<女体化>喜ぶ俺と否定する俺②~対立する心~(完)

二重人格の男子大学生が女体化したー。

喜ぶ人格と、嫌がる人格ー。

二人は妥協点を見つけ出し、
元に戻る方法を探していくー…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーうぉぉぉぉぉぉー…
 エロッ…エロ過ぎる…!!」

ネットで購入したセーラー服を身に付けながら
嬉しそうに笑う女体化した龍斗ー。

そんな様子を、奥に引っ込んでいる別人格の
通称・”裏斗”は、呆れた様子で見ていたー

”ーーー満足したらさっさと脱げよー?
 そんなモン着てるなんて、表に出てなくても
 不快なんだからー”
裏斗のそんな声に、
女体化した龍斗はニヤニヤしながら、
「あ~~…可愛い~…かわいい♡」と、嬉しそうに、
鏡を見つめながらうっとりとしているー

”おい!俺たちは男だってことを忘れるなよ!”
”裏斗”が、そう言葉を口にすると、
セーラー服の上から胸を揉んでいた女体化した龍斗が
ようやく「はいはいー分かってますよ」と、
笑いながら言葉を口にするー。

”ホントに分かってるのかー?
 それと、あと15分で俺と交代だからなー?
 ちゃんと、俺が表に出るまでにその服、脱げよな?”

裏斗がうんざりしながら、そんな言葉を口にするー。

龍斗は「やべっ!もうそんな時間かー」と、
そう言葉を口にすると、
「まだまだやってみたいこと、色々あるのにー」と、
そんな”ボヤキ”を口にしたー。

やがてー、人格交代をする約束の時間になり、
それまでにちゃんと私服に着替えた龍斗は
「ーよし、じゃあー、裏斗の時間だー」と、
それだけ言葉を口にして目を閉じるー。

表に出ていた龍斗が”内側”に、
そして、中にいた裏斗が表に出てくると、
自分の髪を触りながら、うんざりした様子でため息を吐き出したー。

”じゃ、俺は先に寝るからー。あまり夜更かししすぎるなよー?
 明日の朝、大学に話しに行くのは俺の担当なんだからー”
裏に引っ込んだ龍斗が内側からそう言葉を口にするー。

「ー分かってるー。心配すんなー」
”裏斗”がそう答えると、龍斗は”へへーじゃ、おやすみ”と、
そのまま眠りにつくー。

”身体”が寝ると、内側にいる人格も強制的に眠りにつくものの、
”身体”が起きている間でも、表に出ていない人格の方が
自分で”寝る”ことは出来るー。

龍斗の意識が眠ったのを確認すると、
女体化した状態の裏斗は、髪の毛を邪魔そうに触りながら、
”ある行動”を実行に移すために歩き出したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌朝ー。

「ーーって、なんだこれはぁ!?!?!?!?」
女体化した龍斗が目を覚ますとー、
長かった髪がバッサリと短く切られていたー。

”ん?あぁー髪が邪魔だから、昨日の夜、
 サッと散髪してきたんだー”

「さ、散髪ぅ!?!?」
女体化した龍斗は、短くなった髪を鏡で見つめながら
「ーーぐ…う、裏斗!なんてことを!」と、
可愛い声に悔しさを滲ませるー

”だって、邪魔だろー?俺は男なんだしー”
裏斗のそんな言葉に、龍斗は「お前なぁ!」と、叫ぶと、
「ー髪が伸びるまでどんだけ時間がかかると思ってるんだ!?
 髪は女にとって大事なものなんだぞ!!」と、
言葉を続けるー。

”ーいやいや、俺は男だって言ってるだろー”
裏斗もうんざりした様子で言葉を口にするー。

「ぐぐ…くそっー!
 大体、こういう時は”じゃんけん”で決める約束だろー?
 俺が寝てる間に卑怯なことしやがってー」
女体化した龍斗がそう叫ぶと、
裏斗は”髪が長いと気が散って何もできないんだよー”と、
うんざりした様子で呟くー。

「ーぐぐぐぐ…くそっー…
 って、こんなことで言い争ってる場合じゃないー
 早く大学に向かわないとー」
女体化した龍斗は、そう言葉を口にしながら、
大学に向かう支度をし始めるー。

今日は、”女体化”のことを大学に説明し、
相談するために大学側と話し合う予定になっているのだー

”ー絶対に可愛い服とか着ていくんじゃねぇぞ?”
裏斗が不満そうに言うと、「はいはい、分かってるよー」と、
女体化した龍斗は、いつも自分が着ていたような服を身に着け始めるー

