<憑依>はじめてのお使い②~心配~(完)

①にもどる!

娘のはじめてのお使いー。

”お使い”が無事に成功するかどうか、
どうしても心配になってしまった父は、
”憑依薬”を使って娘の後を追うもー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーあぁ、くそっー日葵!
 そっちじゃない、そっちじゃないんだー!」

霊体の状態のまま、
そう言葉を口にする父・喜明ー。

しかし、日葵は慌てた様子で
走っていて、
どんどん目的地のスーパーから遠ざかっていくー。

「ーーっっ…」
とにかく、まずは”知らないお姉さん”に話しかけられたと思って
パニック気味の日葵を落ち着かせないといけないー。

「ー!」
喜明は、ちょうど日葵が走っている方向に、
優しそうなOLが歩いているのが目に入ったー。

”あぁー、くそ……
 どうしてたまたま近くにいる身体が女の人ばかりなんだー”

喜明はそう思いつつも、
日葵を止めるためには仕方がない、と、
そのOLに憑依するー。

「ーーぁ…」
飲み物を持って歩いていたOLは、憑依された弾みで
その飲み物を落下させてしまうー。

着ていたスーツも濡らしてしまい、
喜明はOLの身体で「あ~あ~…あ~…すみませんーすみませんー」と、
一人、謝罪の言葉を口にするー。

「ーホントすみませんー
 ーーあぁ、くそっー
 この飲み物と、汚したスーツ分、弁償しないとー」

そんなことを口にしながら
”すみませんー すみませんー”と、
恐らく、憑依されているOL本人には聞こえていないであろう
”意味のない言葉”を口にするー。

がー
その様子を見ていた周囲の通行人たちは
”ヤバい人”を見る目でOLを見つめていたー。

それもそのはずー、
OLが一人で”すみません すみません”と、
誰も近くにいないのに、謝罪の言葉を口にしながら、
”弁償しないと”と訳の分からないことを言っているからだー。

「ーーーぁ…」
OLの身体のまま、喜明もそのことに気付くと、
とても気まずそうにしながら、
「と、とにかくー」と、日葵のほうを見つめるー。

しかしー…
ドタバタしている間に、日葵はもうどこかへと
走り去ってしまっていたー

「ひ、日葵!?い、いない!?」
突然大声で叫び出すOLー。

周囲の人々がさらに困惑した様子を浮かべると、
喜明はOLの身体のことを心配することも忘れて、
OLの身体から飛び出すと、
そのまま日葵を探すべく、霊体となって
ウロウロし始めたー。

”喜明”が身体から抜けたことで、
その場で意識を失ったOLは、
こぼした飲み物によってできた水たまりに倒れ込んで、
さらに悲惨な状態になってしまっていたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”いたー!”
喜明は、ようやく日葵の姿を見つけて

霊体のまま、嬉しそうに明るい表情を浮かべるー。

がー、日葵のいた場所は”交番”だったー

「わ、わたし、おつかいの途中なんだけどー
 なんか、さっき、変なお姉さんに声をかけられてー」

日葵がそう説明しているー。

”ひ、日葵ーーーー!!!!”
喜明は思わず霊体のまま、叫んでしまうー。

”変なお姉さん”とは、
さっき憑依していた女子高生ー、麻衣のことだろうー。

けれど、麻衣は当然”何も悪くない”ー。
このままだと、喜明が憑依したことによって
たぶん善良な女子高生の麻衣が、
不審者扱いされてしまうかもしれないー。

「ーーーっていうか、また女の人かー…」
喜明は、心底困惑した表情を浮かべながら
交番にいる女性刑事を見つめるー。

別に、”女”を狙って憑依しているわけではないしー、
むしろ、喜明は”憑依するなら男の方がいい”と
考えているぐらいだー。

欲望のために憑依しているわけではないし、
目的は”日葵を見守る”ためー。

だから、普段から自分が慣れている男の方が
憑依しやすかったし、
そのあとも、さっきみたいにスカートで走って違和感を感じて
戸惑ったりだとか、そういうことも起きなくなるから、
できれば、喜明としては”女”ではなく”男”に憑依したいというのが
本音だったー。

がー、運が悪いのか、
”憑依”しなければいけない場面で
”近くにいる身体”は、軒並み女性ばかりだったー。

「し、仕方ないー」
喜明は、交番の女性刑事にその場で憑依するとー、
「ぁ♡」と、変な声を出してしまったことに、
顔を赤くしながら、日葵のほうを見つめたー。

日葵は、心底不安そうな顔をしているー。

「ーーーママから、変な人に会ったら
 交番に行きなさいって言われたの、覚えてたんだなー
 偉いぞ」

女性刑事の身体で、うっかり”パパ”な発言をしてしまう喜明ー。

「ーーえ…」
日葵は心底困惑した様子で、女性警官のほうを見つめると、
「ーーーあ、え~~~えっと、
 ーーわ、わたし~…ママのお友達で~」と、
咄嗟に誤魔化す言葉を、喜明は口にしたー。

