<入れ替わり>光と闇③~二つの結末~(完)

②にもどる!

二つの入れ替わりが同時に起きてしまったとあるクラス。

片方は、協力し合い
もう片方は、敵対するー…

そんな二組の入れ替わりを待ち受ける運命はー?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「は…???????」
雪菜(栄吾)が困惑するー。

それもそのはずー。
栄吾(雪菜)が”女装”した状態で学校にやってきたのだー。

「ーーは…お、お前!俺の身体で何してんだよ!」
雪菜(栄吾)が顔を真っ赤にしながらそう叫ぶと、
栄吾(雪菜)は「あんたこそ、わたしの身体で散々好き勝手して!」と、
”これは今までの仕返しよ!”と、そう叫ぶー。

「はぁ!?お前だって俺の身体で勝手にバイト辞めたり、
 好き勝手してるだろうが!!」
雪菜(栄吾)がそう声を荒げると、
そのまま栄吾(雪菜)の胸倉を掴むようにして、
乱暴な行動に出るー。

周囲のクラスメイトたちは、”栄吾の女装”を揶揄うような言葉を口にしたり、
止めようとしたりしているー。

「ーね、ねぇ、二人とも落ち着きなよー」
颯太(梓)がそう言うと、
梓(颯太)も、「一旦落ち着いてー」と、
二人を落ち着かせようとするー。

「ーーーーチッ…!
 お前、覚えておけよー!!!」
雪菜(栄吾)は心底不満そうにそう言葉を吐き捨てると、
栄吾(雪菜)も「あんたこそ!!」と、不満を爆発させて、
自分の座席へと戻っていくー。

そんな様子を見て、梓(颯太)と、颯太(梓)は、
とても心配そうに顔を見合わせるー。

「ーー…早く、元に戻る方法見つけた方がいいかもー」
颯太(梓)はそんな言葉を口にするー。

「ーうんーそうだねー…」
梓(颯太)も頷くー。

自分たちが元に戻りたいー。
そんな気持ちは当然ある。

ただ、それ以上に
このまま入れ替わった状態が続けば、
栄吾と雪菜の二人は、互いに自分たちの人生を
滅茶苦茶にしてしまうかもしれないー。

栄吾は、二人と親しいわけではないものの、
クラスメイトではあったし、
雪菜は梓の親友であるために、
そのまま放っておくことはできなかったー。

その日から、梓と颯太の二人はより必死に
元に戻るための方法を色々探し始めたー

…とは言え、既に
”軽くぶつかってみる”とか、
”念じてみる”とか、そういう基本的なことは
試している。

そのため、元に戻る方法を見つけたいとは言っても、
なかなかその方法は戻らず、
時間ばかりが過ぎて行ったー。

そうこうしているうちに、
雪菜(栄吾)は、雪菜の身体で顔出しの過激な
自撮りコスプレをSNSに登校ー、
雪菜は変態な美少女としてネット上で
拡散されてしまうー。

栄吾(雪菜)もそれを知り激怒ー、
”栄吾”の個人情報を全てネットに流出させた上に、
ネットで購入したチャイナドレスを使って
女装して街中をウロウロしてみせたー。

それを聞いた雪菜(栄吾)は更なる”報復”と言わんばかりに
バニーガールの格好をして街中を歩いてみせてー
…と、お互いに相手の人生を壊すような行動を繰り返したー。

そんな状況が続き、
二人とも学校に来ることができなくなってしまったある日ー。

相変わらず、協力して
お互いに上手く日々を過ごしていた梓と颯太。

その日の昼休み、
颯太(梓)から呼び出された梓(颯太)は、
「ーー僕に話ってー…?」と、不思議そうにしながら
その部屋へとやって来ていたー。

颯太(梓)は振り返ると、
少し躊躇するような表情を浮かべてから
梓(颯太)を見るー。

「ーー…あ、あのー…
 ー変な意味じゃないんだけどねー…」
そう前置きをした上で、颯太(梓)は続けるー。

「その…ーーーーえ、えっとー…
 あのーーー」

颯太(梓)が顔を赤らめながら
言葉に詰まっているのを見て、
梓(颯太)は首を傾げるー。

すると、ようやく颯太(梓)は意を決した様子で

「ーーも、元に戻ることができる方法ー
 考えてみたんだけどー…

 ーーーあのーー…き、キスって、どうかなー?」と、

戸惑いながら言葉を口にしたー。

「き、き、き、き、き、キス!?!?!?!?」
梓(颯太)は裏返った声でそう叫ぶー。

その反応の大きさに、颯太(梓)もさらに顔を赤らめると、
「ーそ、そのー変な意味じゃなくて、
 リスクもなく手軽にできて、元に戻れる可能性もある方法をって
 考えたらー」と、そう続けるー。

