<憑依>器に選ばれてしまった彼女①~魂~

幸せだったはずの日常ー。

しかし、ある日、その彼女が
”1000年前”に眠りについた男が現世に蘇るための
”器”に選ばれてしまったー…。

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「ーーーーまた寝不足ー?」

朝ー
教室であくびをしながら眠そうにしていた
男子高校生・高口 洋介(たかぐち ようすけ)に、
そんな声をかけて来たのは、
同じクラスの彼女・赤城 玲奈(あかぎ れいな)ー。

「ーーあぁー玲奈ー…」
洋介は、声をかけられてもなお、眠そうにしながら
玲奈のほうを見つめると、
「ーーついつい、夜更かしがやめられないんだよなー」と、
そんな言葉を口にするー。

「も~…この前も授業中に寝て、先生に怒られてたの忘れたの?」
玲奈が呆れ顔でそう言葉を口にするー

がー、
洋介は話している最中に寝落ちしたのか、
机に突っ伏して、そのまま寝息を立てているー。

「ちょ!?話している途中に寝ないで!?!?」
玲奈が、そう言いながら洋介の肩をぺしぺしと叩くと、
洋介は目をこすりながらー
「母さんー、あと5分だけ」と、そう言葉を口にして
また寝ようとし始めるー

「ーね~る~な~~!!
 っていうか、わたし、お母さんじゃないし!」
バシッと、洋介を叩く玲奈ー。

ようやく目を覚ました洋介は、
玲奈のほうを見て、「おはようー」と、そう言葉を口にしたー。

「ーーーも~~~!!
 絶対、今日は少し早めに寝ること!いい?」
まるでお姉ちゃんのようにしかりつけてくる玲奈のほうを見ながら、
洋介は少しだけ笑うと、
「ーなんか、”生徒会副会長”~って感じがする」と、
生徒会の副会長を務める玲奈のことを揶揄うような口調で、
そう言葉を口にしたー。

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その日の放課後ー。

生徒会の話し合いが終わるまで待っていた洋介が
玲奈と合流すると、
玲奈は「ーなんか、待たせてごめんねー」と、そう言葉を口にするー

「いや、いいよー。
 どうせ、教室で昼寝してただけだしー」
洋介は”待っている間、昼寝してたから大丈夫”と、
そう笑うと、玲奈は思わず「また寝てたの?」と、苦笑いするー。

”夜更かしばっかりしている洋介”に呆れ顔をしながらも、
洋介自身はいつも優しいし、仲良しであるために、
帰り道も楽しそうに話を続けている玲奈ー。

流石に夕方になったからか、洋介も朝のように眠そうには
しておらず、話の最中に寝落ちするようなこともないため、
玲奈は嬉しそうに話を続けているー。

楽しい時間はあっという間に過ぎ去っていき、
高校からの帰路ー、
いつも二人が別れる道までたどり着いたー。

「ーじゃ、また明日ー」
洋介がそう言うと、玲奈は「うん」と、そう言いながらも
去り際に思い出したかのように
「ーーあ!洋介ー、今日は夜更かししすぎないようにね?」と、
笑いながらそんな言葉を投げかけて来るー。

「ーー~~~~~」
洋介は、玲奈からの指摘に思わず苦笑いすると、
「ーーー善処します」と、ふざけた口調でそう返事をして
そのまま立ち去って行ったー。

「ーーーもうー……」
玲奈はそう言葉を口にすると、
そのまま少しだけ微笑んで、立ち去ろうとするー。

がー、
その時だったー。

「ーーーーーー!!」
振り返った玲奈の前に、黒いローブを羽織った不気味な男が
姿を現すー。

「ーー…えっ!?」
玲奈が驚くと同時に、
その男は、言葉を口にしたー。

「ーー全ては、あの方のためにー」
とー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー~~~…玲奈、何かあったのかー?」

夜ー。
晩御飯やお風呂も終えて、自分の部屋でのんびりしていた
洋介は困惑の表情を浮かべながらスマホを
見つめていたー。

それもそのはずー。
彼女の”玲奈”から、メッセージの返信がないからだー。

もちろん、玲奈だって、色々やることはあるー。
いつもすぐにメッセージが戻って来るわけではないし、
メッセージの返信を催促するようなこともしないー。

仮に玲奈が返信が遅いタイプの子で、
返事が返ってくるのが”3日後”ぐらいだったとしても、
それはそれで、洋介は気にしないー。

が、今、洋介が玲奈のことを心配しているのは、
”いつも、メッセージの返信は玲奈の方が早く、
 夜遅くまで無反応なことはなかったから”だー。

”いつもと返信の感じが違う”ことで、
何かあったのかと、洋介はそう心配していたー。

落ち着かない様子で、玲奈からの返信を待つ洋介ー。

やがてー、メッセージが届いたことを知らせる音が鳴り、
洋介がスマホに飛びついたものの、
メッセージの送り主は”玲奈”ではなく、
クラスメイトで友人の一人・魚沼(うおぬま)という男子からだったー

