<女体化>使った二人と使わなかった一人③~未来~(完)

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女体化薬を使った二人と、
女体化薬を使わなかった一人。

異なる道を選んだ三人兄弟の日々は続くー。

それぞれを待ち受けている運命はー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーなぁなぁ、幸也ーー」
女体化した長男・奏斗がそう言葉を口にすると、
女体化した三男・幸也は、その言葉無視したー。

「~~~~~ーー雪菜ー」
仕方がなく、女体化した後の名前で呼ぶと、
女体化した幸也は「あ!お姉ちゃん!なに~?」と、
途端に明るい雰囲気で振り返ったー。

今やすっかり身も心も女子で、
そこらの女子よりはるかに可愛い雰囲気の幸也は、
”幸也”と呼ばれることを心の底から嫌がっていたー。

「ーー…あのさ~、お前、彼氏いたよな?」
女体化した奏斗がそう言うと、
幸也は「うん!この前、連れて来た英介のことだよね?」と、
そう言葉を口にするー。

「そうそうー。それでさー」
女体化した長男・奏斗はそう言葉を口にしてから、
「ー彼氏とかってさ、どうやって作ればいいのかな~って。
 ほら、俺、元男だろ?だから今も恋愛対象女だし、
 彼氏とかなかなか作れる気がしないっていうかー」と、
少し気まずそうに、そう言葉を口にするー。

女体化後ー、
最初は”女”になれたことを喜んで、
お互いに可愛い服を着たり、おしゃれを楽しんだりしていた
奏斗と幸也ー。

けれど、奏斗はやがてそれに飽きて、
女ならではの楽しみを堪能することはあまりなくなったー。

一方の幸也は、女であることを今でも楽しみ、
信じられないほどおしゃれで、可愛くなっているー。

「お兄ちゃんも、最初のころみたいにさ、
 おしゃれして、いっぱい可愛い服着ればいいのに」
女体化した幸也がそう言うと、
女体化した奏斗は「ん~~…でもなぁ~」と、
そう言葉を口にするー。

”かわいい”を楽しむには、
時間と、お金がかかるー。
そんな現実を、女体化して知った奏斗ー。

そう、新鮮味のある最初のうちは楽しかったけれど、
次第に奏斗にとってはそれが”面倒”に感じられるように
なってしまったのだー。

女体化する前は”可愛いのに、地味な格好してる女子とか勿体ないよなぁ”と、
そんなことまで思っていた奏斗。
でも、女体化してみて、その気持ちが分かるような気がしたー。

「ーーそれに、”お姉ちゃん”さ~、
 まだ女子が好きなんでしょ?

 好きでもないのに、彼氏作るのは無理じゃない?」

女体化した幸也に指摘されて、
女体化した奏斗は「うっ」と、気まずそうな表情を浮かべる。

「男子が恋愛対象じゃないなら、別に無理して
 彼氏作る必要はないと思うんだけど、
 お姉ちゃんは何で彼氏を作りたいの??」

女体化した幸也の言葉に、
女体化した奏斗は少しだけ考えてから、
「ん~~~いや、そりゃー、あのー…」と、
気まずそうに呟くー。

どうも、幸也と話していると
”本当に女子と話しているような”気持ちになるー。

弟であり、次男の勇雄には”出産も体験してみたい”と
素直に打ち明けた奏斗であったものの、
”女”の前で、出産を体験してみたい…などと言ってもいいのかどうか、と
不安に思ってしまうような、そんな感情が膨らんでしまったー。

がー、ようやく、
「俺、昔から何でも”試したい”人間だろ?
 だからさ、せっかく女になったから”妊娠”とか
 ”出産”も試してみたいって気持ちがさー」と、
そんな考えを吐き出すー。

「~~~~」
すると、女体化した幸也は少し引いたような表情を浮かべながら
「ー出産したいから、彼氏を探してるの?」と、
それだけ言葉を口にすると、
「ーー……それーやめた方がいいよ」と、
そう言葉を口にしたー。

まるで女子に引かれたような気持ちになってしまい、
女体化した長男・奏斗は「お、お、おぅー…」とだけそう言葉を口にすると、
それ以降、幸也にはそういう話を口にすることはなくなったのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ー俺さ、最近思うんだよー」
女体化した奏斗が、そう言葉を口にすると、
次男の勇雄は苦笑いしながら
「何だよ急にー」と、そう言葉を返すー。

