<憑依>優劣逆転① ~逆転~

容姿端麗で、素行も良好、
優等生で、学年のアイドルとして男女問わず愛されている女子生徒。

一方、お世辞にも容姿が良いとは言えない上に、陰険かつ
素行不良の不良女子生徒。

二人の立場が逆転したとしたらー。

「女子高生同士の入れ替わり」
「クラスのアイドルとブスの入れ替わり」
2つのリクエストにお応えした作品です!

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とある高校。

昼休みの時間に呼び出された男子生徒、
稲田 翔真(いなだ しょうま)は、
空き教室を訪れた。

そこに待っていたのは、
陰険そうな顔つきをして、
無駄に化粧っ気がある女子生徒ー

辻村 桃子(つじむら ももこ)だった。

顔つきの通り、陰険な性格で、素行不良。
髪を茶色に染めて、先生にも反抗的な、不良生徒だった。

「---…俺に何か用?」
迷惑そうに翔真が尋ねると、
桃子は言った。

「---あ、、あんたのコトさ…
 なんとなく好きだからさ…」

桃子は、翔真に好意を抱いていた。
スポーツ万能で、誰にでも優しい翔真に。

細い目付きをした、陰険な顔つきの桃子が
顔を赤くして言う。

彼女は素直ではなく、ひねくれているのも、
嫌われる原因だった。

「---あたし、あんたと付き合って
 あげよっかな、って思って」

桃子の精一杯の告白だった。

翔真はその言葉を聞いて、笑った。

「ごめん。別に付き合ってくれなくてもいいよ」
翔真は、桃子の高飛車な態度が癪に触り、
突き放すようにして言った。

「---え…」
告白が成功すると思い込んでいた桃子が唖然とする。

スカート丈を極限まで短くし、
可愛らしくもない、大根のような足を見せびらかしている桃子。

”可愛くないのに、自分が可愛いと思い込んでいる”

実に、厄介なタイプだった。

「--話はそれだけかな?」
翔真が空き教室から立ち去ろうとしながら言う。

「-----ふん」
桃子は、愛想を振りまくこともできず、不機嫌そうにそう言った。

「----…」
翔真は呆れた様子で首を振りながら、
教室へと戻って行った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後。

教室で翔真ととある女子生徒が話をしている。

クラスで、、いや、学年一の美少女とも言われる
生徒、中野 佳奈美(なかの かなみ)。

容姿端麗で、可愛らしく、
誰にでも優しい上に、成績も優秀。
生徒会の書記をやっており、先生からも信頼されている。

今日も、佳奈美の笑顔が眩しい。

自分とは正反対。
桃子はいつも、佳奈美を遠目で見ながら、
そう思っていた。

自分はブスだ。そんなことは分かっている。
けれどー、それでも自分は可愛いと思い込みでも
しなければ、やっていられなかった。

成績も悪い、素行も悪い。

どうせ、自分なんて…。

桃子はそう思っていた。

「---あ、来週だけどさ…」
翔真が、佳奈美に言う。

「-ーーあ、うん、大丈夫!
 土曜日は空いてるよ!」

佳奈美が笑顔で言う。

「---よかった!じゃ、悪いけど頼むな!」
翔真が言うと、
佳奈美が「うん!」と可愛らしく微笑んだ。

ーーあの二人、もしかして付き合ってるの…?