確かに、”入れ替わり”でよく見るような
階段から転がり落ちるとか、そういったことを試すとなれば
”リスク”がある。

大怪我をするかもしれないし、下手をすれば死んでしまう可能性だってある。

ただ、キスなら流石に死ぬことはないー。
相手が寄生虫に寄生されていたり、
未知なるウイルスに感染していたり、
そういうSFじみた状況なのであれば別だけど、
二人ともそういう状態ではないー。

「ーーー……」
梓(颯太)はドキドキした様子を浮かべながらも
「そ、そ、そっかー。ま、まぁ、今の状況なら
 目の前に来るのは僕の顔だしー…
 ぼ、僕が僕とキスするような気分で済ませればー…」
と、そう言葉を口にするー。

「そ、そうそうー変な意味じゃなくて、ね?
 わたしも、わたしとキスするような気持ちで乗り切るから!」

颯太(梓)はそこまで言うと、
頭の中で”ーってそんな言い方したら、嫌々みたいに思われるかもー?”
と、そんな不安を抱くー。

”梓”からすれば、”颯太”のことは嫌いじゃないー。
ただ、今の時点で、恋愛感情を抱くような感情もないー。
入れ替わってみて、”いい人でよかった”という感情はあるけれど、
それ以上の感情は今のところはないー。

キスを提案したのは、あくまでも”元に戻るため”だー。

ただ、”あなたとはキスしたくないけど、元に戻るために嫌々我慢する”
みたいな風に思われてしまったら、それはそれで、相手にイヤな印象を
与えてしまうかもしれない、と、そんな心配をしていたー。

「ーーーと、とにかく、嫌じゃなかったら…って思うんだけど、どうかなー?」
雑念を振り払って、颯太(梓)がそう言葉を口にすると、
梓(颯太)も「う、うんー」と、そう言葉を返してキスに応じたー。

ただー…
それでも、元に戻ることはできなかったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

元に戻ることはできないままの日々が続くー。

がーー
そんなある日ー

久しぶりに、雪菜(栄吾)が学校にやってきたー。

梓(颯太)や颯太(梓)が、今になって急に
学校にやってきた理由が分からず、
少し戸惑っていると、
すぐに、栄吾(雪菜)もやってきたー。

二人とも、お互いが相手の身体で好き放題したために、
ネット上にお互いのとんでもない姿が晒され、
個人情報も流出状態ー。

雪菜の父親の事業にも影響が出て、
栄吾も、家にイタズラをされるような始末になっていて、
お互いの人生に大きなダメージが生じてしまったー。

そのため、ここ最近は学校に登校することもできていない状態だったー。

がー、今になって突然学校にやってきた二人ー。

その理由はーー

「ーもう、これ以上は絶対に許さない!あんたのせいで
 わたしの人生、滅茶苦茶よー」

栄吾(雪菜)がそう言うと、
雪菜(栄吾)は「それは俺のセリフだ」と、
そう言葉を口にするー。

そのまま、二人は殴り合いの喧嘩を始めてしまうー。

どうやら、連絡を取り合って
学校で決着をつけるとか、そんな話になったようだー。

「ちょっと!やめなよ!」
颯太(梓)が止めようとするー。

梓(颯太)も、二人を止めようとするも、
入れ替わった雪菜・栄吾の二人の怒りは止まらず、
激しい殴り合いに発展してしまうー。

やがて、”男の身体”になった栄吾(雪菜)の方が
力では勝ったのか、
雪菜(栄吾)を床に押し倒して、
そのまま殴りつけ始めるー。

周囲のクラスメイトも騒然とする中ー、
雪菜(栄吾)は、栄吾(雪菜)の急所を蹴り飛ばすと、
痛みに苦しむ栄吾(雪菜)に反撃をし始めるー。

「ーせ、先生を呼んでくるー」
梓(颯太)は、自分たちだけでは二人を止められないと思ったのか
慌てた様子でそう言葉を口にすると、
颯太(梓)も「う、うん、分かったー」と、頷くー。

慌てて職員室の方に向かって行く梓(颯太)ー。

梓の身体になってから、こんなに必死に走ったのは、
今が初めてかもしれないー。

そんなことを思いつつ、ひたすらに職員室を
目指していく梓(颯太)ー。

「ーせ、先生ー!」
梓(颯太)はゼェゼェと息を切らしながら、
職員室に到着すると、少し驚いた様子の先生たちに向かって
「い、入れ替わった二人が喧嘩しててー」と、
そう言葉を口にしたー。

