<女体化>TS予報①~気圧~

2XXX年ー。
地球の環境は激変していたー。

人間を女体化・男体化させる特殊な気圧が発生するようになり、
その世界では当たり前のように「TS予報」が毎日放送されるようになっていてー…?

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”今夜からあすの未明にかけて、TSの危険性が高まるでしょう
 外出の際はーー”

「ーーーは~今日は、早めに帰った方が良さそうだなぁ」
男子大学生の大原 幸也(おおはら ゆきや)が
テレビを見つめながら言うー。

「ーあはは 別にいいんじゃないー?
 お兄ちゃんも、可愛くなれるかもよ?」
隣にいる、現在高校に通っている”妹”が、笑いながらそう言葉を口にすると、
幸也は「別に可愛くなりたいとか思ってないしー」と、
そう言いながら、テレビで放送されている”TS予報”を見つめるー。

”TS予報”ー
今よりも遥か未来の地球ー。
この世界では、地球の環境は激変し、
未知の気圧が発生するようになっていたー。

それにより、様々な現象が起きるようになり、
そのうちの一つが”TS”ー。
つまり、人間の性別が変わってしまうというものだったー。

人間に特殊な作用をもたらす”TS気圧”と名付けられたそれの影響により、
個人差はあるものの、男性は女体化、女性は男体化してしまう恐れがあり、
それを防ぐべく、開始されたのが「TS予報」だー。

この世界では天気予報のように、毎日のようにテレビやスマホなどで
それが報じられており、
人々はTS予報を見て、外出の予定を中止したりすることもある、
そんな状態だー。

TS気圧が発生するようになってからは、
建物に”気圧”による影響を防ぐ特殊な加工を施すことが
義務付けられるようになり、
現在では、屋内にいれば”TS気圧”の影響を受ける心配はないー。

もちろんTS気圧だけではなく、
遠い昔から存在した”気圧のせいで頭痛が…”と、そういったことも
屋内にいればこの時代では発生しないー。

TS気圧が通過する際、発生する際に外にいても、
全員が女体化・男体化してしまうわけではなく、
影響を受ける人間、受けない人間がいるものの、
TS気圧が強ければ強いほど、その影響は受けやすかったー。

「TS確率30%だってー」
妹が笑いながら言うと、兄の幸也は
「30かぁ~…微妙なところだなぁ」と、そう言葉を口にするー。

”TS確率”は、その日の気圧条件から
”外にいると、女体化や男体化してしまう可能性”を示す数字ー。

降水確率と同じような感覚で、
”10%”や”20%”なら、感覚的にあまり警戒しすぎる必要はないものの、
”30%”を超えると、感覚的に大分怪しい感じにはなるー。

「ーー30%なら平気でしょ。
 彼女さんとのデート、予定通りしてくれば?」
妹にそう言われた幸也は「嫌だよー」と、そう言葉を口にするー。

「ー明菜(あきな)が、男体化しちゃったら大変だろー?
 明菜は”2”なんだから、もう、これ以上はヤバいだろうしー」

幸也がそう言葉を口にするー。

”2”とは、TSした回数を示す言葉だー。
女体化と男体化は、”1回”だけではなく、複数回発生することもあるー。

例えば、女体化したあとに、もう一度男体化して男に戻ることも
可能なのだー。

がー、”度重なるTS”は身体に大きな負担を掛けるー。
1度目のTSの際に死亡する確率は0.01%にも満たず、
事例はほとんどないものの、
2度目のTSの際の死亡率は5パーセント。
TS気圧によって死亡することが実際にあるのだー。

そして、3度目はおよそ3割が死ぬー。

人体は、何度も何度も性転換できるほど、
頑丈には出来ていないのだー。

そして、幸也の彼女である”明菜”は
既に2度、TSしているー。

一度、中学に通っている頃に、
TS気圧が発生している日にどうしても外出しなくてはならない用事があり、
男体化してしまい、
明菜本人が”どうしても元に戻りたい!”と、ずっと泣き続けていたために、
TS確率の高い日に再び外出、再度女体化して、女に戻ったために、
明菜は既に2度のTSを経験しているのだー。

