ある日の帰り道、
突然姿を現した謎の女に
命を奪われそうになってしまった男ー。
そんな中、彼はその女と入れ替わってしまい、
”入れ替わり”という予想外の形で命拾いを
することにー…!?
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーはぁ、やっぱ学生の頃に戻りてぇなぁ」
社会人2年目のサラリーマン・原口 颯太(はらぐち そうた)は、
思わず、そんな愚痴を漏らしたー。
颯太が勤務している会社は、別にブラック企業というわけではないー。
会社でいじめを受けたりしているわけでもなく、
”ごく普通の社会人生活”を送ってはいるものの、
それでも、”学生時代”と比べるとやはり自由は少なくなったし、
色々な”責任”も生じるようになったー。
”そんな願いは叶わない”と、そうは思っていても、
”学生の頃に戻りたい”と、そう思わずにはいられなかったー。
「ーーま、そんなこと言ってもどうにもならないし、
働かないと喰っていけないからなー」
自分に言い聞かせるかのように、颯太はそう言葉を口にすると
気を取り直して、ゆっくりと夜道を歩き始めるー。
「ーーーー」
がー、そんな彼の姿を背後の物陰から女が見つめていたー。
それに気づかず、コンビニで購入した弁当と
安い酒が入った袋を手にしたまま、
家に向かってゆっくりと歩いていく颯太ー。
そんな颯太の背後から、突然その女がナイフを持って突進してくるー。
「ーー!?」
直前でそれに気づいた颯太は慌ててその女の突進を躱すと、
女は颯太の方を振り返って、
「ーー絶対に許さない…!あんただけはー!」と、
そう言葉を口にしながら、颯太に向かって再び女は
ナイフを手に突進してきたー。
「い、いや、ちょ、ちょっと待て!えっ…!?なに…!?」
颯太は心底困惑した表情を浮かべながらそう言葉を振り絞るー。
しかし、それでも女は止まる様子もなく、
颯太に向かってナイフを振るうー
「お、おいっ!落ち着いてー!」
颯太は何とかナイフを避けながらそう叫ぶー。
けれど、女はひたすらに颯太に向かってナイフを振るいながら
「ーわたしは、あんたを殺せるならどうなってもいいの!」と、
そう叫ぶと、颯太に向かって力強くナイフを振るうー。
とても”手加減”は感じられないー。
完全に颯太を殺す気だー。
頬を切られた颯太は、
かすり傷ではあったものの、血が出ていることを確認すると
青ざめながら女の方を見つめるー。
「ー絶対に許さないー!絶対にー」
女は激しい怒りと憎しみを颯太に向けているー。
”ーーい、一体何なんだー…?
どうなってるー_?”
颯太は必死に、謎の女から身を守ろうとしながら
心の中で動揺を露わにしていたー。
それもそのはずー
颯太には”命を狙われる心あたり”などないからだー。
誰かの恨みを買うようなことをした覚えはないし、
何か”消される”ような危険なことをした覚えはないー。
ごく普通に生きてきたはずだー。
もちろん、普通に生きているつもりでも
人に恨まれてしまう可能性はあるー。
それでも、こんな風に
”絶対に許さない”などとナイフを振り回されるようなほど
恨まれるようなことは絶対にした覚えはなかったー
「待ってくれ!人違いだ!!待ってくれ!!」
颯太は必死に叫ぶー。
が、今度はナイフで足を刺されてしまい、
苦悶の表情を浮かべながら、颯太は逃げ出そうとしたー。
しかしー、
足を刺されたことで颯太の動きは鈍り、
背後から女が颯太の腕を掴むー。
颯太が必死に女を振り払って
そのまま逃げ出そうとするも
このままでは”殺される”のは時間の問題だったー。
背後から腕を切りつけられた颯太は、
そのまま腕を掴まれて、女に捕まってしまうー。
そして、女は既に颯太を何度か切り付けて、
血がついている状態になっているナイフを手にすると、
それを颯太の首筋めがけて、突き立てようとしたー。
”ーー死ぬーー???こんなところでーー?
通り魔っぽい女に、訳の分からないまま刺されてー?”
