<憑依>未来の医療~闇ノ底~

医療用憑依薬で世界を牛耳る
”総合医療連盟”

少女たちを意のままに操り、私利私欲の限りを尽くす
老人たちの、”深淵”を除くときがやってきたー

-------------------------—-

Dr友崎が、総合医療連盟本部を訪れてからー
3か月が経過したー

総合医療連盟を追い詰めたDr友崎だったが、
連盟の老人たちに、娘の麻土香(まどか)と
妹の阿佐美(あさみ)が憑依されて乗っ取られてしまい、
Dr友崎は、膝を折ってしまったー。

そして、Dr友崎は、総合医療連盟の言いなりになり、
死亡した院長・和久井の後任として
病院の院長にされてしまったのだったー。

総合医療連盟の指示に従い、
ただ、言われたことをやるだけの日々ー
娘の麻土香と妹の阿佐美を
人質に取られている以上、
Dr友崎に抵抗することはできなかったー。

「・・・・・・・・」
死んだ目で、ただ命令をこなすだけの日々ー

そしてーーー

「---今日もお疲れ様ぁ♡
 院長ぉ」

総合医療連盟のトップ5の一人がやってきた。

毎日、トップ5の一人が、交代交代で
ホログラム映像を通して、
友崎院長の様子を見に来ているのだー

「--そ~んな死んだ魚みたいな目しちゃって!
 おじさん大丈夫~?」

幼い少女が笑いながら言う。
総合医療連盟トップ5の一人ー
まだ小学校に通っているぐらいの少女だ。

「---……俺は…
 お前たちの言うとおりにしているだけだ」

友崎院長はすっかり生気の無い目で呟いた。

「--ふふっ…おじさん
 疲れ切っちゃってて、かわいそ~♪」

そう言うと、少女はスキップしながら消えたー。

この時代の、ホログラム通信で、
毎日毎日、総合医療連盟の人間が監視に来ている。

Dr友崎が、変な気を起こさないように…。

まるで廃人のように、操り人形として
院長業務をこなす日々ー。
医療用憑依薬を推進する一派の手先と成り下がって、
娘と妹を人質に取られた状態で、もはや、何もすることはできないー

「---あの若造は、どう?」
チャイナドレスの美女がほほ笑む。

「う~ん!もうダメだね!
 完全に人生に絶望してる感じ♪
 もうあのおじさんは何もできないよ~☆」
少女がスキップしながら笑う。

「--ふふ、無様ね…」
ショートパンツ姿の女子大生が微笑む。

Dr友崎の
娘の麻土香と妹の阿佐美も笑っている。

「---われわれに逆らうからそうなるのだ。
 もう、やつには何もできまいー」

チャイナドレスの美女はそう言うと、
勝ち誇った表情で笑みを浮かべるのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--と思ってるんだろ?」
Dr友崎が、院長室、一人呟いた。

普段は、生気を失った院長を演じている。

だがー
彼はー
Dr友崎は、諦めてなどいなかったー。

3か月前、総合医療連盟の本部に乗り込んだ際に、
Dr友崎は気づいたのだー。

あの時、
医療連盟のトップ5に支配された
女子高生とお嬢様風の女性は死んだー

だが、中身の老人たちはすぐに別の身体ー
娘の麻土香と妹の阿佐美に憑依したー

と、いうことはー
あの女たちを何回葬ろうと、新たな犠牲者を生むだけー。

Dr友崎は、絶対服従をしている演技をしながら、
院長になる前から親しく、信頼できる医師、
Dr松原(まつばら)に、あることを依頼していたー

「---友崎!」
院長室にそのDr松原が駆け込んできた。

松原は1年先輩だが、
友崎には非常によくしてくれていた。
医療用憑依薬を悪用して死んだDr中岡共々、
松原には世話になったものだ。

「---居場所、分かったぞ」
Dr松原が友崎院長に紙を渡す

「ありがとう」
友崎がそう呟くと、松原は足早に立ち去って行った。

”どこで総合医療連盟に監視されているか分からない”

だからこその、短いやり取りだった。

Dr友崎は紙を開くー。
そこには、5年前に閉鎖された病院、
南部第3病院の場所が記載された地図ー

そして、手描きで

”総合医療連盟のトップ5の身体は、
 その病院の地下に隠れているー
 ずっと他人に憑依しているから、
 本体が死なないようにするために、
 「生命維持装置」に繋がれているらしい”

