義父と義姉が入れ替わっているー。
そのことを知ってからも”新しい家族”としての生活は続くー。
その先に待ち受けているのはー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーー最近、前より二人ともよく一緒にいるよね?」
母・裕子が、楽しそうに雑談をしていた
希海(隆俊)と、健吾の方を見てそんな風に笑うー。
「ーーははー、まぁー、姉さんとか兄さんとかいなかったから
新鮮でー」
健吾がそう言葉を口にするー
”新鮮”なのは別の理由ー…
義姉・希海の中身が”別人”であることも含まれているものの、
純粋に、今まで姉とか兄がいなかったからー、という気持ちも嘘じゃないー。
「ーーわたしも!!
それに、健吾、いい子だしー」
希海(隆俊)がそう言うと、裕子は「ふふーこれからも仲良くしてあげてねー」と、
希海(隆俊)にそんなお願いをするー。
「ーーもちろん」
希海(隆俊)は笑いながら頷くと、
そのまま健吾と話の続きをするー。
普段は別に”入れ替わり”のことは話さないー。
希海と隆俊の二人が、それを話されることをどう思っているか分からないし、
母・裕子はそのことを知らないだろうからー、
あまり堂々と入れ替わりのことをしゃべるわけにもいかないー。
健吾の母・裕子にそれを言うかは、
再婚相手である隆俊(希海)と、その娘である希海(隆俊)の二人が
考えることで、健吾は二人の意思を尊重しようと、そう考えていたー。
「ーーでも、家に同年代の女子がいるって、なんかやっぱ変な気分だなぁ」
健吾がそう言うと、
希海(隆俊)は「あははー急に戸惑わせてごめんねー」と、笑うー。
”しかも”中身が男だなんて、余計に戸惑ってしまうー。
健吾は内心でそう思いつつも
「でもまぁ、彼女もいたことないからー、そういうー”練習”っていうかー
女子慣れするためにはいいのかもー」と、そう言葉を口にすると、
希海(隆俊)は「え~…健吾なら彼女もできると思うケドなぁ~」と、
そう呟きながら、色々アドバイスを始めるー。
「ーほら!好きな子がいたらとにかくアタックするとか!」
希海(隆俊)の提案に、健吾は少し苦笑いしてから
「今の時代はそれやると、SNSとかですぐ広まっちゃうからなぁ…」と、
そう呟くー。
「ーあ、あははーそ、そっかー」
希海(隆俊)は笑うー。
見た目が女子高生でも、中身はその父親であるために、
希海の言うことは、時々、生きてきた時代の違いを感じるー。
が、そんなギャップも健吾は好きだったー。
「ーーーでも、健吾なら大丈夫ー
焦らずに頑張って!」
希海(隆俊)はそう言うと、健吾は「べ、別に焦ってはないよー」と、
苦笑いしながらそう呟いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーごめんね」
ある日の夜ー。
隆俊(希海)がそんな言葉を口にしたー。
「ーーえ?」
希海(隆俊)が不思議そうに首を傾げると、
「ーーお父さんの身体で勝手に結婚してー」と、
隆俊(希海)はそう言葉を口にするー。
「ーーふふー気にしないでーー
あ、いやー、気にしなくていいさー」
希海(隆俊)は、
つい”希海”として喋るのが当たり前になっていて
そう言い直すー。
”元の自分”として話すのは二人きりの時だけで、
ほとんどその機会もないし、
周囲に聞かれるかもしれない時は、二人きりでも
希海(隆俊)は娘として、隆俊(希海)は父親として
話すようにしているため、こうして元の自分として
喋る機会はあまりないー。
「ーふふー。久しぶりに聞いたー
”お父さん”としての言葉ー」
隆俊(希海)がそう言うと、
「ーーははー…まぁ、今はもうこの方が違和感あるけどなぁー
声も、こうだしー」と、
希海(隆俊)は自分の口を指差しながら笑うー。
「ーーでも、ホントに再婚のことは気にしなくていいさー
俺だって、希海の身体で大分好きにしちゃってるし
いつまでも気を遣って何もできないままじゃ、
希海も辛いだろうからー
せめて、希海の好きなようにさせてあげたいしー」
希海(隆俊)はそう言葉を口にすると、
隆俊(希海)は少しだけ笑うー。
そして、少し間を置いてから続けたー。
「ーーお父さん、だいぶ女子高生してるよねー?