颯太は、そんな風に思ったー。
人生の走馬灯が流れ始めるー。
”おいおい、死ぬ直前って本当に今までの人生を思い出すのかよ”と、
内心で驚きと呆れの感情を抱きながら、
颯太は”いやー”と、首を横に振ったー。
絶体絶命のピンチを前に、何故だか冷静になることができたー。
首を横に振って、自分の頭の中に浮かぶ走馬灯をかき消すと、
必死に女に対して抵抗をし始めるー。
「ーーっ…ーー死ね…死ね死ね死ね死ね!!!」
女が怒りの形相でナイフを突きつけて来るー。
颯太も必死に「死んでたまるかー…!」と、そう言葉を口にしながら
ナイフを抑えようとすると、
そのはずみで、二人は勢いよく路上に転倒してしまったー。
「ーーっっ…!」
彼女は、それでもすぐに起き上がって、
手から落としてしまったナイフを拾うと
それを倒れ込んでいる颯太に向かってー
「ーーーーーーーえ…??????」
ナイフを拾った彼女は、驚きの表情を浮かべるー。
地面に倒れているはずの颯太に
ナイフを突き立てようとしたはずなのにー、
地面に”自分自身”が倒れていたからだー。
「ーーな……」
ナイフを手にしたまま”自分”が倒れている姿を見て
困惑すると同時に、
”自分の口から出ている声”の異変にも気付くー。
「ーぅ……ま、待てーおちつー」
倒れた時に、一瞬意識を失った颯太も、
すぐに意識を取り戻して、身体を起こすと
慌ててそう言葉を口にするー。
しかし、颯太もまた
”自分の口から出ている声”の異変にー、
そして、身体の異変にー…
何よりも目の前に”ナイフを持った自分”がいる状況に困惑するー。
「ど、どうなってるんだー…
俺が目の前にー…」
そう言葉を口にする颯太はー
女の声ー、女の身体になっていたー。
しかも、この格好はたった今、颯太の命を狙った女のー…
そう思いながら、”目の前にいる颯太”に対してー
「ーーこ、これは一体どういうことなんだー?」と、
そう言葉を口にすると、
颯太になってしまった女は、困惑の表情を浮かべながら
「ーー知らないー。あんたがやったんでしょ?」と、そう言い返すー。
そして、その上でー、
「ーーーどうなってようと関係ないー。わたしはとにかくあんたをー!」と、
そう言葉を口にしてから、再びナイフを手に、
女になった颯太に襲い掛かろうとするー。
けれどー…
「~~~~~~~~~~~~~~~~」
流石に”元・自分”を刺すことを躊躇ったのか、
「あ~~~…何でこんなことに!」と、
不満そうに言葉を口にすると、
「ーー竜岡(たつおか)!わたしはあんたを絶対に許さないから!」と、
そう叫ぶー。
しかしーーー
「ーえ?何?竜岡???誰????」
女になってしまった颯太は困惑しながらそう言葉を口にするー。
それもそのはずー。
颯太の名前は、原口 颯太だー。
生まれてから名字が変わった経験もしたことはないし、
学生時代に、勝手に”竜岡”などというあだ名をつけられたこともないー。
「ーーーは????そうやってとぼけるのもいい加減にー」
颯太(女)は不満そうにそう言葉を口にすると、
女(颯太)は「い、いやいやいやー。とぼけてないしー。」と、
困り果てた様子でそう言葉を口にしてから、
”自分の鞄”を見つめるー。
「ーちょ、ちょっと待ってろー」
女(颯太)は、そう言い放つと自分の鞄から
社員証や免許証を漁ると
それを手に「俺は、原口 颯太だよー。竜岡って誰だよ???」
と、混乱した様子で言葉を口にしたー。
それを見た颯太(女)は
「は、は、原口ー、颯太ー???」と、そう呟くと、
途端に冷や汗をかき始めるー。
そして、その場にいきなり土下座すると
「大変申し訳ございませんでしたー」と、
何度も何度も謝罪の言葉を口にし始めたー。
「ーーあ、い、いや…え…?