すぐに、担任の先生と別の先生一人が
梓(颯太)に案内される形で、
栄吾(雪菜)と雪菜(栄吾)が争っている場所にたどり着くー。

がーーー…
梓(颯太)が戻って来た時には、
その場所はどよめきに満ちた状態になっていたー。

「ーーほ、星川さんー、い、一体何がー?」
梓(颯太)が、”元・自分の後ろ姿”ー…颯太(梓)を
見つけて声を掛けると、
「あ、中村くんー…」と、そう言葉を口にしてから
戸惑った様子で振り返るー。

「ーー二人ともーー…意識を失っちゃってー」
不安そうに呟きながら、颯太(梓)が視線を向けた先には、
倒れ込んでいる栄吾(雪菜)と雪菜(栄吾)の姿ー。

二人は、梓(颯太)が職員室に向かっている間も争いを続けー、
雪菜(栄吾)が栄吾(雪菜)の急所を蹴り飛ばしたあと、
再び栄吾(雪菜)が力づくで雪菜(栄吾)の腕を掴み、
反撃を防いだものの、最後は腕の自由を奪われた雪菜(栄吾)が
勢いよく何度も頭突きを繰り返した末に、
二人ともその場に倒れ込んでしまったのだと言うー。

先生が意識を失った二人に駆け寄るー。
そして、すぐに救急車が呼ばれることになり、
栄吾(雪菜)と雪菜(栄吾)は、病院に搬送されるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”雪菜と栄吾”は、元に戻ったー。

あまりに激しい乱闘の結果ー、
二人はまた身体が入れ替わり、病院で目を覚ました時には
元に戻っていたのだー。

雪菜は雪菜に、栄吾は栄吾に、
戻ることができたー。

ただーーー…
雪菜も、栄吾も既に、入れ替わっている間に
お互いの個人情報やら、恥ずかしい写真をネットに自らバラまいたり、
街の中を恥ずかしい格好で歩いたりと、
お互いに争いを続けた結果ー、元の身体に戻っても、
大変な状態になってしまっていて、
今まで通りにはいかなかったー。

既に、入れ替わっている間に二人の人生は
”滅茶苦茶”になっている状態だったー。

雪菜の父親の会社は”入れ替わっていた間の娘の異常な行動”によって信用を失い
翌年に倒産ー
学校や周囲は知っている”入れ替わり”も、世間には
”そんなことあるわけないだろ”と言われる有様だったー。

栄吾も、程なくして学校に来なくなりそのまま退学してしまったー。

入れ替わり後に”争い”ばかりを繰り返していた二人はー、
元に戻ることはできたものの、その人生は元の形に戻ることはなくー
闇へと沈んでしまったー。

一方ー…

「ーーーまさか、こんなことになるなんて思わなかったけどー」

あれから数年ー
高校を卒業して大学生になっていた”梓”は微笑むー。

その隣には”颯太”の姿ー。

二人はあのあと、協力していくうちにお互いに
恋愛感情も芽生えて、付き合い始めていたー。

ただーー…
二人は今も”入れ替わったまま”だったー。

あのあと、軽く頭突きを試したりしたものの、
それだけが元に戻る条件ではないらしく、元に戻れなかったー

かと言って、雪菜は額に傷が、栄吾は頭痛の後遺症が残るほどに
激しく争ったほどの頭突きをするのは気が引けるー。

”協力し合った二人”は、その代償に”元に戻ること”はできなかったー。

けれどーー

「ーーーでも、これで良かったと思うよー」
”颯太”ー…今も入れ替わったままの颯太(梓)がそう言うと、
「今、”僕”は幸せだしー」と、そう言葉を口にするー。

入れ替わって数年、二人はすっかり
梓になった颯太は梓として、颯太になった梓は颯太として
振る舞うようになっていたー。

互いの両親は戸惑いつつも、
入れ替わった二人が付き合い始めたことで、
”どっちも息子で、どっちも娘”みたいな接し方になっているー。

「ーーうん、そうだねー」
”梓”ー…梓(颯太)がそう言葉を口にすると、
入れ替わった後も協力を続けて”光”の道を歩んだ二人は
幸せそうに微笑むのだったー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

最終回でした~★

元に戻れたけれど、滅茶苦茶になってしまった二人と、
元に戻れなかったけれど、幸せな道を進む二人…

対照的な結果になってしまいましたネ~!!

お読み下さり、ありがとうございました~!

「光と闇」目次

作品一覧

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入れ替わり<光と闇>

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