と書かれていたー。

「---」
Dr友崎は立ち上がった。

動くなら、早い方が良いー

Dr友崎は、諦めていないー
総合医療連盟の邪悪な老人たちを
葬り去るために、
老人たちの”本体”を探していたのだー

彼らを駆逐するには
本体の息の根を止めなくてはならないー。

だが、自分が動けば総合医療連盟に悟られる。
だから、Dr松原に協力を要請して、
この3か月間、ずっと、医療連盟の老人たちの
居場所を探ってもらっていたのだー

そして、今日ー

それがついに実を結んだ。

Dr友崎は、立ち上がる。

「--俺は…お前たちになど、屈しないー」

恐らく、自分が行動を起こせば、
すぐに総合医療連盟の連中も気づくだろう。

そうなる前に、南部第3病院に行き、
老人たちの生命維持装置を破壊ー、
総合医療連盟に憑依された女性たちを解放しー、
世界を憑依薬の呪縛から解放するー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Dr友崎は、自分のスポーツカーを走らせていた。

総合医療連盟の老人たちの本体が眠っているという
南部第3病院に向かうためにー

5年前に病院が突然閉鎖されたのは、
総合医療連盟のトップ5の人間たちの本体を、
安全な場所に隠すためだろう。

Dr中岡のときもそうだったが、
憑依薬を使うと”本体が無防備”になる。

だからこそ、あの老人たちは、自分たちは安全な場所に
身を隠し、少女たちの身体を使って、
好き放題やっているのだー

「---俺が、医療を呪縛から解放する」

自分はどうなっても構わない。

だがー
医療の未来のためにー

憑依薬を悪用し、世界を裏で牛耳っている
総合医療連盟トップ5は、葬らなくてはならなかった。

ブォオオオオオオオオ!

「--!?」

Dr友崎の運転するスポーツカーに、
大型トレーラーが近づいていた。

周囲の車をなりふり構わず、追い払い、
Dr友崎のスポーツカーに接近するー

そのトレーラーを運転していたのは…

ショートパンツ姿の女子大生…
総合医療連盟トップ5の一人に憑依されている女だったー。

友崎の前の院長、和久井の孫娘・春菜ー。

「---あはははははははは!
 わしらの本体を見つけたようじゃのお!」

トレーラーの窓から笑いながら叫ぶ春菜が叫ぶ。

「--くそっ!もう気づかれたのか!」
Dr友崎は、スポーツカーのギアをチェンジして、
猛スピードで走りだした。

ここで、やられるわけにはいかない。

「ふふふ…逃がさないよぉ~♪」
春菜が笑いながらスピードを上げる。

大通りで、突然のカーチェイスが始まり、
周囲は騒然とする。

しかし、そんなことに構っている暇はない。
とにかく、総合医療連盟の陰謀を、
阻止しなくてはならないー

それにー
この女が来たということは、
既に”他の4人”にも、Dr友崎の行動は
知られているということー

やつらは、あらゆる場所で世界を監視している。
ばれるのは時間の問題だと思っていたが、
ここまで、早いとはー。

Dr友崎は、カーナビの表示を見る。

目的地まで、あと少し。

ズガアアアアアン!!!

「!?」
背後から大きな音が聞こえて、Dr友崎は慌てて振り返ったー。

背後ではー
総合医療連盟に憑依された女・和久井春菜が乗っていた
トレーラーが炎上していたー。

赤信号を無視して、他の車に追突し、爆発を起こしたようだー。

「----」
Dr友崎は、
憑依されていた女性に対して、
心の中で黙とうをささげると、そのまま車を走らせた。

ガン!

「--!?」
友崎が横を見ると、
バイクに乗ったライダースーツの女性が
車に蹴りを加えてきた。

「---な、何をする!」
友崎が、車の窓から叫ぶと、女性は
ヘルメットを捨てて微笑んだ。

「--和久井春菜の身体、死んじゃったから
 乗り換えたよぉ~へへっ♡」

「---くっ!」

トレーラーの炎上で、死んだ春菜の中に居た
医療連盟の老人が、一瞬にして、
別の女性に憑依したのだ。

風で長い髪をなびかせながら女性は笑う。

そして、ライダースーツの女性はバイクを乗り捨てて、
友崎の車の方にしがみついた。

「くひひひひひっ!」
車の前の部分にしがみついて、不適に笑う女性。

その目には狂気が宿っている。

「身体なんてぇ~いくらでも乗り換えられるし!あははっ!」

「--くそっ!」
Dr友崎は改めて決意する。
このままでは、これから先、何人もの人間が被害に遭うか
分かったものじゃない。

多少の犠牲が出たとしても、
誰かが”総合医療連盟”を叩き潰さなくてはならない。

罪もない人を、傷つけるのは心苦しい。
それでも…
それでも、やらねばならない!

