病により、命を落とした父親ー。
それから数年後、母親は”再婚”したー。
しかし、再婚相手となる”新しい父親”には、
娘がいて、その娘の様子がなんだか変でー…?
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「ーーただいまー」
高2の今村 健吾(いまむら けんご)は
いつものように家に帰宅するー。
「ーーおかえりなさいー」
そんな健吾を出迎えたのは、
”新しい父親”の、今村 隆俊(いまむら たかとし)ー。
優しそうで穏やかな雰囲気で、物静かなタイプー。
そんな隆俊と、健吾の母親である今村 裕子(いまむら ゆうこ)は
”再婚”したー。
母・裕子の再婚相手、隆俊にも”子供”が一人いて、
その隆俊と再婚したことによって、
健吾には突然、”姉”ができることになったー。
義姉となった今村 希海(いまむら のぞみ)は
高校3年生ー。
とても可愛らしい雰囲気の子で、
母・裕子の再婚が決まった時には
”えっ!?俺、こんな子と一緒に暮らすのかー?”と、
しばらくドキドキしてしまったぐらいだー。
今はだんだんと慣れてきて
一緒に暮らすことにも違和感はなくなってきたものの、
それでも、やはりドキドキしてしまうー。
「あー、健吾ーおかえりー」
そんな希海が帰って来た健吾に気付いて微笑むー。
「ーーえ、えっとーね、義姉さんー…ただいまー」
健吾は照れ臭そうにそう言葉を口にするー。
最初に会った時には
”あ、あのー何て呼べばいいですか?”などと
敬語で話しかけるような有様だったものの、
今はようやく、敬語ではなく、
普通に話せるようにはなったー。
「ーー母さんー。ただいまー」
健吾は、自分の母親である裕子に声を掛けると、
自分の部屋にいた裕子は、
「あ、おかえりー」と、そう言葉を口にするー。
母の部屋には今も、健吾の父親であり、
母・裕子の”元・夫”である達夫(たつお)の写真が
飾られているー。
母・裕子が”再婚”に至ったのはー、
夫であり、健吾からすれば父親であった達夫が
”病気”で命を落としたことによるものー
決して、喧嘩別れしたわけでもなく、
元夫に裏切られたわけでもないー。
父・達夫は、母・裕子のこともとても大事にしていたし、
息子である健吾のことも、本当に大事にしてくれていたー。
だがー、”病”には勝てなかったー。
弱っていく中、達夫は言ったー
”俺がいなくなったら、俺のことは気にしなくていいー。”
ずっと、一人でいる必要はないからー…
その時が来たらー”
と、妻である裕子に”再婚”するような機会が訪れたら
気にしなくていい、と、そう口にしていたー。
父・達夫は、自分が早く死ぬことによって、
この先もずっと妻の裕子が一人になってしまうかもしれないことを
最後の最後まで気にしていたー。
そんな言葉もあり、それから5年以上が経過したタイミングで、
母・裕子は職場で”出会い”に恵まれて
隆俊と”再婚”したー。
再婚相手である隆俊にも”妻”はいたようで、こちらは死別では
ないものの、何やら事情があって別れたようで、
娘の希海を連れて、裕子と再婚したのだー。
「ーーー父さんも、ただいまー」
写真に向かって亡き父・達夫に話しかける健吾ー。
健吾は母・裕子と雑談を交わすと、
そのまま自分の部屋に向かって歩き出したー。
「ーーー」
新しい父・隆俊は穏やかな性格で、
健吾に対してもとてもよく気を遣ってくれていて、
”父親”という風にはあまり、気持ち的にもまだ思えなかったけれど、
”トシさん”と呼びつつ、それなりに良好な関係を築いていたー
そんなー
”新しい家族”として生活していく健吾ー。
戸惑いはありつつも、
新しい生活にも慣れつつはあったし、
”イヤだ”という感情はなかったー
がーーー
「ーーー」
最近は、ある”違和感”を覚え始めていたー。
それはー
義姉となった1学年上の希海のことー。
時々、妙に男のような言動をすることがあったり、
急に男口調で話したりすることがあるのだー。
そして、この前に至っては、
”健吾ともうちょっと仲良くなりたいから”と、
希海に誘われて一緒に買い物に出かけた際に
”男子トイレに入ってしまった”こともあったー。
「ーなんか、義姉さんって、
時々”男”みたいだよなー」
と、健吾が冗談で言葉を口にしたところ、
「ーい、い、今は女だから!」などと
意味の分からない返事までされてしまい、
さらに戸惑ってしまったー。
なんだか、”義姉さん”の様子が変なのだー。
しかし、新しい父親となった隆俊にそのことを
聞くわけにはいかないし、
母の裕子に聞いても”別に、そういうこともあるんじゃないー?”と
言われるだけで、何も解決しなかったー。
”ー実は男の娘だったりするのかなー?”