桃子はそう思った。

桃子の近くの座席の佳奈美が戻ってきた。

「----」
一瞬、笑顔を浮かべて桃子の方を佳奈美が見た。

ーーー気がした。

「---…」
桃子は無性に腹が立った。

自分の好きな翔真と佳奈美が
もしかしたら付き合っているかもしれない。

それに、今、佳奈美はーー。

「あのさ…」
桃子が陰険そうな声を出すと、
佳奈美が振り返った。

「ん?どうしたの?辻村さん?」
佳奈美はいつものように笑顔を振りまく。

「あんた…あたしをバカにしてるでしょ!」
桃子が机をたたいて立ち上がる。

こういう自意識過剰で被害妄想気味なところも
嫌われる原因だ。

「え…どうしたの??急に…」
佳奈美が困惑している。

「--今、あたしの方見て笑っただろ!」
桃子が言うと、
佳奈美が困ったような表情を浮かべる。

「あの…わたし、笑ってなんかいないよ…?」

その表情がまた、桃子には腹が立った。

困った顔まで可愛い。

「そうやって!男子を誘惑してるんだろ!」
桃子が叫ぶ。

佳奈美はさらに困ったような表情で
「ご、、ごめんね・・
 何か気を悪くしたなら謝るから…」

桃子は、それでも怒りが収まらずに叫んだ。

「あんた、あたしのこと、どう思ってるの?
 言ってみろよ!」

そう叫ぶ桃子。

佳奈美は困惑した様子で言った。

「い、、いつもポジティブで、自分に正直で…
 ・・・うん、頑張ってると思う」

佳奈美は咄嗟に、頭を回転させて、
そう答えた。

わけが分からず、佳奈美も少し同様していた。

”頑張ってると思う?”

桃子の怒りはさらに爆発した。

「--そ~~やって!あたしのこと
 見下してんだろ!!
 ふざけんじゃねぇよ!」

桃子が汚しく罵る。

「---ちょっと…落ち着いてよ…」
佳奈美が困った様子でなだめようとする。

だが、桃子は叫んだ。

「---許さない…
 アンタにあたしの味わっている惨めさを思い知らせてやる!

 アンタには分からないでしょ!?
 ブスの苦しみが!

 わかんないよね??
 あんたみたいにかわいくてチヤホヤされてる女には!」

そう叫ぶと、桃子は教室から走り去って行ってしまった。

「---大丈夫?」
近くのクラスメイトが佳奈美に尋ねる。

「--う、、うん、大丈夫」
佳奈美が、困った様子でそう答えた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜。

桃子は自分の部屋の机の引き出しを開いた。

そこには、
”憑依薬”

数か月前、夜の街で遊んでいた際に
怪しい男から渡された薬だ。

怪しい薬だと思って封印していたけれど…。

”服用後、1時間以内に、対象にキスをすることで
 その体を奪うことができる”

「---本当なの?」
桃子は”もし嘘でも”どうせ自分の人生なんか…

と考えて、その薬を、普段学校に持って行っている
鞄の中に突っ込んだ。。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日の昼休み。

空き教室に佳奈美を呼び出した桃子。

佳奈美が来るまでの間に、桃子は憑依薬を飲み干した。

「本当にーーー
 効果なんか出るの?」

ガラっ…

佳奈美が教室に入ってきた。

「遅れてごめんね…
 お話って何かな…?」

佳奈美が気まずそうな雰囲気で言う。

「うん。あたしさー、
 あんたばっかりずるいと思うんだよね」

そう言うと、佳奈美は、
”またその話なの…”とでも言いたげに
悲しそうな表情を浮かべる。

「だからさーー、
 あたし、あんたの体、もらうことにしたのー!」

桃子が佳奈美に突然抱き着き、
キスをしようとする。

「ひっ!な、、何をするの??
 は、、はなし…むぐっ…うっ…」

桃子の唇が佳奈美の唇を捕まえた。

「う…ひぃ…あっ・・・・・」

二人は…
抱き合ったまま、その場に倒れた。。

そして…

3分が経過した・・・。

「んっ…」
佳奈美の体がピクッとなった…。

「あ・・・はぁ…はぁ…」
佳奈美は起き上がって、自分の体を見下した。

そこにはーー
”自分の胸”とは違う胸ーー
そして、さらさらとした髪の毛ーー

きれいな白い手が見えた。

「うっ…うそっ…」
佳奈美がニヤリと笑って、教室の前にあった鏡を見る。

そこにはーーー
”学年一のアイドル”とまで称される佳奈美の姿があった。

「え…ま、、、まじ…
 あたしが佳奈美に…

 くっ・・・くくく・・・
 あはっ、、あはっ、、あははははははははははは♡」

佳奈美がその場で大笑いする。

「まじかよ~
 あたしが佳奈美になっちゃった!!

