<憑依>俺たち勇者パーティ③~光~(完)

ゲームの中の”勇者一行”に、
親友も、彼女も、その友達も憑依されてしまったー。

遅れてやってきたことで難を逃れた彼は
”憑依された4人”を前に、只々困惑することにー…!

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「はぁ~~~うめぇ~~~」
ビールを飲んで酔っ払ってしまった奈津美が
顔を真っ赤にしながら、
「今なら、あたしはどんな敵にも負けねぇ」と、
そう言葉を口にするー。

「ーおいっ!奈津美の身体でそんなに飲みまくるな!!
 しかも、敵と戦おうとするな!!」

敏夫がそう言うと、
「あ~~~?あたしに文句あんのか~?」と、
奈津美に憑依している女海賊のクラリッサが絡んでくるー。

「ーおいっ!胸が当たってる!おいっ!!!」
肩に手を回してきて絡んできた奈津美に対して、
敏夫は心底困惑した様子でそう叫ぶと、
「あ、あんたの仲間!酒癖悪すぎ!」と、
そう叫ぶー。

「ーははは、悪い奴じゃないんだけどなー。すまないなー」
大人しい性格の遥香に憑依しているロビンは、
そう言葉を口にしながら、
巫女のティナに憑依されている俊平、
そして暗殺者のスペンサーに憑依されている寧々と共に、
携帯ゲーム機の方を見つめながら、何やら相談しているー。

「ーーーおら!お前も飲めっ!」
憑依されている奈津美が、ビールを無理矢理
敏夫の口に突っ込んで来ようとするー。

「ーでも、クラリッサさんー、いつもより酔ってませんー?」
それを見ていた俊平に憑依している巫女・ティナが
少し不安そうにそう言葉を口にすると、
壁に寄りかかりながらゲーム機のほうを見つめていた
暗殺者のスペンサーに憑依された寧々が口を開いたー。

「ー”身体”が違うからだろうー」
とー。

いつも明るく、騒いでいることが多いぐらいの寧々は、
ツインテールをほどいたせいもあってか別人のように見えるー。

そんな寧々の言葉に、敏夫は
「あー~…確かに奈津美、そんなこと言ってたようなー…」
と、そう言葉を口にするー。

”お酒には弱いみたいだから、飲まない”と、
そんなことを聞いたことがある気がするー。

「ーーあ~?あたしはまだまだいけるぞぉ~~!」
完全に酔っ払っている奈津美に憑依したクラリッサが叫ぶー。

「っていうか、お前の世界の酒、うめぇなー
 もっと出せ!おらっ!」
奈津美に胸倉を掴まれて揺さぶられる敏夫ー。

がー、そんな敏夫に助け舟を出してくれたのか、
勇者の末裔であるロビンに憑依されている遥香が
近付いてきて、

「ーーーーそうだー、少し聞きたいことがー」
と、敏夫に対してそんな言葉を口にしたー。

「あーーあぁ、何でもー」
敏夫は、”海賊に憑依された奈津美から解放されるー”と、
そんなことを喜びつつ、
遥香に憑依しているロビンの方に向かっていくと、
「ーーー俺たちは、”この場所”光るものを見つけて
 それを調べたら、激しい光に包まれて
 この場所にいたんだがー」と、そう言葉を口にするー。

「ーーここかー……
 俺はこのゲーム詳しくないから、アレだけどー…」
敏夫はそう言いつつも、
「ーー”そっち”がどんな状況だったか、もう一度詳しく教えてくれるか?」と、
そんな言葉を口にしたー。

「ーーはいーーーえっと、わたしたちはー」
俊平に憑依している巫女のティナが、そう言葉を口にしながら
”この世界”にやってきて、俊平たちに憑依するまでの流れを
説明し始めるー。

”きっとこのティナって巫女ー、可愛いんだろうなー”
敏夫は、俊平がよく遊んでいたこのゲームの内容を
あまり知らないために、ティナという”キャラクター”の見た目も知らないー。

「ーーー…なるほどー
 この森の中で光る玉を見つけたのかー…」

そう呟きながらも、敏夫は表情を歪めるー。

「ーーーーーー」

”でも、ゲームのキャラクターが現実に飛び出してきて、
 現実世界の人間に憑依するなんてこと、普通は起きないだろー?
 いったい、どうなってるんだー?”