そのため、”次”もしも、TS気圧によって男体化してしまうと、
それは”3度目”となるー。
3度目の死亡率は30%越えと言われていて、非常にリスクが高いー。

それに、2度目のTSは5パーセント、3度目のTSは30パーセントの死亡率…
とは言われているものの、
それはあくまでも”死亡率”の話だー。

2度目、3度目と回数を重ねるごとに”死にはしなかった”としても、
身体のどこかを壊してしまうリスクがあるのだー。

実際に、幸也の知り合いでも、”2度目のTS”をしてしまった際に、
片足を失った人間もいるし、
片目の視力が失われた人間もいるー。

1度目のTSでは、ほとんどそんなことは起きないものの、
2度目以降は、人体への負担が大きすぎるのだー。

3度目ともなれば、”かなりの割合”で、生きていたとしても
身体のどこかが壊れてしまうー。

だから、もう彼女の明菜を危険に晒すことはできないのだー

「そっかぁ…明菜さんはもう”2”だったんだっけー」
妹がそう言うと「じゃあ、TS気圧が強い日は外にでは出れないね~」と、
兄の幸也に対してそんな言葉を口にしたー。

「ーーそうそう。だから今日は大学が終わったら即帰宅だな」
幸也はそう言うと、妹は苦笑いしながら、
「ーでも、お兄ちゃんは別にいいんじゃないー?」と、そう言い放つー

「まだ”0”なんだしー、女体化してみたら?」
妹のその言葉に、幸也は首を横に振るとー、
「俺はお前とは違うんだよ!真司(しんじ)!」と、
そう叫んだー

幸也の隣にいる妹ーー
彼女の本名は”真司”ー。

彼女は元々、”弟”であったものの、
TS確率70パーセントの日に外出して”女体化”してしまいー、
それから既に3年が経過していたー。

「ーーーーも~!その名前で呼ばないでよ!
 今は詩織(しおり)なんだからねー?」

妹はそう言葉を口にするー。

この世界では”TS気圧”によって
女体化・男体化する人が後を絶たないため、
一度でも性別が変わったことのある人間は
”2つ”名前を持つことができるー。

男性名と女性名ー。
この二つだー。

幸也の弟・真司も、
生まれた時は男で、後から女体化したために
”真司”と”詩織”二つの名前を持っているー。

「ーーーーー…」
”詩織”と呼べと言われて幸也は少し戸惑いの表情を見せながらも、
「ーお前は”好きで”女体化したんだもんなー」と、言葉を口にするー。

TS気圧の出現以降、
”ある意味では”性別を選べるような世の中に変化したー。

女になりたい男は、わざとTS確率が高い日に外に出て女体化する人も多くー、
弟の真司も”僕、女になりたいなぁ”と、自ら女体化する道を選んだのだー

「ーーえへへー”女”の方が、わたしにはピッタリな性別だもんー」
”詩織”は、そう言うと、笑いながらTS予報が映し出された
テレビの方を見つめるー。
女体化してから数年ー。既に仕草も言葉遣いも、完全に女子そのものになっているー。

「ーあ、来週はTS気圧の発生状況が不安定になるらしいよー」
”詩織”がそう言うと、幸也は「お、ホントだー」と、
そう言葉を口にしてから「じゃあ、来週はオンラインで講義を受けるかー」と、
そう呟いたー。

TS予報によって、外出できる・できない日があるため、
この世界では学校も職場も”オンライン”で出来ることは
オンラインで行われるようになっていたー

場合によっては、お店なども連日休みになるようなケースもあり、
TS気圧の出現は、社会の様子を大きく変えてしまっているー。

「ーーーー」
大学にやってきた幸也は、彼女の明菜の姿を見つけると、
「明菜」と、手をあげるー。

「ーーあ、幸也ー」
微笑む明菜ー。

がーー
その明菜の”左手”は、”義手”になっていてー、
黒い手袋でそれを隠していたー。

明菜は、以前、
一度男体化してしまい、女に戻るために
もう一度TS気圧の影響を受けて女体化した際ー、
左手を失っているー。

その”傷跡”は永遠に消えないー。

「ーー今日、大学終わったあとの約束だけどさー…」
幸也がそう言うと、明菜は
「TS確率高かったもんねー。」と、苦笑いすると、
幸也は「なかなか、タイミングが合わないよなぁ」と、
少し悲しそうに言うー。

明菜は「わたしは午前中には家に帰ってあとは自宅でオンラインの予定だけどー」
と、そう呟くと、幸也は「あぁ、それがいいよー」と、そう頷くー。

TS確率が10%の時は、”ほとんど”そんなことは起きないものの
長く外にいればいるほど、そのリスクは高まるー。

明菜のように、既にTS回数が”2”だったりする人間はー、
より警戒しなくてはいけないー。

3度目の死亡確率は30パーセント越え。
身体に高い確率で”後遺症”が残るー。

「ごめんねー。いつも気遣って貰ってー」
明菜が申し訳なさそうに言うと、
幸也は「ははーいいさー。俺は全然気にしないよ」と、
そう言葉を口にすると、
「ー俺だって、女体化しちゃうかもしれないし
 TS確率が高い日は大人しく家にいるのが一番だからな」と、
笑いながら言葉を口にしたー。

