自我に目覚め、現実世界の征服を目論み始めた魔王ー。
そんな魔王は、現実世界の人間を乗っ取り、
世界征服のために動き出してしまうー。
魔王に彼女を支配された彼氏の運命は…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
♪~~~
彼女である明美の家の前にやってきた
雅人は、インターホンを鳴らしたー。
がー、応答はないー。
「ーーー…」
”やっぱり何かあったのかもしれないー”
そんな不安を覚えながら、もう一度インターホンを鳴らすと、
突然、玄関の扉が開いたー。
まるで、”入れ”と言わんばかりにー。
「ーーー……あ、明美ー?」
雅人は、戸惑いの表情を浮かべながら
家の中に向かって呼びかけるー。
しかしー、返事はないー。
いやー、それだけではないー。
なんだか、禍々しい気配を感じて、雅人は
このまま帰るわけにはいかないー、と
そんな風に思い、明美の家に足を踏み入れるー。
「ーお邪魔します…」
雅人がそう言葉を口にすると、
明美の部屋がある2階の階段に向かう際に
見えるリビングの方をチラっと見つめたー。
がー、そこにはーー
「ーーえっ…」
明美の”母親”らしき人物が、
石のようにされているのが見えたー。
「ーーー…え……だ、大丈夫ですかー?」
慌てて雅人が駆け寄るー。
しかし、明美の母親は微動だにせずー、
石のような状態になって、硬直しているー。
「ーー…あ…明美ー…!」
雅人は、”明美も同じ状態”になっているのではないかと、
そう思いながら慌てて2階に向かう階段に足を踏み入れるー。
しかし、階段の途中から、家の様子が激減するー。
禍々しい紫色の炎のようなものが壁に灯りー、
まるで”魔王の城”のような風景が、そこには広がっていたのだー。
形はよく知る明美の家ー。
しかし、壁や床ー、あらゆるものの雰囲気が
ゲームの中の”魔王の城”そっくりになっていたー。
”リアルファンタジーオンライン”のゲームの中の
魔王の城そっくりにー…。
「ーーーあ…明美ー…?」
明美の部屋に近付くと、さらに禍々しい雰囲気に変わりー、
雅人は思わず逃げ出したい衝動に駆られたー
けれどー…
恋愛とは縁のなかった自分のような人間のことを
好きになってくれてー、
いつも楽しそうに話を聞いてくれたりー、してくれたりー、
そんな明美のことを見捨てることはできなかったー。
勇気を振り絞って、部屋の扉を開けるとー、
そこには、全身黒っぽい服装の明美の姿があったー。
黒の短いスカートから覗く足を見せ付けるかのように
足を組むと、
明美はクスッと笑ったー
黒だったその髪は、少し明るい色に染まりー、
唇は少し赤く染まっているーー。
いつもと違う雰囲気の明美に少し驚きながらも、
ひとまず、明美が無事だったことに安堵した雅人ー。
「ーー明美ーーよ、よかったー。一体何が起きてー…?」
雅人がそう言葉を口にすると、
明美は「ーークククククー」と、笑い始めたー。
「ーー…あ、明美ー?」
いつもと違う雰囲気の明美が、いつもと違う雰囲気で笑い始めたー。
そんな光景に、雅人は戸惑いの表情を浮かべるー。
「ーよく来たなー”我”の元にー」
明美が、突然そんな言葉を口にするー。
「ーーえ…」
雅人は困惑の表情を浮かべるー。
すると、明美はいつもとは違う、
まるで女王のような偉そうな態度で言葉を続けたー。
「ーー我は”魔王”ーー
この女は、我の器ー」
明美は自分に触れながらそう言葉を口にすると、
「ーー我のいた世界は所詮、ゲームの世界ー。
貴様ら人間のいる現実世界に来るためには
”器”が必要だったー」
と、そう言葉を続けたー
「あ…明美ーー…な、なにを言ってるのー?」
雅人は怯えた表情を浮かべながらそう言うと、
「ーー我はこれから、貴様らの世界も征服するー」
と、明美がそう宣言したー。
「ーど…どういう…こと?」
雅人はそう言いながら周囲を見渡すー。
明美の部屋は、まるで魔王の部屋のような、
そんな光景に変わっているー。
昨日、”リアルファンタジーオンライン”をプレイした明美が
ゲームにハマりすぎて、魔王ごっこでも始めたのだろうか、と、
そんな無理な考えを巡らせてしまう雅人ー。
いや、そんなことはないー。
では、これは一体ー。
「ーー貴様の彼女の身体は我が貰い受けたー
肉体の支配、精神の支配ーそして、魔力の移転ー
そのすべてが完了したー」
明美はそう言うと、目を赤く、不気味に光らせるー
「ーー…ち…ちょっと…え…
ど、ドッキリにしてはーー……や、やりすぎだと思うけどー」
現実を受け入れられない雅人がそう言うと、
明美は突然、手から紫色の煙のようなものを出して、
部屋にいた”明美のハムスター”の方にそれを向けたー。
明美が大事に育てていたハムスターだー。
「ーーえっ!?」
雅人が困惑すると、
「ーー脆弱な生き物よなー」と、明美が紫色の煙に
拘束されたハムスターを見つめるー。
そしてーーー
目を赤く光らせると、
そのハムスターがみるみる変貌していきーー
ゲーム内に登場していた魔物”デス・ラット”へと変貌を遂げたー
「ひっーー!?」
思わず悲鳴を上げてしまう雅人ー。
「ーーククククー
これで分かったであろうー?
