<憑依>俺たち勇者パーティ②~混乱~

誕生日を祝うために集まっていた
大学生たちー。

しかし、そのうちの一人が遊んでいたゲームに異変が起きて、
ゲームの中の勇者一行に憑依されてしまうー。

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「ーーーあんたが術師かいー?」
彼女の奈津美が、元女海賊のクラリッサに憑依されているとは知らずに、
そんな言葉を聞いた敏夫は
「ーえっ…?」と、困惑の表情を浮かべるー。

が、敏夫はすぐにニヤッと笑みを浮かべるー。

恐らく、”何かの冗談”だと思った敏夫は、
「へへっ!そうさ!俺が術師だ!」と、
ノリの良さを見せてしまったー。

しかしーー
今はそんなことを言ってはいけないタイミングだったー。

「ーやっぱりあんたが術師なんだね!
 あたしたちを早く元に戻しな!」
奈津美が乱暴に敏夫の腕を掴むと、
そのまま部屋の中に敏夫を引っ張って、
敏夫を部屋に押し飛ばすー。

「ーな…な…奈津美!?」
敏夫が心底困惑した様子で叫ぶと、
奈津美は腕組みをしながら、
「あたしたちを罠にはめようなんていい度胸じゃないかー」
と、敏夫にキツイ口調でそう言葉を投げかけるー。

「ーーえ…?え、い、いったいーー…」
後から到着した敏夫は、状況を知らないー。

「う、浦山ー!お、おれ、状況が分からないんだけど!」
敏夫が、親友の俊平に声をかけるー。

が、巫女のティナに憑依されている俊平は
「わ、わたしも…わ、分かりませんー」と、不安そうな表情を浮かべるー。

妙に女々しい雰囲気の俊平に
「えっ!?あっ!?」と、敏夫は戸惑いの声を上げると、
「ーーほ、穂村さん!これは一体ー」と、
今度はツインテールの明るい性格の女子・寧々にそう声をかけたー。

がー、腕組みをして壁に寄りかかっている寧々は
暗殺者・スペンサーに憑依されているせいで、
いつものような明るい笑顔を浮かべることなく、
無表情のまま「コイツ、拷問するか?」と、そう言葉を口にしたー。

「ーご、ご、ご、拷問!?!?
 ほ、穂村さん!?」
信じられないという様子で、敏夫は寧々のほうを見ると、
彼女の奈津美が「ほら、あたしたちを元に戻しなー」と、
胸倉を掴んでくるー。

彼女に胸倉を掴まれて、変な感覚を覚えながら
「な、な、奈津美ー…ど、どうしちゃったんだよー?」と、
そう言葉を口にするー。

「ーー”なつみ”って誰だい?あたしはクラリッサだよ」
そう言葉を口にして奈津美が、敏夫を睨みつけるー。

その”目”は、とても悪ふざけをしているようには見えなかったー

「な…奈津美ーー…?」
呆然とする敏夫ー。

最初は遅刻したから怒っているのかと
そう思っていたものの、何やら様子がおかしいー

心底戸惑った様子の敏夫ー

がー、そんな様子を見ていた”英雄”と呼ばれている男ー、
勇者の末裔でもあるロビンがー、
憑依している遥香の身体で言葉を口にしたー

「その人、混乱してるなー
 多分、術師じゃないんじゃないかー?」
とー。

「ーー!さ、里中さんー?」
敏夫は、いつも大人しい遥香のほうを見つめながら戸惑うと、
「ーー”さとなか”ー?」と、そう言葉を口にしてから、
遥香に憑依しているロビンは、自分の身体を見つめて
少しだけ恥ずかしそうに笑うー。

「ーーー”この人”の名前かー?」
遥香が自分を指差しながら言うと、
敏夫は「ーえ…えっとー…い、いったいー…どういうー?」と、
少し怯えたような表情を浮かべながら言うー。

すると、遥香は
「ーーすまないー。実は”俺”たちも混乱しているんだー」と、
そう言葉を口にするー。

「お、俺…?」
遥香が自分のことを”俺”と言ったことに戸惑っていると、
「俺たちは、リーランド王国からやってきたー」と、
遥香がそんな言葉を口にしたー。

「り、り、リーランド王国ーー
 な、なんだそれ…?」
敏夫がそう呟いていると、
遥香は困惑した様子でため息を吐き出すと、
「ー”そこに映ってる場所”から来たー」と、
俊平が持っていた携帯ゲーム機を指差したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーじ、じゃあーーお前たちは
 ”ゲームの中”から来たってことかー?」

