<憑依>報復兄妹③~仕返しの果て~(完)

②にもどる!

特別、仲が悪かったわけではない兄妹。

しかし、ある日、兄が興味本位で妹に憑依ー、
憑依されたことを知った妹が兄に憑依し返して、
それで恥をかいた兄がさらに報復をするー…

そんな、”憑依による報復の連鎖”が始まってしまったー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー菜々美のやつ、また俺に憑依するつもりじゃー…!?」

兄・恭介に憑依されて
メイド服のまま”お出かけ”させられてしまった妹の菜々美ー。

さらに恭介は菜々美に恥をかかせるために、
メイド服を着て外出している”最中”に菜々美を解放し、
正気に戻したー。

その結果、菜々美は血相を変えて帰宅ー、
激怒して、恭介に不満をぶちまけたー。

がー、菜々美が部屋に戻って行ったのを見て、
恭介は不安そうに、
”また、俺に憑依するつもりじゃー?”と、
そんな風に思い始めたー。

「ーおいっ!ななーー…」
”自分がまた憑依されるかもしれない”ー
そう思った恭介は、慌てて自分も部屋を飛び出して、
菜々美と話し合いをしようとしたー。

しかしー、恭介の予感は的中ー。
それでいて、もう”手遅れ”だったー。

「ーーうっ…」
”自分の中に何かが入って来る感覚”ー
それを感じた瞬間に”まずい”とは思ったものの、
どうすることもできずに、恭介はそのまま意識を失うー。

「ー絶対、許さないからー」
焦って菜々美の部屋に向かおうとしていた恭介は
菜々美に憑依されて、頬を膨らませながら
そう言葉を口にすると、
自分の部屋の中に引き返していくー。

そして、いつの前にか恭介のスマホの暗証番号も
把握していた菜々美は、
その番号を入力すると、
恭介の身体で笑みを浮かべるー。

「ー絶対あり得ないー…ゆるさないからー」

”メイド服を勝手に着せられた”ー
それだけではなく
”勝手にそのまま外出させられた”ことに
激しい怒りを感じていた菜々美は
恭介の身体への2度目の憑依で、
前回よりもさらに強烈な仕返しをしようとしていたー。

「ーーーー」
恭介の身体で、恭介の彼女・沙織の連絡先を見つめると、
恭介に憑依した菜々美は、
何度か咳ばらいをしてから
「ーー沙織ー、話があるんだー」と、
そう言葉を口にするー。

わざと”男っぽく”なるように意識して
声を出したからか、逆に低すぎる変な声に
なってしまったものの、
恭介になった菜々美は”まぁいいやー”と、
そう思いつつ、恭介の彼女・沙織を呼び出すー。

そしてーー
菜々美は”自分が着せられていた”メイド服を手にして
それを袋に詰め込むと、
それを手にしたまま、彼女である沙織を呼び出した場所へと向かうー。

やがて、沙織は少し戸惑いの表情を浮かべたまま
やってくると「大事な話ってなにー?」と、そう言葉を口にした。

既に沙織は、恭介が妹の菜々美に最初に憑依された際に
勝手に投稿させられた自撮りを見て、
恭介と少し距離感が生まれてしまっている状態だったー。

そんな沙織に対して、憑依されている恭介は笑みを浮かべると、
メイド服の入った袋を手渡して口を開くー。

「それを着て見て欲しいー」
とー。

「ーー!?!?!?!?」
彼女の沙織は困惑した表情を浮かべると、
恭介に憑依している菜々美の方を見て、
「え…???え???ど、どういうことー?」と、
そう言葉を返すー。

もちろん、恭介の彼女・沙織は”憑依”のことなど知らないー。
そのため、恭介本人から突然メイド服を手渡されて
これを着て欲しい、とそう言われているように思ってしまうー。

「ー俺さー、妹にも”無理矢理”これを着せてさー
 今度は、彼女ー、いや、沙織のメイド服姿も見たいと思ってさ」

兄・恭介のフリをぎこちなくこなしながら、
菜々美はそう言葉を口にすると、
沙織は「い、妹さんにも着せたのー!?」と、
ドン引きしたような表情を浮かべるー。

「そうだよー。ほら、早く沙織も着てよーへへーへへへへ」
恭介の身体でそう言葉を口にする菜々美ー。

がー、菜々美は”沙織”のメイド服姿を見たいわけではないー。

これはー、”仕返し”ー
”お兄ちゃん”と彼女を引き裂くための、仕返しー。

なおも、恭介の身体で沙織にしつこくメイド服を着るように迫る菜々美ー。

そしてー、
菜々美はそのタイミングで兄の恭介から抜け出したー。

「ーー!?」
菜々美の霊体が恭介の身体から抜け出すと同時に、
恭介が意識を取り戻すー。

「えっ…?俺ー」
憑依されていた恭介は、意識を取り戻すと、
一瞬、何が何だか分からず戸惑いの声を上げるー。

しかし、その直後ーー…
メイド服を無理矢理着せられそうになっていた彼女の沙織が
「ーーいい加減にしてっ!」と、
恭介に強烈なビンタを食らわせたー。

数秒前まで憑依されていた恭介にとっては
全く状況が飲み込めず、
沙織が目の前にいる状況にも、沙織にビンタされた状況にも
全くついていくことが出来ずに
身体を震わせると、
「え……?沙織ー…どうして?」と、そう言葉を口にするー。