今度は、”交番のおまわりさん”の身体だったからか、
日葵にそれ以上警戒されることはなく、
「え!そうなんだ!」と、日葵も目を輝かせているー。

「ーその、変なお姉さんのことは
 パーーー…いや、わたしが何とかしておくから、
 日葵は気にしないでー」

初対面の女性刑事が、いきなり下の名前を呼び捨てにするのは
本来は不自然であるものの、ついつい喜明は
そんな言葉を口にしてしまうー。

がー、日葵もそこまでは気にしなかったようで、
素直に話を聞いてくれたー。

「ふ~……」
女性警官の身体で、ひと息つくと
喜明は”そうだー。この人の身体ならー”と、そう思いながら
「たしか今日はお使いに行くって言ってたよね?
 わたし、ママから聞いたんだ~」と、そう言葉を口にするー。

”ママのお友達の刑事さん”の設定は
とても使いやすいー、などと、そんなことを心の中で思いながら
「ーーー変なお姉さんに追いかけられて、大変だったでしょ?
 スーパーから離れちゃったと思うし、わたしが送っていこうかー?」と、
そう言葉を口にするー。

「えーー?いいの!?うん!ありがとう!」
日葵は満面の笑みを浮かべながら、そう言葉を口にするー。

”やっぱ、立場って大事だなぁ”と、
女性刑事の立場に感謝しながら、喜明は
「ーよし!じゃ、いこっか!」と、
そう言葉を口にして、そのまま日葵と一緒に交番の外に出たー。

一瞬、”交番から出ていいかな?”と思ったものの、
「そうだ!」と、交番の奥から
”パトロール中”という表示を見つけて、
そのまま「よし」と頷くと、
日葵と一緒に交番の外に出て、歩き出すー。

「~~~~~~~~…」
が、女性刑事の身体で街を歩いていた喜明は
戸惑いの表情を浮かべるー。

この身体は”胸”が大きいー。
いや、別にそれは人それぞれだし、
女性の身体であれば大きい人もいるだろうけれど、
喜明にとっては”気が散る”ー。

”ーーーー普段からこうだと、違和感凄いだろなぁ”
喜明はそんなことを思いつつも
”あ、いや、ずっとこうだから、違和感なんてないかー”
と、すぐに考えを改めるー。

”ん~~~~…歩いているだけで何か違和感があるー”

普段、”胸”などない喜明からすれば、
大きな胸を持つこの身体で歩くのは
とても違和感があったー。

そんな状況に不覚にもドキドキしながら
顔を赤くしていると、
さっきのOLが、悲惨な状況になったまま、
騒いでいるのが見えたー。

「ーーぁ…やべー…」
女性刑事の身体のまま、
そう言葉を口にする喜明ー。

「ーどうしたの~?」
日葵が、心配そうに女性刑事の身体をのぞき込むと、
喜明は「いや、いや、大丈夫ー」と、女性刑事の身体で
そう言葉を口にしてから、
慌ててスーパーの方に向かって移動したー。

とにかく、日葵を早くスーパーに連れて行こうー

そう思いつつ、ようやくスーパーにたどり着いた
女性刑事に憑依している喜明と、日葵ー。

「おまわりさん!ありがと~~!!」
日葵が嬉しそうに手を振って、スーパーの中に入っていくー。

それを確認した喜明は
女性刑事の身体で、交番に向かって猛ダッシュしたー。

女性の身体で意味もなく猛ダッシュすることに背徳感を感じながらも
何とか交番に舞い戻ると、そのままその身体を解放してー、
すぐにスーパーの方に向かうー。

がー、
ちょうど、日葵が”おつかい”を終えて、
スーパーから出て来るところだったようで、
日葵は無事にスーパーの外に出て来たー。

「ーーー~~~~…」
霊体の状態のまま、日葵が持っている
買い物袋を見つめると、
どうやら頼まれたものをちゃんと購入することが
できたように見えるー

ホッと一安心しながら、喜明は日葵が家に向かう姿を
霊体のまま見守るー。

日葵は、ゆっくりとした足取りで、
ちゃんと家の方に向かって行くー。

”よかったー。色々あったけど、なんとかお使いも無事に
 終わりそうだー”

そんな風に思いながら、日葵を見守り続ける喜明ー。

今からこの調子だと、日葵がこの先成長して
思春期を迎えたり、そのうち彼氏が出来たり、
結婚したりー、色々なことが起きて、
その都度、喜明は苦しむことになるかもしれないー。

けれど、それはまだ先の話ー。

今はこうして、日葵の成長を見守り、安堵する日々が
まだまだ続いていくー。

「ーって、ぶわっ!?!?」
日葵を見守っていた喜明は、突然、横から
走って来たツインテールの少女が、”たまたま”
喜明の霊体に接触したことで、
そのまま憑依出来てしまったー

走っていた少女に憑依出来てしまったことで、
そのままバランスを崩して、盛大に転んでしまうー。

「ーいててて…
 そ、そうだったー
 こっちから触れたんじゃなくて、あっちから
 俺の霊体に触れられても憑依してしまうんだったー」

学生時代のことを思い出しながら、
ツインテールの少女に憑依してしまった喜明がそう呟くと、
前を歩いていた日葵が、
”独り言を言っている変な子”を見るかのような目で
怯えた表情を浮かべたー。