我はー、魔王ーーー
貴様ら人間は我ー、そう”魔王・明美”に支配されるのだー」
明美はそう言うと、悪女のような笑い声を発したー。
「ーう…嘘だー…そ、そんなことー」
雅人はまるで玉座に座るかのように椅子に座っている明美を見つめるー。
「ーこの器の母親も何かとうるさいのでなー
我が魔力で石にしてやったー
貴様も見たであろう?」
クスクスと笑う明美ー。
「ーーそ…そんなー…
あ、明美ー…
う、嘘だと言ってよー
め、目を覚まして!」
雅人がそう言いながら明美に近付くと、
明美の髪が、突然鞭のように変化して、
雅人に襲い掛かって来たー。
吹き飛ばされる雅人ー
「クククー
まだこの女の身体に我の魔力は完全には馴染んでおらぬがー
貴様ら人間を蹴散らすにはこれで十分」
明美はそう言いながら立ち上がると、
紫色のハイヒールのようなものを履いた足で、
そのまま近付いてきて、雅人を踏みつけるー。
「ーー貴様をここに呼んだのは、
貴様に協力してもらうためだー。
どうだー?
貴様はこの”器”の、”彼氏”とやらなのだろうー?
我に力を貸せー
我の魔力も分け与えてやるぞー?」
明美に踏みにじられながら、雅人はそんな明美の言葉を聞くー。
がーー
「ーふ、ふざけるなー…あ、明美を返せ!」と、
そう言葉を口にすると、明美はニヤリと笑ったー
「ーねぇ、雅人ー
わたしのこと、手伝ってよー
いっしょに世界征服しよ?」
明美のような口調で、恐ろしいことを口にしてくる明美ー。
雅人はそんな言葉にドキッとしてしまうー。
そんな反応を見た明美は、雅人に突然キスをすると、
自分の胸を触らせながら笑みを浮かべたー。
「ーわたしに従えば、何でもさせてあげるー♡」
明美の甘い囁きー。
普段の明美とはまるで違う、Hな雰囲気に
雅人はドキドキが止まらなくなってしまうー。
「ーわたしと”エッチ”もさせてあげるー
いくらでもー
どうー?
わたしとエッチなこと、したいでしょ?」
明美の邪悪な笑みー。
思わず誘惑に負けそうになる雅人ー。
がーーーー
”いつもの明美の笑顔”をギリギリのところで
思い出した雅人は「ーーふ、ふ、ふざけるな!」と、
そう叫びながら明美を突き飛ばしたー。
「ーーー我に歯向かうかー
愚かな人間よー」
明美が怒りの形相で言葉を口にするー
雅人は、慌ててその場から逃げ出すと、
明美の家から飛び出すー。
すると、明美の家から禍々しい光が放たれてー、
明美が宙に浮いた状態で姿を現したー。
「ー愚かな人間どもよー
我は魔王ー
この世界は、我が物になるのだー」
明美は高らかにそう宣言すると、
戸惑う通行人や、近所の人々を前に、
闇の波動を放ちーーー
周辺一帯を”魔界”のような景色に変えてしまったー
「ーーークククーー心地よいー」
興奮した様子で明美が邪悪な笑みを浮かべるー。
そんな光景を逃げながら目撃した雅人は、
”明美ー”と、心の中で彼女のことを思いながらー、
必死にその場から離れようと走り続けたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーーー…」
帰宅した雅人は”リアルファンタジーオンライン”を起動するー。
警察に通報しようかとも思ったけれど、
何が起きているか分からないし、明美が悪者にされてしまう気がして
できなかったー。
いや、もしも自分が通報しなくても、
明美の家の周囲が禍々しい雰囲気に変わった以上、
誰かは通報しているだろうし、通報が無くても
警察は異変に気付くはずー。
そう思いながら、ゲームの状況を確認するー。
やはり、ゲームの世界に魔王はいないー。
いつもよりも高飛車で派手な雰囲気になった明美のことを
思い出すー。
「そ、そんなことあるわけー…」
雅人が震えながら、さっきの出来事を思い出すー。
”魔王が人間の世界を征服するために、明美に憑依したー”
そんなこと、あるはずがないー。
あるはずがー。
そう思いつつも、
明美の母親の惨状ー、明美の家の中の光景ー、
明美とは思えないような言動ー…
それらを思い出して、雅人は首を横に振るー。
すぐにスマホでニュースを確認すると、
早速、明美の家の周囲の異変が伝えられていたー
”原因不明の異変 周辺住民に避難呼びかけ”と
そう書かれているー。
「明美ー…」
もしもー
もしも、あのゲームの世界の魔王が明美を乗っ取って
この世界を支配しようとしているのなら、
大変なことになるー。
この世界は、明美に支配されてしまうかもしれないー。
そう思っていると、
雅人のスマホが鳴ったー。
”ーー龍山くん!テレビ見れるー?”