”ロビン”から話を聞いた敏夫は、
心底混乱した様子でそう言葉を口にしたー。

「ーー…ーーーーまぁ…君たちが俺たちの世界を
 ”ゲーム”って呼んでるならー
 そういうことになるなー」
遥香に憑依している英雄のロビンは戸惑いながら頷くー。

「ーわたしたちの世界がゲームの世界ってー…」
混乱した様子で言う、俊平に憑依した巫女のティナー。

「ーーー…」
遥香に憑依している英雄・ロビンもその実感はないのか
戸惑った様子を浮かべると、
「まぁ、とにかくここは魔王の拠点じゃなくて、
 別の世界の”ふつうの家”ってことが分かってよかったー」と、
そう言葉を口にするー。

「ーーー…そ、それで、俺の友達と彼女はー…?」
敏夫が心配そうに
”憑依された4人”を見つめると、
遥香に憑依したロビンは心配そうに、
「それが、俺たちにも分からないんだー。すまないー」と
謝罪の言葉を口にするー。

「ーーーところで、君はー」
遥香が少し不思議そうに言うと、
「え?あぁ、俺はーー大学に通ってる紀田ー
 紀田 敏夫ーー。
 まぁ、そのー普通の大学生って感じでー…」
と、敏夫が戸惑いながら自己紹介するー。

「ーきだとしお?変な名前だねー」
彼女の奈津美がそう呟くー。
ロビンたちの世界では、日本の名前のような名前が
存在していないために、不思議な名前に聞こえるようだー。

「ーーは、はぁー…?
 ーーい、いきなり失礼だな!
 っていうか、俺の彼女の身体でそんなこと言わないでくれよ!」
敏夫がそう言うと、
奈津美は「ーーごちゃごちゃうるさいねー。今はあんたの彼女じゃなくて
女海賊のクラリッサだよー」と、不満そうに呟くー。

「ーーーっ、身体は俺の彼女のものなんだからな!」
敏夫が不満そうに言うと、
遥香に憑依している英雄・ロビンは「すまないー」と、そう言いながら、
「ー俺はロビンー。一応、勇者の血を引いているみたいで、
 みんなからは”英雄”扱いされてるー。
 まぁ、あんまり実感はないんだけどー」と、
そう説明するー。

いつも大人しい遥香が、とても頼りになりそうな表情を
浮かべているのを見て、違和感を覚えるー。

「ーわ、わたしはティナー。
 そのー、巫女として修業していたんですけどー、
 ロビンさんをサポートすることになってー」
俊平に憑依している巫女のティナが言うー。

「ーーは、ははー
 いつもそいつ、”そんな感じ”じゃないから、
 不思議な気分だよー」
敏夫は戸惑いながらも、俊平のほうを見つめてそう呟くー。

「ーーースペンサーだ。暗殺を生業としているー」
ツインテールの寧々が無表情のままそう言葉を口にするー

「そ、その顔で言われると怖いな!?」
敏夫が戸惑いながら叫ぶー。

そしてー。

「あたしはクラリッサー。海賊さー」
と、彼女の奈津美に憑依しているクラリッサがそう言葉を口にするー。

「ーってか、ここに酒はないのかいー?
 訳の分からないことだからけで、あたし、疲れて来たんだけど」
奈津美がそう言うと、
「おいっ!奈津美の身体で好き放題するな!」と、
そんな言葉を口にする敏夫ー

「ー今はあたしの身体だよー。文句あるのかい?」
奈津美が敏夫を睨みつけるー。

中身が違うとは言え、
彼女に睨みつけられるのは、なかなかキツイー。

「ーーあ、あるさ!お前に変なことされちゃ、
 奈津美だって困るー」

「ーーーーはんーーー
 海賊のあたしに意見するってのかい?」
奈津美が不満そうに呟くー。

「ーーな、何が海賊だ!
 あぁー、そうか、海賊だから
 人の身体も略奪するんだなー」

敏夫は、彼女である奈津美が”憑依”されているという
状況に苛立ちを覚えて、奈津美に憑依している
クラリッサには強めの言葉をぶつけるー。

「ーーあ?なんだって?もう1回言ってごらん?」
奈津美に胸倉を掴まれて、敏夫は少し戸惑いながら
奈津美を見つめるー。

「あたしが海賊だから、なんだって?あ?」
奈津美の恐ろしい形相に、
敏夫は「わ、わかった、わかったから!奈津美の身体で
そんな顔しないでくれ!」と、そう声を上げると、
「ーふざけた男だね!」と、奈津美は敏夫を突き飛ばしたー。

「ーーおいおい、そのぐらいにしておけー
 彼も戸惑ってるじゃないかー」
大人しい性格の遥香に憑依している”英雄”のロビンは
そう言葉を口にすると、
「ーーーここにいる人たちは、君の友達と大切な人なんだろう?
 ーー巻き込んですまない」と、
そんな謝罪の言葉を口にするー。