「ー女になってから、サイズが微妙に合わないよなー」
そう言葉を口にしながらも、裏斗は”だからって可愛いやつ着てこうとするなよ?”と
内側から”釘”を刺すー。

「ーーはいはいー」
女体化した龍斗は、残念そうにしながらも大学に向かう準備を
終えると、そのまま大学に向かって移動を始めたー。

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大学での話し合いは終わったー。

ひとまず、”女体化してしまったこと”を信じてもらうことは出来たものの
この先どうするかは”検討中”とのことで、
1週間ほど時間が欲しい、とのことだったー

「ーへへー女子大生として大学に通うことになったりしてなー」
女体化した龍斗が嬉しそうに言うと、続けて
「俺が”JD”だぜー?ゾクゾクするよなー」と、嬉しそうに笑うー。

”しねぇよーむしろ寒気がするー”
裏斗が不満そうに呟くー。

「ーーと、この後の自由時間は、今日は裏斗の番だったなー」
女体化した龍斗が、大学が終わったあとの時間は、
今日は裏斗が好きにする当番だったことを思い出して、
「じゃ、交代するぞー」と、そう呟くー。

”ーあぁ”
龍斗が”奥”に、裏斗が”表”に出てきてー、
裏斗は女体化した自分の身体にうんざりとした表情を浮かべると、
そのままゆっくりと歩き出したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー。

「ーーー!」
ネットで、大学関係の調べ事をしていた龍斗は
偶然、”あるニュース”を見つけてしまったー。

それは、龍斗が”女体化”した原因である
牛丼屋で、前の客が女体化薬のサンプルが入った容器を
置きっぱなしにしてしまっていた件だったー。

その担当者が、上司にそのことを報告したところ、
”もしかしたら間違えて飲んだり、使ったりした人間がいたかもしれない”と、
”女体化”のことは伏せた上で、
”研究中の試薬をもしも使ったり、飲んだりした方がいましたら
 弊社にご連絡下さい”と、そう情報を発していたのだー。

「ーーー…」
女体化した龍斗はゴクリと唾を飲み込むー。

女体化した原因は確実に”これ”だー。
しかし、そのことが裏斗に知れたらー…

「ーーーーー…」
龍斗は表情を曇らせるー。

幸い、”裏斗”は、既に夜であることもあり、
内側で”眠り”についていたー。

「ーーー」
龍斗は、”悪いな裏斗ー…俺は今のままでいたいんだー”と、
”元に戻る方法が見つかるまで”という約束を破り、
そのニュースをそっと閉じる龍斗ー。

”大して話題になっていないニュースだから大丈夫だろう”と、
そんな風に思い、笑みを浮かべたー。

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がーー
その数日後ーー

”バレて”しまったー

「おい!龍斗!どういうことだこれは!!!」
そう叫ぶ裏斗ー。

もちろん、裏斗が表に出ている時も女体化している
状態には変わりはなく、
可愛らしい声で怒りの言葉を口にするー。

”ーーえっ?あっ、いやー”

内側にいる龍斗が、焦った様子で言葉を口にすると、
裏斗は怒りの形相を浮かべながら
「お前ーーー!俺に隠してたな!」と、
”恐らく女体化した原因”である牛丼店の忘れ物ニュースを表示しながら、
そう言葉を口にするー。

龍斗は、履歴も消したつもりだったものの、
どこかにそれが残っていたのか、
”これを見た上で、裏斗に黙っていた”ということを
気付かれてしまったのだー。

”そ、それはーー……そのー”
龍斗が戸惑いながら言うと、
裏斗は怒り狂った様子で、
「元に戻る方法を探しながら、その間は好きにしていいって
 約束だっただろうが!」と、
声を荒げるー。

”おいおいー、裏斗ーそんなに怒るなよー
 可愛い顔が台無しだー”
龍斗が苦笑いしながら言うと、
「うるせぇ!!俺はこんな状態、1秒でも早く終わらせたいんだよ!
 俺は男なんだから!!!」
と、裏斗は声を荒げたー

”ーーーい、いやいや待てよー落ち着けー
 せっかく女になれたんだからお前も楽しめよ!!
 何でそんなに男に戻ろうとするんだ!?
 俺はそもそも男に戻りたくなんてねぇのに!”

