入れ替わりシステムの暴走によって
混沌としてしまった世界ー。
どうすれば良いのかも分からないその世界で、
大切な人と共に生き抜こうとする彼の運命はー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーこの子は”菜々美”って言うみたいだけどー」
”菜々美”になってしまった慎吾は戸惑いながらそう言うと、
「ーまぁ…今まで通り”慎吾”でいいよー」
と、菜々美(慎吾)はそう言葉を口にするー。
「ーあははーー…でも…なんだか変な気分ー」
真梨香がそう言葉を口にすると、
菜々美(慎吾)は「ーだよなぁ…」と、苦笑いしながら
自分の身体を見つめるー。
「ーせめて、同じぐらいの年齢の男の身体だったら、
違和感もあまりなかったかもしれないけどー
まさか女子の身体になっちまうなんてー」
菜々美(慎吾)は少し恥ずかしそうにしながら、
制服姿の自分を改めて見つめるー
「ー床田(とこだ)くんだったら、喜びそうだよねー」
真梨香のその言葉に、
同じ大学にいた床田という男子のことを思い出しながら、
菜々美(慎吾)は笑うー。
「ーーー確かにー」
”床田”という男子は、いつも下心丸出しの男子で、
よく下ネタを話していたー。
もしも、そんな彼が菜々美と入れ替わったら
大変なことになっていただろうー。
「ーーさっきはごめんねー」
真梨香がふと謝罪の言葉を口にするー。
「ん?」
菜々美(慎吾)が不思議そうに真梨香のほうを見つめると、
真梨香は「”自分”を殴るの、イヤだったでしょ?」と、
そう言葉を口にするー。
「ーあ~~…変な気分だったけどー、
でも、それより”真梨香を助けないと”って気持ちが強かったから
躊躇いとかはなかったかなー」
菜々美(慎吾)がそう言うと、真梨香は「そっかー…」と、
そう言葉を口にするー。
「もう、元には戻れないのかなー?」
真梨香のその言葉に、菜々美(慎吾)は
「これだけぐちゃぐちゃに入れ替わっちゃった世界だしー
もし解決しても、全員を元に戻すのはきついだろうなー…」と、
そんな言葉を口にしたー。
そうこうしているうちに、元々繁華街だった場所に到着した
真梨香と菜々美(慎吾)ー
「ーわたしの身体を返してよ!あんたには使いこなせない!」
「ーはぁ!?わたしの方が可愛いし!この身体泥棒!」
入れ替わったと思われる女同士が喧嘩しているー。
「ーくそー!親父になっちまうなんて!」
「ーーーすまんー」
父と息子が入れ替わったのだろうかー。そんな言葉を口にしているー。
こうして、身近な人間同士で入れ替わることもあるし、
全く別の人間と入れ替わることもあるー。
入れ替わりシステムの暴走は、もはや誰にも止められないのだろうかー。
そんなことを思いつつ、
菜々美(慎吾)と真梨香は、”目的”を果たそうとしていたー。
二人の当面の目的は、お互いの両親や友人を見つけることーー。
もちろん
”見つけても”また入れ替わりが発生してしまう可能性も十分にあるし、
”意味があるのか?”と言われれば、ないかもしれないー。
けれどー、こんな状況の世界ー、
”入れ替わり”から逃げ場もないような混沌とした世界では
”入れ替わらないと”やってられなかったー。
「ーーーあ!」
ふと、真梨香が声を上げるー。
「ー?」
菜々美(慎吾)が首を傾げると、
「あそこにいる子ー、わたしの高校時代の親友なんだけどー」と、
真梨香はそう説明するー。
真梨香が指を指したその先では、
見知らぬ男と話をしている、真梨香の高校時代の親友・雫(しずく)の姿があるー。
「ーーーーーー…」
菜々美(慎吾)は、少しだけ表情を歪めると、
「ーー”中身”も、その子かなー?」と、そう言葉を口にするー。
「ーー分からないー」
真梨香はそう言葉を口にしながら、高校時代の親友・雫に近付いていくー。
現在も、”元の身体”のままで過ごしている人間は、
もはや”2割”程度しか残っていないー、
とまで言われる状況ー。
そもそも、社会が崩壊状態にあって、
その調査も正しい調査かどうかは分からないけれど、
実際に”元の身体のままの人間”は確実に減っているのは確かだったー。
「ーーー雫ー?」
真梨香が恐る恐る、男と話をしていた”雫”に声をかけると、
雫は振り返ったー。
「ーーえ…?ーー」
困惑した表情の雫ー。
「ーーし、雫ー…???