かかってきた電話は、明美の親友の恵麻からー。
明美を通じて連絡先だけは交換したものの、
普段は特にやり取りすることはない間柄だー。
そんな恵麻からの電話に驚く間もなく、
そう言われた雅人は、テレビを確認するー。
するとー
そこには、明美の姿が映し出されていたー
”愚かな人間どもよー
これは、お前たちへの宣戦布告だー
我は魔王ー”
明美が、いつもの声でー
邪悪な言葉を口にしているー。
「ーーーな、なんだよこれー」
テレビが乗っ取られたのか、どこのチャンネルも”明美”の宣戦布告を
映し出しているー。
”ー我は貴様ら人間が作り出した
リアルファンタジーオンラインの世界からやってきたー”
そう言うと、明美は自分に手を触れながら笑うー
”この女は、我が貴様らの世界で行動するための器だー。
どうだ?
我にふさわしい美しい器だろう?”
明美が邪悪な笑みを浮かべながらそう言うと、
”我に跪く人間の命は保証しようー
だが、我に逆らう人間は全てこの手で葬ってくれるー”
と、冷たい口調で言うー。
「ーーそ、そんな…こ、これはいったいー…?」
テレビを見ながら、電話中の恵麻に向かってそう言うと、
恵麻は”わ、わたしに聞かれても分かるわけないでしょ!”と、
そう叫ぶー。
「ーーそ、そ、そうだよねーごめんー」
雅人はそれだけ言うと、悪女のように笑う明美の姿を
テレビ越しに見つめるー。
やがて、テレビの映像が途切れると同時に、
雅人は「そ、そうだー」と、そう言葉を口にすると、
電話の向こうの恵麻に向かって叫んだー
「ぼ、僕、”リアルファンタジーオンライン”の会社に行ってみるよ」
とー。
”え?”
戸惑う恵麻の声ー。
明美に憑依しているのが”リアルファンタジーオンライン”の
魔王だとすれば
あのゲームを開発した会社に、この状況を打開するヒントが
あるかもしれないー。
確か、あの会社の本社は隣の町にあったはずー。
雅人はそう思いながら、すぐに家を飛び出そうとするー。
「ーーあ、雅人ー
ねぇーーさっきの…明美ちゃんだよねー?」
1階にいた母親が戸惑っているー。
「ーう、うんー。ごめんー僕、行かないと」
雅人はそう叫ぶと、”明美を助けるため”に、
リアルファンタジーオンラインの制作会社に向かって走り出したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー…!」
リアルファンタジーオンラインの開発会社ー。
その社長室では、社長が戸惑いの表情を浮かべていたー。
「ーーーククククー
我を生み出してくれたことに、感謝するぞ」
”魔王”に憑依された明美は、
紫色の毒々しいドレス姿のような格好にいつの間にか着替えていて、
ゲーム開発会社の社長室にいたー。
まるで”闇の姫”のような、そんな風貌だー。
「ーーー…く、くそっ!」
社長はゲームに搭載されている”AI”が暴走した時に備えて
用意していた”緊急停止ボタン”を押して
全てをシャットダウンしようとするー。
がーー
「ー無駄だー
我の意識は既に、この器の中にあるー
ゲームをシャットダウンしても我は止められないー」
明美はそう言うと、社長の首を掴んで
笑みを浮かべたー。
「ーー死ね」
明美の口から放たれる冷たい口調ー。
社長はその場で動かぬ屍となってしまったー…
③へ続く
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次回が最終回デス~!☆
魔王による世界征服が本格化…!
やっぱり、大変なことになっちゃいそうですネ~!

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