憑依空間が33万アクセスを達成しました!
ありがとうございます!
今回の記念短編もクリスマススペシャル…ということで
「呪子高生」の後日談、クリスマスバージョンをお送りします!
(過去の呪子高生はこちらからどうぞ!)
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いじめが原因で自ら命を絶った男子生徒・
鴛海 竜二。
彼は怨念となり、
ひとりの女子生徒に憑依した。
そして、自分をいじめていた主犯の二人と、
その二人と同じ学校出身で仲良くしていた3人を
憑依した女子生徒・萌美の手で抹殺した。
萌美自身も”同じ学校出身でいじめの主犯と仲の良かった3人”の一人だった。
だから、最後には、憑依した萌美自身の体も死なせてやった。
そしてーー
復讐を終えた彼は…
”成仏”するのではなく、
”奪われた人生を謳歌する”ことを選んだのだった。
美化委員の女子生徒、
真鍋 海咲(まなべ みさき)に憑依してーーー。
あれから、数か月が経過した。
12月23日。
「--じゃ、明日は例の場所で待ち合わせな」
海咲の彼氏である
湯頭 恭司(ゆがしら きょうじ)が言う。
海咲に憑依したあとも、竜二は
海咲の体を大切にした。
今後は海咲として生きるのだから当然だ。
なるべく、海咲と同じように振る舞い、
彼氏の恭司ともそのまま付き合いを続けていた。
海咲は、元々、いじめっ子と、その同じ中学出身の生徒達が座っていた
座席の辺りを見つめていた。
「ん?あぁ・・・あいつらな…」
彼氏の恭司が言う。
「可愛そうにな…あいつらも…。
鴛海のヤツが死んだ理科室でみんな変死するなんて、
絶対鴛海のやつが絡んでるぜ」
彼氏の恭司が少し笑いながら言う。
「---そうかもしれないわね」
海咲がそう言う。
まさか、目の前にいる彼女の海咲が、
その「鴛海」に憑依されているなんて夢にも思わないだろう。
「---自業自得よ」
吐き捨てるようにして言う海咲。
大人しく心優しい海咲の記憶を読み取った鴛海は、
カンペキに海咲を演じていた。
だがー。
どうしても彼らのことが絡むと感情的になってしまう。
「はは…海咲は厳しいな…
あいつらにだけ」
彼氏の恭司は、なんとなく違和感を感じていた。
変死した五人に対してだけ、やけに海咲が
冷たいし、辛らつなのだ。
「でもよ・・・
鴛海のやつ、な~んか大人しくて気持ち悪い感じ
だったし、やっぱ、あいつの仕業かもな」
恭司が言う。
恭司と、あの事件のことについて話すのは初めてだった。
クラスメイトたちは、怖がっていて。
”あの事件”のことを誰も話さない。
鴛海自身が、憑依能力を使って、
いじめっ子2人と、その同じ中学出身の3人を葬った事件のことを、だ。
「--鴛海のやつ、死んでくれて本当に
よかったよ…
あいつ、怖かったもんな」
海咲は、今この場で、彼氏の恭司をぶん殴ってやりたいと思った。
ーー海咲に、今自分が悪口を言っている男、鴛海が憑依している
なんて、夢にも思わないだろう。
「---鴛海君のこと、そんな風に思ってたの?」
思わず、海咲の表情と声に怒りがにじみ出る。
「--え?あ、あぁ、だってあいつきもかったじゃん!」
恭司の言葉に海咲は舌打ちをして、
恭司をにらみつけた。
「--え、、、あ、、悪い悪い
死んだやつの悪口なんて、言うべきじゃなかったよな」
恭司がそういうと、
話は終わった。
だがーーー
海咲の怒りは収まらなかった…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜。
「くそっ!あいつ!ふざけやがって!」
海咲が激しい形相で、部屋で暴れまわっている。
「僕がきもいだって!?