そ、それとも、”中身”は違う人ーですか?」
真梨香がそう言うと、雫は少しだけ戸惑うような表情を見せるー。
いつも勝気で、自信に満ち溢れた性格だった”雫”は、
少し弱々しそうな、戸惑いの表情を浮かべているー。
「ーーー…あーーー……え、えっとー」
雫がそう言うと、
雫と共に話していた雫よりも若そうなー、
男子高校生ぐらいの雰囲気の男が言葉を口にしたー。
「ーきみ、”この子”の友達ー?」
とー。
「ーーえ…あ、はいー」
真梨香がそう言うと、
その男は、雫を指さしながら、
「ごめんなー。”君の友達”の中身は俺の娘なんだー」と、
高校生らしき男子はそう言葉を口にしたー。
「ーーーえ…ぁ……ご、ごめんーーなさい」
雫は真梨香にそう言葉を口にするー。
が、真梨香は
「ーううんー謝らないで」と、雫にそう言葉を口にするー。
聞けば、雫の”中身”は、一緒にいた男の”中身”の娘で、
まだ5歳なのだというー。
身体は女子大生なのに、中身は5歳ー、そんな状態だー。
そして、その父親も男子高校生と入れ替わって、
”身体”だけで言えば娘よりも年下になってしまっていたー。
「ーー…”雫”の居場所は知りませんかー?」
真梨香が、高校生の姿をした父親に聞くと、
「ーー…娘の身体はそのあとも入れ替わって今は行方不明だー。
だからー…君の友達ももう、今、どんな身体なのかは分からないー」
と、そんな返事が返って来たー。
「ーーー…ー真梨香ー」
菜々美(慎吾)が少し悲しそうにそう言葉を口にするとー、
真梨香は振り返ってから
「ー大丈夫ー。知ってる人だと思ったら中身が違うことなんてー
もう慣れたからー」と、そんな言葉を口にしたー。
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そのまま、二人で繁華街”だった”場所を歩くー。
人はたくさんいるー。
しかし、社会のシステムや秩序は崩壊したー。
無作為に入れ替わりが続く世界ー。
誰が誰なのかも分からず、
プライベートも何もなくなり、
仕事も成り立たなくなり、
”入れ替わりが無作為に起き始めただけ”で
人間は社会のシステムを維持できなくなってしまったー。
「ーーーそれにしても、”女同士”になっちゃうとは思わなかったなぁ」
菜々美(慎吾)がそう言うと、
「ーふふ、落ち着いたら、色々教えてあげるねー」と、真梨香は笑うー。
「ーそうだー。トイレも行きたいと思ってたんだけど、
この身体で上手くできるかどうか、正直ちょっと心配だなぁ」
菜々美(慎吾)が、そう言いながら笑うと、
「え~…?それはー…まぁ…ーそうだよね…慎吾からすれば不安だよねー」と、
真梨香は苦笑いするー。
とは言え、このまま漏らすわけにはいかないー。
近場の、まだ使用可能なトイレを見つけると、
菜々美(慎吾)は「じゃあ、ここで待っててー」と、そう言葉を口にして
”男子トイレ”の中に入って行こうとするー。
「ーあ!慎吾!そっちじゃなくてこっち!!」
真梨香が、女子トイレのほうを指さすと、
菜々美(慎吾)は「あっー」と、自分の身体を見下ろしてから
少し恥ずかしそうに女子トイレの方に向かって行ったー。
「ーー大丈夫かなぁ…」
少しだけ笑いながらも、心配そうに言葉を口にする真梨香ー。
がーーー
その時だったー
真梨香がビクッと震えるーー
「ーーーーー」
少しの間、ボーッとしていた真梨香は
やがて周囲をキョロキョロしながら
「え…?ここどこー?」と、そう言葉を口にして
そのまま菜々美(慎吾)を待つことなく、
どこかへと歩いて行ってしまったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー!!!」
真梨香はーー
気付いた時には、
地下鉄のホームにいたー。
「ーーーえっ…」
困惑する真梨香ー。
すぐに真梨香は”自分の声”が違う声になっていることに気付くと
「ーーわたし……入れ替わっちゃったんだー」と、
心底残念そうに言葉を口にするー。
スカートを履いているところを見ると
どうやら”同性”と入れ替わったようだー。
「ーーこ、ここはー…どこー…?」
真梨香はそう言葉をしながら立ち上がると、
「ーー美由紀(みゆき)ー?」と、近くで男の声が聞こえたー。
「ーーー!」
美由紀と呼ばれた真梨香は、戸惑いながらその方向を振り返ると、
眼鏡をかけた優しそうな男の姿があったー。
「ーーあ……え、えっとー」
”美由紀”と呼ばれた子になってしまった真梨香が戸惑いながら言うと、
眼鏡の男はため息を吐き出しながら言葉を口にしたー。
「ーーーあぁ、ごめんねー。
”入れ替わった”のかなー?
