憑依薬を用いた患者の診察ー。
それは、患者の為に、
医療の発展のために、役立てられるはずだった。
しかしー
一人の医師が患者を乗っ取り、暴走するー
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騒然とする病院内。
その入り口付近では、一人の女子高生が、
大声で何かを叫んでいる。
周囲には警備員たちと、
医師たちが、立ち尽くしているー。
錯乱した患者を取り囲む医師たちー
いや、違うー
彼女はーー
この病院の医師、Dr中岡に身体を奪われていたー
「--ほぅら、わたし、死んじゃうよぉ~?」
首筋に刃物を当てながら笑う沙緒梨。
「--やめろ…!やめるんだ!」
Dr友崎が叫ぶ。
今、この少女は同僚であるDr中岡に憑依され、
支配されているー。
そんなことは、許されないー
「--中岡!今すぐその子を解放するんだ!」
友崎が叫ぶが、
目の前の少女、沙緒梨は、それをあざ笑った。
「---友崎、つまんねぇこと言うなよ~!」
沙緒梨はそう言いながら、自分の人差し指を
口に入れてしゃぶり始めた。
「んんんんんんぅ~」
奇妙な唸り声をあげて顔を赤らめている沙緒梨。
指を口から取り出すと、
その指を眺めながら沙緒梨は微笑んだ。
「俺はな、夢を手に入れたんだよ!友崎!」
叫ぶ沙緒梨。
Dr友崎は、なんとか中岡の暴走を止めようと、
頭をフル回転させたー。
しかし、良い手段が浮かばないー。
「---んっん~~~~」
手のひらを舌でペロペロと舐めまわす沙緒梨。
「くくく…
この綺麗な手も、、綺麗な舌も・・俺のものなんだ…!
はぁ…♡ はぁ♡」
沙緒梨はそう言いながらも、病院の出入り口のところまで
辿り着き、外に出ようとしたー。
「---」
Dr友崎は、Dr中岡の性格を考えていたー。
中岡が説得に応じるような人間ではないー
だが、逆に、”自分が手に入れたものを手放すような男でもない”
そうー。
刃物を自分の首に押し付けているが、
あの娘の身体を傷つけるとは考えられにくいー。
「---さてと、
この身体が、返さないよ~」
沙緒梨の意識に呼びかけるかのように、
胸をいやらしく触ると、
鞄から憑依薬を取り出して、
沙緒梨はそれを美味しそうに一口飲んだ。
飲まなければ、自分は解放されるのにー、
乗っ取られている沙緒梨は、それを嬉しそうに
飲み込んでしまう。
「---私の身体、奪われちゃった!えへへ!」
嬉しそうに笑う沙緒梨。
その時だった。
Dr友崎が、沙緒梨の方に向かって突然走り出した。
「--!?」
沙緒梨が驚きの表情を浮かべると同時に、
沙緒梨はDr友崎に押し倒された。
「---くそっ!何をする!離せ!」
沙緒梨が髪と制服を見だしながら
暴れ出す。
「---手伝ってください!」
Dr友崎が警備員たちに向かって叫ぶ。
「--は、、はい!」
警備員たちも沙緒梨を取り押さえようと駆け寄った。
しかしー
「邪魔すんじゃねぇ!」
沙緒梨が大声で叫び、Dr友崎を蹴り飛ばした。
「---この女は、俺のものだ!
ぜってぇ返さねぇ!」
顔を両手で触りながら沙緒梨がそう言う。
友崎が沙緒梨をなんとか止めようとするも、
沙緒梨は、軽い身のこなしで、友崎に周り蹴りを
喰らわせた。
そして、友崎を押し倒すと、
Dr友崎に向かってナイフを突きつけた。
足を止める警備員たち。
「--動くな!こいつの命はないぞ!」
沙緒梨が叫ぶ。
警備員たちは「友崎先生…!」と呟いて、
足を止めてしまう。
沙緒梨の胸に顔を押しつぶされながら、
Dr友崎は苦しそうに叫ぶ
「や…やめろ…!
どうなっても、、知らないぞ!」
友崎の言葉に、沙緒梨は笑った。
「入念に計画してあるから、大丈夫!」
沙緒梨はウインクすると、
友崎を無理やり起こして。
ナイフをつきつけながら、移動を始めた。
沙緒梨の良いニオイが、友崎の鼻に漂ってくるー。
「--ふふふ…どうしたの?」
沙緒梨が、友崎の股間を見ながら言う。
友崎の股間は、大きくなっていた。
「--ふふ、女の子に人質にとられて興奮してるんだ?