ちょっと、急に襲われて俺も意味分かんないんだけど…?」
女(颯太)は混乱した様子で言うー。
仕事帰りにいきなり殺されそうになって、
しかも身体が入れ替わって、
ついでにコンビニで買った弁当がダメになったー
不満そうに女(颯太)が、
颯太(女)の方を見つめると、
颯太(女)は、なおも土下座を続けた状態のまま
「本当に、本当に、申し訳ございませんでした」と、
さらに言葉を繰り返すー。
「ーーわ、わ、分かったー。
分かったからー
それに、土下座する前に身体を元に戻さないとー
お、俺の身体で謝られても、
なんか、俺が謝らされてる気がして
謝って貰ってる気分にならないしー」
女(颯太)は必死にそんな言葉を口にするー。
”颯太の身体”で謝られても、颯太自身が謝罪させられているような
変な気分になってしまうー。
これでは、意味がないー。
「~~~~~~……ーーー」
颯太(女)は戸惑いながら顔を上げると、
女(颯太)は「き、君は誰で、どうして俺を急に襲って来たのか、
それと、この状況はどういうことなのか、教えてほしい」と、
女(颯太)はそう言葉を口にするー。
”学生に戻りてぇなぁ”などと思いながら
のんきに歩いていたのに、こんなことになるなんてー。
どこか戸惑いを感じながら、女(颯太)が颯太(女)を見つめると、
颯太(女)は、「わ、分かりましたー」と、
心底申し訳無さそうに言葉を口にしてから、このようなことをした
”理由”や、自分の素性を語り始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「杉村 絵美香(すぎむら えみか)ー」
入れ替わってしまった相手の名前を確認した
絵美香(颯太)は、そう言葉を口にするー
絵美香が身分証明証として提示したのは”学生証”だったー。
どうやら絵美香は学生らしいー。
困惑の表情を浮かべながら絵美香(颯太)が
「ーー俺、君と接点何もないと思うんだけどー…」
と、そう言葉を口にするー。
颯太の仕事は大学生と接点があるような仕事ではないし、
下の兄弟はいないため、兄弟繋がりで恨まれるようなことをした覚えもないー。
どうして、命を狙われてしまったのかー。
そう思っていると、颯太(絵美香)が目に涙を浮かべながら言ったー。
「”妹”が殺されたんですー」
とー。
「ーーは、はぁ!?お、俺は人殺しなんてー」
絵美香(颯太)が慌てた様子でそう声を上げると、
颯太(絵美香)は「すみません」と、そう言葉を口にした上で
「あなたではなくー、竜岡ー…竜岡 慶介という男に殺されました」と、
颯太(絵美香)はそう言葉を付け加えたー。
「ーーー…ーー竜岡 慶介って誰だよー」
絵美香(颯太)は少し不満そうに言うー。
普段は初対面の相手にいきなりため口で話すような人間ではないものの、
理由はどうあれ、いきなり殺されそうになった挙句に
身体まで入れ替わってしまった颯太は、少なからず、絵美香に対して
不満を感じていたー。
「ーーー…この人ですー」
颯太(絵美香)はスマホを操作すると、
”見知らぬ女”とツーショットで写っている”竜岡 慶介”の写真を見せて来たー。
その写真を見た絵美香(颯太)は少しだけ表情を歪めるー。
それもそのはずー。
”竜岡 慶介”は、予想以上に颯太に似ていたのだー。
”これじゃ、間違えられても仕方ない”と納得してしまうぐらいにはー。
竜岡 慶介と一緒に写っているのは絵美香の妹の、由香里(ゆかり)で、
慶介は由香里の彼氏だったものの、
こっぴどく由香里を裏切った挙句、乱暴な行為を働き、
由香里を精神的に壊してしまい、由香里は自ら命を絶ったと、
絵美香は説明したー。
「ーーすると、君は妹さんの仇を取ろうとー…?」
絵美香(颯太)はそう言葉を口にするとー、
”とは言え、敵討ちは褒められたものではないし、
そもそもよく確認せず、似てるだけの俺を狙うなんてー”と、
そんなことを内心で思うー。
ただー、気持ちは全く理解できないわけでもないー。
「ーー分かったー…
ーーーで…それはそうと、”これ”はいったいー?」
絵美香(颯太)は改めて身体が入れ替わってしまっていることを確認するー。
するとー、颯太(絵美香)は困惑した様子で言ったー。
「え…い、いえ…こ、これは、わたしは何も分からないですー」
とー。
「ーーえ???」
てっきり、”身体が入れ替わった状態”も絵美香の仕業だと、
そう思っていた颯太は、絵美香の身体で戸惑いの表情を
浮かべることしかできなかったー
②へ続く
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コメント
”入れ替わったことで命拾いした”
そんな入れ替わりモノですネ~!!
入れ替わってなかったら、今頃颯太くんは……★
続きはまた明日デス~!☆

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