好奇心旺盛な健吾は、そんなことを思い始めつつ、
最近は、義姉・希海のことをそれとなく観察していたー。
そんなある日ーー
今日はー
義父・隆俊と、母・裕子が仕事で不在ー、
義姉の希海は、学校行事の振り替え休日で休みで家にいるー
そんな状態ー。
健吾は、学校から一度帰宅して、
週に数回のバイトに向かうために準備をするー。
「ー毎日大変だねー。お疲れ様ー」
今日も可愛らしい服装の希海が、穏やかに笑いながら
そう言葉を口にするー。
「ーははーそうでもないよー。
バイトも週に2回ぐらいだしー、どうってことないよー」
健吾はそう答えながら「じゃあ、義姉さんー行ってきますー」と、
そのままバイト先に向かうー。
しかしー家を出て5分ー。
健吾は”あること”に気付くー。
バイト先に持って行く予定だった母・裕子が
事前に用意してくれていた弁当を忘れてしまったのだー
「やべっ!弁当!」
家を出て5分のタイミングでそれを思い出した健吾は、
まだ、一度家に引き返しても十分に遅刻せずに
バイト先に到着できるタイミングだったため、
家に向かって引き返していくー。
がーー
家に入るとーー
健吾は異変に気付いたー。
女の喘ぐような声が聞こえたのだー
「ーー????」
健吾は表情を歪めるー。
義父と母は仕事で不在ー。
家の中にいるとしたら、義姉の希海のみー。
希海が、彼氏でも連れ込んだのだろうかー。
”ーーまぁ、義姉さん可愛いしー…
彼氏とかもいるよなきっとー”
そう思いつつ、気まずそうに冷蔵庫の方に向かうー。
がーーー
”ーーはぁ~~やっぱ、希海は可愛いなぁ~~
へへー…
”娘”の身体でこんなことするのはアレだけどー
でもー…ーーなんかこうー
少しぐらいはいいよなー”
義姉・希海が、変な言葉を口にしているのが聞こえたー。
どうやら、希海は洗面所の方にいるようだー。
なんとなく気まずい感じになった健吾は、
冷蔵庫から弁当箱を取り出して、
希海と顔を合わせないように、そのまま引き返そうとするー。
しかしーーー
”それにしても”俺”たち、どうやったら元に戻れるんだー?
いつまでも俺の身体じゃ、希海も可哀想だしー…
なんとか元に戻れればー…
入れ替わった時の状況を試しても元に戻れなかったしー”
希海がブツブツとそんな言葉を口にしているのが聞こえたー。
”い、入れ替わりー…?”
健吾は弁当箱を手にしたまま、
「どういうことなんだー?」と、戸惑いの表情を浮かべるー。
そして、そうこうしてるうちにー
「ーって、うわっ!?!?!?」
洗面台から戻ってきた希海と、鉢合わせしてしまった健吾ー。
バイト先に行ったはずの健吾が
家の中にいたことに驚いて声を上げた希海は、
「ーけ、け、け、健吾ー!?なんで家の中に!?」と、
心底驚いた様子で声を発するー。
健吾は「べ、べ、べ、弁当箱を忘れてー」と、
そう説明すると、希海は「ふ~ん」と頷きながら
健吾の方をじっと見つめたー。
「ーー今、聞いてた?」
とー。
「ーーえっ…あ、い、いやー、お、俺は何も~…」
健吾が誤魔化すー。
嘘が下手なのか、明らかに変な表情を浮かべてしまっているー。
「ーーーーーー…聞いたでしょ?」
希海は疑うような口調で再度同じ言葉を繰り返すと
健吾の方をじーっと見つめ始めるー。
「ーえっ…あーー…え、えっと、そのー」
健吾が目を逸らすと、
希海は「ーー聞いたんだね?」と、言葉を口にしてから
「は~~~~~…」とため息を吐き出すー。
「ーーーまだバイトまで時間ある?」
希海がそう確認すると、
健吾は「少し余裕があるから、20分ぐらいならー」と、
そう返事をすると、
希海は「座ってー」と、椅子に座るように促してから
自分も反対側のイスに座ったー。
「ーーーー別に隠す気はなかったっていうかー…
言えば混乱すると思ったからずっと言って来なかったんだけどー…
”聞かれちゃった”なら言わない方が余計に変な疑いを
持たれそうだからー」
希海はそれだけ言うと、ふぅ、と息を吐き出してから