「んだよ、魚沼かよ!」
別に、”魚沼”という男子に罪はないものの、
状況が状況だけに、玲奈からのメッセージではなかったことに
がっかりとしながら、思わずそんな言葉を吐き出すー。

「ーーー…玲奈ー、体調でも悪いのかなー?」
心配そうにしながら、そう呟く洋介ー。

が、あまりしつこく”大丈夫か?”みたいなメッセージを
ポコポコと送り続けるのも気が引けるー。

仕方がなく、洋介は”まぁ、今日はもう寝るかー”と、
そんな言葉を口にすると、
心配そうにしながらも、寝る支度を始めるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

祭壇のようなものが並べられた場所で、
意識を失っている玲奈の前に立ち、
魔術師のような風貌の男は、謎の術を唱え始めるー。

「ーー影(えい)様ー。
 我が勤めを果たす時がやってきましたー」

羽織っていたローブのフードを取り、
顔を見せたその男はー、
かなり高齢に見える老人だったー。

その男が、先ほど連れ去った玲奈を前に
謎の呪文のようなものを唱えているー。

そしてー、祭壇に設置されている”棺”のようなものから、
煙のようなものが立ち込め始めると、
その”煙”のようなものが玲奈に吸い込まれていくー

「ーーーーぁ…… …ぅ…」
玲奈が時々うめき声を上げながら、ビクンビクンと震えるー。

その様子を見つめながら老魔術師は
笑みを浮かべると、
「ーー影様ー。”1000年”の約束を果たすときが来ましたぞー」と、
嬉しそうにそんな言葉を口にするー。

やがてーーー…
片目が赤く光りー、瞳の色が赤く変色すると、
玲奈がゆっくりと起き上がったー。

「ーーーーー…ここはーーー…?」
周囲を見渡す玲奈ー。

そんな玲奈の前に膝をついて、
「影様ー」と、そう言葉を口にする老魔術師ー。

それを見た”玲奈”は、
全てを理解し、言葉を口にしたー。

「ーー”1000年”が経過したというのだなー」
とー。

「ーーはっー」
老魔術師がそう言葉を口にすると、
「ご苦労だったなー…刹(せつ)よー」
と、玲奈は普段の玲奈とはまるで別人のような雰囲気でー、
そう言葉を口にしたー。

がー、直後、玲奈は表情を歪めるー。

「ーー影様ー?」
”刹”と呼ばれた老魔術師が少し心配そうに言葉を口にすると、
玲奈は自分の身体を見下ろしながら、
「ってーーーーなんだこれはー!?!?」と、声を上げるー。

「ーー????
 ど、どうかなさいましたかー?」
老魔術師の”刹”が少し戸惑いながら言うと、
「ーー女じゃないか!?!?!?!?!?!?!?!?!?」と、
”影”と呼ばれている男は、憑依先の身体ー…
”玲奈”の身体を自分で見下ろしながら戸惑いの声を上げるー。

「ーーーそ、そ、それはー、み、見ての通りございますがー
 何か問題でも?」
老魔術師の”刹”がそう言葉を口にすると、
「ーー俺は男だぞ!?どうして女を器に選んだ!?」と、
高校の制服姿の自分の身体を見下ろしながら、
戸惑いの声を上げるー。

「ーーそ、それはー…
 影様の言いつけをお守りした結果でございますー」と、
戸惑いながら”刹”が言うー。

「ーー…俺の言いつけ!?
 俺が”女”の身体にしてくれ、なんていつ言った?
 1000年前に俺が言ったのかー?」
玲奈は取り乱しながらそう叫ぶー。

「ーーー健康的な身体であることー、
 若い身体であることー、
 それに、このあたりの地域の人間であることー
 そういった、影様からの注文通り、”器”を選ばせてもらいましたー」

老魔術師の”刹”は、
どうして”女”を選んだのかには答えずに、誤魔化そうとしたー。
そんな反応を前にして、
玲奈は「おいー…”俺がいつ女にしろ”って言ったー?」と、
不満そうに言葉を口にすると、
老魔術師の”刹”は、目を逸らしながら
「そ、そのような怖い顔すると、可愛い顔が台無しですぞー」と、
そんな言葉を口にするー。

「そんなことはどうでもいいー
 どうして”女”を”器”に選んだのだー?

