2071年ー
医療は進歩していた。
医療用憑依薬が開発され、憑依することで、患者の体調を
医師が直接実感できる時代ー。
しかし、その世界には闇があった。憑依薬を開発し、全てを牛耳る組織
”総合医療連盟”
その闇に、立ち向かう者が居たー。
未来の医療の続編デス!
------------------------------
2071年ー。
医療用の憑依薬は医療の現場に変化をもたらした。
患者の感じている不安や症状を医師がその身を持って体感し、
治療に役立てる。
そんな、世界ー。
しかしー
そんな中、事件は起きた。
とある病院で勤務していたDr中崎(なかざき)が、
医療用の憑依薬を悪用して、女子高生の患者を乗っ取り、
そのまま逃亡したー。
がー
翌日、Dr中崎は女子高生の身体のまま、
水死体となって発見されたー
”警察は、無免許運転の女子高生が
ハンドル操作を誤り、転落したものー”
世間には、そう伝えられた。
それはー
医療用憑依薬を開発し、推進している組織
”総合医療連盟”の陰謀だった。
これまでにも医療用憑依薬を悪用する医師はいた。
しかし、その都度、総合医療連盟の手回しにより、
乗っ取られた身体ごと始末され、事件は隠蔽されてきた。
しかもー
総合医療連盟のトップ5と呼ばれる老人たちは、
何の罪もない少女たちに憑依して、
好き放題遊んでいる。
チャイナドレスを着た美女
小学校ぐらいの無邪気な少女ー
眼鏡をかけた女子高生ー
お嬢様のような格好をした女性ー
ショートパンツ姿の女子大生ー
老人たちに支配された罪もない5人は、
暗躍を続けているー。
憑依薬を盾に脅し、
政界をも操っているー
それが”総合医療連盟”だった。
Dr中崎の親友でもあったDr友崎(ともさき)は、その陰謀に辿り着き、
病院に辞表を提出ー。
そのまま、総合医療連盟の本部へと乗り込んだのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
入り口が開いていたー
人気のない建物ー
10階建て以上のかなり大きな建物だが、
まるで、人気が無い。
「---入れってことか?」
Dr友崎は意を決して中に入る。
病院長の和久井(わくい)は
恐らく総合医療連盟と繋がっている。
自分が辞表を叩きつけた時点で、
総合医療連盟にそのことは伝わっているはずだ。
と、いうことは、
総合医療連盟の連中は、自分がやってくることを
理解して、この中で待ち構えていることになる。
「---お待ちしておりました」
ふと、声がして振り返る。
するとそこにはー
お嬢様のような姿をした若い女性が居た。
「---ふふふ、Dr友崎さんですよね?
お待ちしていましたわ
私たちにお話があるのでしょう?」
お嬢様風の女は、そう言いながら微笑んだ。
「・・・・・・」
Dr友崎は、警戒しながらその女を見つめる。
「医療用憑依薬の未来についてお話したい。
それと…Dr中崎の件についても」
そこまで言うと、お嬢様風の女は微笑んだ。
「どうぞ。ご案内します」
その女がついてくるように、Dr友崎に促す。
彼女はー
総合医療連盟の”トップ5”の一人に憑依されているー
2年前ー
とある資産家が、医療用憑依薬に対して意見をしたー。
だから、その見せしめに孫娘の身体を乗っ取った。
そして、今でも、身体を使われ続けているー。
「---その体はー」
Dr友崎が呟いた。
「---奪った身体なのか?」
Dr友崎の言葉には怒りが込められていたー
憑依薬ー
悪用されれば、罪もない人間が苦しむことになるー。
Dr中岡に憑依された女子高生は人生を奪われた。
そして、今、目の前に居るお嬢様のような女もー
「----ふふふ…
奪うだけの力が、我々にはある…
それだけのこと」
お嬢様風の女は、笑うと、歩きはじめた。
まったく人気が無い。
「--他の人間はどうした?」
Dr友崎が歩きながら聞く。
「---他の人間?
今日はみんな、帰らせましたわ」
女が答えるー。
会話をしながら、二人は
エスカレーターに乗り、上の階へと向かう。
「----それは…どうして?」
Dr友崎が言うと、女は微笑んだー
そして、
突然軽い身のこなしで、
飛びあがり、エスカレーターの手すりの部分に乗ると、
Dr友崎の顔面に強烈な蹴りを喰らわせた。
「ぐあっ!」
突然のことに、Dr友崎は、
動揺する。
しかし、必死にエレベーターの手すりにつかまり、
落ちないようにする。
人気のない広い空間に
笑い声が響き渡る。
「わしらに、逆らうなんて、愚かじゃのお!」
お嬢様風の女性が笑いながら言うー
「----貴様!」
手すりの部分に立ちながら、
お嬢様風の女は、
まるで忍者かのように、動き回っている。
「---憑依薬で、そうやって
庶民を弄ぶ気か!」
Dr友崎が叫ぶと、お嬢様風の女は鼻で友崎を笑った。
そして、もう一度友崎の顔面に向かって
蹴りを放つー。
ーーーーー!?