そんな風に僕のことを思っていたのか…!」
海咲がイライラした様子で髪をかきむしりながら言う
「ふっっざけやがってぇぇぇぇ!」
海咲は一人、怒鳴り声をあげると、
鏡に向かって拳をたたきつけた。
そしてーーー
笑い出したーーーー。
「--彼氏の恭司…
あいつにも、”償って”もらうか…。」
そう言いながら、不気味に笑うと、
海咲は立ち上がった…。
もう、復讐に生きる必要はないー。
そう思っていた。
このまま真鍋 海咲として生きていくつもりだった。
けれどー
”オ マ エ モ ボ ク ヲ バ カ ニ スルノカ”
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
12月24日。
「楽しかったな~今日は」
彼氏の恭司が言う。
「そうだね!わたしも楽しかったよ!」
海咲が言う。
クリスマスイルミネーションの輝く中、
2人は最高のクリスマスを楽しんだ。
そしてーー。
「--じゃ、またね!」
「あぁ、今日は良いクリスマスだった。ありがとう」
恭司がそういうと、
満足げな笑みを浮かべて立ち去っていった。
「---」
海咲は彼氏の背中を見ながら、
微笑んだ。
「最後の晩餐、楽しんだかいー?」
と。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
彼氏の恭司は帰宅後、
信じられないメールを受け取った。
”お前の彼女は預かった。
返して欲しければ理科室に来い” と。
「--なんだこれは?」
恭司は青ざめた表情で、メールに添付された写真を見た。
そこにはーーー
理科室で縛り付けられた海咲の写真が添付されていた。
「--くそっ!」
強盗かー?
それとも、理科室で自ら命を絶った鴛海かー?
そんなことを思い浮かべながら、
海咲を誰よりも大事にしている恭司は、すぐに理科室にかけつけた。
そこには、涙目でイスに縛られている海咲の姿があった。
「---恭司くん!」
その言葉に、恭司はすぐに海咲に駆け寄り、
海咲を束縛しているテープをはがす。
「--おい!大丈夫か?
誰にやられた!?」
恭司がそういうと、
海咲は涙を浮かべたまま”笑った”
「--死んだ人をバカにするなんて、最低だよね」
海咲の言葉に、恭司は首をかしげる。
「お、おい、、こんな時に何を言って・・・?」
海咲が不気味に笑うー。
「---鴛海 竜二くんが、
どんな思いで、ここで自ら命を絶ったか、
知ってる?」
恭司はその問いかけに不気味なモノを感じ取り、手を振るわせた。
「そ…そりゃあ、無念だっただろうよ」
恭司が言うと、
海咲が「にやり」と笑った。
「--そうだよ。
無念だったよ」
まるで、鴛海が自分であるかの言い草。
「だから僕は、怨念となって復讐することにした。
その結果が、あいつら五人の変死だよ」
海咲が、いつの間にか変な口調に変わっている。
僕ーーー?
「--な、、何を言ってるんだよ?海咲???」
そういうと、海咲はもう一度微笑む
「私は、、許さない。僕をバカにした、お前を!
…冥土の土産に教えてあげるね。
わたし、今、鴛海君にからだを乗っ取られちゃってるの!
からだもこころもぜ~んぶ鴛海くんの言いなり!!!」
海咲の言葉に、
恭司が後ずさりを始める。
「---ば、、ばかな…
鴛海・・・まさかお前…」
理科室での”五人の変死”
そのことを思い出して恭司は恐怖して、理科室から駆け出そうとした。
海咲の目が赤く光る。
そしてーー
「ぼ くのふくしゅう だ よ くひひひひひひひひひっ!」
と、不気味な声を響かせながら
海咲は、空かなくなった理科室のトビラを必死に開こうとして
パニックを起こしている恭司に近づいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ーーー
12月25日。終業式の日。
理科室で、変死体が見つかった。
湯頭 恭司という男子生徒だ。
「またなの…怖い…」
生徒達が恐怖を抱いて震えている。
その様子を見ていた海咲は
バカにしたような笑みを浮かべて、呟いた。
「----メリークリスマス」
と…。
おわり
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コメント
鴛海くんを怒らせてはいけない…
33万アクセスありがとうございました!
まずは35万を目指します!!!
コメント
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これは否定も出来ないかもだが肯定も出来ないかもな。
という事で自分は傍観に徹します。
自分も同じく怨念化すると復讐するかもしれないが、同時にやり過ぎは良くない感じで複雑です。
それを踏まえ理解するのが大事そうだから彼氏ももっと言葉を選んだ方が良かったのかも。とまあ中途半端なコメになっちゃいました。
鷲海君の気持ちもまさに痛いほど分かるから全否定出来ないんですよねえ。でもやりすぎよく無いから全肯定もできないと。
何か結構思う所あるから語っちゃいます。きりが無いからこのくらいにしとこ