僕はーー健太(けんた)ー。
ーーーあぁ…まぁ、身体の名前は違うんだけどー…」
”健太”と名乗る男がそう言葉を口にすると、
「ー身体の名前は、入れ替わった時、身分証も何もなくて、分からなかったから」と、
そんな言葉を続けたー。
「ーーーあ…は、初めましてー…
なんかー、そのーごめんなさいー」
美由紀(真梨香)が、そう言葉を口にすると、
「ーーいや、いいんだー。”入れ替わり”は誰にも止められないんだからー」と、
そう言葉を口にする”健太”ー。
「ーーそ、そのー…”この人”はー?」
美由紀(真梨香)が、美由紀の身体に触れながらそう言うと、
”健太”は少し寂しそうにしながら
「ーー美由紀はー…僕の妹だよー」と、
そう言葉を口にしたー。
「ーーと、言ってもー
”僕”も”美由紀”も、元々の身体じゃないんだけどねー」
”健太”と名乗る男はそう言うと、
美由紀(真梨香)は戸惑いながらも
「わたしもーさっきまで”大事な人”と一緒にいたのでー」
と、彼氏の慎吾のことを口にするー。
「ーはは、そっかー」
”健太”はそれだけ言うと、
「ーーここは、”青森県”だった場所だけどー、
君はさっきまでどこにー?」と、
そう言葉を口にするー。
その言葉を聞いた美由紀(真梨香)は悲しそうに
「ーーーー随分、慎吾と離れちゃったなぁ…」と、
ひとり、そう言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーくそっー真梨香ー…いったいどこにー?」
一方、トイレに入っている間に、
”真梨香”が入れ替わってしまい、姿を消してしまったことで、
菜々美(慎吾)は戸惑いの表情を浮かべていたー。
慎吾からすれば”理由も分からないまま、真梨香が姿を消した”状態ー。
”誰かに連れ去られたのかー?それとも…入れ替わってー?”
そんな風に思っていると、
”突然”視点が変わるー。
「ーーー!?!?!?!?!?」
慎吾が驚いて、表情を歪めると、
「ーーど、どうしたー?」と、横にいた髪の短い人物が言葉を口にしたー。
一瞬”男”に見えたものの、声を聞く限り女に思えるー。
よく見たら胸のふくらみも服の上から見えるー。
「ーー…え…あ、いやー…い、今、入れ替わったばかりでー」
慎吾が”新しい身体”でそう言うと、次に入れ替わった相手は”男”で
あるようだと悟るー。
「ーーはぁーーっ、んだよ、入れ替わったのかよー」
髪の短い女が、面倒臭そうにしながらそう言うのを見て、
慎吾は新しい身体で”ごめん”と、そう言葉を口にするー。
「はぁー、せっかく”俺”と相棒でー、
”入れ替わりシステム”を破壊しようとしていたのにー」
女はそう言うと、”既に”中身は別の男なのか、男のような喋り方で
言葉を口にしたー。
「ーあぁ、俺は”達夫(たつお)”ー。
この身体ー、女の名前は知らないー。
元々髪の長い可愛い子だったんだけどさー
面倒でバッサリ切っちまった」
女は”達夫”と名乗って、そう言葉を口にするー。
「ーーあ、ど、どうもー、
俺は”慎吾”ですー。」
慎吾は、新しい身体でそう言葉を口にすると、
女(達夫)は「ーーあぁ、その身体の名前は新次郎(しんじろう)だけど、
まぁ、どうでもいいかー」と、笑いながらガムを口にするー。
「お前も噛むか?」
女(達夫)の言葉に、新次郎(慎吾)は、戸惑いながら
「いやー」と、そう言葉を口にすると、
「そ、それより”入れ替わりシステム”の破壊ってー?」と、
そう続けたー。
「ーあぁ、俺と相棒でさー
この先にある入れ替わりシステムを統治する人工知能を破壊する
計画を練ってたんだよ」
女(達夫)はそう言葉を口にすると、
新次郎(慎吾)は青ざめるー。
”入れ替わりシステム”を破壊しようとした人間は、
今まで、悉く”入れ替わり”で葬られているー。
この”達夫”という人物はそれを知らないのだろうかー。
新次郎(慎吾)が危険を指摘すると、
女(達夫)は「ーーはぁ、でもこのままじゃいけねぇだろ?
こんなコロコロ入れ替わっちまうなんて、やってらんねぇ」と、
うんざりした様子で呟くー。
「ーーー」
新次郎(慎吾)は戸惑いの表情を浮かべながら空を見上げるー。
”真梨香ー”
真梨香は今、どこにいるのだろうかー。
今日は一緒でも、明日になれば一緒にいられないかもしれないー。
明日には、自分が自分でなくなったり、
真梨香が真梨香でなくなったりー、
いつかそんなことになるとは覚悟していたー。
けれどーーー
「ーーーーー」
新次郎(慎吾)は、真梨香の身をただ案じながら
不安そうな表情を浮かべるのだったー。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
次回が最終回デス~!!★
入れ替わりシステムの暴走で崩壊した世界の
物語の結末を見届けて下さいネ~!!
今日もありがとうございました~~!!

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