しかしー
Dr友崎は、お嬢様の足を掴んでいたー
「----ー俺は決めた…!」
Dr友崎が、強い口調で言う…
そして、足を掴まれて驚くお嬢様を睨んで叫んだ。
「---俺は人を救いたいと思って医者になった。
人を救うことこそが、世の為だとー。
だからー
俺は、人を救うために、お前らを叩き潰す!」
そう叫んで、
Dr友崎は、
バランスを崩したお嬢様をエスカレーターの下に向かって
投げ飛ばした
「ぎゃああああああああ!あっ!」
お嬢様は、エスカレーターの下に頭を打ちつけて
そのまま動かなくなったー。
そのままエスカレーターは上がって行くー。
動かなくなったお嬢様を見ながらDr友崎は
静かに黙とうしたー。
乗っ取られた少女のことを想いながらー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
上の階へと向かうDr友崎。
総合医療連盟には”トップ5”という老人たちが居る。
恐らく、黒幕はそいつらだろう。
どこにそいつらが居るのか分からない。
だが、さっきのお嬢様は
”他の社員は帰らせた”と言っていた。
つまり、
ここには、総合医療連盟のトップ5の人間ー
残り4人の人間しかいないはずだー。
「---」
案内板を見つめるDr友崎。
”会長室”
会長室は最上階にあるようだ。
「--エレベーターを使うか」
Dr友崎がエレベーターに乗り込む。
「28」のボタンを押し、
エレベーターは上昇を始めた。
「----」
エレベーターの中で、Dr友崎は、
今まで自分が治療してきた患者のことを思い出していたー。
先生!先生!とみんな自分のことを呼んでいたー。
総合医療連盟がいれば、
そんな、笑顔も壊されてしまうかもしれない
だからー。
その、笑顔を、守らなくてはならないー
ガゴン!
ーーーー!?
激しい音と共に、天井から何かが降ってきた。
「シャアああああ!!」
メガネをかけた女子高生が奇声をあげながら襲いかかってきた。
持っていたロープのようなもので、
Dr友崎の首を絞める女子高生。
「お、、、お前も…総合医療連盟か…!」
Dr友崎は苦しみながら叫ぶー
この子はー
1年前まで普通の女子高生だったー
しかし、ある日、総合医療連盟の黒い部分を
たまたま学校帰りに目撃してしまいー
そのまま総合医療連盟トップ5の一人に憑依されてしまった。
将来は介護職に就きたいと願っている、
心優しい少女だった。
「ぐぎぎぎぎぎぎ…」
息が苦しくなってきたDr友崎は、
必死にもがいていた。
「あはははははははは!あはははははははは!」
女子高生は狂ったように笑い続けているー。
Dr友崎はもがく。
そしてー
エレベーターの壁に向かってそのまま突進した。
「うげっ!」
背中から首を絞めていた女子高生が
苦しみの声をあげる
この少女が、邪悪な老人たちに支配されていることは
分かっている。
けれどー
それでも戦わなければならなかった。
Dr友崎は、何度も背中をエレベーターの壁に叩きつけた。
後ろから首を絞めていた女子高生はやがて、
苦しみの声をあげて、そのまま動かなくなった。
エレベーターが”28”の数値を示し、
28階に到着した。
苦しみの表情を浮かべたまま倒れている女子高生を見て、
Dr友崎は数秒黙とうをささげると、
そのままエレベーターから飛び出した。
どこからともなくー
拍手の音が聞こえてきた。
「--おめでとうございます♡」
ショートパンツ姿の大胆に生足を露出した
女子大生風の少女が笑うー。
「---…お前たちは何を企んでいる!」
Dr友崎が叫ぶと、
少女は笑うー
「---なにって~?
ふふふっ、何でもいいじゃない?
憑依薬を開発したわたしたちが世界を牛耳っている
それだけのことよ~ふふふ」
笑う少女に向かって
Dr友崎は叫ぶー
「--その身体も、罪もない一般人だろう!
憑依薬は、お前たちのおもちゃじゃない!」
その言葉を聞いた少女は笑った
「この女はね…
和久井 春菜 っていうの。
知ってる?
あなたが働いていた病院の和久井院長の
孫娘よ」
その言葉にDr友崎が表情を歪める。
「あの院長はね~!
可愛いわたしが、こうやって憑依されて
人質になっちゃったから、
ワシらに従うしかなかったんだよ~!