「ーそんなふざけた男に謝る必要なんてないよ」
奈津美に憑依している女海賊・クラリッサはなおも不満そうだー。

「ーーいやー、いいんだー
 ただー」
敏夫がそう言うと、敏夫の言いたいことを理解したのか、
遥香に憑依しているロビンは、
「分かってるー。俺たちはリーランド王国にー、元の世界に戻るつもりだー。
 君の友達や大事な人の身体を長い時間借りるつもりはないー」と、
そう言葉を口にするー。

「ーーーでも、どうやって元の世界に戻ればー…?」
敏夫の親友・俊平に憑依している巫女のティナが不安そうに呟くと、
「ーそう。それが問題なんだー」と、
遥香は静かに頷くー。

大人しい性格の遥香が、リーダーっぽい雰囲気で
周囲と会話しているのを見て、
”里中さんも中身が変わると、あんな雰囲気になるんだなー”と、
少しドキドキしてしまうー。

「ーーっておい!何家の中を勝手にウロウロしてるんだー!?」
敏夫が、ウロウロしていた奈津美にそう声を上げると、
「酒を探してるんだよ 文句あるか?」と、そう言いながら、
「しっかし、ここ、あんたの家かい?見たことないものばかりあるね」と、
そう呟くー。

「ーそ、そりゃそうだろー。ゲームの中の世界にはないもんばかりだろうしー」
敏夫が言うと、冷蔵庫を不思議そうな顔をして明けた
奈津美が「お!ここが食いモンか?」と、嬉しそうに声を上げるー。

「ーおいっ!!」
敏夫がそう叫ぶとー、
それに口を挟むかのようにして、
「ー我々は”そこから”出て来たってことだな?」
と、ツインテールの寧々が無表情のまま、冷たい口調で言ったー。

”た、確か暗殺者が憑依してるんだよなー…?”
敏夫は少しビビりながら、
「ーーあ、あぁー、そ、そのゲーム機からー」と、
そう言葉を口にするー。

「ーーーーーーー」
寧々は無表情のまま、敏夫の横を通り過ぎてゲーム機の方に
向かっていくー。

性格はキツイものの、いつも明るい性格の寧々に対して
少しビクッとしてしまう敏夫ー。

中身が違うだけで、なんだか怖いー。

そんな風に思っていると、寧々はゲーム機を手にして
「確かに、我々がいた場所だ」と、
まだ起動しっぱなしのゲームの画面を見つめながらそう呟くー。

「ーー早く戻らないと、魔王ルデスを止める者がいなくなってしまうー」
遥香に憑依しているロビンが言うー。

「ーーー…魔王ルデスー。強いのか?」
敏夫が何となく聞き返すと、
俊平に憑依している巫女・ティナが口を開いたー。

「ーー魔王ルデスはー、強大な力の持ち主ですー。
 訓練された騎士様たちの力も、圧倒するほどの力を持っていて、
 世界の支配を狙う邪悪な存在ですー」

とー。

巫女に憑依されて穏やかに説明を口にする俊平を見てー、
”元に戻ったらネタにできそうだな”と、思いつつも、
「そ、そっかー」と呟くー。

ツインテールの寧々は、「邪魔だなー」と呟くと、
ツインテールを雑にほどきながら、
ゲーム機のほうを睨みつつ、何かを考えているー。

「ーーあーー」
髪型を勝手に変えられてしまった寧々を見つつ、
何かを言おうとしたものの、相手が暗殺者だからか、
ビビッて敏夫は何も言わなかったー

そうこうしているうちに冷蔵庫から”ビール”を見つけて
強引にそれをこじ開けた奈津美がビールを飲みだすのを見て
「うわっ!やめろ海賊!!」と、敏夫はそう叫ぶー。

敏夫たちは、既に成人した大学生であるため、
飲むこと自体は問題はないー。

がー、奈津美はお酒を飲まないし、確か、
本人が”二十歳になった時一度試したけどー”と、
あまり言い反応を見せてなかった気がするー。

「ーーなんだこれ!?うめぇじゃん!
 へへーあたしにぴったりだー」
ニヤニヤしながら彼女の奈津美が言うー。

「おいこら!海賊!!奈津美の身体で勝手な事すんなって!」

そう叫ぶ敏夫ー。

そんな光景を見ながら、遥香に憑依しているロビンは
「賑やかだなー」と、穏やかに笑うと、
「さてー」と、”どうすれば元の世界に戻れるのかー”と、
ゲーム機のほうを不安そうな表情で見つめるのだったー。

③へ続く

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コメント

賑やか(?)な状態が続いていますネ~!!

明日の最終回で、
無事に元の世界に戻れるのか、
ぜひ見届けて下さいネ~!

今日もありがとうございました~!★!

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