力を感じたのかもしれない。

「--あ、そうだ、この前借りたやつだけど」
真守がそう言いながら、机に置いてあったブルーレイを
真美子に手渡す。

「--この映画、良かったよ~
 なんか続編もあるらしいから、今度は一緒に映画館に
 見にいこうか」

真守はそんなことを言いながら、ブルーレイを真美子に手渡した。

いつも通りの、
穏やかな時間が流れるー。

そう信じて疑わなかった。

しかしー
”それ”は起きたー。

「---かっ…?!」
真美子が突然、苦しそうな表情を浮かべて、
掴んでいたブルーレイのケースを床に落とす。

「ど、どうした?」
真守が言うと、
真美子は返事もできずに、
ゴホッ、ゴホッ、と苦しそうに席をしている。

「お、おい!?」
何かの病気かと思い、真守は必死に叫びながら、
真美子をとりあえず横たわらせる。

それでも真美子の咳は収まらず、
真美子の身体は震えはじめた。

「あ、、、あ、、、・。・・あ、、、」
真美子はとても苦しそうにしながら
ようやく、声を振り絞った。

”何かが、、入ってくる・・”

とー。

「--な、何?」
真守が聞き返そうとするも、
真美子は激しく痙攣を始めて、
そのまま動かなくなってしまった。

「え?お、、おい!」
真守が慌てて机の上に置いてあったスマホの方に駆け寄る。

脳か?心臓か?

突然苦しみだして、意識を失うなんて
尋常じゃないー。

早く、救急車を呼ばなくては。

真守は焦りながらそう思った。

スマホを手に、救急車を呼ぼうとする真守。

しかしー
背後から、声がした。

「---呼ばないで!」

その声に、驚いて振り返る真守。

そこには、さっきまでの苦しみ方が嘘のようにー
真美子が立っていたー。

「--もう、そんなにすぐ、パニックを起こさないの」
真美子はうんざりした様子で近づいてくると、
真守のスマホを取り上げた。

「お、、おう…
 で、でも、今、真美子?」

真守は、今さっき苦しんでいた真美子を
思い浮かべながら困惑した様子で呟くと、
真美子は腰に手を当てながら言った。

「わたしのドッキリよ~!
 真守ったら、もう~
 思った以上に反応しちゃうから、びっくりしちゃったー」

真美子が言う。

「なんだ、そっか…
 びっくりさせんなよ」

そう言いながら真守は、
頭の中に、2つの言葉を思い浮かべたー。

「---じゃあ、明日の昼ごろ、”滝野くん”の家に行くね」

”何かが、、入ってくる・・”

昨日の真美子の言葉ー
そして、さっきの真美子の言葉ー

さらにー

「わたしのドッキリよ~!
 真守ったら、もう~
 思った以上に反応しちゃうから、びっくりしちゃったー」

「--お前…誰だ?」
真守が低い声で呟いた。

「え…?な、何言ってるの?わたしは真美子よ~?」
真美子がふざけた様子で笑う。

しかし、
真守は騙されなかった。

「--お前…誰だ?
 真美子はーー俺のことを”真守”とは呼ばない…!」

そう言うと、真美子は、何も言わず、
真守の方を見つめた。

「・・・・・・・・・・」

そして、少しすると「はぁ」とため息をつきながら、
真美子は髪の毛を掻き毟った。

「--ばれちゃったか…」
真美子はそう呟くと、窓の外を見つめた。

「--だ、誰だ……お前は」
真守がそう言うと、真美子は微笑んだ。

「分からない?」
その言葉に、真守は、一人だけ思い当たる人間が居たー

「---まさか、、明日香なのか?」
幼馴染の明日香ー。
その名を口にすると、
真美子は微笑んだー。

「せいか~い!」
真美子はイタズラっぽく舌を出して笑った。

「な、、な、、なんだって?
 真美子はどうしたんだよ?」

真守が動揺しながら聞くと、
真美子は笑いながら答える。

「真美子ちゃんなら、心の奥底で眠ってるよ~!
 今はね~わたしが真美子ちゃんに憑依して
 身体を借りてるの!」

真美子が手を広げながら笑う。

「な、、何だって?憑依!?」
真守が驚いて声をあげると、
真美子は「そ。」と言って微笑む。

「そ。じゃねーよ!
 な、何してんだよマジで!
 真美子の身体を返せよ!

 幼馴染のお前でもやっていいことと
 良くないことがあるぞ!

 っつ~か、憑依ってなんだよ?
 どうやって真美子に憑依なんか…

 …も、目的は何だ!」

パニックになった真守は、一度に大量の質問をした。

「---は~~~!質問多すぎ」
真美子はそう言うと、真守の部屋のベットに
勝手に座ると、足を組んで微笑んだ。

「身体はちゃんと返すわよ。
 時間になったら行かなくちゃいけないからねー。」

その言葉に、真守は頷く。
「あぁ、箱根に観光だったな。」

昨日、明日香はガイドブックを読んでいた。

「そ。だから出発時間になったら
 真美子ちゃんは返すわよ」

そう言うと、真守の方を見て
真美子は微笑んだー

「ネ…?わたし、1回ぐらい、真守とエッチしたいの。
 いいでしょ?」

「バ…馬鹿!ふざけんな! 
 俺は浮気はしないぞ!」

そう言うと、真美子が近づいてきて、
真守の顔に顔を近づけて、甘い息を吐いた。

「--体は真美子ちゃんのもの…
 浮気じゃないわよ?ふふ♡」

真美子のその声に、
真守は、「お、、、おい!やめろ…!」とやっとの想いで呟く。

「--いいじゃない。1回ぐらい。
 減るもんじゃないし」

真美子はそう言うと、意地悪そうな表情を浮かべたー。

「---エッチしてくれないなら、このまま外に飛び出して
 服、脱いじゃうよ?」

真美子は真顔で言う。
真守はドキッとするー

そんなことされたらー
真美子はーー

「…く、、、くそっ…」

真守は鋭い目つきで真美子を睨む。

「1回だけだぞー。
 1回やったら、二度と真美子に憑依なんか
 するんじゃないぞ。
 いいな?」

真守はそう言いながら、ため息をつくと、
真美子は嬉しそうにうなずいたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

二人は、エッチをしようと、
お互いを見つめたー

しかしー

「…あのさ」
真守が呟く。

「俺、エッチしたことないんだけど、
 どうすりゃいいの?」

真守の言葉に
真美子は笑った。

「あれ~?真守、童貞だったっけ。
 真美子ちゃんともエッチしたことないんだ~

 じゃ、わたしが教えてあげる。」

そう言って、真美子は時計を見つめたー。

そして、真守の方に視線を戻して微笑んだー。

「---ま、わたしもエッチしたことないけどネ」

苦笑いする二人ー。

真守は思うー
”真美子が明日香に憑依されたふりをして、
 エッチの口実を作っているー
 そんなところかー”

憑依なんてあり得るはずがないー
真美子の芝居だろう。
真守は、そう思っていたー

一方、真美子に憑依していた明日香は思うー
”1回ぐらい…真守と一緒にー
 大丈夫よーちゃんと時間が来たら返すから。
 ”逝”かなきゃ、いけないからー”

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

とある高速道路ー

バス運転手が居眠りをしてしまいー

一台の観光バスがー
大事故を起こしー
煙をあげながら、横たわっていた…

②へ続く

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幼馴染に憑依されてしまった彼女の運命は…
続きは明日をお楽しみに~!

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憑依<最後の一言>

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