 うっそ~~~すっご~~~い!」

理知的な佳奈美がしないようなギャル口調でしゃべる佳奈美。

「--やった…!
 マジさいこうなんだけど~~!
 うふふふふっ!あははははははははははははっ!」

その場で足をじたばたさせて喜ぶ佳奈美。

「あたしはーー、
 中野 佳奈美ーー」

そして、鏡に向かって微笑んでみせる。

「かっ…かわいい~~~~~!」
自分の姿を見ながら佳奈美はそう叫んだ。

「って、スカート丈長いなぁ…
 ばっかみたい!」

佳奈美はそう言うと、不満そうに自分のスカートを見つめる。

「こんな綺麗な足してるんだから、
 もっと見せなさいよ!」

そう言いながら、自分の足を見つめる佳奈美。

「----」
倒れたままの桃子ーー。
自分の体を見つめる。

「---さて…あれはどうしようかな」
偉そうに腕を組みながら考える佳奈美。

その時だった。

急に口から吐き気を催して、
何か「青白い球体」を吐き出したーー。

「けほっ…な、、なにこれ・・・」
佳奈美が青白い球体を見つめる。

スライムのように柔らかい。

「-----」
佳奈美は思い出した。

憑依薬の説明書に
「副作用で、元の体の持ち主の精神が吐き出されることがある」と
書かれていたことをー。

「---そっか、そっか…くくくくくく…」
佳奈美が笑う。

そして、乱暴に足を振り上げた。

スカートの中が丸見えなこともお構いなしに、
足を振り上げて、その青い球体をーーー

「----っと!」
足を止めた佳奈美。

踏みつぶして佳奈美の精神を殺すのはたやすいーーー

でも…

「そうだ…
 あんたに、惨めなあたしの人生、あげるよー」

狂気に染まった表情で、その青い球体を拾い、
元の自分の体、桃子の口に突っ込んだ。

「くくく…」

佳奈美が笑う。

「はははははははっ!
 あたしが今日から学年一のアイドルよ!!!