もしかして、ドM??うふふ…」
沙緒梨が、女口調でそう言いながら笑う。
「--そうだ、俺と一緒に良い思いをしようぜ?
この女、しゃぶり放題だぜ?ふふふふふ」
沙緒梨の言葉に友崎は「ふざけるな!」と叫ぶ。
憑依薬は患者を救うためのものだ。
患者の身体を私利私欲のために、奪ったりするための
ものじゃないー
「---ふ~ん、ま、いいや」
そう言うと、沙緒梨は乱暴に、病院の駐車場を歩き始めた。
Dr友崎を人質にしながら、少しずつ。
警備員たちは、その周囲を取り囲むことしかできず、困惑するー
沙緒梨は、車の方に向かって歩いていたー
Dr中岡の車ー
つまり、自分の車に乗って、逃走しようとしていたー
「---くくくくくく」
沙緒梨は表情を歪めたー
もうすぐー
もうすぐ、この女が自分のものになるー
沙緒梨は、興奮を抑えることができなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「----うっ」
気絶していた内科部長の丸神が
目を覚ました。
「---まずい」
丸神内科部長は、先ほどのことを思い出す。
”患者に憑依して逃げた医師が居る”
そうなったら、大惨事だー。
丸神内科部長は”緊急”と書かれたケースを開き、
銃のようなものを手にしたー
医師が患者を乗っ取り、暴走するケースは当然、
想定されている。
20分という時間制限があるとは言え、
20分以内に、人生を壊したり、命を絶つことも
やろうと思えば可能だろうー
そんな有事を想定して、
病院には”強制解離装置”が備えられているー。
それが、これだ。
この銃を撃ちこめば、
憑依は強制的に解除できるー。
「--急がねば」
丸神内科部長は、病院の駐車場に向かって走り出した…
・・・・・・・・・・・・・・・
自分のスポーツカーの車のロックを解除する沙緒梨。
「おい…やめろ…中岡…!おい…!」
人質にされているDr友崎は苦しそうに叫んだ。
「--やめねぇよ!見ろよ!この身体?
どうだ?お前だって興奮してんだろ?
可愛い女子高生に人質にされてな!」
沙緒梨が笑う。
確かに、友崎は、悔しいことに、興奮してしまっていた。
可愛い女子高生の胸やスカート、髪の毛が自分に
当たってドキドキしてしまっていたのだ。
「---逃げられると思っているのか?」
友崎が言う。
逃げられるはずがないー
これだけ大事を起こしてー
しかも、Dr中岡が乗っ取った少女は
女子高生だ。
恐らくは両親と一緒に暮らしているはず。
と、なれば両親が騒ぎ出すのは間違いないだろうし、
そもそも20分に1回、憑依薬を飲むというのも
無理がある。
「---くくく…俺は”抜け道”を見つけたんだよ」
沙緒梨が低い声で笑う
車の方に向かっていき、
沙緒梨は叫んだ。
「ははははははは!じゃあなお前ら!
今日からこの女は俺の身体だ!」
沙緒梨が大声で叫んだ。
その時だった。
パシュッ!
沙緒梨の身体に何か、液体のようなものが飛び散った。
「--あぁ?」
沙緒梨が、驚いて、それが飛んできた方向を見つめる。
そこには
”強制解離装置”を手にした
丸神内科部長の姿があった。
「--な…」
丸神内科部長は驚いている。
「---あぁ、強制解離装置ね」
沙緒梨が笑った。
「そんなもの効かないんだよ!」
大声で叫んで両手を広げる沙緒梨。
「憑依薬はなぁ、憑依されている間に飲むと、
どんどん”魂”がその身体に馴染んでいくんだよ!
俺はもう、この女に憑依薬を7回飲ませた!」
沙緒梨が自分の胸を触りながら言う。
「--もう、俺と女を引きはがすことはできないんだよぉ!