「いや、あの時、三人そろって女体化していたらどうだったのかとか、
 俺じゃなくて勇雄が女体化してたら、
 幸也だけ女体化してなかったらー、とか、
 色々な”もしも”を考えちまうんだよー」

女体化した奏斗の言葉に、勇雄は
「ははー、何だよー?今さら”飲まなきゃよかった”とか
 そんなこと思ってるのか?」と、そう言葉を口にするー。

「へへーそれはねぇよー
 俺は気になることがあるとさ、体験してみないと気が済まないタイプだし、
 あの時、女体化薬を飲まないって選択肢は俺の中では
 ”あり得ない選択肢”だったからなー」
女体化した奏斗はそこまで言うと、
「ただ」と、言葉を続けてから、
「ー”もしも”こうだったらー、とか、そういうことも気になっちまうんだよなー」と、
そう呟きながら、どこか寂し気な表情を浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それから、さらに年月は流れたー。

「ーーでも、鹿島くんっていいよね~
 あんなに可愛い妹さんがいて、
 なんだか話しやすいお姉さんもいてー」

そう言葉を口にするのはー、
次男・勇雄と同じ大学に通う女子生徒・野中 遥香ー。

彼女とは、
相変わらず”彼女ではない”けど、仲良しな間柄が続いているー。

「ーーはははは、そ、そうかなぁ」
勇雄は苦笑いしながら、そう呟くー。

奏斗と幸也の話題が出るたびに、
勇雄はどこか気まずそうにしているー。

と、言うのも当然のことながら遥香は
二人が”元・男”だということを知らないからだー。

「ーあ、そうだー。そういえば、一つ大事な話があったんだけどー
 わたしたち、もうすぐ大学卒業だよね?」
遥香がそんな言葉を口にすると、
勇雄は「え?あぁ、まぁー…って、俺に聞くことじゃないだろ?」と、
苦笑いするー。

勇雄に聞かなくてもそんなことは分かるはずだからだー。

「ーーあははー。ちょっと待ってよー
 大学卒業だよね?を聞きたかったんじゃないからー」
遥香が笑いながらそう言うと、
勇雄は「あ、ははーごめんごめん」と、早とちりをしてしまったことを
謝罪しながら、改めて遥香の方を見つめる。

すると、遥香は静かに言葉を続けたー。

「ー卒業したら、このままだと会う機会減るでしょ?
 だからーー」
とー。

すると、勇雄は「ーーえっ、まさか”卒業できない程度に単位を落として
来年も一緒に大学に”とか言い出さないよな?」と、
どこか冷めた感じなのに、時々的外れな勇雄が言うと、
遥香は笑いながら「ち~が~う!」と、否定してから、
勇雄を真っすぐ見つめたー。

「ーーだから、”恋人”同士になれば、大学卒業後も会えるかなって」
遥香のその言葉に、
勇雄は「ふ~ん、それは確かにー って、えっ?なに?」と、
告白されたことにようやく気付いて、顔を赤らめたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーーー」
帰宅した勇雄がニヤニヤしていると、
女体化した三男・幸也が「何ニヤニヤしてるの?お兄ちゃんー」と
そう言葉を口にするー。

勇雄はドキッとしながら
「えっ、いやー、えー、へへー彼女が出来てー」と、
そう言葉を口にすると、
「あはははー分かりやすい顔ー。」と、幸也はそう言葉を口にしてから、
「じゃあ、今度、Wデートできそうだね!」と、嬉しそうに言うー。

三男・幸也には既に、”英介”という彼氏がいるー。
女体化した元男でありながら、今は完全に女子として楽しんでいる幸也は、
恋愛対象もすっかり男子になっていて、
何の抵抗もなく、心から英介のことを好きになっているようだー。

「ーーだ、だぶるでーと…?」
勇雄はそう言葉を口にすると、
「い、いやぁー…それは俺の柄じゃないっていうかー…」と、
どこか冷めた様子の勇雄はそれだけ言うと、
「彼氏さんも気まずいだろ?きっと」と、そう言葉を口にするー。

「え~?そんなことないよ~!
 英介も喜ぶと思うしー」
女体化した幸也は、そう言葉を口にすると、
「お兄ちゃん!お願い!」と、そんな風に言葉を口にしながら
甘えるような仕草をするー。