 さては刹、まさかお前ー、
 1000年前の俺の人使いの荒さを恨んでー?」

玲奈が不満を滲ませながらそう言うと、
”刹”は慌てて「いえいえ、滅相もないー
私は影様に拾われた身ー。
感謝することはあっても、恨むことなどありませぬー」と、
そう否定の言葉を口にするー。

そんな”刹”を見て、玲奈は大きくため息を吐き出すと、
「なら、何ゆえ”女”の身体なのだー?」と、
そう言葉を口にする玲奈ー。

そんな玲奈を前に”刹”は少しだけ笑うとー、
「影様は、”可愛い子”が好きでしたのでー
 それで、その”忖度”をー」と、そう言葉を口にするー。

”影(えい)”は、
1000年前に、当時の世の中にはびこっていた”妖怪”を
退治して、回っていた退魔師ー。

が、彼は同時に女好きでもあり、
可愛い子を見つけては行く先々で良く絡んでいたー。
そんな、”影”のことを誰よりも知るが故に、
”刹”は、1000年後に復活させる”影”の魂を
玲奈に憑依させてしまったのだったー。

「ーーーーーーところで”忖度”とはなんだ?」
玲奈は戸惑いの表情を浮かべながら、そう言葉を口にすると
”刹”は「あぁ、1000年前はない言葉でしたなー」と、
”忖度”の意味を説明する。

つまりは、”刹”は、”影”から、女に憑依して復活したい、とは
言われてはいなかったものの、
勝手に気を遣って、玲奈を器に選んだのだー。

それを聞いた玲奈は、
「確かに、可愛い子は好きだが、”なりたい”とは言ってないー」と、
不満そうに言葉を口にするー。

「ーーーーーー」
”刹”は、苦笑いしながら誤魔化すような素振りをするー。

「ーーまぁいい、こうなってしまったものは仕方ないー。
 ところで、”邪鬼(じゃき)”は、どうしてるー?」

玲奈がそう言うと、
”刹”は「はいー。邪鬼はー」と、そう言葉を口にするー

1000年前、人類を滅ぼすほどの圧倒的な力を持つ
”邪鬼”という妖がいたー。
”影”の力をしても封印するのがやっとで、
しかも、その封印は”1000年”で弱まり始めるために、
1000年後ー、再び邪鬼が復活してしまう恐れがあったー。

そのため、1000年前、邪鬼を封印した”影”は、
禁断の秘術で、1000年の眠りにつき、
同じく禁断の秘術を応用して”不死”の肉体を手に入れた”刹”が、
1000年後に、”器”を見つけて影を蘇らせるー
そんな、約束をしていたのだー。

「ーーーー女の身体というのは予想外だがー、
 ”再度封印する”使命はこの身体でも果たすことはできるー」
玲奈はそう言うと、
”刹”は、「ー1000年の間に、世界は大きく変わっています故、
私が案内いたしますー」と、玲奈に向かってそう言葉を口にするー

「ー分かった。”また”よろしく頼むぞー。刹ー。」
玲奈はそう言いながら歩き出すと、
「ところでこの動きにくい変な服はなんだ?」と、
”刹”に確認するー。

刹は「あぁ、それはセーラー服と呼ばれる服ですなー」
と、頷くと、
玲奈は首を横に振りながら「奇妙な服だなー」と、
そのままゆっくりと歩き始めたー。

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翌日ーー

”玲奈が昨日から家に帰っていない”と
聞かされた彼氏の洋介は、
”えっ!?”と、声を上げたー。

「ーーー…いったいー何があったんだー?」
呆然とする洋介は、
まだ彼女の身に起きたことを知らなかったー。

②へ続く

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コメント

”器”に選ばれてしまった彼女…★!
なんだか、大変なことになりそうですネ~!

幸い、憑依したのが”悪人ではなさそう”なのが
救いかもなのデス…!!

コメント

  1. TSマニア より:

    全く先が展開が予想できなくていいですネ!☆

    影様と刹の絡み面白いのデス笑

    刹は少し天然ですネ(*´艸`)笑

    自分も女の子好きですし

    生田ちむちゃんになりたいのデス笑

    ちむちゃんのカラダに憑依してレースクイーンのお仕事したりミニスカ履いてオシャレに着こなして撮影会したいのデスぅ~~~☆\(^o^)/☆笑

    • 無名 より:

      TSマニアさま~!感想ありがとうございます~~!!!

      TSマニア様も刹さんにちゃんと1000年後に
      いい身体を選んでもらえるように、
      お願いしておきましょうネ~!笑

      • TSマニア より:

        刹さんは天然で危険ですネ!★苦笑

        明日も影様と刹さんの絡み期待してますネ(^_-)☆笑

        1000年後まで待てないので再来週くらいに

        ちむちゃんのカラダに憑依してレースクイーンのお仕事や撮影会しちゃうのデス(*´艸`)笑