 そしてあんたは無様で陰険でブスな
 あたしとして生きるの!
 ははははははっ!
 マジうける!うふふふふふ!ひひひひひひひひ!」

佳奈美がしないような笑い方で狂ったように
笑い続ける佳奈美。

「っおら!起きろよ!」
自分の体を乱暴に蹴り飛ばす佳奈美。

そしてーー
桃子となった佳奈美が目を覚ました。

「---ん・・・わたし…?」

起き上がる桃子。
体が重い。
声も変だ

そしてーー
目の前に自分がいる…

「え…わ、、わたし…」
桃子が驚いて言うと、
佳奈美は笑った。

「--くくく…
 どうしたの?辻村さん」

腕を組んでバカにしたようにして笑う佳奈美。

「えーー嘘…わたし…?
 う、、うそっ!どうしてわたしが辻村さんの体に?」

桃子がパニックを起こす。

「うふふ・・・
 何言ってるの?辻村さん…。
 あんた、おかしくなったんじゃないの?」

そう言う佳奈美に、桃子は叫んだ。

「わたしの体を、返してっ!」

だが、佳奈美は、
自分の胸を触りながら笑う。

「うふふっ…♡
 いやよ…
 あたしは中野 佳奈美…

 あんたが辻村 桃子。

 これからはそうして生きていくの」

佳奈美が甘い声で言うと、
桃子は叫んだ。

「返して!わたしの体を返してよ!!!」

佳奈美は優越感に浸りながら、笑った。

「ふふっ
 あんたもあたしのこと、見下してたんじゃん!
 その体がそんなにイヤ?」

その言葉に桃子が弱弱しく首を振る。

「そ、、そういうわけじゃないけど…
 でもっ…」

佳奈美は桃子を睨みつけた

「アンタ最低。
 地獄に落としてやるから…

 くくくっ、、あははははっ!
 あはははははははははははははは!」

佳奈美は笑いながら乱暴に扉を開けて
空き教室から出て行ってしまった…。

「---ど、、、どうすればいいの?」
戸惑う桃子。

とりあえず、誰かに助けをーーー。

5時間目。
佳奈美を気に入っている女性教師、
満元先生による社会科の授業の時間だった。

「---先生!」
桃子が満元先生にすがりつく。

「どうしたの?辻村さん?」
いつもより、先生の愛想が悪い気がする。
”桃子”の体だからだろうか。

「----」
ニヤリと笑みを浮かべて桃子の方を見る佳奈美。

「助けてください!わたし、わたし、、中野佳奈美です!
 辻村さんに、、、からだ、、からだを奪われちゃったんです!
 助けてください!」

涙ぐみながら言う桃子。

佳奈美は”困り果てた演技”をしながら控えめにほほ笑む

「--ど、、どういうこと…??
 辻村さん…どうしたの?」

困惑する先生。

「--助けて!わ、、わたしに見えるけど、
 今のわたしの体は、辻村さんが…」

「---辻村さん…
 変なこと言って、中野さんを困らせないの」

先生の残酷な言葉。

「ちがう…
 わ、、わたしは…
 ちがうんです!」

叫ぶ桃子。

だがーー。

「早く座席に戻りなさい。
 生活指導の対象にするわよ?」
先生が言うと、桃子は泣きながら座席に戻る。

「---」
佳奈美は邪悪な笑みを浮かべながらその様子を見つめた。

そして、自分の後ろの座席に戻ってきた桃子に耳打ちした。

「--”いい気味ねー”」と。

「--中野さん、
 辻村さんと何かあったの?」

満元先生が尋ねる。

佳奈美は”いつもの笑み”を浮かべて微笑んだ。

「いいえ、私にもよく分かりません・・・」

とーー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後。

泣きながら通学路を歩く桃子。

背後から、クラスの男子、翔真と、佳奈美が
楽しそうに談笑しながら、桃子を追い抜いていくー。

追い抜きざまに、佳奈美は
心底見下したような歪んだ笑みで桃子を見たーーー

”あんたの人生、あたしのものよー”

佳奈美の体を奪い、学年一のアイドル、そして優等生としての
地位を奪い取った桃子。

そして、嫌われ者で、ブスで、不良の桃子の体で
過ごすことになってしまい失意のどん底に落とされた佳奈美。

二人の運命はーーー

優劣逆転したー。

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

リクエスト作品です!
お任せしました!

後編となる次回は、
佳奈美を地獄に落とします!

佳奈美の「心」が地獄に落ちるのか。
佳奈美の「体」が地獄に落ち着のか…

どっちの意味かはご想像にお任せします^^

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憑依<優劣逆転>

コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    佳菜美の心を落としてください!!
    マジでお願いします!
    救いのない優劣逆転を、無名さんの文で読みたいんです!!

  2. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    佳菜美が、桃子が佳菜美の身体を自分以上に使いこなしてる様子を見て絶望するシーンを加えて欲しいです!!(佳菜美の身体で読モしたりおしゃれしたりするのに、桃子であることのボロは出さない)
    ずっと待ってたんです!本当にお願いします!!

  3. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    続きが楽しみ。どうなるのか

  4. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 続きが楽しみ。どうなるのか

    ありがとうございます!
    頑張ります^^

  5. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 佳菜美が、桃子が佳菜美の身体を自分以上に使いこなしてる様子を見て絶望するシーンを加えて欲しいです!!(佳菜美の身体で読モしたりおしゃれしたりするのに、桃子であることのボロは出さない)
    > ずっと待ってたんです!本当にお願いします!!

    既に頭の中で完成している内容が、
    きっと、楽しんでいただける結末に
    なっていると思います!

  6. ゲスト より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    リクエストに応えていただき
    ありがとうございます。

    今後も応援してます!

  7. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > リクエストに応えていただき
    > ありがとうございます。
    >
    > 今後も応援してます!

    こちらこそありがとうございます!
    今後も頑張ります!