「や、やめろー頭がバグりそうになるー」
弟相手なのにドキドキしてしまいそうになって、
困惑の表情を浮かべる勇雄ー。

そんな勇雄を見て、女体化した三男・幸也は面白そうに笑うと、
調子に乗ってさらに、「ね~お兄ちゃん~!お願い~!」などと
そう言葉を口にするのだったー。

「ーー~~~~~~…」
そんな様子を物陰から見ていた女体化した長男・奏斗は、
自分だけが何もないことにどこか複雑そうな表情を浮かべるー。

次男の勇雄は元々大学で仲良しだった子に告白されー、
三男の幸也は、女体化した自分を今でも楽しみ、彼氏を作ったー

けれど、一足先に社会人になっている女体化した奏斗は
”女体化”した自分にも飽きて、しかも恋愛感情などは男としてのもの
そのままであるために、彼氏も作れずー、
”妊娠・出産してみたい”という夢も果たせそうになかったー。

「~~はぁ…女体化薬を飲んだことは後悔してねぇけどー
 複雑だなー」

そう言葉を口にすると、女体化した奏斗は静かにため息を吐き出したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5年後ー

次男の勇雄は、大学時代に付き合い始めた遥香と結婚ー
三男の幸也も、高校時代に付き合い始めた彼氏・英介と今も仲良しだー。

そしてー、
長男の奏斗は、あのあと”彼氏”を作ることを諦めて、
”女の子同士で恋愛すればいいと思うんだ”という悟りに達し、
彼女を作って、今は実家を出て同居しているー。

今日はその奏斗も偶然実家に戻って来ていて、
久しぶりに三人でのひと時を楽しむー。

二人が女体化する道を選び、
もう一人は男のままでいる道を選んだ三人ー。
それでも三人が仲良しであることには変わりはなく、
大人になっても、性別が変わっても、三人の絆は健在だったー。

が、この日ー、
”それ”は起きたー。

「ーー奏斗、幸也ー。
 ”連絡”があったぞー」
父親がそう言葉を口にしながら三人の元にやって来るー。

女体化した二人の名前だけを呼んだ父。
父は続けざまに口を開くー。

「方法が見つかった」
とー。

「方法ー?どういうことー?」
女体化した三男・幸也がそう言うと、
「二人を元に戻す方法だよ」と、父が言葉を口にしたー。

「え?」
女体化した奏斗が、戸惑いながら言葉を口にすると、
”赤い石”を分析していた大学病院が”元に戻す方法”を見つけたと、
父は説明したー。

「ーーえ……え???」
女体化した三男・幸也は戸惑うー。

二人が女体化したあの日ー、
まさか”女体化薬を飲んだ”とは説明できず、
三男の幸也がたまたま持っていた赤く光る石のせいで女体化したと
三人は”嘘”をついたー。

”わざと女体化した”のではなく、
”予期せぬ女体化”ということにしておこうとしたためだー。

その後、大学病院が赤い石を真剣に分析し始めて三人は
申し訳ないと思いつつも、ずっと黙っていたー。

がー、今日、”赤い石の分析結果”から元に戻す方法が
見つかったというのだー。

「ーーえ……い、一体どういうことだよー?」
次男の勇雄が、女体化した長男・奏斗にそう確認するも、
奏斗も「わ、わからねぇ」と、そう返すことしかできなかったー。

あの赤い石は女体化とは関係ない、ただ単に光っているだけの石だ。
なのに、それを分析して、女体化した二人を元に戻す方法が
見つかったとは、どういうことなのかー。

「ー早速、二人を元に戻す準備も整えてくれたー。
 今から、行こう」

父親のそんな言葉に、
何だかんだで女体化した生活を楽しんでいた長男の奏斗と、
女体化した生活を心の底から堪能していた三男の幸也は
困惑の表情を浮かべるー。

次男の勇雄はその様子を見つめながら
”戻るにしても、戻らないにしても、また面倒なことになりそうだな”
と、内心でため息を吐き出すのだったー

おわり

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コメント

二人だけ女体化しても、
残る一人が仲間外れにされたりすることはなく、
引き続き仲良しな女体化モノでした~~!☆

最後は…この先も大変そうな予感がしちゃいますネ~!

お読み下さり、ありがとうございました~!☆

「使った二人と使わなかった一人」目次

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