わたしがそのまま女子高生になった場合よりも
なんだかキラキラしてそうー」
とー。
「ーーは、はははーそうかなぁ~?」
少し照れ臭そうにする希海(隆俊)ー
が、少し間を置いてから、希海(隆俊)も、
「それを言ったら希海だって、いいお父さんしてるじゃないかー」と、
そう言葉を口にすると、
「健吾もー、”いい父親だよー”ってそう言ってたしー」と、笑うー。
「ーえへへー少し照れるかもー」
隆俊(希海)はそう言葉を口にすると、
「ーーでも、今、急に元に戻っちゃったらー
それはそれでまた色々大変かもなー」と、
少し心配そうに呟くー
「確かにー。もうすっかり”今”に慣れちゃったもんねー」
隆俊(希海)はそれだけ呟くと、
希海(隆俊)は静かに頷くー
二人は、隆俊(希海)が”再婚”してからは
元に戻ろうとすることを試すのをやめているー。
隆俊(希海)が
”今はもう幸せだしー、このままでもいいよ”と、
そう言い始めたからだー。
”え?でも、20年以上も人生を奪ってしまってー”と、
学生だった希海が一気に年老いてしまったことを気にして、
希海(隆俊)はそう言ったものの、
それでも”今が幸せ”だと、隆俊(希海)はそう言うのだー。
好きな人ー…
再婚相手の裕子と出会えて幸せなのだとー。
何十年分の人生を捧げてでも、
それでいいのだとー。
だから、二人はここ最近は”元に戻るため”のことはしていないー。
「ーーまぁ…入れ替わった時のようなことが起きなければ
急に戻ることはないだろー」
希海(隆俊)がそう呟くー。
入れ替わった時のように”希海が転落して、それに隆俊が巻き込まれる”ようなことが
また起きなければ入れ替わりは起きないと思うし、
入れ替わった直後、”同じこと”を再現しても、2度目の入れ替わりは発生しなかったー
元に戻ろうとしても戻れなかったんだし、
今更元に戻ることはないはずだー、と、二人はそんな風に話をしながら
親子のひと時を過ごしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー。
「ーーえ~?ここは、こうしてー
そうそう!そんな感じ!」
リビングで、希海(隆俊)が
一学年下の健吾に勉強を教えているー。
健吾は「あ、そっか!ありがとう」と、そう言葉を口にしながらー、
”元々義姉さんってのもあるけど、やっぱ中身は大人だけあって凄いよなー”と、
勉強を教えてもらいながらそう実感するー。
中身の隆俊は”2度目の高校生活”なわけだし、
その分、知識も豊富なのだろうー。
希海(隆俊)に勉強を教えてもらうようになってからー、
最近は成績も上がってきている気がするー。
”ー元々、随分頭いいなぁ、って思ってたけど、今思えば
そういうことだったんだなー”
健吾はそんなことを思いつつ、希海(隆俊)のアドバイスに耳を傾けるー。
そんな時だったー。
「ーーあ…電気が切れちゃったー」
母・裕子が、電球を見つめながらそんな言葉を口にするー。
故障ではなく、電球は消耗品ー。
単に取り換えの時期がやってきただけだー。
「ーははーじゃあ、僕が変えておくよ」
隆俊(希海)がそう言葉を口にすると、
そのまま電球を交換し始めるー。
そんな様子を、希海(隆俊)は少しだけ心配そうに見つめるー。
身体は娘になってもー、
心も女子高生になりつつあってもー、
それでもやっぱり”娘”のことは心配だー。
「ーはは、トシさんは頼りになるなぁ」
近くでのんびりしていた健吾も、義父の隆俊(希海)の方を
見つめながらそんな言葉を口にするー。
「ーーお父さんー気を付けてね」
希海(隆俊)がそんな言葉を口にすると、
隆俊(希海)は「ははー大丈夫大丈夫ー背も高いしー」と、
そう言葉を口にするー。
そんな発言に、健吾の母・裕子は
二人の入れ替わりを知らないために、特に何とも思わなかったものの、
二人の入れ替わりを知っている健吾は、
”希海と隆俊”の身長を見比べて
”あぁ、確かにー義姉さんが、トシさんの身体になったら
背が伸びたように感じるだろうなぁ”と、心の中でそんなことを口にするー。
そうこうしているうちに、電球を順調に交換していく
隆俊(希海)ー。
がーー
その時だったー
「ーーー!」
隆俊(希海)が足を滑らせるー。
「ーー!」
希海(隆俊)は、それにすぐに気づくー
身体は変わってもー、
身体では”娘”になってもー、
やっぱり、今でも父親としての感情は当然
完全には消えていないー。
娘の危機に咄嗟に反応するとー、
転倒しそうになった隆俊(希海)を守ろうとするー。
その瞬間ー
3年前に自分と娘の希海が入れ替わってしまった時のことが
頭の中によぎったー。