敏夫は戸惑いながら、
「ちょっと、それ貸してくれー」と、
ゲーム機を持っていた俊平に憑依している巫女・ティナから
ゲーム機を受け取ると、
とりあえず、ゲームを操作しようとしてみせたー

がーー…

「ーーーーなんだこのゲーム…」
敏夫は戸惑うー。

”操作するキャラ”が表示されていないのだー。

ステータス画面のようなものやマップ画面は
開けるから、
別にフリーズして動かなくなっているわけではないー。

なのに、ゲーム画面にキャラクターが表示されていないー。

「ーーーーー…」
敏夫は「ちょっと待ってくれー」と、そう言うと、
スマホを使って、俊平がプレイしていたこのゲームを調べ始めるー。

「~~~~~~…」
調べていくと、ゲーム画面もいくつか出てきて、
そこには”キャラクター”がちゃんと表示されている画面も
載っていたー。

そう、普通であれば、操作するキャラクター
”ロビン”たちがちゃんとゲーム画面上に表示されているのだー。

しかし、今ここにある俊平が使っていたゲーム機の
画面には、”ロビン”たちが表示されなくなっていて、
メニュー画面を開いたりすることはできても、
操作をすることができない状況だー。

”まさか、本当にゲームの中から飛び出して来たとでもいうのかー?”

そう思いながら、さらにスマホの方に視線を向けようとすると、
「ーあたしはまだまだ飲めるぞぉ!」と、
彼女の奈津美に憑依している女海賊・クラリッサがいつの間にか
上着を脱いで下着姿になって、ビールを手にして騒いでいたー

「っておい!!!!何て格好してんだ!!ふざけんな!」
敏夫は、慌てて服を脱いだ奈津美を止めようとするー。

「ーー暑いんだよ!ごちゃごちゃうるせーな!
 あたしはいつもこうしてるんだから、黙ってろ!」
奈津美がそう叫びながら、敏夫をどかそうとするー。

「ーその身体は、あんたのものじゃないだろ!!」
敏夫はそれだけ言うも、奈津美は完全に酔っ払っていて
話が通じないー。

「くそっ!」
ビールを手に、へらへら笑っている奈津美を見つめながら
「ーー絶対にゲームの世界の中に追い返してやる!」と、
不満そうにブツブツ言葉を口にしながら、
再びスマホを見つめるー。

”ゲーム”のことを詳しく調べていく敏夫ー。

すると、”開発者インタビュー”の記事の中に
少し気になることが書かれていたー。

”本作は、異世界で起きた出来事を元に作っていますー。
 いや、こんなことを言うと頭のおかしなやつが出て来た、と
 思われそうですけど、
 僕は、異世界に飛ばされたことがありましてねー。

 このゲームはそこで見た”過去の伝承”をベースとしているんですー。
 勇者ロビンと、その仲間たちは
 異世界で実際に存在していた人たちで、
 このゲームにはその魂が宿ってるんですー”

「ーーーー…」
敏夫は、このゲームを開発した男のインタビューを見つめながら
表情を歪めるー。

とてもではないが、正気とは思えないし、
”こんなこと”が起きている状態でなければ、
この開発者がインタビューに答えている通り、
”頭のおかしなやつだな”と思ったかもしれないー

がーー

”この人たちは、単なるゲームキャラじゃないのかー?”
敏夫は心底困惑した様子で表情を歪めるー。

もしも、本当にこの開発者がインタビューで答えている通りなら、
奈津美・俊平・遥香・寧々の4人が憑依されてしまったことと
何か”関係”があるような気がするー。

しかしー、とは言っても、
あまりにも非現実的であることは確かだー。

「ーー難しい顔をしているが、何か分かったのかー?」
ツインテールをほどき、もはや別人のように見える寧々ー、
”暗殺者”に憑依されている寧々がそう呟くー。

「ーあ、えっ、はいー、いや、ちょっとー」
中身が暗殺者の男・スペンサーであるからか、
ビビッて敬語になってしまう敏夫ー。

「ーーー……」
敏夫はゲームの画面のほうを今一度見つめると、
”このゲームには、何かあるってことかー?”と、
表情を歪めるー。

「ーーあの…大丈夫ですかー?」
俊平に憑依している巫女・ティナがそう言葉を口にすると、
「ーーん?あ、あぁー」と、敏夫は頷くー。

このゲームを開発した人間に連絡を取りたいー。
なんとか、連絡を取る方法はないだろうかー。

仮に、インタビューで答えていた異次元云々が
”適当なことを言ってる”だけだとしても、
自分の開発したゲームのキャラクターが
本当に実在の人間に憑依しているとなれば
興味を持ってくれるかもしれないー。