Dr友崎は雄叫びをあげた。

そして、車のアクセルを踏み込み、
猛スピードで走り出した。

あまりの衝撃に、ライダースーツの女性は
吹き飛ばされて、道路上に放り出されたー

彼女はおそらくー。

そう、思いながらもDr友崎は振り向かなかった。

「--総合医療連盟…」

Dr友崎は、偶然道路脇の看板に描かれていた
総合医療連盟の宣伝を見つめるー

”人類のために、未来の医療を創造するー”

「---何が人類のためだ」
Dr友崎は吐き捨てた。

「自分たちのことしか、考えていない、悪魔たちめ!」

もうすぐ目的地だー

しかしー

ドンっ!

「---!?」
Dr友崎が慌てて車を停止すると、
そこには小さな女の子が居たー

飛び出しだー

「---だ、、大丈夫か!」
Dr友崎が車から降りて駆け寄る。

迂闊だった。
前方不注意ーー

そう思いかけたその時だったー
小さな少女が笑うー

「---あ~~あ…
 カワイイ子を轢いちゃったね…!
 えへへっ♪」

苦しそうに笑う少女…

「貴様!総合医療連盟…!」

Dr友崎は気付く。
こいつはー
さっきまでライダースーツの女に憑依していた
総合医療連盟の老人だー

「---あぁ!千春!」
母親がやってきた。

「--なんてことを…!」
母親が、Dr友崎を睨む。

「ち、、違う…これは!」
Dr友崎は叫ぶ。

このままでは、 警察沙汰になり、
自分は逮捕される。

千春と呼ばれた少女が弱りながらも
笑っている。

総合医療連盟の人間が
Dr友崎を罠にはめたのだ。

少女の身体を乗っ取り、わざと道路に飛び出した。

「----…う」
少女が動かなくなる。

泣きじゃくる母親。

そしてー母親が突然叫んだ。

「人殺し~~~!
 人殺し~~~~~~!!!」

とても嬉しそうに叫ぶ。

「---貴様…!」
Dr友崎は拳を握りしめる。

総合医療連盟のやつら、どこまでも人を弄ぶつもりだ。
今度は母親に憑依して、Dr友崎を
犯罪者に仕立て上げようとしている。

「---俺は…貴様らなどに負けない!」
Dr友崎はそう叫ぶと、母親を無視して
スポーツカーで走り始めた。

騒動の咎めは後で受ける。
だが、その前に、
総合医療連盟の老人たちの息の根を、
止めなくてはならないー。

絶対にー。

母親は去りゆく車を見つめながら笑う。

「---どうする?」

背後に立っているホログラムのチャイナドレス美女に語りかける。

「---ふふ、あとは任せない」
チャイナドレス美女は不気味に微笑んだ…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

南部第3病院についに辿り着いた。

廃虚になっている病院。

この病院の地下に、
邪悪な老人たちの本体が居る。

Dr友崎が正面玄関にまでたどり着くと、
総合医療連盟に憑依されている娘がホログラムが現れた。

「--お父さん、これ以上、調子に乗ると…」

だが、Dr友崎はホログラム映像を無視して、
病院の中へと進む。

「----俺は、闇の底を覚悟はできているー」

それだけ呟くと、不気味に笑う娘のホログラムを無視してー、
Dr友崎は病院内部へと突入したー。

続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

1回分じゃ書ききれませんでした!
ごめんなさい汗

続きは
12/25「未来の医療~深淵ヲ覗イテ~」で
お楽しみください☆

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コメント

  1. 飛龍 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    Dr.友崎まだ諦めてなかったんですねぇ、これは熱い展開…
    25日が楽しみです

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > Dr.友崎まだ諦めてなかったんですねぇ、これは熱い展開…
    > 25日が楽しみです

    ありがとうございます~!
    次で本当に最後ですよ~☆