「ーーこの変態っ!」
沙織はそう叫ぶと、メイド服の入った袋を放り投げて
怒りの形相でそのまま立ち去っていくー。

一人残された恭介は「ーー…ーーな、菜々美めー…」と、
呆然としながらも、妹・菜々美の仕業に違いないー、と、
そう思いながら涙目で沙織を追いかけるー。

しかし、恭介はそのまま沙織に別れを告げられて、
彼女を失うことになってしまうのだったー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーくそっ!許さねぇ!許さねぇ!」
怒りの形相を浮かべながら帰宅した恭介は
自分の部屋に飛び込むと、憑依薬を隠してある棚を開けるー。

がー、そこにあるはずの憑依薬がなかった。

それを見た恭介はすぐに、菜々美に憑依薬を奪われたのだと悟るー。
自分自身もさっき、”菜々美に報復される”と思って、菜々美に
話しかけに行こうとした途中で憑依されたー。

当然、このままだと”また”憑依され返すということは
菜々美も理解しているはずで、菜々美が先に
”報復”に対する手を打ってしまったー。

菜々美は先ほど、恭介の身体から抜けた後に、
恭介が帰宅する前に恭介の部屋に忍び込んで、
恭介が隠していた憑依薬を確保ー、
これ以上自分が憑依されないように手を打っていたー。

しかしーー

恭介はニヤリと笑みを浮かべたー。

「ーーー残念だったな、菜々美ー」
そう言葉を口にすると、恭介は
”別の場所”に隠していた憑依薬の容器を取り出すー。

恭介はー、菜々美に”報復”されたあと、
もう1本憑依薬を手配していたー。

”いざという時”のためにー。

「ーーもう絶対許さないからな…!菜々美!」
恭介はそう言葉を口にすると、
憑依薬を飲み干し、そのまま菜々美に憑依したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーはぁっはぁっはぁっ…」

菜々美を再び乗っ取った恭介は、
菜々美の部屋で暴れ回って、
部屋中を滅茶苦茶にしてみせたー。

菜々美の部屋にあったパソコンのモニターを叩き割りー、
スマホを放り投げて踏み潰して破壊し、
窓ガラスをたたき割ったー。

菜々美の綺麗な手から、血が流れる中
それを舐め回すと、
「ーお前のせいで、沙織とも別れることになっちまったんだからな!」と、
怒りの形相でそう叫ぶー。

しかし、今の”憑依されている菜々美”にその言葉は届かないー。

怒りの形相を浮かべると、
さらに部屋で暴れ回って、
菜々美の母親が異常に気付いて
部屋に駆け付けるまでそれを続けたー。

「な、菜々美ー…?!」
あまりにも荒れ果てた部屋を見て、
菜々美の母親は真っ青になって驚いた表情を浮かべるー。

その様子を見て、菜々美に憑依していた恭介は
菜々美から抜け出すと、
自分の身体に戻って、隣の部屋の騒動を
笑いを堪えながら楽しむのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それからも、”憑依”による報復合戦は
続いてしまったー。

菜々美も自分の憑依薬が奪われてしまう危険性を察知したのか、
憑依薬をどこかに隠してしまい、
恭介が菜々美に憑依した状態で部屋の中を探し回ったものの、
見つけることはできなかったー。

部屋を滅茶苦茶にされた菜々美は、
”仕返し”として、その日の夜に恭介に憑依、
恭介の部屋を滅茶苦茶にしたー。

それを知った恭介は怒り狂い、
菜々美に憑依ー、
バニーガールの格好をして、駅前に向かい、
その場で胸を揉み続けるというさらに過激な
仕返しをし始めたー。

突然、周囲の注目を集めてしまい、
通行人が写真を撮影したことで、
ネットでも拡散されてしまうー。

それが原因で、菜々美は学校中でもそれが噂になり、
学校に居ずらい空気が作り上げられてしまうー。

「ーーふざけないで…!」
菜々美が、涙目で恭介の部屋に乱入して来るー。

「ーあんたのせいで、わたしの人生滅茶苦茶!」
菜々美がそう叫ぶと、
恭介も「俺だってお前のせいで彼女にも別れを告げられてー!」と、
不満を露わにするー。

しかし、菜々美は「最初に憑依したのはあんたでしょ!」と、
声を荒げると、
恭介は少しだけ後ろめたい気持ちがあるのか、
一瞬言葉に詰まったものの、
「お、俺は、部屋の中でちょっと楽しもうとしてただけで、
 お前の人生に実害なんて与えてない!」と、そう言い返すー。