”あの時と同じー”
すぐに、そう思ったー。
けれどー、
落下してくる隆俊(希海)を”希海の身体”で受け止めきることは
出来ずに、そのまま”あの時と同じように”
希海(隆俊)は隆俊(希海)の転落に巻き込まれてしまったー。
”いつか”こうなることは運命だったのかもしれないー
希海(隆俊)は意識が途切れる直前に、
そんな風に思ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーはぁ」
健吾はため息をつくと、姉・希海の部屋をノックしたー。
すると、そこには
落下してきた父・隆俊を受け止めた際に
手を擦りむいたのか、手に絆創膏を貼った希海の姿があったー
「ーー義姉さんー」
健吾が心配そうにそう言葉を口にしてから、
「ーー怪我は、大丈夫ー?」と、そう付け加えると、
希海は苦笑いしながら「なんとかー」と、
そう言葉を口にしたー
「でもーーー」
希海は少し寂しそうに窓の外を見つめると、
「ーでもーてっきり”元に戻る”かと思っちゃったよー」と、
照れ臭そうに笑ったー。
「ーー最初に意識取り戻したとき、あるかどうか確認しちゃったもんー」
と、希海は苦笑いすると、
健吾は「ははーでも、無事でよかったー」と笑うー。
希海と、隆俊は、
”入れ替わらなかった”ー。
てっきり、入れ替わった時と同じような状況になり、
”また”入れ替わって元に戻ると、そう覚悟していた希海(隆俊)ー
しかし、結果ー
入れ替わりが再び発生することはなく、
希海は、まだ希海(隆俊)のままだったー。
「ーーーまぁ、考えてみれば今までも似た状況をわざと作り出して
何度も試してるから、戻るわけなかったんだけどー
今回は、わたしたちが入れ替わった時以来の
”自然な事故”だったからー」
と、希海(隆俊)はそう呟くー。
この感じだと、恐らくもう元に戻ることはできないのだろうー
ただーーー
「ーーー俺にとっては中身がどうだって、
出会ったときからそうなんだからー
義姉さんは義姉さんだしー、トシさんはトシさんだしー
もし、この先、元に戻っても戻らなくても
”家族”であることには変わりないからさー」
健吾がそう言うと、
希海(隆俊)は少しだけ笑うー。
そして「ありがとうー」と、そう言葉を口にすると、
「ー健吾はわたしの大事な弟だよー」と、
穏やかに微笑みながら言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
母・裕子と、再婚相手の隆俊(希海)が
楽しそうに話しているー。
電球を交換しようとして転落したことを
心配しつつも、「気を付けてよね~」などと
そう言葉を口にしているー。
「はははーついー前も同じようなことがあってー」
隆俊(希海)は入れ替わってしまった時のことを
口にしながら笑うー。
隆俊(希海)自身も、やはり希海(隆俊)と同じように
転落した際には”また入れ替わっちゃう”と、そう思ったー
けれども、そうはならなくてー
正直ー、安堵したー。
父の身体で”好きな人”を見つけて結婚した今、
もう、”今のまま”がいつの間にかよくなっていたのかもしれないー。
部屋から出てきた希海(隆俊)と、健吾も
そんな二人に近付いてくると、
希海(隆俊)は笑いながら「も~!お父さん気を付けてよね~」と、
娘としてそんな言葉を口にするー。
そんな光景を見つめながら、健吾は改めて
”母さん”と”新しい家族”を大事にしていこうと
そう思うのだったー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
最終回で元に戻ってしまいそうなフラグを立てつつ、
何も起こらない(元に戻らない)結末…★!
そんな、フェイントな結末のお話でした~笑
これからも、この家族は幸せに
過ごしていけそう…ですネ~!
お読み下さりありがとうございました~!★!
コメント
平和に終わって安心しました笑
いろんな展開、予想しましたがハズレました笑
さすが無名さんなのデスっ!☆
自分が無名さんのカラダでオシャレして採点される…最初は甘めの採点でお願いしますネ(^_-)☆笑
無名さんのカラダで無名さんにカラダに似合った着こなしする自信あります☆d=(^o^)=b☆
日頃からいろんなタイプのレースクイーンの娘の撮影会の画像とか見てるから自信あるのデス(´∀`)b☆
感想ありがとうデス~~~!★★!
今回はいつも読んで下さっている皆様が
きっと”何か起こりそう”と予想しそうだと思ったので、
あえて、何も起こらない最終回~!!という感じで
作った物語でした~笑
裏の裏をかくのも楽しいのデス…!