落ち着かない様子で言葉を口にしたー。
「ーーわたし、実は”中身”がお父さんなんだよねー」
とー。
「ーーーえ?今、何て?」
突然の”意味不明”な言葉に、健吾は思わず変な声を出してしまうー。
「ーーーーえ~っと…そのー
わたしと、お父さん、”入れ替わって”るのー」
希海がそう言葉を口にするー。
「ーーー…え??????」
健吾は、さらに困惑の表情を浮かべるー。
義姉の希海が何を言っているのか、さっぱりわからないー。
「ーえ~っと、だから、身体は女子高生だけど、中身はおっさんってことで、
お父さんの方は見た目はお父さんだけど、中身は女子高生ってことー」
希海は、困惑した表情でそう説明すると、
健吾は「え??なになになに???え?????」と、
心底混乱したような反応を見せるー。
「ーーーーー」
希海は少しためらった後に、
「ー娘の身体で、人前でこういう喋り方したくないんだけどー、
つまり、本当は”俺”が父親で、娘と入れ替わっちゃって
今、こうして娘の身体で生活してるんだー」と、
そう言い放ったー
「ーーえぇっ…!?」
ようやく、健吾も、希海ー、いや、希海(隆俊)が言っている
言葉の意味を理解したのか、困惑の表情を浮かべると、
「ーじ、じゃあ、…え??と、トシさんー?」と、
義父となった隆俊に対する呼び方でそう言葉を口にするー。
希海(隆俊)は少し恥ずかしそうに頷くと、
「あ!でも!」と、言葉を口にするー。
「ー入れ替わったのは”3年前”だからー、
健吾と出会った時には、もうとっくに入れ替わってたしー、
お父さんと裕子さんが出会った時にはもう入れ替わってたからー」
と、入れ替わりは再婚する前からであることも伝えたー。
「ーーだ、だから3年も女子やってるからー
もう、ほとんど女子みたいなもんだし、あまり気にしないでー
ね?」
希海(隆俊)はそう言いながら落ち着かない様子で
自分の髪を触るー
「き、気にしないでって言われてもー
ね、義姉さんの中身が父親の方だって言われると
どうしても意識してしまうっていうかー」
健吾がそう言うと、
希海(隆俊)は「ま、まぁ、それはそうだよねー」と、苦笑いするー。
義姉と義父が入れ替わっていたー。
そう言われると確かにこれまでのことで納得することがあるー。
希海は時々、男のような口調になったり、振る舞いをしたり、
一緒に出掛けた際に間違えて男子トイレに入ったりもしていたー。
それはーきっと中身が父親の方だからなのだろうー。
一方、義父の隆俊も若者の話題に妙についてきたり、
物腰が妙に低かったり、違和感はあったー。
二人が元々入れ替わっていたとすれば、頷けるー。
「ーーそもそも、”離婚”も、これが原因だからー」
希海(隆俊)は少し寂しそうに言うー。
健吾にとって”新しい父親”となった隆俊が
元妻と離婚したのは”入れ替わり”が原因なのだというー。
娘と夫が入れ替わってしまい、
最初は支えようとしていたものの
”やっぱり、わたしには無理ー。ごめんー”ということで、
離婚となって、
隆俊(希海)と希海(隆俊)は共に暮らしながら
過ごして来たのだと言うー。
「ーーそれでー…元に戻る予定とかは?」
健吾がそう言うと、
希海(隆俊)は苦笑いしたー。
「色々試したけど、元に戻ることができなくてー。
そうこうしているうちに、3年ー」
希海(隆俊)のその言葉に、健吾は「そっかー」と、
そう言葉を口にするー。
新しい父親と、”義姉さん”は
入れ替わっているー。
この日、健吾はそんな秘密を知ってしまったのだったー
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
新しい家族となった二人が
入れ替わっている…☆
そんなお話デス~~!!
急にそんなことを知らされたら、
びっくりしちゃいますネ~!☆

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