うへへへへへへへ!」
胸を触りながら少女…春菜が笑う。
「---悪魔どもめ…!」
Dr友崎が言うと、
春菜がナイフを取り出して友崎に襲い掛かった…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大会議室ー
そこでは、総合医療連盟トップ5の残り二人が
笑ながら談笑していた。
「--憑依薬を開発し、独占しているわしらに
怖いものなどない」
チャイナドレスの美女が笑う。
彼女は、数年前の美少女コンテストで優勝した女性だー。
その美貌に目をつけた総合医療連盟の老人に
憑依されて、人生を奪われてしまった。
「えへへへっ!そ~だね!」
無邪気に笑う少女ー。
彼女は、総合医療連盟の施設に社会科見学にやってきた
小学校の児童ー。
たまたま居合わせた総合医療連盟の老人が
一目ぼれし、その身体を奪ったー。
ガチャ…
大会議室の扉が開く
「--遅かったわね。ご苦労様」
チャイナドレスの美女がほほ笑むと、
会議室にはーーー
ナイフを首筋に突きつけられた春菜が入ってきた。
「---お、、お前は!」
チャイナドレス美女が叫ぶ。
「--総合医療連盟…!
憑依薬を使ってどれだけ多くのヒトを苦しめている?
今すぐ少女たちの身体を解放しろ!」
友崎が叫ぶ。
しかしー
チャイナドレス美女も幼い少女も笑っているー。
「--俺は今までずっと、憑依薬で患者の命を救っているー
そう思っていた。
けど、お前たちのような薄汚いやつらが、
憑依薬で利権を得て、それで世界を牛耳っているなんて…」
怒りに震えるDr友崎。
友崎は、春菜を人質にしながら叫んだ。
「---大人しくこの子たちを解放しろ!
そしてーー
医療用憑依薬の扱いについてーーー」
友崎がそこまで叫んだところで、
チャイナドレス美女がほほ笑んだ。
「うしろ…
みてごらん…」
クスクスと笑う美女。
Dr友崎は、ドキッとして背後を振り向くー
そこにはーーー
見覚えのある女性の姿があったー
「---麻土香(まどか)? 阿佐美(あさみ)!?」
ニヤニヤと笑いながら立っている女性ふたりー
一人は、Dr友崎の一人娘ーー
数年前に離婚した妻との間にできた娘で、
現在15歳の学生だー
もう一人はー
Dr友崎の妹の阿佐美ー
最近は会っていなかったがーー
「---お前がここに来るまでに、
2人を殺したじゃろ?」
チャイナドレス美女がほほ笑む。
「身体がダメになっちゃったから、
また新しい身体を奪わせてもらった。
お前の娘と、妹をな」
チャイナドレス美女が笑う。
「さぁどうするどうする?
大事なものを奪われちゃったよ?
どうする~?」
幼い少女が飛び跳ねながら笑う。
「----ふふふ…
お父さん~わたし、乗っ取られちゃった!」
「お兄ちゃん~わたしも~!
あはははははっ!」
ポニーテールが良く似合う娘と、
落ち着いた雰囲気の妹が
凶悪な笑みで笑う。
「---や…やめてくれ」
Dr友崎は、人質にしていた
ショートパンツ女子大生の春菜を放して
膝をついた。
「娘と、妹を返してくれー」
そう嘆願するDr友崎に向かって、
チャイナドレス美女が、近づいてきて、
耳打ちしたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1週間後ー
Dr友崎が勤務していた病院では、
和久井院長が死亡したため、
新しい院長が迎えられていたー
「---今日から院長になりました、
友崎です…」
死んだ目で挨拶をするDr友崎ー
彼はー
総合医療連盟に娘と妹の身体を奪われてー
彼らの操り人形としてー
この病院の院長に就任させられてしまったー
”娘と妹を助けたければわしらのために働け”
「------」
Dr友崎は、拳を握りしめながら、
”病院長”という名の操り人形としての
人生を歩み始めるのだったー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
邪悪な老人たちの陰謀…
食い止めることは誰にもできないでしょうか・・・!
お読みくださり、ありがとうございました!
コメント
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
Dr.友崎、あっさり始末されるのかと思いきや、ある意味それよりも残酷な結末になりましたね…。
総合医療連盟なんてひれつなんだ、ゆるせない(棒)
そしてやはりロリ枠がかわいい…
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
> Dr.友崎、あっさり始末されるのかと思いきや、ある意味それよりも残酷な結末になりましたね…。
> 総合医療連盟なんてひれつなんだ、ゆるせない(棒)
> そしてやはりロリ枠がかわいい…
ありがとうございます~!
ロリ枠の出番は…
少なかったですネ~笑
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
これはある意味一番残酷ですな。
憑依してる老人達そのものを完全に消し去らないと無理だな
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
> これはある意味一番残酷ですな。
> 憑依してる老人達そのものを完全に消し去らないと無理だな
総合医療連盟の老人たちを消し去る方法は
あるのでしょうか!