そこから、何とか打開策をー…

「ーーーは~~~~、あたしはもうだめだぁー
 ねむぅい」

酔い潰れた状態の彼女・奈津美がそう言葉を口にするー。

「ーはは、クラリッサがダウンするなんて珍しいなー」
英雄・ロビンに憑依されている遥香がそう言うと、
暗殺者・スペンサーに憑依されている寧々は、
「やはり身体が違うからだろう」と、そう言葉を口にしたー。

彼女である奈津美の身体で、
上半身下着姿のまま酔い潰れているクラリッサを見て、
「ー絶対に元の世界に追い返してやるからな!」と、
今一度不満そうに呟くと、
ふと、俊平に憑依している巫女のティナが声を上げたー

「み、見て下さい!これ!」
とー。

携帯ゲーム機を手にしたまま、そう叫ぶティナを見て
奈津美の身体で酔い潰れているクラリッサ以外の面々が
携帯ゲーム機の画面を見つめるー。

すると、画面上に知らない人物が表示されていて、
光る玉のようなものを見つめていたー。

「ーーな、なんだこれ…?さっきまでこんなキャラ表示されてなかったぞー?」
敏夫がそう言葉を口にすると、
大人しい性格の遥香に憑依している英雄・ロビンが言ったー。

「魔王ルデスー」
と…。

「ーま、魔王!?こいつが!?
 こんな平原みたいな場所に普通に出て来るのか?」
敏夫はつい”ゲームのこと”を周囲に聞いてしまうも、
ゲームから飛び出して来た4人には、あまりその意味が伝わらないー。

そうこうしているうちに、ゲーム画面内の魔王ルデスが、
勝手に光の玉に手を触れると、
携帯ゲーム機から再び”光”が放たれ始めたー。

「ーー!?い、いったいどうなってる!?」
遥香に憑依している英雄・ロビンが声を上げるー。

「ーーーーーっ」
寧々に憑依している暗殺者・スペンサーが表情を歪めるー。

「ーま、まぶしいー」
ゲーム機からの光に目を逸らす巫女・ティナに憑依されている俊平ー。

女海賊・クラリッサに憑依された奈津美は
酔い潰れて寝たままー。

「ーーー…!」
敏夫は、そんな光景の中、ゲーム機から”魂”のようなものが
飛び出して来たのを確認したー

「な、なんだこれはー…!?」

それはー、
最初に奈津美や俊平らが見た光景と同じような光景ー。

が、今日が誕生日だった”奈津美へのプレゼント”が、家に届くのが少し遅れて
遅刻してしまった敏夫は、それを見ていなかったため、
初めて見る光景だったー。

そしてー…

光の魂のようなものが、敏夫の身体にぶつかると、
敏夫は「うっ…」と声を上げて、そのままその場で
意識を失ったー

「ーーえっ…だ、大丈夫ですかー!?」
巫女のティナに憑依されている俊平が声を上げるー。

しかしー

明るい性格の寧々に憑依しているスペンサーが
突然険しい表情を浮かべながら
「離れろ!」と、そう声を上げたー。

「ーー!」
英雄ロビンに憑依されている遥香も、
邪悪な気配に気づくー。

その、邪悪な気配は敏夫の身体から放たれているー。

やがて、倒れていた敏夫が目を開きー、
邪悪な笑みを浮かべると、
「ーーーククク…ようやく”外”に出ることができたー」と、
そんな言葉を口にしたー。

「ーお、お前は、ま、魔王ルデス!」
英雄ロビンに憑依している遥香がそう叫ぶと、
後からゲーム機の”外”に出て来た魔王ルデスに憑依されてしまった
敏夫はニヤリと笑いながら言ったー。

「ーーこれはこれは、勇者ではないかー
 随分可愛い姿になってしまってー」

敏夫はさっきまでとは別人のような様子でそう言葉を口にすると、
遥香は険しい表情を浮かべたー。

勇者一行に、
そして、魔王に憑依されてしまった
大学生5人ー。

憑依されてしまった5人の現実世界での戦いが
今、始まろうとしていたー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

後から到着した敏夫くんも
結局憑依されてしまいました~…★!

打ち切りエンドじゃなくて、
最初からこの結末を浮かべていたので、
物語はここで終わりなのデス…!

お読み下さり、ありがとうございました~~!★!

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