俺の研究結果だと、
あと5,6回ぐらい憑依薬をこの女に飲ませれば
俺は完全にこいつに定着する」
そこまで言うと沙緒梨は自分の髪の毛を
ぐしゃぐしゃになるまで触りながら、叫んだ。
「--この身体は完全に俺のものになるんだよぉ!あははははは!」
沙緒梨はそう言うと、
Dr友崎を突き飛ばして、車に乗り込んだ。
高校の制服の姿のまま邪悪な笑みを浮かべると、
沙緒梨は、低い声で笑って、
ハンドルを握り、そのまま走り出した。
窓から顔を出して沙緒梨が笑う。
「じゃあな前ら!俺は女子高生として生きるぜ!
くくく、あはははっ!あははははははは~~~♡」
沙緒梨は、そのまま病院の駐車場から走り去ってしまった。
「--く…くそっ」
丸神内科部長が唖然とするー。
もう、”強制解離装置”も効かなかった。
部下の暴走を止めることができなかった。
「中岡…」
Dr友崎は、友人の暴走を悲しそうな目で見つめた。
車で走りながら、
沙緒梨は笑う
「くへへっ、この女、濡れちゃってるぜ…
エッチな女だ…
いや、俺が感じてるからこの女も感じてるのか?
ま、いいさ」
憑依薬を口にすると、沙緒梨は笑みを浮かべて
窓の外の景色を見た。
”医療界のトップたちは、医療用憑依薬による不祥事を
隠蔽するー。
だから、俺の事が明るみになることもないし、
この女の両親も、何らかの方法で丸め込まれるだろう。
くくく…俺はJKとして、た~っぷり楽しませてもらうぜ”
この世界ではー
”総合医療連盟”という組織が医療界を牛耳っている。
そのトップが推し進めてきたのが、医療用憑依薬。
彼らにとって、医療用憑依薬は、命のようなもの。
だからー
大きな不祥事は隠蔽される。
明るみに出ている不祥事は、小さなものだけだ。
Dr中岡のように、逃亡に成功した事件はー
全て、隠蔽されているー
中岡はそれを知っていたからこそ、堂々と憑依したー。
事件は、隠蔽されるー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
Dr友崎は疑問に思っていた。
あれだけの事件ー。
女子高生が乗っ取られて、逃亡したー
目撃していた患者、尾たくさんいるー
だがー
事件は明るみに出ていないー
新聞にも、ニュースにも、ネットにもー。
昨日の事件についてのツイートは、
昨日のうちにアカウントごと消されてしまった。
友崎は思うー
”Dr中岡が何か細工をしたのか?”と。
だが、憑依されたあの女子高生を放置するわけにはいかない。
友崎は、院長室へとむかった。
院長と話し合って、早くあの子を救わなければー。
「--失礼します」
院長室に入るDr友崎。
そこには、院長の和久井(わくい)が居た。
「--何かね?」
白髪交じりの男、和久井院長は、威厳のある声で言った。
「---昨日の件ですがー」
友崎が言うと、和久井が手を挙げてそれを制した。
「---昨日は、何も起きていない」
和久井院長はそう言うと、立ち上がり、
Dr友崎のほうに近づいて呟いた。
「--それが、医療のためだ。分かるね?」
それだけ言うと、和久井院長は、院長室から出るように
Dr友崎に促したー。
「----…し、、、しかし…!」
友崎が反論すると、
和久井院長は友崎を睨みつけた。
「----”Dr中岡のようになりたいのか”?」
和久井の言葉に、
友崎は、凍りつくような恐怖を感じて、
言葉を振り絞った。
「そ、それは…どういう意味です??」
友崎の言葉に、和久井は邪悪な笑みを浮かべた。
「じきにわかるー」
と。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
医療用憑依薬に隠された秘密・・・?
憑依された女子高生は無事に解放
されるのでしょうか?
コメント
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
あれだけ騒ぎになったらまともに暮らせないのではと思ってましたが、ちゃんと答えが用意されてたんですね〜!
医療界のトップが推し進めたものだから、不祥事は隠蔽って設定がリアリティあります。
最後の院長の言葉の意味とは……次回が楽しみです。
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
> あれだけ騒ぎになったらまともに暮らせないのではと思ってましたが、ちゃんと答えが用意されてたんですね〜!
> 医療界のトップが推し進めたものだから、不祥事は隠蔽って設定がリアリティあります。
> 最後の院長の言葉の意味とは……次回が楽しみです。
ありがとうございます!
無駄にシリアス要素まで混ざっている憑依小説デス笑
次回もぜひお楽しみ下さい~☆