「ーはぁ!?憑依すること自体が実害でしょ!」
菜々美がそう返すと、
恭介は「ーーお前が仕返しなんてしなけりゃ、こんなことにー」と、
恨みの言葉を口にするー。

その言葉に、菜々美は「最低ー」と、不満そうに言葉を口にすると、
その場で”憑依薬”を取り出したー。

「ー!」
恭介は慌てて菜々美を阻止しようとするも、
既に時遅く、またそのまま憑依されてしまうのだったー。

そしてーー

「ーーー!!!!」
恭介が正気を取り戻した時にはー、
スーパーで大量のものを盗んで、”店員に捕まっている”ー
そんな状態だったー

「ーー君!どうしてこんなことしたんだ!」
スーパーの店長がそう言葉を口にするー。

「ーい、いや、これは、菜々美の仕業なんだ!」
恭介はそう叫ぶと、真っ青になってそのまま
店長にタックルをすると、逃亡し始めるー

「ーーーくそくそくそくそくそっ!!
 菜々美のやつーお、俺を犯罪者にしやがるつもりか…!」
恭介はそう言葉を口にすると、
慌てて家に駆けこむー。

そして、半泣きの状態で憑依薬を飲み込むと、
「絶対に許さねぇ」と、そう言葉を口にするー。

恭介がそのまま警察に捕まると思っていた菜々美は、
恭介が逃げ帰って来たことに驚きの表情を浮かべるーー

が、気付いた時には恭介は憑依薬を飲み干していてー、
菜々美は再び恭介に憑依されてしまったー。

菜々美になった恭介は怒りの形相で台所に向かうー。

すぐに台所から包丁を手にすると、
怒りに完全に支配されていた恭介は
菜々美の身体で、包丁を自分自身に向けて、
そのままそれを突き刺したー。

「ーうぅ… お前なんか…死んでしまえ」
菜々美の身体で、苦しそうにそう呟くと、
恭介はもう一度自分の身体を刺してから、
菜々美の身体から抜け出すー。

「ーーー」
自分の身体に戻ると、恭介は勝ち誇った表情で、
台所に向かうと、苦しそうに倒れている菜々美を見て、
「ーー俺の人生を滅茶苦茶にしやがって!」と、
そう吐き捨てたー。

菜々美は”信じられない”という表情を浮かべながら
そのままその場に倒れ込むー。

恭介は、少し複雑そうな表情を浮かべつつも、
”妹が自ら命を絶った”と、連絡するために
スマホを手にするー。

がー、その時だったー

「え…?」
恭介は、また”憑依されるとき”の感触を感じて
青ざめるー。

菜々美は死んだー
では、誰がー?

そう思ったー。
しかし、その直後、恭介の意識は途切れるー。

恭介はーー
”死んで”幽霊になった菜々美に憑依されてしまったー。

憑依薬による報復を恐れて、
そして怒りに支配されて、菜々美の命を奪った恭介ー。

しかし、憑依薬による憑依は阻止できても、
幽霊になった菜々美に憑依されてしまったのだったー。

「ーー…あんたも道連れー」
恭介に憑依した菜々美はそう呟くと、
血まみれの包丁を拾い上げて、
そのまま、自分自身を突き刺し始めたー。

憑依による報復の連鎖ー。
その行き着く先は、二人とも”死”という
最悪の結末だった…。

おわり

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コメント

仕返しを繰り返した結果、
最悪の結果に…!

お兄ちゃんが憑依さえ始めなければ
こんなことにはならなかったので、
憑依で人生が狂ってしまいましたネ~…!

お読み下さり、ありがとうございました~!!

「報復兄妹」目次

作品一覧

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憑依<報復兄妹>

コメント

  1. 匿名 より:

    兄妹で争うタイプの憑依の話は大抵バッドエンドの物ばかりですね〜。
    たまにはハッピーエンドもいいのではないでしょうか?

    ところで、姉弟とか姉妹で争うタイプの話は以前にありましたっけ?

    ほとんど兄妹ばかりで姉弟とか姉妹の話はあまりなかった気がするのでそういうのも見てみたいですね☆

    • 無名 より:

      感想ありがとうございます~~!★

      確かに逆パターンはあまりないですネ~!!
      私が姉の立場なのでついついそれを無意識のうちに避けちゃうのかもですネ~!

      ハッピーエンドバージョンも…確かに書いて見たいデス~!!