龍斗が心の中で叫ぶー。
口論になる龍斗と裏斗ー

”友達が欲しい”ー
親に友達を作ることを禁じられて、
その状況でも友達を作るために生み出したのが
別人格の裏斗ー。

が、二人は今、初めて意見が大きく対立して、
口論状態になってしまっていたー。

”絶対に男に戻りたくないー”
”このままの状態なんて耐えられないー”

龍斗と、裏斗の異なる、”絶対に譲れない想い”がぶつかり合うー。

しかしーー
そんな、異なる想い、絶対に譲れない想いが
ぶつかりあったその時ー、
”それ”は生まれてしまったー。

”ならーーーー
 ”女”になっちゃえばいいじゃないー”

そんな声が、聞こえたー。

”ーーー!?!?”
龍斗が表情を歪めるー。

”ー”男”に戻りたくないんでしょ?だったら女になりましょー?
 心も含めてー”

そんな言葉に、内側にいる龍斗が”だ、誰だお前はー!?”と、そう叫ぶー。

”わたしーー?
 わたしはーそうねー…
 裏斗のさらに”裏”から生まれた存在ー

 麗(うらら)とでも名乗っておきましょうかー”

クスクスと笑う”第3の人格”麗ー。

「ーーな…何だお前はー!?俺たちの中に入って来るな!」
表に出ている裏斗が叫ぶと、
第3の人格・麗は笑ったー

”男に戻りたくない”
”このままじゃ苦痛で耐えられない”

”そんな、あなたたちの2つの想いを解決するために、
 生まれて来たのがわたしー
 身も、心も女になってしまえばー
 もう、男に戻らなくて済むー
 もう、苦しまなくて済むー

 だって、わたしは”女”なんだからー”

麗がそう言葉を口にすると、
裏斗は「訳の分からないことをー!俺は男だぞ!」と、そう叫ぶー。

しかしーーー

”黙りなさいーわたしは女よ”
生まれたばかりの第3の人格・麗はそう言葉を口にすると
強引に”表”に出て来てしまい、
表に出ていた裏斗も、奥に追いやられてしまうー。

「ーふふふふふー
 ーーわたしってばーかわいいー」
女体化した龍斗の身体の主導権を握った第3の人格・麗は笑みを
浮かべながら鏡を見つめるー。

”お、おいっ!龍斗!どうするんだ!何なんだアイツは!”
裏斗が心の中で叫ぶと、
龍斗は、”し、知らないよ!くそっ!お前が”俺は男だ!”なんて騒ぐから”と、
不満の言葉を口にするー。

しかしーーー

「あらあらー二人で喧嘩してるのー?」
女体化した龍斗の身体を完全に支配した第3の人格・麗は
笑みを浮かべると
「この身体ふさわしいのはわたしー。あなたたちはー消えなさいー」と、
そんな言葉を口にしたー。

その瞬間、内側にいる龍斗と、龍斗を、霧のような不気味な物体が襲ったー

「おっ、おいっ!なんだよこれ!?ふざけんな!俺は男だぞ!」
そう叫ぶ裏斗ー。

「ーーやめろ!!おいっ!くそっ!!!」
龍斗もそう叫ぶー。

しかし、二人の意識は”女体化したことで分かれた意見”がきっかけで
生まれてしまった第3の人格によって飲み込まれてしまったのだったー。

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大学に再び呼び出された女体化した龍斗は、
ある提案をされていたー。

とある企業の開発中の新薬による事故ということも判明したことで、
大学側は行政とも相談ー、
龍斗に対して、二つの提案を示していたー。

ひとつはー
”龍斗が女体化した状態であると、周囲に知らせて、
 身体は女であるものの”男子大学生の龍斗”として生活を続けること”

そして、もう一つは
”新しく大学にやってきた”別人”として、偽名を名乗り
 女子大生として生活していくこと”

の二つだったー。

今日は、妙におしゃれな可愛らしい服装を見に纏っている龍斗が、
少し間を置いてから、言葉を口にするー。

「ーじゃあ、わたし、”女”として生きていくことにしますー」
とー。

2番目の選択ー
偽名を使って、別人の女子大生として過ごす道を選択した龍斗ー。

大学の職員が少しだけ戸惑いつつ、「本当にそれでいいのか?」と、
そう確認すると、
女体化した龍斗は笑みを浮かべたー。

「はいー
 それと、名前はー”麗”でお願いしますねー」
クスクスと笑う龍斗ー。

二重人格の男子大学生はー、
女体化したことで、別の人格に完全に支配されー、
身も心も、完全に女になってしまったのだったー。

おわり

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コメント

新たに生まれた人格に完全に乗っ取られてしまう
結末でした~★!

これから龍斗くんは、麗と名乗って
生きていくのデス…!

お読み下さりありがとうございました~~!

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