「ーーあ、じゃ、わたしはそろそろ行くねー」
明菜が、義手になっている左腕を少し気にしながらそう言葉を
口にすると、幸也は「あぁ、お疲れー」と、それだけ言葉を口にして、
明菜を見送るー。

「午後になるとTS確率も上がるし、俺も午前中で切り上げるかー」

そう思いながら、幸也は時計を見つめるー。

「ーーへへーー残念だったな大原ー」
ふと、背後からそんな声が聞こえて振り返る幸也ー。

そこには親友の高西 卓(たかにし すぐる)の姿があったー。
彼は”小さい頃”、女だったと聞いているものの、
まだ物心がつく前に、”両親のミス”でTS気圧による影響を受けて
男体化してしまった経験を持っているー。

しかし、卓自身は”物心ついた時から男だったから”と、
特にそれを気にしていない様子で、幸也も卓のことは
完全に男として接しているー。

「ーーーんだよー聞いてたのかー」
幸也が苦笑いしながら言うと、
「まぁでも、今日の午後は結構、TSの確率高いみたいだし、
 不安定って言ってるから、それがいいよなー」と、
卓は大学の食堂のモニターを見つめながら言うー。

「ーーまぁなー。明菜は”2”だしー」
幸也がそう言うと、卓は「そうだなー。それがいい」と、
そう言いながら頷くー。

”3”
つまり、TS回数が3回の人間も大学にいるにはいるー。
が、一人は精神的におかしくなっているしー、
一人は立つこともできず、車いすの状態ー、
そしてもう一人は喋ることができなくなってしまっているー。

過去、”至って健康”で、3回のTSを経験した人間に
会ったことはあるものの、大半が”どこかしらを悪くしている”ー

”2回”の人間ですら、彼女の明菜のように
どこかを悪くしている人間もいるのだから、
当然と言えば当然だー。

「ーーー俺もこのあと、授業受けたらサッサと帰ることにするよー
 高西はー?」

幸也がそう聞くと、卓は「俺は大学の宿泊施設使うから平気さ」と、
そう答えるー。

”TS気圧”の出現後、大学や会社など”簡易”ではあるものの、
宿泊設備が整っているところが多く、ここにもそんな設備が用意されているー

卓はそこに泊るようだー。

「そっかー。じゃー。また明日なー」
幸也はそう言うと、そのまま卓と別れて
次の授業が行われる場所へと向かったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

がーーーー
その日、”それ”は起きたーーー

幸也が、帰りに乗っていたバスが、
暴走した乗用車を避けようとした際に
”横転事故”を起こしてしまったのだー。

幸也を含む乗客たちは病院に緊急搬送されたー。

そしてーーー

「ーーーお兄ちゃんー、よかったーー」
弟ー、いや、今は妹の詩織がそう言葉を口にするー。

「ーーー…」
バスの横転事故の際に身体を打ち付けて意識を失っていた幸也は
ゆっくりと目を開くと、
「ーー俺はー?」と、そう言葉を口にしたー。

がーーー
”自分の口”から出た声が”女”の声になっていることに気付くと、
幸也は表情を歪めるー。

「ーーお兄ちゃんー驚かないで聞いてねー。
 お兄ちゃんの乗ってたバスが事故を起こしてー
 搬送されるまでに少し時間がかかっちゃったからーー
 お兄ちゃんー……そのーー…女になっちゃってー」

妹の”詩織”がそう呟くー。

「ーーーえ…」

午後から”TS確率”が高まるはずだった今日ー。
バスの事故が起きて、搬送されるまでの間に
TS気圧が到達しー、
幸也は病院に緊急搬送される途中に”女体化”してしまったのだー

「ーーーお、俺が女にー?
 う、嘘だろー?」

女の声で戸惑う幸也ー。

幸也はこの日ー、人生で初めて”TS”を経験しー、
”0”から”1”になってしまったのだったー。

②へ続く

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天気予報のように”TS予報”が存在する世界を
舞台とした女体化モノデス~!★

個性的な世界(?)を楽しんでくださいネ~!!

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女体化<TS予報>

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