「ーあ、わ、わたしのことは気にしないでー」
ツインテールの少女の身体でそう言葉を口にすると、
日葵は、そのまま怯えた表情を浮かべて足早に
立ち去って行ったー。

「ーやっぱ、こういう事故を防ぐためにも、
 空中を浮遊してた方がいいなー」
ツインテールの少女の身体でそう言葉を口にすると、
その身体を安全な場所に移動させてから、
身体から抜け出し、再び浮遊を始めたー。

やがてー、家の近くの物陰ー、
人から見えない場所で、人間の姿に戻ると、
日葵が帰宅したのを確認してから、
少し間を置いて、あたかも外で散歩してきたかのような顔で
家の中に帰宅したー。

「ーあ、おかえり~!
 パパ!お使いできたよ~!」
日葵が嬉しそうに言うと、
喜明も「お~よかった!さすが日葵!えらいぞ~!」と、
そんな言葉を口にするー。

母親の由紀も、そんな様子を微笑ましそうに
見つめるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー。

喜明は”また”残っている憑依薬を
誰にも気づかれない場所にしまい込んで
”元の生活”に戻っていたー。

喜明は、憑依薬で己の欲望を満たしたりするつもりはないし、
私利私欲で憑依薬を使うつもりもないー。

それは、この先もずっと変わらないだろうー。

「ーーさて、明日からはまた仕事だから頑張らないとなー」
そんなことを口にしながら、喜明はテレビを見つめるー。

今はちょうどー、母・由紀と、娘の日葵は
買い物に出かけていて、家の中では一人だー。

のんびりと、家の中の掃除を軽くしながら
テレビを見つめるー。

がー、その時だったー。

”昨日ー、交番から拳銃が持ち出された事件で、
 当時交番にいた女性警官は、
 銃を置いたまま外出していたとのことでー”

そんなニュースが流れているのが見えたー。

「ーーーえ?」
喜明が表情を歪めるー。

テレビの画面の方に目を向けて
そのニュースを詳しく見るとー…

その交番は、昨日、日葵が訪れて、
喜明が慌てて女性刑事に憑依ー、
その身体でスーパーまで日葵を連れていったー、
その交番だったー。

どうやら、喜明が憑依した当時、
女性刑事は銃を交番内に置いていたらしく、
それを知らずに憑依、
そのまま日葵をスーパーまで連れて行ってしまったために、
銃を盗まれてしまったようだったー。

女性刑事は責任を問われているようで、
さらに、銃の行方は現在でも不明と、報道されているー。

「ーー~~~~~~~」
青ざめる喜明ー。

自分の憑依が、大変なことを引き起こしてしまったー。
そして、もっと大変なことをこれから引き起こすかもしれないー。

そう思いながら
”もう、憑依薬はやっぱり使わない方がいいなー”と、
心の中で固く誓うのだったー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

お使いと憑依のお話でした~!★

最後にとんでもないバッドエンドな案もあったのですケド、
お話のイメージと合わないので、
それはしないことにしました~★笑

どんな案だったのかは…秘密デス笑

お読み下さりありがとうございました~!★!

「はじめてのお使い」目次

作品一覧

コメント

  1. TSマニア より:

    お使いと憑依…銃が行方不明…完全なハッピーエンドではないですネ…

    バッドエンドの場合は銃が…

    喜明さんから憑依薬もらって…

    林れむちゃんのスタイル抜群のカラダに憑依してキラキラしたレースクイーンになりたいのデス☆\(^o^)/☆笑

    • 無名 より:

      感想ありがとうございます~~~!★

      バッドエンドの場合は、
      ”スーパーに買い物に行っている母と娘”が、
      憑依のせいで奪われた銃によって…という
      とっても救いのないお話の予定でした~笑

      • TSマニア より:

        無名さん…無名様、次第で結末が決まる…恐ろしやぁ~

        母さんと娘さんが無事で良かったのデス☆

        銃が行方不明ですが…とりあえず平和に終わってひと安心ですネ!☆

        憑依薬が悪用されないように

        喜明さんから自分が憑依薬を回収しますネ(^_-)☆笑

        回収した憑依薬は自分の『性義』の為に使うのデス☆\(^o^)/☆笑

        • 無名 より:

          私が思いとどまったおかげで
          二人は無事に助かりました~☆笑
          めでたしめでたしなのデス…!

          銃は…心配ですネ~!

          憑依薬の回収…☆ふぁいとデス~!!

          • TSマニア より:

            無名さんが思いとどまってくれて数人の命が助かって安心してます☆

            盗まれた銃で…別な事件が…(;∀;)笑

            憑依薬を回収するために

            むみょ警察を名乗って回収するのデス(*´艸`)笑

            無名さんのカラダでミニスカポリスのコスしちゃうのデス~☆\(^o^)/☆笑

          • 無名 より:

            わわっ!むみょ警察~☆

            夏は短い方が涼しくはありますネ~!
            でも、虫刺されと日焼けは敵なのデス~!!